(株) アドヴィックス 2014年3月期までの動向

ハイライト

近年の動向

事業概況 (2014年3月期)

-2014年3月期の売上高は、国内外の自動車メーカーの生産台数増加などにより、前年比14.4%増の511,500百万円。
-営業利益は、売上高の増加に加え、収益体質強化活動の成果や為替の影響などにより、前年比9.8%増の14,000百万円。

国内生産体制の再編

-2012年度中に国内生産体制を再編する。生産子会社ASブレーキシステムズが三重製作所(三重県津市)として、住友電装の工場構内で実施していた部品生産を終了。同製作所で生産していたディスクブレーキをASブレーキの伊丹製作所(兵庫県伊丹市)、ABSを生産委託先のアイシン精機・半田工場(愛知県半田市)に移管する。製品ごとに生産を集約、量産効果を高めて競争力の向上を図る。再編により、ブレーキ部品の国内生産体制(委託先含む)を従来の6カ所から5カ所に集約することになる。生産の集約を通じ、アイシン精機住友電工デンソーがアドヴィックスを核に推進してきたブレーキ事業の統合がさらに前進することになる。 (2012年4月4日付日刊自動車新聞より)

海外事業

<中国>
-2013年をめどに中国・広東省雲浮市に新工場を設置すると発表した。13年末にブレーキブースター、ディスクブレーキキャリパーを生産開始する。13年4月に福州で稼働する中国・第3工場に続き、4カ所目の生産拠点となる。ブースターとキャリパーは北部の天津市の工場で生産しているが、中国国内の需要増加に合わせて南部の生産体制を整えることにした。新会社の資本金は約12億円。出資比率はアドヴィックスが80%、六和機械投資有限公司が20%。新工場の敷地面積は6万6700平方メートル、工場面積は1万8400メートル。16年度までに約350人の従業員を新規採用する計画。(2012年5月23日付日刊自動車新聞より)

-2012年、同社は2017年度までに中国事業の売上高を11年度見通しに対して2.5倍の年1千億円に引き上げると発表。ローカルの自動車メーカー、部品メーカーに照準を合わせて、新たな取引先を開拓。受注規模の拡大やコスト競争力の向上を図る。受注活動は、現地で中国メーカー各社を招いて試乗会を実施するなど独自技術の訴求を始めた。調達に関しては部材の大半を日本から供給しているが、地場企業を通じて調達を本格化する。江蘇省常州市に開設したR&Dセンターを中心に調達先の開拓、育成を図る。(2012年3月19日付日刊自動車新聞より)

<インド>
-2013年をめどにインドに本格参入すると発表した。親会社のアイシン精機がグループ進出に向けて確保した用地を活用し、北部と南部で生産体制を構築する。ブレーキブースターやマスターシリンダーを生産する。従来は日本から供給していたが、現地化を図ることで競争力を高める。北部は13年6月、南部は13年12月に生産開始する。当初の生産規模は両拠点を合わせて月10万個を見込む。16年度に両工場で年60億円規模の売上高を確保する。 (2012年4月6日付日刊自動車新聞より)

事業計画

-2012年、同社は2017年度までに連結売上高を11年度見通しに対して56.3%増の年6千億円規模に拡大する新たな長期ビジョンを策定した。ブレーキシステムのグローバルサプライヤーとして地位を強固なものにすることを目指し、新規顧客の開拓を加速する。主要納入先のトヨタ自動車や日系メーカーだけでなく、欧州メーカー、新興国の地場メーカーからの受注獲得を目指す。これと並行して、グローバルに供給体制を拡充。13年度に稼働を計画する中国・第3工場、タイ工場に続き、インドや欧州への進出を検討する。海外生産の拡充に関しては、2014年度にもインドに新生産拠点を設置する方針。今後はアイシン精機が新設したばかりの現地生産会社などを候補地に、進出計画を固める。欧州進出は現地メーカー向けの営業活動の状況などを見て検討する。(2012年3月10日付日刊自動車新聞より)

新会社

-2011年、同年7月にドイツに完全子会社を設立すると発表した。新会社「ADVICS Europe GmbH」では、自動車用ブレーキシステムおよびコンポーネントの開発・販売を行う。同社は2008年にベルギー事務所を設立し、欧州市場の調査を行ってきた。(2011年7月20日付プレスリリースより)

合弁事業

-2010年、アイシン精機グループの化成品・摩擦材メーカー、アイシン化工(愛知県豊田市)は19日、中国にディスクブレーキ用パッドを生産する子会社を設立したと発表した。同社の海外子会社としては米国とタイに続いて3社目。最終的にトヨタ自動車の現地合弁拠点に納入される製品を中心に、2015年には16億円の売り上げを目指す。現地子会社の社名は「唐山愛信化工有限公司」(略称TAC)で、資本金は6億円。アイシン化工が60%、アイシン精機が20%、ブレーキシステムメーカーのアドヴィックスが20%を出資して7月に設立した。河北省唐山市にあるアイシン精機の現地法人内に生産設備を設置する。11年5月までに生産ライン1本を設置して生産を開始。TACで生産したパッドは天津市にあるアドヴィックスの現地法人に納入し、ブレーキシステムに組み込まれた上でトヨタの現地法人に納入される。(2010年8月20日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
合計 19,500 19,300 15,700

研究開発活動

-2014年3月期は、車両運動性能を追求し、ユーザーが安心してクルマを楽しむことができる商品の開発を実施。

製品開発

小型トラック向けの次世代ブレーキ
-小型トラック向けの次世代ブレーキとして、前方の障害物を検知して中・低速域から車両を自動停止させる先進システムを開発する。ミリ波レーダーなど検知システムを手がける企業と協力し、2017年頃までに実用化する。同社は小型トラック専用のシステム確立に向け、ブレーキに使用するモーターの出力向上や、電子制御システムに採用するソフトウェアの高度化などに取り組む。同時にレーダーやカメラなどセンシング技術を手がけるサプライヤーと協力し、トラックに最適なシステムを構築する。(2012年6月26日付日刊自動車新聞より)

ブレーキ制御モジュレーター

-2011年、停止前アイドリングストップ機能に協調するブレーキ制御モジュレーターを新たに開発した。このシステムは、ダイハツの新型軽乗用車「Mira e:S」(2011年9月発売)に搭載されている。新開発の停止前アイドリングストップ機能は、車両が完全に停止する前からエンジンをストップさせることで、燃費のさらなる向上を図り、環境負荷を低減させるもの。各種センサーからの情報を基に、車両挙動やエンジンの作動状態・ドライバーの操作を検知して、必要に応じてブレーキ油圧を自動で制御することにより、アイドリングストップ作動状態から車両が停止するまでの安全性を確保する。(2011年9月21日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
合計 13,180 11,412 8,239

海外投資

<タイ>
-2012年、同社は2013年をめどにタイにディスクブレーキキャリパーを手がける新工場を設置すると発表した。従来はアイシン精機のタイ拠点に生産委託していたが、初の自社工場を建設して供給体制を拡大する。チョンブリ県ピントーン工業団地に工場を設置し、月産1万5千台分の規模で立ち上げる。投資額は約35億円。生産開始は13年7月を予定している。当初はトヨタ自動車向けに供給するが、順次、他メーカーにも納入先を拡大する。新工場の設置に向け、11年12月に生産会社アドヴィックス・マニュファクチャリング・タイランドを設立した。今後は新会社を通じて工場運営から市販分野の事業開拓まで行う。(2012年2月10日付日刊自動車新聞より)