(株) タチエス 2014年3月期の動向

ハイライト

業績

 (単位:百万円)
  2014年
3月期
2013年
3月期
増減率
(%)
要因
売上高 219,661 217,692 0.9 -カナダ子会社での生産終了により北米の売上高が大幅減となったが、円安効果などにより若干の増収を確保
営業利益 1,337 6,120 (78.2) -カナダ子会社での減収、セールスミックスの変化、新工場および新モデルの立ち上げに係わる先行費用の負担増により大幅減益
経常利益 4,635 9,326 (50.3)
当期純利益 1,627 5,593 (70.9)

合弁事業

<中国>
-2013年、中国で新たに合弁会社2社を設立したと発表。同社の完全子会社である泰極愛思 (広州) 投資有限公司と現地企業の東風李爾汽車座椅有限公司が共同出資を行い、新会社で自動車用シートを生産する。中国自動車市場の主要得意先である日系自動車メーカーのグローバル事業に迅速な対応を図るのが狙い。(2013年8月30日付日刊自動車新聞より)

-2013年、中国のシートメーカー、東風リア (湖北省武漢市) との合弁により中国・大連市 (遼寧省) にシート工場を新設する。年間生産能力が20万台規模の工場とし、当初生産台数は年間10万台を見込んでいる。今年着工し、2014年に稼働する日産自動車の合弁工場に納入する。同社は海外の日産工場向けのシート供給で米部品大手のリアと提携している。中国ではリアの現地合弁会社との協力を拡げ、同国で生産を拡大する日産向けの供給体制を拡充する。(2013年2月13日付日刊自動車新聞より)

<マレーシア>
-2013年、マレーシアのシートメーカーと合弁会社を設立すると発表。マレーシアのスランゴール州に工場を建設し、2014年下期から年間4万台分の自動車用シートを生産する。同社がマレーシアに生産拠点を設けるのは初めて。複数の日系自動車メーカーの工場に製品を納入する。現地シートメーカー、オートパーツホールディングスと合弁契約を結び、新会社「APM タチエス シーティングシステムズ」を設立する。当初は技術供与により合弁先に委託して生産を始める。新会社の資本金は350万マレーシア・リンギット (約1億500万円) で、設立当初はタチエスのタイ子会社が40%、オートパーツホールディングスが60%を出資する。工場の建設に合わせて出資比率は変更する予定。新会社は15年度に32億円の売上高を見込む。(2013年1月31日付日刊自動車新聞より)

インドネシア事業

-2013年、インドネシア子会社「タチエス インドネシア」へ850万ドル (約8億5千万円) を増資すると発表。2014年11月から自動車用シート生産が本格化するため、増資分は工場建設と設備投資に充てる。増資後の資本金は1525万ドル(約15億2500万円)となる。(2013年6月3日付日刊自動車新聞より)

輸入部品の採用増

-日本で使うシートカバーのうち、輸入割合を2016年度までに7割に引き上げる。中国・大連工場(遼寧省)が立ち上がるのを機に中国からの輸入量を増やす。シートカバーの生産は縫製作業が中心で機械化が難しいため、人件費の高い日本はコスト競争力が低下している。日本では人材も集まりにくくなっていることから、労働人口が多く、人件費の安い中国からの輸入量を増やす。日本では高級車用シートカバーの生産を続けることにより国内に技能を残し、製品開発や生産技術を高める力をさらに向上させていく。(2013年7月26日付日刊自動車新聞より)

業務提携

-スペインの部品メーカーと業務提携し、欧州でシートフレームの供給体制を構築する。フレーム専業メーカー、ビザ社に生産を委託し、軽量化とコスト低減を図った新型フレームの生産を2014年から始める。得意先自動車メーカーのグローバル生産に対応し、北米、中国、東南アジアに続いて欧州でもフレームの集中生産体制を構築。コスト競争力を高めた次世代フレームを世界で供給する体制を整える。主要取引先の一つである日産自動車から、次期ピックアップトラック用のシートフレームを全量受注した。同モデルはグローバルに生産されるモデルで、スペインでの生産も計画されている。タチエスは同国に生産拠点を保有していないため、現地企業に生産を委託することにした。生産するフレームは、シート本体を受注した別のシートメーカーに納める。(2013年7月10日付日刊自動車新聞より)

2015年3月期の見通し

 (単位:百万円)
  2015年3月期
(予想)
2014年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 248,000 219,661 12.9
営業利益 4,200 1,337 214.1
経常利益 6,700 4,635 44.6
当期純利益 3,200 1,627 96.7

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

 (単位:百万円)
2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 4,716 4,026 3,418

-2015年3月期の研究開発費は、4,547百万円を予定。

研究開発拠点

タチエス技術センター 東京都青梅市
アドバンスト・テクノロジー・センター 東京都青梅市
タチエス技術センター愛知 愛知県安城市
Tachi-S Engineering U.S.A. Inc. 米国ミシガン州
Tachi-S Engineering Europe S.A.R.L. フランス ヴェリジー・ビラクブレー市
福州泰昌汽車座椅開発有限公司
[Tachi-S Engineering China Co., Ltd.]
中国福州市
Tachi-S Engineering Latin America S.A. DE C.V. メキシコ アグアスカリエンテス州
Tachi-S Engineering Vietnam Co., Ltd. ベトナム ホーチミン市

研究開発体制

-新製品の開発および新技術の基礎研究は、主に国内の技術センターにおいて効率的な開発を行うとともに、米国・欧州の拠点および国内外の技術提携先企業等を通じて、先進技術や周辺技術の積極的な情報収集を実施している。また、蓄積された新製品・新工法技術は、同社直接または米国・欧州の拠点を通じて、グローバルに自動車メーカー各社や同部品メーカー各社に提案し、採用されている。

-国内において1999年8月に富士機工株式会社と、2006年11月には河西工業株式会社とそれぞれ業務提携を行い、機構部品および樹脂成形部品の技術開発力の向上、海外研究開発拠点の共同利用等、グローバルな視点での内装部品の商品力強化につなげる。

-日本国内において開発・生産・調達のモノづくりに関わる部門を集約すべく、2012年8月に東京都青梅市に技術・モノづくりセンターを開設。

-中南米地域の開発拠点として2012年5月にメキシコ・アグアスカリエンテス州にTachi-S Engineering Latin America, S.A. De C.V.を設立。

研究開発活動

シートおよびオリジナル機構部品開発
-自動車およびその他乗り物用シート、またシートのリクライニングデバイス、スライドレール、大移動量リフター、床下格納デバイス、RV車用シートのロングスライドレールおよびその付属機構、回転ユニット等の開発をシートシステムとして行い、得意先各社へ採用が進んでいる。

安全性向上技術開発
-安全性向上として、3点式シートベルト組込シート、サイドエアバック組込シート、乗員感知式スマートエアバック対応シート、頸部障害軽減システム等の開発をシートシステムとして行い、顧客から採用されている。また前後面、側面衝突に対応した安全シート構造の研究開発を行っている。

環境対応技術開発
-環境対策では、各種環境負荷物質の全廃に向けての対応や、自動車の燃費向上のため新材料、新構造技術を織り込んだ超軽量シートの開発等を行い、得意先各社へ提案し採用されている。

福祉車両商品の開発
-福祉車両用に操作性、乗降性に優れたヘルパーシートの開発を行い、得意先各社へ提案し採用されている。

原価低減商品の開発
-標準化、共通化を踏まえた低コスト次世代シートを開発し、国内外の得意先各社に採用されている。

生産技術開発
-接着成形シートの改良技術開発、ヘッドレスト、アームレストの一体発泡成形技術開発、シート組立の省力化・自動化技術開発、CAD/CAMによる型製作等を展開。また、多品種少量生産を可能にした混流ラインを開発し、車種数や商品構成の増加に対応する。

シートの研究分野
-より快適なシートの開発を目指し、「座り心地」評価と、あるべきシートの構造方式について自主研究を継続。さらに、短期間での性能、質量、コストのバランスの取れた設計のため、CAE解析を行い開発期間短縮、コストダウン等を貢献。

シートデザインの開発
-将来シートコンセプト、新商品のデザイン開発、コーポレートデザインなどシートを含め同社に関するあらゆる分野のデザイン開発を独自で取組み、得意先各社へ提案し採用されている。

標準フレーム
-多様な車種で共通して使うことができる汎用性の高い標準フレームを独自に開発、得意先各社へ提案し採用されている。

新開発センター

-中国・広州市に、2014年の稼働を目指して開発センターを新設する。取引先の日系自動車メーカーが中国向け製品の開発を広州で強化していることに対応し、現地で開発体制を強化する。広州市内に専用の建物を建設し、100人規模の拠点にしていく方針だ。日系メーカーが集まる広州で中国向けの開発を強化し、現地開発の要請に応える。(2013年8月27日付日刊自動車新聞より)

技術導入契約

 (2014年3月31日現在)
相手先 国名 内容 契約期間
Isringhausen GmbH & Co. KG ドイツ サスペンションシステムの製造・販売継続権に関するライセンス契約およびシート技術と販売ノウハウの相互自由開示と自由使用 (除特許) 契約 1985年11月 - 無期限又は一方の6ヶ月前の予告により終結

設備投資

設備投資額

 (単位:百万円)
2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 9,075 4,535 4,808

-中南米での工場建設に伴う投資のほか、新規受注およびモデルチェンジ等に伴う生産対応設備を中心に設備投資を実施。

-2015年3月期の設備投資額は、10,298百万円を予定。

<日本>
-主な投資は、新規受注およびモデルチェンジに伴う生産対応設備。設備投資総額は1,223百万円。

<北米>
-主な投資は、モデルチェンジに伴う生産対応設備。設備投資の総額は1,822百万円。

<中南米>
-主な投資は、工場建設に伴う投資のほか、新規受注およびモデルチェンジおよび生産設備の更新等に伴う生産対応設備。設備投資の総額は4,546百万円。

<欧州>
-主な投資は、新規受注等に伴う生産対応設備。設備投資の総額は76百万円。

<中国>
-主な投資は、新規受注および生産設備の更新等に伴う生産対応設備。設備投資の総額は661百万円。

生産能力の増強

<メキシコ>
-2013年、メキシコ子会社のシーテックス・メキシコの自動車用シートの生産能力増強のため、3億1400万ペソ (約19億円) を4月に増資すると発表した。設立時の資本金は5万ペソ (約30万円)。当初の計画より生産台数が大幅に増加するため、増資を決めた。増産により、日系自動車メーカーへの現地供給に迅速に対応する体制を構築する。生産規模は17年度には年間28万台を計画している。 (2013年4月20日付日刊自動車新聞より)

<中国>
-中国・武漢工場 (湖北省) の生産能力を今夏にも現状の2倍の年間20万台に増強する。同工場の納入先である東風本田汽車有限公司(東風ホンダ、 湖北省武漢市)から新規車種向けのシートを受注したことによるもの。新規受注を機にシート供給体制を大幅に増強し、中国でのホンダビジネスの拡大につなげる。中国では日産自動車向けを中心にシートの生産拠点を展開している。日産向けに加えホンダ向けも強化し、中国でのさらなる売り上げ拡大を目指す。(2013年1月24日付日刊自動車新聞より)

主な設備の新設

 (2014年3月31日現在)
会社名/事業所名 設備の内容 投資予定総額
(百万円)
着工 完成予定
栃木工場 自動車座席用製造設備 584 2014年11月 2015年1月
武蔵工場 自動車座席用製造設備 278 2014年5月 2014年9月
鈴鹿工場 自動車座席用製造設備 206 2014年3月 2014年6月
技術・モノづくりセンター 情報システム対応 347 2014年4月 2015年3月

Setex Inc. (米国)

本社工場

自動車座席用製造設備 373 2014年4月 2015年3月
Industria de Asiento Superior S. A. de C. V. (メキシコ)
新工場
組立、縫製工場 1,770 2012年12月 2014年8月
Industria de Asiento Superior S. A. de C. V. (メキシコ)
本社工場他
自動車座席用製造設備等 1,166 2014年1月 2014年7月
泰極愛思(広州)投資有限公司
[TACHI-S China Co., Ltd.]
開発センター建設 480 2014年1月 2014年12月
武漢泰極江森汽車座椅有限公司
[Wuhan TACHI-S Johnson Controls Automotive Seat Co., Ltd.]
自動車座席用製造設備 415 2014年1月 2014年8月