Valeo 2006年度の動向

ハイライト

業績

(単位: 百万ユーロ) 2006年度 *2005年度 増減率 備考
 
売上高 9,970 9,736 +2.4% 連結決算領域の変更による影響により全営業収益では対前年比プラス1.5%。(Johnson Control Engine Electronics、Zexel Valeo Climate Control、及びタイにおける空調・冷却機器事業などが通年連結対象となったこと、及び2006年6月30日に実施したZexel Logitec社の売却)。
営業利益
271

324

(16.4%)
-
*2005年度は再計算

受注

-Peugeot 207 (生産工場:フランスのPoissy工場、スペインのMadrid工場、スロバキアのTrnava工場)立ち上げプロジェクトに参加。グループの3ドメイン事業すべてが絡む20製品が同車に搭載される。

-欧州カーメーカーからStARS(Starter-Alternator Reversible System)を受注。2007年に量産を予定。

-中国で初めてフロントエンドモジュールを受注。クーラー用の排気ガス再循環システムは中国以外ではブラジルでも受注。

-ヴァレオトランスミッションはアジアで初めてデュアルマスフライホイールを受注。また、北米ではトルクコンバーターを受注した。

-ヴァレオコンプレッサー部門が開発したDKSコンプレッサーは日本で日産とマツダに、また米国ではフォードにそれぞれ採用された。

-電子機器及び接続システムは、配線がSEATの次期型モデル、ルノーの次期型多目的車、Loganの新型モデルに採用されることになった。

-2006年10月、Park4UTMパーキングアシスタンスシステムがVW Touranに採用されることになった。生産開始は2007年初頭を予定している。

-ヴァレオセキュリティーシステムは機械式及び電動ステアリングコラムロック、ラッチ・ハンドルコレクションを中国カーメーカーから受注。日産からは新規のプログラムとしてラッチを受注。製品は中国の無錫工場で生産される。
インドでは国内メーカーよりイモビライザーを初受注。また、ロック関連部品、リモートコントロール、ステアリングコラムロック、無線周波レシーバーなどを中心にトヨタからの受注が増加している。

-日産Altimaには北米のValeo Sylvania工場で生産されるキセノン製品が搭載。同工場はキセノン製品を生産する目的として北米で立ち上げられた合弁会社。

-2006年は、シトロエンPicassoに搭載されたフロントワイパーシステム用の総合リンケージによる電動制御前面モーターがはじめて採用された。この製品は2009年までにさらに2件のプログラムに採用される予定。

-ヴァレオエンジンマネージメントシステムは、イランのKhodroからデュアルフエルエンジンマネージメントシステムを受注。量産開始は2007年を予定。イランのKhodro社はイランの自動車業界で50%のシェアを占める大手メーカー。

-欧州カーメーカーのEuro5基準に適合及び新規マーケット向けの新型エンジン用製品の受注
・チョーク: Renault ターボディーゼル1.9リットルエンジン(次期型Renault Megane, Laguna, Espace)、; 2.0リットルエンジン(次期型Renault Megane, Espace 及びTrafic)
・EGRモジュール及びデュアルチョーク: Euro5適合 2.0リットルターボディーゼルエンジン(PSA Peugeot Citroen、Ford: これは、Peugeot 607, 407, 308, B58, Citroen C4, C5 , C6及びC4 Picasso, Ford Mondeo, Cmax, Volvo S40, Xc50, V50の代替用)
・第二世代EGRバルブ: VWのコモンレール2.0リットルエンジン
・EGRガスクーリングモジュール: 日産Navaraピックアップ及びPathfinder 4X4の2.5リットルディーゼルエンジン

-2006年1月、Mercedesの新型M-Class、クロスオーバーR-Class 4WD、新型GL-Classに新型Valeo4ゾーンエアコンシステムを供給すると発表。同社は独自の20のシステムを開発しており、これにより3列シートのどのシートに座る乗員にも最大の快適さが提供できる。フロントHVAC、ブースターおよびリアエアコンHVACからなるこれらエアコンシステムは、クラス最高の性能と騒音水準にランクされる。1700ワットの追加電気ヒーターは、室温をほぼ瞬時に上昇させる為、極めて快適である。また、高性能アクティブカーボンフィルターが室内外のガスや悪臭を捕らえることにより、このシステムは乗員に最適な空気品質を保証する。


企業買収
中国事業強化
2006年6月29日、ヴァレオが出資する自動車用ランプ大手、市光工業(本社・東京)とともに折半出資の合弁会社設立を発表。中国にある日系自動車メーカーを対象に生産を開始する。この工場は広東省佛山市に建設され34,000平米の土地を有する。生産開始は2007年4月、フル稼働時点の従業員数は400名を予定。中国における13番目の合弁企業となる。
また同時に中国におけるライティングシステム生産拠点を集約する目的で子会社Hubei Valeo Auto Lighting System社の持株比率を75%から100%に引き上げた。中国におけるヴァレオ社のライティングシステムは武漢のR&Dセンターで設計開発されている。センターの技術員スタッフは70名。

サーマル・システムズ北米事業
-2006年12月、Ford Motor Companyと、ミシガン州PlymouthのSheldon Roadにある、Thermal Systemsの工場を買収する覚書に調印。この事業は、現在従業員約1,250名(内、1,000名は組合加入の時間給労働者)、北米のFordにエアコンとラジエーターを供給している。2006年の売上予測は約450百万米ドル。

事業売却・工場閉鎖
-2006年6月、子会社のヴァレオサーマルシステムズがゼクセルロジテックおよびその子会社群を売却することでバンテックと合意。ゼクセルロジテックは日本の物流グループで、Valeoが2000年にゼクセル事業の一部として買収したもの。2005年度の連結売上高は73百万ユーロ、従業員は345名。

Electronics & Connective Systems部門はポーランドのCzechowice工場を閉鎖。
2005年に決定・交渉済のワイパーシステム生産のRochester工場(米国)の閉鎖計画も進行中。

モジュラーコンセプトを排除するルノーのMeganeとScenicモデルの車両前面意匠変更決定にともない、Douaiにある合弁会社Valeo Plastic Omniumの清算計画に関連しては、情報収集と協議過程に入っている。

フランス各地の工場:Reims工場(Engine Cooling)、Abbeville工場(Security Systems)及びAmiens工場(鋳造トランスミッション)では組織改革を実施。

4カ所のMotors と Actuators 製品群を製造する Bietigheim工場(ドイツ)、Santa Perpetua工場(スペイン)、Juarez工場(メキシコ)と Zielonski工場(ポーランド)は日本電産に売却。*

Valeo Security Systemの生産工場DiademaとCantareiraは閉鎖を完了し生産ラインはブラジルのGarulhos工場に移転した。.

*2006年11月、Electric Motors & Actuators 事業を、日本のNidecに165百万ユーロで売却する契約に調印。2005年には売上253百万ユーロ、経常利益は9百万ユーロ。この売却は、Valeoの、ドライビング・アシスタンス、パワートレイン効率化、快適性、の3つのドメインに集中するという戦略に沿うもの。

開発動向

研究開発費用

 

2006年度 2005年度 2004年度
(百万ユーロ) 661 640 580

-2006年度の研究開発費はグループ売上高の6.6% (2005年度と同レベル)を占める。特許の新規出願件数は562件。

-ドメイン別研究開発費の内訳:

(百万ユーロ) 2006年度 2005年度 2004年度
運転支援ドレイン 178 175 164
駆動系効率化ドメイン 216 208 180
快適性追求ドメイン 232 225 199
その他 35 32 42
合計 661 640 585

研究開発体制
-2006年末で、世界各地に68の研究開発センターを保有。総従業員は約7,000名。この中には成長市場に開設した多くのセンターも含まれる。Casablanca (モロッコ)、Prague (チェコ)、 Mexico City (メキシコ)、Wuhan(中国)、ブラジル、ルーマニアがその例として挙げられる。2006年には、上海にも開発センターを開設することを発表。上海では中国ほか日本、欧州の自動車メーカーに供給されるクライメートコントロール製品の開発が行われる予定。従業員数は60名。

-技術力強化のため、同社はそれぞれの分野のトップの専門家と連携を組んでいる。2006年度には、レーダー技術のスペシャリストRaytheon社、プリント基板製造に関してはJabil Circuit社、車線逸脱警報システム分野ではIteris社、車載ソフトウェアではIBM社などと技術提携を行った。
-同社は、ドライビング・アシスタンス・ドメイン領域では車載カメラや歩行者感知装置開発でフランスのEcole des Minesとパートナーシップを組んでいるように、種々の大学・学術機関とも連携している。


新製品開発
-2007年3月、Valeoは、フランス技術革新庁(Agence de l'Innovation Industrielle:略称 AII)が、エンジン車の燃費改善と二酸化炭素排出削減を目的とした、同社の研究プログラムLOwCO2MOTION(TM)に、6,100万ユーロの補助金を給付する、と発表した。この研究プログラムでは、2つの革新技術に焦点があてられる。1つ目は、カムシャフトを使用する従来型エンジンバルブの替わりに電磁アクチュエーションを採用し、各エンジンバルブを個別に作動させる、「カム無しエンジンシステム」。残余ガスをコントロールし、ポンピング・ロスを最小限に抑え、またシリンダーとバルブの動きを弱めることで、エンジン燃費、二酸化炭素排出削減ともに20%アップする。また低速域のエンジントルクが増大するため、運転性能や快適さも向上する。もう一つの革新技術は、同社が開発したStARS技術に基づく、次世代マイクロハイブリッド開発で、ハイブリッド化への前段階。このシステムでは、スターター・オルタネーター(Start-Stop function)を採用。車が停止している時はエンジンをスタンバイ状態に保つだけでなく、ドライバーがブレーキを離すと、エンジンを再スタートさせる仕組み。


-Park4UTM駐車アシストシステム:半自動的に15秒以内の駐車を可能とするシステム。超音波技術で駐車スペースの両サイドを自動車の全長を基準として計算し感知。駐車位置を確認すると直ちに運転手は車両を止めギヤをバックに入れる。その後、自動的に軌道が計算され車両のステアリングが作動する。車両の前後に設置された超音波センサーにより運転手は車両の移動中のアクセルとブレーキペダルの操作を行う。ブレーキペダルを踏んだ時、またはハンドルに手を触れただけで車両は停止する。

-Ultimate Cooling:単純熱伝導流体原理に基づく、あらゆるタイプのエンジンオイルとエンジン周辺部品の温度調節機能にとって画期的な製品。エンジン性能の向上を図るだけでなく、冷却部品が必要とするエンジンルーム容量を最大40%削減できる。このコンパクトな製品設計は、車両のデザインをより自由とするほか歩行者検知システムの統合化にも貢献する。

-次世代型ハンドフリーカード。キーレス施錠・開錠及びイグニッションに加え、新規識別により運転席、リアビューミラーの位置などの個人別調整を自動で記憶して作動させる。モニターを通して、燃料レベル、空気圧、室内外気温などの情報を提供し運転中の安全を確保する。

- 環境にやさしいエアコンシステム。地球温暖化の原因となる冷却剤HFC134aの代替として、代替溶液ないしはR744と呼ばれる自然ガスを採用。環境を守り、2011年に適用される規制を想定してヴァレオは有意義なステップを踏んでいる。

設備投資

設備投資費用

(百万ユーロ)

2006年度 2005年度 2004年度 2003年度
設備投資費の推移 494 441 413 453
海外投資
-韓国のSeongJu工場(トランスミッション)と中国の長春工場(コンプレッサー)を新設。

-2006年7月、中国・上海にカーエアコンの技術センターを開設したと発表した。現地向け製品とともに日本、欧州自動車メーカー向けの開発を担当する。同社が中国に技術センターを置くのはヘッドランプの拠点に続き2番目。現地サプライヤーの技術支援も行う計画で、これらによって中国における総合力を高め、受注拡大に結びつける。ヴァレオは、中国にコンプレッサーおよびHVAC(カーエアコンの"室内機")の生産拠点をそれぞれ2カ所設置している。技術センターの開設により、開発から生産までの一貫体制を整えてサービス力を強化する。日本のヴァレオサーマルシステムズの技術センターが支援しながら、業務を分担してグループとしての開発効率を高める。エンジニアは60人を計画する。

-ハンガリーのVeszprem市に技術センター(スィッチと検知システム開発)を2006年8月に開設。敷地面積は約1,000 平米で50名以上の技術スタッフが従事する。