(株) アドヴィックス 2010年3月期までの動向

ハイライト

近年の動向

受注

<トヨタ>
-トヨタ自動車が2010年12月に生産を開始するスポーツ車「Lexus LFA」で目標とした走行性能の実現に向けて、同モデルの専用部品の開発を支援した。同社は軽量タイプのペダルユニットを新設計した。(2009年10月22日付日刊自動車新聞より)

-トヨタ自動車の新型「Prius」の電子制御ブレーキシステムに新型コンポーネントが採用されたと発表した。新型Priusでは、ハイドロブースターを 内蔵するブレーキ液圧制御モジュレーター、ペダルストロークシミュレーター、アシスト液圧発生ユニットが採用された。ハイドロブースターの採用により、システムのサイズを従来比35%小型化するとともに、重量を29%軽量化した。同社がトヨタと共同開発する電子制御ブレーキシステムは、油圧ブレーキを回生ブレーキと協調しながら制御することで、制動エネルギーの回収を最も効率良く行うシステム。(2009年5月30日付日刊自動車新聞より)

-世界最小・最軽量のESC (横滑り防止装置)モジュレーターを開発、トヨタ自動車の新型車「iQ」に搭載。(2008年10月21日付日刊自動車新聞より)

-電動パーキングブレーキ、電子制御式ブレーキシステム、ディスクブレーキが2009年「Lexus LS460」に搭載。

-世界初となる「クロールコントロール」(Crawl Control)をトヨタ自動車と共同開発し、2007年9月発売のトヨタ「Land Cruiser」に搭載。(2007年10月18日付プレスリリースより)

-新世代のABSおよびESC (横滑り防止装置)モジュレーターを開発。 この新型ABSモジュレータ「ADS-A2」およびESCモジュレータ「ADS-V2G」は、トヨタの新型「Corolla」に搭載される予定。(2006年12月18日付プレスリリースより)

-国産車初となる「電動パーキングブレーキ」(Electric Parking Brake)をトヨタ自動車と共同開発。「Lexus LS460」に搭載。(2006年10月30日付プレスリリースより)

-広州豊田「Camry」向けに、ブレーキシステムのモジュール納入を開始する。同社がモジュール納入を行うのは初めてのこと。「Camry」に納入するのは、ディスクブレーキやドラムブレーキの本体を組み上げた「コーナーモジュール」。アイシングループの中国拠点からブレーキ本体の構成部品を調達、日本からマスター シリンダーやABS制御ユニットなどを供給する。生産は2006年5月からを予定、2010年に売上高5億元を計画する。(2006年2月10日付日刊自動車新聞より)

<日産>
-日産自動車が2009年発売予定の新型「Fuga」用にITS機能付きESC (横滑り防止装置)を納入する。カーブ走行時の運転をサポートする先進システムに採用されたもので、応答性など性能の高さで採用された。日産は新型「Fuga」にカーナビの地図情報を元にカーブ進入時のアクセル操作とブレーキ操作を支援する「カーナビゲーション協調機能付きインテリジェントペダル」、カーブ走行時に車両挙動に応じてアクセルとブレーキを制御する「アクティブスタビリティーアシスト」を搭載する。これら先進制御技術を構成するESCやセンサーに同社製を採用した。(2009年8月25日付日刊自動車新聞より)

<GM>
-ADVICS North America, Inc.は新型「Hummer 3」向けに、アンチロックブレーキシステム(ABS)/トラクションコントロールシステム(TCS)/横滑り防止装置(ESC)の機能を持ったハイドロブレーキブースターや対向型キャリパー等を含むブレーキコンポーネントをシステム受注。同社はABS等のコンポーネントをGMに販売した実績はあったが、ブ レーキシステムを納入するのは初めてとなる。(2004年12月14日付プレスリリースより)

海外動向

<中国>
-2009年内にも中国に駐在員を派遣する。中国ローカルの自動車メーカーとの取引を目指し、生産拠点の新設も視野に入れ現地メーカーのニーズを探る。同社の売り上げは8割がトヨタグループ向けとなっており、トヨタの事業拡大に応じて売り上げが拡大してきた。世界的に自動車需要が落ち込んだことから、設立当時の狙いである非トヨタ領域での事業拡大へ取り組みを本格化する。(2009年8月24日付日刊自動車新聞より)

<北米>
-2008年より北米でESC (横滑り防止装置)の生産を開始すると発表。(2007年2月5日付プレスリリースより)

<欧州>
-2008年4月、アドヴィックス・ヨーロッパ事務所(ADVICS Europe Office)をベルギーのBraine-l'Alleudに開設。欧州市場に関する調査、情報収集活動およびビジネス戦略の構築を主要業務とする。(2008年3月31日付プレスリリースより)

会社設立

<中国>
-2004年2月、天津市に愛徳克斯(天津)汽車零部件有限公司 [ADVICS Tianjin Automobile Parts Co., Ltd.]を設立。(2004年3月29日付プレスリリースより)

-2004年11月、広州市に愛徳克斯(広州)汽車零部件有限公司 [ADVICS Guangzhou Automobile Parts Co., Ltd.]を設立。(2005年3月24日付プレスリリースより)
 
<台湾>
-2005年12月、台湾愛徳克斯汽車零件股份有限公司 [ADVICS Taiwan Automotive Parts Co., Ltd.]を設立。車両用ブレーキシステムおよびそのシステムを構成する部品の開発・販売を行う。資本金は16百万NTドルで、同社の全額出資による。(2005年12月28日付プレスリリースより)

事業再編

-アイシン精機のブレーキ生産事業の一部を同社に譲渡することで基本合意したと発表した。同社は、課題だった国内での生産事業を取り込み、生産部門と一体 になった競争力強化の基盤が整うことになる。アイシン精機はブレーキ部品を生産する刈谷工場(愛知県刈谷市)とASブレーキシステムズ(兵庫県伊丹市)の生産事業と株式を、2010年4月1日付を目標に同社に譲渡。米インディアナ州のブレーキ生産会社も7月1日付で譲渡する。今回、同社が取得する生産事業の規模は年間売上高 1千億円と、連結売上高全体の3分の1に当たる。従業員数は国内1500人、米国500人が加わる見通しで人員規模は7割拡大する。(2009年10月2日付日刊自動車新聞より)

-アイシン精機(株)と同社は中国・天津のブレーキ会社2社を合併すると発表。生産の合理化、管理の効率化を推進し、中国でのブレーキ事業の規模拡大を目指す。合併するのは、天津愛信汽車零部件(天津アイシン)と、愛徳克斯(天津)汽車零部件(アドヴィックス天津)の2社。合併会社はアドヴィックス天津が存続会社となり、社名も現在の「愛徳克斯(天津)汽車零部件有限公司」を引き継ぐ。資本金は約50億円で、同社が50.1%、アイシン精機(株)が47.2%、豊田通商が2.7%を出資する。設立は2008年7月の予定。合併新会社では、ブレーキブースター&マスターシリンダー、キャリパー、パーキングブレーキを生産し、2008年度に約13億6千万元(約180億円)の売上を見込む。(2007年12月6日付日刊自動車新聞より)

-2007年10月1日付で、住友電気工業(株)の自動車用ブレーキ事業をアイシン精機(株)に譲渡する。両社は(株)デンソー、トヨタ自動車(株)とともに、自動車用ブレーキシステムの製造・販売を行う同社(アドヴィックス)を2001年に設立。同社を中核とする自動車用ブレーキ事業を成長させるためには、両社の製造部門を統合することで、生産の合理化および効率化を進める必要があると判断した。(2007年9月3日付プレスリリースより)

事業計画

-ブレーキ製品の世界市場で2015年にシェア15%を目指すと発表。同社によると、自動車用ブレーキ製品の世界市場に占めるシェアは10%強まで高まった。連結売上高の8割を占めるトヨタグループ向けをさらに増やしながら、非トヨタ系自動車メーカーへの販売を積極的に拡大。2015年度の連結売上高を2007年度比4割増の6千億円に引き上げる。欧米の競合メーカーとの競争が激しくなるなか、これまで手薄だった欧州市場の開拓や、需要が拡大する小型車向け製品の強化を通じ事業規模の拡大を図っていく。アイシン精機が出資割合を50%に高めたことを機に、アイシングループ内の連携を一段と強化する。(2008年9月30日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2010年3月期 2009年3月期 2008年3月期
合計 13,600 15,300 16,100

研究開発活動

-車両運動性能を追求し、ユーザーが安心してクルマを楽しむことができる商品の開発を実施。
-最近の主な成果はエレクトロニックスタビリティーコントロール (ESC)や回生強調ブレーキシステム。

製品開発

ESCモジュレーター
-世界最小・最軽量のESC (横滑り防止装置)モジュレーターを開発し、トヨタ自動車の新型車「iQ」に全車標準装備されたと発表。新型ESCモジュレーター「ADS-V2P」は、設計の最適化・集積化を図ることにより小型・軽量化を実現。設計面では制御バルブとモーターの駆動方法を変更することにより作動音を低減し、ブレーキの応答性を向上した。(2008年10月21日付日刊自動車新聞より)

クロールコントロール
-2007年9月発売のトヨタ「ランドクルーザー」において、世界初となる「クロールコントロール」(Crawl Control)をトヨタ自動車と共同開発。オフロード走行時の安全性・利便性を大幅に向上させた。これは、砂地やダートなどの微妙な速度調整が必要となる路面で、ドライバーの運転操作をサポートするシステム。車輪の空転を最小限に抑えるためにエンジンとブレーキを最適に制御することで、アクセルとブレーキの操作を自動化する。これにより、ドライバーはハンドル操作に集中でき、利便性と安全性が向上。また、スピードセレクトスイッチにより、路面に合わせた 最適な車速(1-5km/h)が3段階で選択でき、様々な路面で滑らかな走行を実現。この技術は、ブレーキの効きと制御応答性の高さが特徴のハイドロブースター「HB-Ci」を活用したESCシステムに、新開発のソフトウェアを追加することで実現した。(2007年10月18日付プレスリリースより)

ABSモジュレーター、ESCモジュレーター
-新世代のABSおよびESC (横滑り防止装置)モジュレーターを開発。この新型ABSモジュレーター「ADS-A2」およびESCモジュレーター「ADS-V2G」は、トヨタの新型「カローラ」に搭載される。「ADS-A2」は、これまでと制御バルブ、モーターの駆動方法を変更し、同社従来比で約20%の軽量・コンパクト化を実現。一方、「ADS-V2G」は独自のギヤポンプによって高い静粛性を実現し、ブレーキ制御を使ったレーダークルーズコン トロールやプリクラッシュセーフティなどの拡張機能にも対応。また、「ADS-V2G」も制御バルブ、モーターの駆動方法並びに構成部品を変更し、同社従来比で約20%の軽量・コンパクト化を実現した。(2006年12月18日付プレスリリースより)

電動パーキングブレーキ
-「レクサスLS460」において、国産車初となる「電動パーキングブレーキ」(Electric Parking Brake)をトヨタと共同開発。これは、簡単なスイッチ操作で自動的にパーキングブレーキを作動させるシステム。従来のような手や足による操作ではなく、運転席のダッシュパネルに設置されているスイッチを指で操作することで、アクチュエーター(モーター)が駆動しパーキングブレーキが作動する。更に、世界初の機能として、シフト操作に連動して自動で作動・解除する「シフト連動制御」を採用した。これは、Autoモードを選択しシフトをPレンジにすると、パーキングブレーキが作動し、Pレンジから外すと解除されるもの。利便性を向上させるだけでなく、解除忘れなどのヒューマンエラーを防止する。また、パーキングブレーキペダルを廃止できるため、ドライバーの足元にゆったりしたスペースを確保することが可能になる。(2006年10月30日付プレスリリースより)

設備投資

海外投資

<米国>
-2008年より北米でESC (横滑り防止装置)の生産を開始。そのため、オハイオ州の「ADVICS Manufacturing Ohio, Inc.」に約37百万米ドルを投資し、年産60万台規模の生産ラインを設置する。同社はESCをはじめとする電子制御ブレーキを核として、北米市場での 売上を680百万米ドル(2006年度見込み)から、2010年前後には1,000百万米ドルまで拡大させる計画。(2007年2月5日付プレスリリース より)

<中国>
-2004年11月、広州市に愛徳克斯(広州)汽車零部件有限公司 [ADVICS Guangzhou Automobile Parts Co., Ltd.]を設立。自動車用ブレーキシステムおよびコンポーネントの製造・販売を行う。営業開始は2005年8月、生産開始は2006年5月の予定。資本金は7.3百万米ドルで、出資比率は同社が95.0%、豊田通商(株)が5%。この新会社は2010年度に約5億元の売上を見込んでいる。(2005年3 月24日付プレスリリースより)

-2004年2月、天津市に愛徳克斯(天津)汽車零部件有限公司 [ADVICS Tianjin Automobile Parts Co., Ltd.]を設立。中国における初めての拠点として、自動車用ブレーキシステムおよびコンポーネントの製造・販売を行う。営業開始は2004年8月、生産開始は2005年2月の予定。資本金は12百万米ドルで、出資比率は同社が95%、豊田通商(株)が5%。2010年度には約9億元の売上達成を目標としている。(2004年3月29日付プレスリリースより)