日本精工 (株) 2010年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2010年
3月期
2009年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 587,572 647,593 (9.3) -
営業利益 11,305 22,106 (48.9) -物量減や円高による輸出採算の悪化。
-人件費や経費の削減、外部調達コストの削減に努めたが減益。
経常利益 7,598 16,964 (55.2) -
当期純利益 4,765 4,561 4.5 -事業構造改善費用1,263百万円を計上。
-税金費用、少数株主利益を控除した結果、増益。
自動車関連製品
売上高 366,463 352,453 4.0 自動車軸受
-中国のハブユニット軸受が好調に推移。

自動車部品
-アジアや欧州での電動パワーステアリングが好調に推移。
営業利益 18,281 6,812 168.4 -円高による輸出採算の悪化。
-しかし、物量増効果に加え、人件費や経費の削減、外部調達コストの削減により大幅増益。

事業再編

-100%子会社のNSK販売株式会社(東京都品川区)を2009年7月1日付けで吸収合併する。NSK販売は、自動車関連製品等の販売を行っている。NSKを存続会社とする合併で、NSK販売は解散する。(2009年5月12日付プレスリリースより)
-100%子会社であるNSK販売(株)の吸収合併に関して、当初予定の2009年7月1日から同年8月1日に延期する。(2009年6月12日付プレスリリースより)
-2009年8月1日付けで連結子会社のNSK販売の吸収合併を完了した。(2009年8月28日付プレスリリースより)

>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

新中期計画(2009年度-2012年度)

-電動パワーステアリング(EPS)の販売倍増などを骨子とした2012年度までの自動車部品事業の新中期計画を発表した。EPSは省燃費に効果の高いことから世界各地で装着率が拡大すると見ており新興国を中心に生産能力を増強することによって12年度に 08年度比2倍、1400億円の売上高を目指す。また、自動車部品全体では小型車や低価格車向けにコスト競争力を高めた部品や電動ユニットの商品群の拡充に力を入れて同27・6%増の4500億円に引き上げる。(2009年11月18日付日刊自動車新聞より)

2013年3月期計画 数値目標 全社 自動車事業
売上高 7,800億円 4,500億円
自動車軸受 - 2,200億円
自動車部品 - 2,300億円
営業利益 660億円 340億円
経常利益 620億円 -
当期純利益 370億円 -
営業利益率 8.5% 7.6%
ROE 14.0% -
ネットD/Eレシオ 0.5倍 -

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2010年3月期 2009年3月期 2008年3月期
全社 8,794 10,691 10,240
自動車関連製品 4,860 5,778 5,994

研究開発体制

-インドで開発機能を強化する。このほど現地の生産拠点内に製品評価施設を設置したのに続き、5年以内をめどに研究開発センターを開設する方針だ。インドにはすでに電動パワーステアリング(EPS)の生産拠点を持つほか、数年以内に新興地域向けに専用開発したハブユニット軸受けの生産を計画するなど、現地生産の拡充に力を入れている。これに合わせて本格的な開発体制を構築、市場ニーズに見合った製品の迅速な投入を実現し自動車市場の成長が見込まれる地域での優位性に結びつける。(2009年10月19日付日刊自動車新聞より)

開発戦略

-日米欧の成熟市場やBRICsなどの新興市場といった地域ごとのニーズに合わせて部品スペックをきめ細かく変更する開発戦略を展開する。燃費、耐久性をはじめとしたさまざまな開発項目の中で、地域ごとに最優先する項目を設定、その性能を際立たせるような仕様とすることで競争力を高めていく。すでに足回りの主要部品であるハブユニットについては、新興国向けに耐久性を向上させた仕様と、燃費性能の改善要望が高まっている成熟市場向けに走行抵抗を減らした仕様の開発を完了した。こうした手法を順次、他の部品に適用し、新規受注の開拓に結びつける。(2010年1月14日付日刊自動車新聞より)

主な研究成果

ハイブリッドカー(HV)専用低トルク玉軸受
-従来品に比べて摩擦損失を50-65%低減した「ハイブリッドカー(HV)専用低トルク玉軸受」を開発した。モーターと変速機が一体化されたHVの駆動機構向けに専用設計した。特殊形状の樹脂製保持器を採用することなどによって、多量のオイルが循環している変速機内部でかくはんによる損失を減少させた。トヨタ自動車の新型「プリウス」に採用された。今後は新型HVの投入を計画している各社に提案し、2013年に30億円以上の販売を目指す。(2009年6月10日付日刊自動車新聞より)

高速回転仕様ミニアチェアプラネタリ用ケージ&ローラ

-ハイブリッド車(HV)の動力分割機構や変速機に活用される遊星歯車(プラネタリーギア)の許容回転数を1・ 5倍以上に高める新型ベアリングを開発した。HVでは動力ユニットの効率化をねらい駆動用モーターの最高回転数が毎分1万数千回転超に引き上げられるようになった。これにともないギアユニットの大型化を避けながら高回転化に対応する手法が求められている。同社は、遊星歯車の構成部品の中で最も回転の速いピニオンギアに組み合わせるベアリングの改善が重要としてその設計、素材を見直し、回転数の向上を実現した。ベルト式CVT(無段変速機)副変速機にも適した部品という。早ければ2012年に量産を開始、新型ベアリングの売上高は15年に25億円を目指す。(2009年9月28日付日刊自動車新聞より)

次世代ハイブリッドカー向けモータ及び発電機構用超高速玉軸受
-大幅に摩擦を低減することにより、超高速回転を可能にした玉軸受を開発した。次世代ハイブリッドカーにおけるモーターおよび発電機構用の玉軸受として、従来比1.5倍となる毎分30,000回転以上の超高速化を実現。2015年度における本製品の年間売上目標を20億円に設定している。(2009年10月16日プレスリリースより)

トランスミッション用超低フリクション密封クリーン玉軸受
-変速機の駆動効率を5%向上可能な「超低フリクション密封クリーン玉軸受」を開発した。欧州や新興国を中心に需要の本格化が見込まれるDCT(デュアルクラッチ・トランスミッション)および手動変速機(MT)向けの軸受けで、シール形状を見直してフリクションを従来品に対し半減した。リップとシール本体のつなぎ目の部分を従来比で10%細く、70%長い細長の形状に変更。これにより接触圧を低減、使用頻度が高い低速域で約50%のフリクション削減を実現した。耐久性は従来品同等とする。グローバルな需要開拓に取り組み、2015年に15億円以上の売上高を目指す。(2009年11月16日付日刊自動車新聞より)

自動車電装モータ用高密封シール付き軸受
-ESC(横滑り防止装置)のブレーキ油圧制御装置を始めとした車載電動機構の大幅な耐久性向上につながるモーター用軸受けを開発したと発表した。シール形状を工夫し摩擦抵抗の増加を抑えながら密封性を高め、軸受けからのオイル漏れが生じるまでの使用時間を従来品に対し10倍以上に伸ばした。ESCはさまざまな応用制御の実用化に伴い作動頻度が増えたため、モーターの作動不良につながる軸受けからのオイル漏れを防ぐ技術が求められていた。2011年に量産開始する計画で、14年に7億円の売上高を目指す。(2009年12月10日付日刊自動車新聞より)

直進走行感(オンセンター感)向上機能付き電動パワーステアリング

-電動パワーステアリング(EPS)の制御を応用し、傾いた路面や轍の上を直進する際の操作負担を軽減、安全性の向上に結びつける運転支援システムを開発した。傾いた路面を直進するには、ステアリングを若干切りながら走る必要があり、運転者は舵角を保持するためステアリングに力を入れなければならない。新技術は平たんな路面を直進している場合と同様に、ステアリングに軽く手を添えるだけで適切な舵角を保持できるようにアシストする。タイヤに加わる力を計算して適切な舵角を割り出す独自の手法で実現。不整な路面を走行する際の緊張、疲労を緩和する技術として訴求し、幅広い採用を目指す。(2010年2月22日付日刊自動車新聞より)

低フリクションハブユニット軸受
-軸受内部設計の最適化、最適グリースの選定、及び 低フリクションシール開発により、市場での高信頼性を確保したまま、ハブユニット軸受のフリクションを25%低減させた「低フリクションハブユニット軸受」を開発した。2013年に本製品の売上28億円を目指す。(2009年12月7日プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2010年3月期 2009年3月期 2008年3月期
全社 21,818 44,138 53,905
自動車関連製品事業 11,218 18,679 22,982

自動車関連製品事業
-欧州でステアリングの生産体制を再編する。2010年半ばをめどに英国工場を閉鎖するとともに、生産をポーランド拠点に移管し収益力の強化に結びつける。これに合わせてさらなる需要拡大が見込まれる電動パワーステアリングの生産体制を増強する。(2009年7月31日付日刊自動車新聞より)

国内投資

-電動パワーステアリングの新規生産ライン立ち上げのみに小幅な投資。

海外投資

<中国>
-自動車軸受では、前工程増強の投資。
-電動パワーステアリングの新会社立ち上げによる建屋建設及び生産設備増強の投資。

<インド>
-ハブユニット軸受ラインの投資。

2011年3月期設備投資計画

-設備投資額:350億円
-減価償却水準に抑制。
-成長分野である新興国、EPSへ投資増強。

主な設備の新設(自動車関連製品)

(2010年3月31日現在)

会社名/事業所名
(所在地)
設備の内容 投資予定
金額
(百万円)
着手 完了 目的
大津工場
(滋賀県大津市)
一般玉軸受、自動車用軸受生産設備等 1,004 2009年4月 2011年3月 生産基盤整備及び合理化対策
石部工場
(滋賀県湖南市)
自動車用軸受生産設備等 2,326 2009年4月 2011年3月 生産基盤整備及び合理化対策
埼玉工場
(埼玉県羽生市)
自動車用軸受生産設備等 1,254 2009年4月 2011年3月 生産基盤整備及び合理化対策
NSK ステアリングシステムズ(株)
(群馬県前橋市)
ステアリング生産設備 3,570 2009年4月 2011年3月 生産基盤整備及び増強・合理化対策
NSK ニードルベアリング(株)
(群馬県高崎市)
ニードル軸受生産設備 1,971 2009年4月 2011年3月 生産基盤整備及び合理化対策
NSK Corporation
(米国ミシガン州)
自動車用軸受生産設備等 1,332 2009年4月 2011年3月 生産再編成及び合理化対策
NSK Steering Systems America. Inc.
(米国バーモント州)
ステアリング生産設備 1,163 2009年4月 2011年3月 生産能力増強対策
NSK Brazil Ltda.
(ブラジルSuzano)
一般玉軸受、自動車用軸受生産設備等 431 2009年4月 2011年3月 生産基盤整備及び合理化対策

NSK Bearings Europe Ltd.

(英国バークシャー)

一般玉軸受、自動車用軸受生産設備等 712 2009年4月 2011年3月 生産基盤整備及び合理化対策
NSK Steering Systems Europe (Polska) Sp.Zo.o
(ポーランド Walbrzych)
ステアリング生産設備 1,077 2009年4月 2011年3月 生産能力増強対策
NSK Bearings Manufacturing (Thailand) Co., Ltd.
(タイ チョンブリ)
自動車用軸受生産設備等 503 2009年4月 2011年3月 生産能力増強及び合理化対策
Siam NSK Steering Systems Co., Ltd.
(タイ チャチョエンサオ)
ステアリング生産設備 2,204 2009年4月 2011年3月 生産能力増強対策
昆山恩斯克有限公司
[Kunshan NSK Co., Ltd.]
(中国 昆山市)
一般玉軸受、自動車用軸受生産設備等 2,181 2009年4月 2011年3月 生産能力増強及び合理化対策
常熟恩斯克軸承有限公司
[Changshu NSK Needle Bearing Co., Ltd.]
(中国 常熟市)
ニードル軸受生産設備 1,310 2009年4月 2011年3月 生産能力増強対策
張家港恩斯克精密機械有限公司
[Zhangjiagang NSK Precision Machinery Co., Ltd.]
(中国 張家港市)
一般玉軸受、自動車用軸受生産設備等 1,238 2009年4月 2011年3月 生産能力増強対策
蘇州恩斯克軸承有限公司
[Suzhou NSK Bearings Co., Ltd.]
(中国 蘇州市)
自動車用軸受生産設備等 551 2009年4月 2011年3月 生産能力増強対策

東莞恩斯克転向器有限公司
[NSK Steering Systems Dongguan Co., Ltd.]

(中国 東莞市)

ステアリング生産設備 1,029 2009年4月 2011年3月 生産能力増強対策
杭州恩斯克万達電動転向系統有限公司
[NSK-Wanda Electric Power Assisted Steering Systems Co.,Ltd.]
(中国 杭州市)
ステアリング生産設備 1,264 2009年4月 2011年3月 生産能力増強対策
NSK 韓国
[NSK Korea Co., Ltd]
(韓国 慶尚南道)
一般玉軸受、自動車用軸受生産設備等 760 2009年4月 2011年3月 生産再編成及び合理化対策
NSK-ABC Bearings Ltd.
(インド タミル・ナードゥ州)
自動車用軸受生産設備等 185 2009年4月 2011年3月 生産能力増強対策