ThyssenKrupp AG 2009年9月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2009年
9月期
2008年
9月期
増減率(%) 要因
全社
売上高 40,563 53,426 (24.0) -
税引前利益 (2,364) 3,128 - -
自動車部品
売上高 3,684 5,106 (27.8) 1)

1)
自動車部品部門
-08年7月1日付の受注契約では、先の原材料価格の高騰を考慮した価格設定を行ったが、その後2009年7月1日付では原材料価格の低下にあわせて価格を調整。
-テーラードブランク製品の売上げは、他製品よりは緩やかではあったものの生産量の減少により減少。これは前会計年度に買収した北米TWBGroupが今期初めて通年の連結対象となったことも一因といえる。また、利益は僅かなものにとどまった。
-メタルフォーミング製品の売上高は中国を除き全地域で減少。大規模な調整策を講じたものの、リストラプログラムをより強化したことに伴う費用が嵩み、利益を大幅に悪化させた。

開発動向

研究開発体制

-2009年9月の組織改編の後、同社は部門横断的な自動車分野に関するリサーチプロジェクト”InCar"を発足。

製品開発

-InCarプロジェクトのもと、車体、パワートレイン、シャシー分野で35の新製品を開発した。

2段階ダンパーシステム "DampTronic"
-ダッシュボード上のボタンを押すだけで、ダンパーを通常ドライブタイプからスポーツドライブタイプに切換えることが可能。これまでの連続変動ダンパーにくらべ、コストはおよそ44%削減できる。

-このシステムのカギとなるものはDampTronicセレクトバルブで、ダッシュボードのボタンによって通常ドライブからスポーツドライブ用に切り換えら れる。切り換えは電磁石でコントロールされ、通電すると内部の2枚のバルブが平行に接続して乗り心地のよいサスペンションとなる。スポーツドライブに切り 換えたい場合は、電磁石のスイッチを切ればよい。このシステムは堅牢で、低コスト、広範囲の車種に適用できる。

ステリングギア組み込みのフロントアクスルビーム
-新開発のビームにはステアリングギアが組み込まれているだけでなく、構造上必要なすべての要件を満たしている。これまでのアクスルビームにくらべて、重量は11%、製造コストは3%削減できる。

高張力鋼"LCK II"を使った低重量シャシー
-素材に高張力鋼を使って製造したスチール製リアアクスルは、アルミ製の同等の製品にくらべて強さは同じで、重さは4%の増加のみ。だが、コストは50%の 低減が可能。ライフサイクル評価でみると、LCK IIは車1台あたりCO2排出量が120g程度削減できる。LCK IIの材料は熱延鋼CP-W 800。圧力は680メガパスカルで、従来シャシーに使われていた鋼材よりもはるかに強力。したがって薄い壁の部品を作って重量の削減を図ることも可能。 また、素材だけでなく, 部品を接合するのに突合せ溶接工法を採用することも重要。溶接用フランジが不要になり、スペースが有効活用できる。その結果、さ らに重量を削減することが可能になる。レイザーハイブリッド溶接はマグ溶接に比べ少なくとも2倍の耐久力がある。