Tyco International 2006年9月期の動向

ハイライト

業績
単位:百万ドル 2006年9月期 2005年9月期 増減率(%) 要因

全体

売上高  40,960 39,305 4.2 (1)参照
営業利益  5,474  5,768 -5.1 (2)参照

エレクトロニクス

売上高 12,724 11,774 8.1 (3)参照
営業利益 1,808 1,849 -2.2 (4)参照

要因
(1)
-2006年度の売上高は前年度比4.2%(17億ドル)増。主な要因として、全事業部門で売上高が増加し、特にエレクトロニクス部門および工業技術製品・サービス部門の売上増が寄与。
-為替差損(326百万ドル)、および事業買収・売却に伴う費用(125百万ドル)が売上げにマイナス影響を与えた。

(2)
-2006年度の営業利益は、前年度比5.1%(294百万ドル)減少。営業利益率は1.3パーセントポイント減少して13.4%。
-2006年度の営業利益は426百万ドルの費用が発生したことにより減少。費用の内訳は、分離に伴って発生した費用が169百万ドル、米国財務会計基準書第123R号「株式を基礎とした報酬」により増加したストックオプション費用が161百万ドル、仕掛かり研究開発の関連費用が63百万ドル、リストラ費用および欠損費用が33百万ドル(このうち6百万ドルは売却費用に含まれる)。
-為替差損(52百万ドル)も営業利益にマイナスの影響を与えた。

(3)
-エレクトロニクス部門の売上高は、製品収益における7.7%の増加を含め、前年度比8.1%(950百万ドル)増加。 売上高は、顧客のエンドマーケット全般での売上増により増加 し、特に構内配線、産業機械用装置、家電製品、通信設備製造および通信サービスプロバイダ向け市場における売上増を反映。
-為替差損(148百万ドル)がこれらの売上増加分を部分的に相殺。

(4)
-営業利益および営業利益率は前年度比で減少。主な要因は、材料費の増加(306百万ドル)、SFAS No. 123R号によるストックオプション費用の増加(40百万ドル)、および為替差損(23百万ドル)。 さらに、2006年度の営業利益には、事業売却費用および欠損費用として16百万ドル(2005年度はリストラおよびその他債権として10百万ドル)が含まれ、そのうち6百万ドルは売上原価に反映。
-また、2006年度の営業利益には、分離案(Proposed Separation) に関連する費用3百万ドルも含まれる。

新工場建設
2006年12月、自動車用コネクター・同リレーで世界最大手のタイコ・エレクトロニクス・アンプ(TEA、川崎市)は、早ければ来年末にも中国に第2の自動車部品専用工場を建設すると発表。05年末に生産を開始した蘇州工場の隣接地に、同規模の工場用地を確保した。自動車用コネクターおよびコネクターや周辺部品を一体化したモジュール部品などを生産する。新工場の詳細は今後詰めるが、建設費および設備機器などに30億円規模の投資を見込む。(12月1日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発費用
(単位:百万ドル) 2006年9月期 2005年9月期 2004年9月期
全体 914 836 777
エレクトロニクス 504 440 427

研究開発体制
2006年9月末現在、約6,200名のフルタイムの研究者、技術者などが製品開発に従事。

新製品開発
2006年1月、タイコ・エレクトロニクス・アンプ(TEA)は、ステアリングに内蔵する「ループバック型クロックスプリング」を新開発した。エアバッグやオーディオ制御など多機能化が進むハンドルとステアリングコラムを接続する電子回路で、従来品に比べ小型・軽量化と作動ノイズの大幅な低減を実現した。生産はハンガリーおよびインドのグループ工場で行なう。日系自動車メーカーを中心に受注活動を開始する。(1月13日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資費用
(単位:百万ドル) 2006年9月期 2005年9月期 2004年9月期
全体 914 1,272 987
エレクトロニクス 504 458 370

海外投資
2006年、タイコ・エレクトロニクスは、中国の江蘇省蘇州に初の自動車部品専用工場を立ち上げ、このほど開所式を行った。敷地面積は約1万8千平方メートル。当面は430人体制でスタートするが、08年までに1,500人に引き上げる。新工場である「タイコ・エレクトロニクス(蘇州)」の運営は、日本法人であるタイコ・エレクトロニクス・アンプが行う。生産品目は自動車用コネクターが中心で、約30億円強を投じてスタンピング(型抜き)、モールディング(成形)、プレーティング(メッキ)、アッセンブリー(組み立て)の一貫生産ラインを整えた。日系メーカーおよび上海GM、上海VM、さらにボッシュやシーメンス、デルコ、ヘラーなど大手サプライヤーやハーネスメーカーなどに供給するとともに、価格競争力を活用し、対日輸出も行う。同社は今月上旬、コンピューター産業向け部品の青島第2工場も立ち上げており、これで中国国内の生産拠点は18番目となる。(6月24日付日刊自動車新聞より)