ジヤトコ 2006年度の動向

ハイライト

受注
2009年半ばから中国・広州市でベルト式CVT(無段変速機)の生産を開始すると発表。現在は日産自動車経由で日本から輸出している東風日産向けのミドルクラス用CVTの生産を現地化する。年産能力は14万台、投資は60億円。新規受注に合わせて能力増強を検討する。ジヤトコは2009年に自動変速機(AT)の世界販売台数を2007年度見込みの70万台増にあたる470万台に引き上げる計画。成長が見込まれる中国で生産基盤を整えて、グローバルな拡大に結びつける。中国拠点は「ジヤトコ・チャイナ・リミテッド(仮称)」の名称で、2007年5月の設立を予定する。資本金は46億円で全額を同社が出資する。(2007年3月2日付日刊自動車新聞より)

部品調達の拡大
LCC(リーディング・コンペティティブ・カントリー)からの部品調達を拡大する。従来の中心だった鋳造部品などに加えて、2008年度には韓国製ギアの調達を開始する。同社は、新型AT(自動変速機)の開発を機としたコスト削減目標を、従来型比30%減に置いている。2008年度後半に投入を予定する新型ユニットを始め、順次、LCC製部品の採用を広げて合理化を実現し、トップレベルの競争力に結びつける。2007年度には調達品目をギアに広げる。当面は比較的、加工が単純な形状なものに限るとする。しかし、LCC調達の対象にATの最重要部品の一つであるギア類を含めることで、原価の最適化につなげていく。当面は、現地自動車メーカーの成長に伴い技術力の高まってきた韓国、中国のサプライヤーを中心に、調達品目の拡大を検討する。(2007年2月15日付日刊自動車新聞より)

合弁事業解消
富士重工業は同社と合弁で2003年に設立したCVT(無段変速機)の共同事業会社「富士AT」を解消すると発表。合弁形態の解消により管理部門のスリム化を図るとともに、同社を主体に拡販に向けた活動を強化する。(2006年10月3日付日刊自動車新聞より)

開発動向

開発体制強化
電子技術を始めとした開発体制を強化する。制御・システム開発部内に置いていた電子制御分野の開発機能を、2007年4月1日付で電子技術開発室に集約する。これによりハイブリッドシステム関連の基盤構築や、開発効率の向上に向けたノウハウの蓄積を活発化する。また、材料関連の生産技術の開発部署を、開発部門から商品エンジニアリング部門に移管、次世代の要素技術を製品開発に一層、反映しやすい体制を整える。同社の筆頭株主である日産自動車が中期環境行動計画「ニッサン・グリーン・プログラム」を打ち出すなど、新型車の開発では燃費、排ガス性能の改善が一段と重要になっている。同社はこうした自動車メーカーに対する提案力の強化や新規ニーズの吸収を目指し、電子関連の開発を拡充する。(2007年3月30日付日刊自動車新聞より)

新製品開発
前輪駆動(FF)車用6速オートマチック・トランスミッション(AT)を開発したと発表。中・大型車向け。従来型の5速ATに比べ、ロー、ハイ両端の変速比を拡大し、発進・加速性能と高速時の燃費、静寂性を高めた。また、従来品に比べ重量で10%、全長で10%削減するなど、軽量・コンパクト化を徹底した。搭載予定車種は、日産の欧州向けSUV「キャシュカイ」とルノー「セニック」及び「グランセニック」、三菱自「アウトランダー」。(2006年10月24日付日刊自動車新聞より)

同社新開発の軽自動車用ベルトCVT(無段変速装置)が富士重工業の新型軽乗用車「ステラ」に搭載されたと発表。新開発CVTは同社と富士重、両社の合弁会社である富士ATが共同で開発した。フリクション低減やロックアップ開始車速の低速化、広い変速比幅、発進時の油圧最適化とともに搭載車両に適した変速特性にチューニングされ、加速・燃費性能が向上。生産は富士重・群馬製作所大泉工場が行う。同社としては新たに軽自動車用がラインアップされたことで、小型、中型から3・5リットル級の大型車用までのCVTフルライン化が完成したことになる。(2006年6月15日付日刊自動車新聞より)

設備投資

CVT(無段変速機)の生産拠点である富士第1地区内に、技能教育施設「技能塾」を開校した。加工マシンの使用方法から設備の保全・点検まで、生産ノウハウのすべてを体系的に教育可能な設備、カリキュラムを整えた。若手、ベテランを問わずに全生産スタッフの技能を磨く拠点として活用し、トップレベルのものづくりに結びつける。投資は1千万円。(2007年3月5日付日刊自動車新聞より)