WABCO Holdings Inc. 2012年12月期の動向

ハイライト

業績

 (単位:百万ドル)
  2012年
12月期
2011年
12月期
増減率(%) 要因
売上高 2,477.4 2,794.1 (11.3) 1)
営業利益  324.5 369.9 (12.3) -

要因
1)
-2012年12月期の売上高は前年比11.3%減の2,477.4百万ドル。為替差損に加え、6トン以上のトラック/バス生産の世界的な落ち込みがマイナスの要因となった。また北米市場が11.7%増と堅調であったものの、欧州、アジアでのマイナスが売上を押し下げた。

受注

-2012年9月、同社はロシアの商用車メーカーGAZ Groupと新たに供給契約を締結した。大型トラックおよびバス用ABSのほか、バス用の電子タイヤ空気圧モニタリングシステムを納入する。ABSは、GAZ Groupの量産トラック「Ural」およびバス全車種向け。また、WABCOの統合型タイヤ空気圧モニタリングシステム「IVTM」は、モスクワの公共バスに採用されているLiAZの低床バスに搭載される予定。なお、同社とGAZ Groupは、WABCOのABSをGAZ Groupの全てのバスに供給することで、2005年以来、提携関係を継続している。 (2012年9月19日付プレスリリースより)

-2012年6月、同社はDaimler Trucks North America (DTNA) との間で長期供給契約を締結したと発表。DTNAが2012年7月に量産を開始するトラックに、新型エアディスクブレーキ「MAXXUS」を納入する。この「MAXXUS」は、北米の商用車市場を対象とした最軽量・高効率のシングルピストンタイプのエアディスクブレーキ。同社が欧州向けに開発したシングルピストンタイプの「MAXX22」エアディスクブレーキをベースとしている。 (2012年6月19日付プレスリリースより)

-2012年6月、同社はトレーラーのフリート管理用テレマティクスシステム「TrailerGUARD」をKogel Trailerへ供給する契約を締結し、両社の長期的パートナーシップを延長すると発表した。KogelはドイツBurtenbachを本拠とし、商用トレーラーを生産している。 (2012年6月12日付プレスリリースより)

-2012年6月、同社はChryslerにバキュームポンプを供給する複数年契約を締結したと発表。北米・欧州・アジアで販売される乗用車が対象となる。 (2012年6月12日付プレスリリースより)

-2012年5月、同社はIVECOとの間で長期供給契約を締結したと発表。2013年以降にブラジルで生産されるIVECOの小型・中型トラック向けに、アンチロックブレーキ (ABS) を納入する。 (2012年5月15日付プレスリリースより)

-2012年4月、同社は2011年第2四半期から2012年第1四半期の1年間において、世界市場での新規受注総額が570百万米ドルに達したと発表。これらの受注契約は、2012年-2016年にわたって順次開始される見込み。主に商用車向けのエアマネジメントシステム、ブレーキシステム、車両ダイナミクスシステムなどが対象となっており、中国・インド・ブラジルなどの新興国市場からの受注が全体の52%を占める。 (2012年4月18日付プレスリリースより)

-2012年3月、同社は米国を本拠とするトラックメーカーと新たに長期供給契約を締結したと発表。米国で量産される大型トラックのディーゼルエンジン用に、ツインシリンダー型エアコンプレッサーを納入する。このエアコンプレッサーの生産は、同国のサウスカロライナ州CharlestonのWABCO Compressor Manufacturingで行われる。 (2012年3月22日付プレスリリースより)

-2012年2月、同社は大手商用車メーカーの欧州事業向けに、先進緊急ブレーキシステム (AEBS) 「OnGuardPLUS」を供給する長期契約を締結したと発表。欧州でこの「OnGuardPLUS」が採用されるのは今回が初めてとなる。2013年第3四半期から量産を開始し、年産能力は5万ユニット超を見込んでいる。 (2012年2月21日付プレスリリースより)

-2012年2月、Meritor WABCO Vehicle Control Systems (Meritorとの合弁) は、電動制御エアドライヤー (ECAD) を2012年2月下旬より大手カーメーカーのトラックへ納入していると発表。このエアドライヤーは、ECU制御の2つのソレノイドバルブを持ち、圧力制御と再生を円滑に行う。また、ドライヤーの稼動サイクルや流量を監視するとともに、カートリッジの交換時期を検知してコントロールパネルに表示する。 (2012年2月16日付プレスリリースより)

-2012年1月、同社はブラジルの商用車用ディーゼルエンジンメーカーより、排気ブレーキを受注したと発表。欧州排出ガス基準「Euro 5」に対応した様々なトラック用エンジン向けに供給を行う。 (2012年1月19日付プレスリリースより)

買収

-2012年9月、同社はオランダのデルフト工科大学からスピンオフしたEphicasを買収したと発表。Ephicasは商用車用のエアロダイナミクス部品を提供している。今回の買収により、同社はEphicasの専門知識や特許技術を利用して、トラック、トレーラー、バス向けに「OptiFlow」ブランドのエアロダイナミクス部品を開発する。同社にとって「OptiFlow」ブランドの最初の製品は、トレーラー用の「SideWing」パネル。Ephicasが2011年に発表して以来、「SideWing」は欧州の大手商用車メーカー17社の100を超える車両に搭載されている。WABCO独自の試験によるとこの「SideWing」は、同等の競合製品に比べて3倍以上の燃費向上を実現するという。 (2012年9月18日付プレスリリースより)

海外事業

-2012年8月、Meritor WABCOは、タカタの「SafeTraK」機能を搭載した次世代の車線逸脱警報 (LDW) システムを、2012年10月に北米で法人を対象に発売すると発表した。 (2012年8月15日付プレスリリースより)

-2012年8月、Meritor WABCOは、2012年9月に電子制御式エアサスペンション (ECAS) を北米市場で発売すると発表した。これまで、WABCO 製ECAS システムは世界で3百万ユニット以上販売されており、Meritor WABCOは今後、トラクターや大型バスを含むバス市場向けのECAS システムに関して、北米での需要増に対応していく計画。このECASは、6x2型における牽引力や燃費を向上するほか、アクスルの磨耗や亀裂を低減し頻繁なメンテナンスも不要となる。 (2012年8月15日付プレスリリースより)

-2012年3月、同社はトラック・トレーラー・バス向けの統合型タイヤ空気圧モニタリングシステム「IVTM」の新製品を北米市場で販売すると発表。この「IVTM」を用いることで最適なタイヤ空気圧を維持するとともに、最大2%の燃費向上を実現する。さらに、タイヤ寿命を最大20%延長することも可能になる。 (2012年3月21日付プレスリリースより)

-2012年3月、同社は米国のサウスカロライナ州Charlestonに位置する合弁工場WABCO Compressor Manufacturingにおいて、エアコンプレッサーの累計生産数が2百万個に達したと発表。WABCOが過半数株式を所有するWABCO Compressor Manufacturingは、Cummins Engine Companyとの合弁会社。商用車用ディーゼルエンジン向けのシングルシリンダー型およびツインシリンダー型エアコンプレッサーを生産しており、Cumminsの米国5拠点、海外8拠点、北米における製品物流センター向けに納入している。さらに、同工場の供給先には、ディーゼルエンジンメーカーおよび商用車メーカーも複数含まれている。 (2012年3月21日付プレスリリースより)

受賞

-2012年11月、Meritor WABCOは、Wabash Nationalより「2012 Platinum Supplier Award」を受賞した。この賞を受賞するのは、今回で5年連続となる。なお、同社はトレーラー用アンチロックブレーキ (ABS)、横転防止装置 (RSS)、「InfoLink」データゲートウェイシステムなどをWabash Nationalに供給している。(2012年11月12日付プレスリリースより)

-2012年8月、同社はオランダのMeppel工場がPACCARより2011年「Quality Achievement Award」を受賞したと発表。同工場は、DAFブランドの量産トラック向けに部品を納入している。また、WABCOは欧州と北米においてPACCARと長期にわたる供給契約を締結しており、ブレーキ、エアマネジメント、トランスミッション自動化、衝突緩和、スタビリティ、アダプティブクルーズコントロールなどに関連する部品・システムの供給を行っている。なお、Meppel工場では欧州市場向けにブレーキアクチュエーター「TRISTOP」を生産している。 (2012年8月8日付プレスリリースより)

-2012年6月、同社はインド子会社のWABCO INDIAがAshok Leylandより最高賞を受賞したと発表。WABCOは2011-2012年度、インドPantnagar にあるAshok Leylandの新工場に同社の従業員を派遣し、WABCO製ブレーキ部品をトラックに装着する組立ラインのサポートを行ったことが評価されたもの。これによりWABCOは、装着の際の不良率ゼロに貢献した。 (2012年6月14日付プレスリリースより)

-2012年4月、同社は中国子会社が、宇通集団 (Yutong Bus) より技術革新賞「Developer of the Year」を、金竜聯合汽車工業 (蘇州) (Higer Bus) より「Best Quality」賞を受賞したと発表。さらに、中国重型汽車 (China National Heavy Duty Truck Group) の済南商用車 (Jinan Commercial Vehicle) 部門およびパワー部門からも、「2011 Excellent Supplier」賞をそれぞれ受賞した。 (2012年4月4日付プレスリリースより)

-2012年1月、同社は7つの中国商用車メーカーよりサプライヤー賞を受賞したと発表。包頭北奔重型汽車 (Baotou Bei Ben Heavy Duty Truck)、北汽福田汽車 (Beiqi Foton Motor)、集瑞連合重工 (C&C Trucks)、中国重型汽車 (China National Heavy Duty Truck Group)、東風商用車 (Dongfeng Commercial Vehicle) より、それぞれ「Supplier Excellence」を受賞。さらに、東風柳州汽車 (Dongfeng Liuzhou Motor) より2011年「Quality Contribution」、第一汽車 (China FAW Group) より「Best Quality Control」を受賞している。 (2012年1月12日付プレスリリースより)

開発動向

製品開発

-2012年9月、同社はドイツHanoverのIAA国際商用車ショー2012において、同社の新製品を展示したと発表。対象製品は以下の通り。
・「OptiDrive」: 自動マニュアルトランスミッション
・「e-comp」: 電動エアコンプレッサー
・「FuelGuard」: 電子空気処理ユニット
・「MAXXUS 22」: 米国仕様のトラック・バス用エアディスクブレーキシステム
・「OnLane」: トラック・バス用車線逸脱警報システム (LDWS)
(2012年9月18日付プレスリリースより)

衝突安全システム
-2012年8月、Meritor WABCOは、衝突安全システム「OnGuard」の次世代製品を発表した。このシステムは、レーダー技術に様々な先進機能を備えている。衝突警告機能、アクティブブレーキ機能つきアダプティブクルーズコントロール、衝撃緩和機能などが装備され、2012年10月1日以降に生産される「OnGuard」搭載車両に採用される予定。 (2012年8月15日付プレスリリースより)

横滑り防止装置
-2012年8月、Meritor WABCOは、横滑り防止装置 (ESC) の性能向上に貢献する「ESCsmart」システムを北米の商用車市場向けに発表した。2014年に発売される予定で、WABCOの次世代ESC製品に加わることになる。この「ESCsmart」は、「自己学習」能力により車両の種類に応じて自動適応を行う設計のため、独立した電子制御ユニット (ECU) を再プログラムする必要がなくなるという。 (2012年8月15日付プレスリリースより)

セーフティシステム
-2012年2月、Meritor WABCO Vehicle Control Systemsは、トレーラー用の新型セーフティシステム「Roll Stability Support (RSS) 1M」を開発した。ABSとトレーラースタビリティコントロールの特徴を1つの小型ユニットに統合したもの。これにより、システムがブレーキのチェック過程で横転の可能性を検知した場合に、全てのブレーキ系統を作動させることが可能になる。 (2012年2月16日付プレスリリースより)

設備投資

海外投資

<インド>
-2012年9月、インド子会社WABCO INDIAは、ChennaiのMahindra World Cityにおいて第2工場を開設したと発表。投資総額は5億ルピー超 (約7百万ユーロ)。ドイツ、日本、ポーランド、米国をはじめとする様々な商用車メーカー向けに供給を行う。工場面積は2,272平方メートルで、技術者30名を含む160名の従業員を雇用する計画。なお、WABCO INDIAは同国において、Ambattur (Chennai)、Jamshedpur、Mahindra World City、Pantnagarの生産4拠点のほか、Chennaiにソフトウェア開発センターと自社テストコースを保有している。 (2012年9月5日付プレスリリースより)