TRW Automotive 2009年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2009年
12月期
2008年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 11,614 14,995 (22.5)

-

純利益

55 (779) - -
シャシーシステム
売上高 6,819 8,505 (19.8) -売上高の減少は、主に生産量の縮小や値下げによるもので、その合計は1,246百万ドル。

-生産量の縮小は、全主要エリアで小型車の生産量が減少したことが起因。

-為替差損は、443百万ドル。
乗員安全システム
売上高 2,893 3,782 (23.5) -売上高の減少は、主に生産量の縮小や値下げによるもので、その合計は661百万ドル。為替差損は、240百万ドル。
電子部品部門
売上高 588 871 (32.5) -売上高の減少は、主に生産量の縮小や値下げによるもので、その合計は263百万ドル。為替差損は、57百万ドル。
自動車部品
売上高 1,314 1,837 (28.5) -売上高の減少は、主に生産量の縮小や値下げによるもので、その合計は405百万ドル。為替差損は、143百万ドル。

受注

-アクティブコントロールシートベルトリトラクター「ACR2」を、現代自動車の新型「Equus」に供給。既にアジアと欧州で「ACR2」の生産を開始。この新製品は、従来品と比べて大幅な小型化・軽量化を実現した。(2009年4月23日付プレスリリースより)

-Daimlerからモーターポンプユニットを受注。電動油圧パワーステアリング(EPHS : Electrically Powered Hydraulic Steering)システム用で、新型「Mercedes-Benz」の複数モデルに採用された。(2009年9月10日プレスリリースより)

-2009年10月、Koblenz工場(ドイツ)での電動パーキングブレーキ製品の累計生産数が1,000万個を突破。これはモーター一体型のブレーキ キャリパー。同社は2002年に供給を開始しており、主な搭載モデルはAudi「A4」、「A5」、VW「Passat」、「Touran」、BMW 「Z4」など。(2009年10月20日プレスリリースより)

企業買収

-子会社TRW Automotive U.S. LLCは、Michelin North America IncからEnTire Solutions, LLCの株式を取得したと発表。EnTire Solutionsは、同社とMichelinがTPMS(タイヤ空気圧監視システム)の開発・生産を行う目的で2003年に設立した合弁会 社。(2009年1月15日付プレスリリースより)

2010年12月期の見通し

-2010年12月期の売上高は、第1四半期の売上高約3,400百万ドルを含め、12,300百万ドルから12,900百万ドルと予想。この売上高は、生産レベルが北米で10.8百万ユニット、欧州で16.0百万ユニット、また、期待為替レートを考慮して予測。

開発動向

研究開発費

-2009年12月期の研究開発費は、対売上比約6.0%。

研究開発拠点

(2009年12月31日現在)

  北米 欧州 アジア
太平洋
その他
シャシーシステム 3 4 2 1
安全システム 2 3 - -
電子部品部門 1 - - -
自動車部品 1 - - -

<中国>
-2009年4月、中国の華北地区の黒河(Heihe)にテストコースをオープン。 このコースでは、先進ブレーキ、ステアリングシステム、統合車両制 御、ドライバーアシスト技術といったアクティブセーフティシステムのテストのための多様な路面状況を再現しており、総合的な製品開発と検証を冬季に実施可 能。施設は全体で約350エーカーの広さで、320エーカーの湖上トラックと、30エーカーの陸地トラックで構成されている。(2009年4月30日付プ レスリリースより)

<米国>
-2009年11月、米国ミシガン州Livoniaの本社内に、北米で2つ目となる「運転支援システム(DAS)エンジニアリングセンター」を開設。レー ダー技術の開発・試験を中心に行う。この拠点は、ミシガン州Farmington Hillsの同社「Camera Development Center」や、同州Livoniaのブレーキ技術センターとも緊密に連携する計画。(2009年11月11日付プレスリリースより)

製品開発

ヘッドレスト
-子会社TRW Vehicle Safety Systems Inc.は、新型ヘッドレスト(AHR: Active Head Restraint)を開発。既存の製品に比べ軽量かつシンプルな構成で、部品数が少ないのが特徴。どのヘッドレストアジャスターにも取付可能になってい る。また、乗員のむち打ち症リスクも軽減する。(2009年1月14日付プレスリリースより)

カメラ一体型マルチセンサーユニット
-カメラ一体型マルチセンサーユニットを開発。この製品は、ヘッドランプの自動オンオフ機能を持つほか、カメラが周囲の車両有無を確認し、車両が存在しな い場合は自動的にロービームからハイビームに切り替える。また、光学式レインセンサーが測定した雨量によって、自動的にワイパーを作動したり、ワイパー速 度を調整する。さらに、湿度センサーが車内湿度を計測。HVACシステムのブロアーモーターを作動させ、結露を防止する機能を持つ。(2009年8月24 日プレスリリースより)

運転席側エアバッグモジュール
-運転席側エアバッグモジュールの新製品を開発。新型「DI-10」インフレーターの採用により、50%以上の軽量化を実現している。(2009年12月1日付プレスリリースより)

2009年フランクフルトモーターショー

-コグニティブセーフティを実証する"Advanced Thinking"、"Green Thinking"、"Smart Thinking"の3つのキーエリアに焦点。

Advanced Thinking
-車線逸脱警報・車線維持システム、前方衝突警報、前方車間距離指示器、道路交通標識認識、ハイ/ロービームコントロール、歩行者探知を支援するビデオカメラセンサーの拡張。

-衝突前側面衝撃緩衝システム:死角警報を支援し、エアバッグ機能を強化する側面衝突センサー。

-カーブ予知やACC、ビデオに連結するGPSデータ。

-自動緊急ブレーキ(AEB)、追突衝撃軽減ブレーキ(CMB):衝突回避不能時に自律緊急ブレーキを作動させるため前方監視レーダーとビデオシステムを結合。AEBは高速走行用、CMBは、市街地走行用。

-ステアリングトルク制御:オーバーステアやアンダーステアを支援するため横滑り防止装置(ESC)に電動パワーステアリング(EPS)を結合。

Smart Thinking
-統合慣性センサー付き次世代エアバッグ集中制御ユニット - スタンドアローン慣性センサーモジュールが不要。

-統合慣性センサー付き次世代スリップコントロールユニット - 部品点数とコスト削減に寄与。

-初期安全ドメインECUコンセプト - 受動的・能動的安全対策のための電子コントロールシステムの統合を可能にる次期エアバッグプラットフォームの一部。

-ACR2 Basic - エアバッグコントロールユニットとの統合により構造が簡素化され、最適なコストを実現した新アクティブシートベルトリトラクター。

-統合電動パーキングブレーキ(EPBi) - 横滑り防止装置ECUとの統合により別個のECUが不要。

-これまでの製品にくらべ50%の重量削減を実現した新DI-10エアバッグモジュールとSHI2カーテンエアバッグモジュール。

-スケーラブル24 GHzミッドレンジレーダー:高速道路走行時は車間距離・衝突警告、市内低速走行時は衝撃軽減ブレーキの機能を支援し、それに続きACC(アダプテイィブクルーズコントロール‐自動的車間距離、走行速度調整装置)を停止させ、ブレーキをかける。

-スケーラブルACU -新興市場用低価格エアバッグ制御ユニット。国内や輸出向けのニーズに応じて標準、拡張型2つのオプションを設定。

Green Thinking
-ブレーキ:ハイブリッド(HEV)用回生ブレーキシステムと適合する再生横滑り防止装置(ESC-R)やスリップ制御ブースト。

-ステアリング:電動パワーステアリング、電動油圧パワーステアリングシステムが燃焼/排気効率を大幅改善。

-運転者支援システム:GPSデータに連結したアダプティブクルーズコントロール、レーンガイド、システム全てが、燃費向上に大きな影響を与える。

-タイヤ空気圧警報システム(TPMS)は、タイヤの空気圧が低下したときにドライバーに警告を発する。タイヤの回転抵抗を改善することによって燃料消費は最大2%減少。

-エアコン:効率的快適制御システムは、パワートレインでのエネルギーロスを最小限に抑える。燃料効率は5%アップ。
(2009年フランクフルトモーターショー同社パンフレットより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2009年12月期 2008年12月期 2007年12月期
シャシーシステム 97 214 257
乗員安全システム 55 149 137
電子部品部門 22 50 55
自動車部品 25 54 51
Corporate 2 15 13
合計 201 482 513

-2010年12月期の設備投資額は、約325百万ドルの見込み。