人とくるまのテクノロジー展2016 Valeo -記者発表会 (横浜 2016年5月25日)-


写真1:48V電動スーパーチャージャー

写真2:次世代コックピットコンセプト




Valeo、CO2排出量の削減と直観的ドライビングが戦略の二本柱

 5月25日プレスアワーに行われた記者発表会にて、ValeoはCO2排出量の削減と直観的ドライビングに貢献する最新技術を戦略の二本柱とした製品を発表した。

 CO2排出量の削減へのソリューションとしては、48V化を第一に挙げる。2021年のCO2排出量規制95gの達成には、ハイブリッド化が必要になるが既存のハイブリッドは「あまりにも高価」だ。Valeoでは現在のディーゼルエンジンのパワートレインのコストが顧客が払ってもよいと考える上限とみており、廉価なハイブリッド技術として48Vのマイルドハイブリッドを提案している。同社は新たに48V e4Boost パワートレインシステムを出展した。これは48V対応の電動スーパーチャージャーとベルト駆動式スタータージェネレーターiBSG 48Vで構成されている。ブレーキからの回生エネルギーを最大限に回収し、48Vのバッテリーに蓄電する。このエネルギーはエンジンにトルクを提供したり、インギア加速を向上したり、車両エネルギーマネージメントの最適化に再利用される。(写真1

 直観的なドライビングへのソリューションでは、製品ポートフォリオとしては次世代コックピットコンセプト Valeo Mobius 2とサイトストリームカメラ (ミラーをカメラと車室内のディスプレイに置き換えたもの) をアピール。新しいところでは、可動部品を使用しないソリッド・ステートLiDARを発表した。自動緊急ブレーキや自動運転向けの廉価なセンサーで、さまざまな先進運転支援システムへの使用が可能としている。(写真2

展示製品の詳細レポート





エグゼクティブインタビュー

株式会社ヴァレオジャパン 代表取締役 齋藤隆次氏

株式会社ヴァレオジャパン 代表取締役社長 齋藤隆次氏

日系OEMに対しては系列企業以外にもチャンスが広がっている

 株式会社ヴァレオジャパン 代表取締役社長 齋藤隆次氏に、同社最新の製品や日本市場での戦略などについて聞いた。

マークラインズ(ML):48V対応の電動スーパーチャージャーが2015年末からAudi「Q7」にいよいよ供給開始された。同製品の日本市場での取り組みは。
齋藤氏:数社が試作を開始している。2019年ぐらいには市場に投入予定。当社はOEMと一緒に開発する形をとる。日本の自動車メーカーはモジュールコンセプトを進めており、部品は一度採用されると製品ライフが長く、また搭載モデル数も多くなる。さらには、世界中で立ち上がることになる。自動車メーカーとは、先行技術を一緒に開発しないと間に合わない。日本も含めて、お客様の近くのフロントオフィスを急激に増強している最中だ。

ML:電動スーパーチャージャーが日本で始まる場合は、量産車両に搭載されるのでしょうか。
齋藤氏:日本ではコストおよびレイアウト性により、48Vでいくか12Vで行くか決めかねている。48Vと水冷コンデンサーについては、車トータルのシステム設計にかかわるので時間がかかるだろう。このため、日本市場においては12Vの既存システムの量産車への導入が進むとみられる。

ML:ベルト駆動式スタータージェネレーターは。
齋藤氏:日産を皮切りに市場導入が進んでいる。新規引き合いもある。

ML:トータルのシステム設計にかかわるとなると、開発期間が長くなるため、技術力とサポート体制で体力勝負になる。
齋藤氏:我が社は売上140億ユーロに対し、受注200億ユーロある。先の売上を見越してリソースを投入していく。また、OEM売上の10%を技術開発に投資している。この数字は低い数字ではない。

ML:メガサプライヤーの寡占化が進んでいる。
齋藤氏:日系OEMをみると、従来は系列企業が受注することが多かった。しかし、グローバルプラットフォームになってからは、系列企業以外にもチャンスが広がった。さらに、グローバルな供給体制は限られたサプライヤーにしかできないことだ。

ML:人とくるまのテクノロジー展において、期待するところは。
齋藤氏:この展示会は自動車会社の開発者がお客様なので、技術寄りのメンバーを説明員に揃えている。共同開発に繋がるようなお話ができることを期待している。