ThyssenKrupp AG 2007年9月期の動向
ハイライト
業績
単位: (百万ユーロ) |
2007年 9月期 |
2006年 9月期 |
増減率 | 主な要因 |
全社 | ||||
売上高 | 51,723 | 47,125 | 9.8% | 本業の成長、戦略的買収、サービス活動に対する更なる注力によって、過去最高の売上高と利益を記録。 |
税引前利益 | 3,330 | 2,623 | 27.0% |
部門別業績
単位: (百万ユーロ) |
2007年 9月期 |
2006年 9月期 |
増減率 | 主な要因 |
鉄鋼部門 | ||||
売上高 | 13,209 | 12,087 | 9.3% | 四半期毎の販売価格の値上、受注増、製品ミックスの向上による増収。 |
税引前利益 | 1,662 | 1,406 | 18.2% | 出荷が高水準に推移し、原材料やエネルギー価格の上昇分を市場に転嫁、 好業績を収めた。 |
-自動車部品 | ||||
売上高 | 4,800 | 4,375 | 9.7% | タイトな生産状況の中でも販売数量が増加。販売価格の値上げや業績向上のための施策により、購買コスト増加分を吸収。また、出荷の増加、中国とスウェーデンでの生産拠点立ち上げ効果により、テーラードブランクは売上・利益共に伸長。 |
ステンレス部門 | ||||
売上高 | 8,748 | 6,437 | 35.9% | 熱間圧延品・冷間圧延品の販売数量は減少したが、合金(特にニッケル)割増価格の大幅な上昇により増益。 |
税引前利益 | 777 | 423 | 83.7% | ベース販売価格の大幅な上昇、2007年中盤にかけてのニッケル価格高騰、事業効率向上プログラムの成功。 |
テクノロジー部門 (*) | ||||
売上高 | 11,523 | 11,366 | 1.4% | 事業売却、為替変動の強い影響を受けたものの、増収を記録。 |
税引前利益 | 544 | 410 | 32.7% | プラントテクノロジー、オートモーティブソリューション、トランスラピッドの各ユニットが主に増収に貢献。 |
-メカニカルコンポーネント | ||||
売上高 | 3,793 | 4,058 | (6.5%) | 事業売却、米ドル-ユーロ間為替交換の影響により売上高は微減。 |
-オートモーティブソリューション | ||||
売上高 | 3,182 | 3,018 | 5.4% | 受注状況が好調。すべての事業で著しい受注増達成。 |
-鉄鋼部門
2006年9月期までThyssenKrupp Automotive傘下だったUmformtechnikグループは、2006年10月1日付で鉄鋼部門に編入され、メタルフォーミング事業グループとして再出発する。欧米を本拠点としている本事業は、現在海外に拠点を拡大中。ブラジルのシャシー生産拠点を2007年9月期に買収したほか、集配車等の自動車車体部品を生産するトルコ新工場が2007年8月に操業開始。
テーラードブランク部門は、トルコ西部のBursa(ブルサ)に新工場を建設する。2007年9月に稼動予定の新工場は、トルコ初のレーザー溶接テーラードブランク生産工場となる。
>>> 詳細は 設備投資 参照
-ステンレス部門
2007年6月初旬、イタリアのThyssenKrupp Acciai Speciali Terniはトリノ工場を閉鎖し、生産をトリノからテルニへ段階的に移管すると発表。移転は2008年9月期中に完了する予定。
-テクノロジー部門
ThyssenKrupp Buddの車体・シャシー事業を約10億ユーロで売却する手続きが2007年9月期の第1四半期に完了。また同社は、メキシコのAvantec社に対する持分を売却した。これにより、不採算事業である北米の車体・シャシー事業から完全に撤退した形となる。
事業売却
ThyssenKrupp Budd Companyは、北米における車体・シャシー事業の売却を完了した。売却先はカナダのオンタリオ州Vaughan市に本拠を置くMartinrea International, Inc.。Martinreaは金属部品、アッセンブリー、モジュールおよび流体管理システムの製造を行う自動車部品メーカー。売却価格は275百万米ドル。(2006年12月1日付プレスリリースより)
開発動向
研究開発体制
2007年9月末時点で、3,300名を超えるスタッフが世界85の研究開発拠点に所属。同社(ThyssenKrupp AG)は親会社として、核となるプロジェクトに資金を投入し、部門間共同の開発活動を強化している。また、外部組織との共同開発にも重点が置かれている。
テクノロジー部門では、7,300人のエンジニアが生産体制および部品の研究開発活動に従事している。
ICAMS(Interdisciplinary Center for Advanced Materials Simulation)はドイツのボーフムのルーア大学に拠点を置く研究機関で、同社と北ライン・ウェストファリア州、それに加えて6つの事業・研究パートナーと共同で設立された。欧州で他に類を見ない同研究機関は、ハイテク素材の開発を主な研究課題としていく計画。
研究開発費
(単位:百万ユーロ) | 2007年9月期 | 2006年9月期 | 2005年9月期 |
基礎的研究開発 |
257 | 241 | 186 |
顧客関連の開発(*) |
294 | 230 | 266 |
技術品質保証 |
264 | 272 | 281 |
合計 |
815 | 743 | 733 |
研究開発活動 (2007年9月期)
-鉄鋼部門
自動車の軽量化を目的として、800MPaおよび980MPaの強度を持つ2相鋼を2種類開発。従来の超高力鋼とは異なり、この2相鋼はOEMメーカーからの強い要望を受け、表面に溶融亜鉛メッキが施される。
日本のJFEスチールとの共同により、自動車用の多相鋼を新開発。同社のCP-W 800やJFEのNANO 780といった超高力鋼とほぼ同等の強度だが、これらに比べて40%程度高い延性を持ち、成形性が格段に向上。
熱間鍛造に適したテーラードブランクを開発。自動車メーカーは、特に衝突安全性に関わる部品に熱間鍛造技術を使用することが増えている。これによって、高い衝突安全性と車体軽量化を同時に実現することができる。
メタルフォーミングユニットでは、軽量スチール製のリアアクスルビームを開発。高級車で使用されているアルミニウム製を基準にした場合、新スチール製シャシーのコストは半分ほどで、重量は10%重くなるのみ。
Johnson Controlsと共同で、同社のテクノロジー部門と鉄鋼部門は自動車用コックピットモジュールを開発。この新製品はベンチマークよりも20%軽量で、且つ製造コストも低い。また、コンパクトな作りになっており、前部座席に空間の余裕を与えている。
ThyssenKrupp Prestaが開発した新型ステアリングコラムモジュールは、搭載に要する時間の短縮化、軽量化、より高い固有振動数、優れた衝突エネルギー吸収性を実現している。部品数と重量を大幅にカットしたにも関わらず、その安全性は「EURO-NCAP(ニュー・カー・アセスメント・プログラム)」で5つ星の評価を獲得。また、最新の安全基準に準拠して、膝を保護するためにステアリングホイールロックの位置を最適化でき、且つ盗難防止機能も強化した。このステアリングコラムは初めて、Johnson ControlsとThyssenKrupp Steelの共同開発によるコックピットモジュールの設計研究に使用されている。(2007年9月14日付プレスリリースより)
-ステンレス部門
2004年末にスタートした、ステンレス鋼メーカーや自動車メーカーによる共同プロジェクト"NGV - Next Generation Vehicle"が、活動開始後初めての成果として、「自動車構成材料としてのステンレス鋼」に関する可能性を示した。本プロジェクトに参加している企業は、Audi、BMW、DaimlerChrysler、Fiat、General Motors/Saab、Ford/Volvo。また、鉄鋼メーカーでは、同社の他にOutokumpuとArcelorMittal Stainlessが挙げられる。このプロジェクトは、ステンレス鋼を自動車に使用することは、衝突安全性に関わる構造部品の分野で特に有益と見ている。
-テクノロジー部門
オートモーティブソリューション
自動車メーカー向けに"CO2およびNOx(窒素酸化物)削減のための自動車構成部品"という統合コンセプトを開発。これには高力材料や代替工法の使用により、10%から30%軽量化したクランクシャフト、カムシャフト、ディファレンシャル、ダンパーが含まれる。また、カムシャフトの改善、エンジン摩擦を低減させる新しいデザインのベアリングの使用によって燃費の向上を実現。
スプリングとダンパー事業の協業によって開発シナジーを生み出し、モジュール能力を拡大。複数の構成部品を統合したスプリングダンパーモジュールは、従来品に比べて軽量化、低騒音、低摩擦に加えて高寿命を実現。
設備投資
設備投資額
*2006年10月1日付で、自動車部品部門はテクノロジー部門に統合。
同グループの2007年9月期設備投資額は3,001百万ユーロで、前年度比44%の増加。このうち、2,873百万ユーロが不動産、工場、装置、無形固定資産に投資された。また、残りの128百万ユーロは買収費用。
鉄鋼部門
-トルコ
テーラードブランクを扱うグループは、トルコ西部のBursa(ブルサ)に工場を設立する。2007年9月に稼動予定の新工場は、トルコ初のレーザー溶接テーラードブランク生産工場。イスタンブールの南方約90kmに位置するブルサでは、RenaultとFiatが現地企業との合弁により生産拠点を構えている。新工場は操業開始と同時に、これら2拠点への製品供給に追われる見込み。FiatのLinea(リネア)ノッチバックセダン、FiatおよびPSAの小型バン、RenaultのMegane(メガーヌ)ノッチバックモデル向けに、テーラードブランクを供給する。(2007年6月4日付プレスリリースより)
ステンレス部門
-米国
アラバマ州・マウントバーノンに工場を新設すると決定。同社のカーボン&ステンレス鋼部門を通じ、総額31億ユーロ(41億8,000万ドル)を投資、スチール製品の仕上げ加工工場を建設。2010年に操業開始の予定。(2007年5月11日付プレスリリースより)
テクノロジー部門
-メカニカルコンポーネント
米国にてカムシャフトの自動生産ラインの稼動を開始。また、ブラジルで中型サイズのクランクシャフトの新生産ラインに投資。
-オートモーティブソリューション
DampTronicショックアブソーバーや大型車両用スプリング等、様々な生産設備に投資。また、ブラジル市場向け製品の組立能力を拡張。
(単位:百万ユーロ) |
2007年9月期 | 2006年9月期 |
鉄鋼 | 1,659 | 603 |
ステンレス | 328 | 230 |
テクノロジー(*) | 581 | 600 |
エレベーター | 122 | 164 |
サービス | 282 | 393 |
全社共通 | 131 | 88 |
消去 | (102) | (1) |
合計 | 3,001 | 2,077 |
同グループの2007年9月期設備投資額は3,001百万ユーロで、前年度比44%の増加。このうち、2,873百万ユーロが不動産、工場、装置、無形固定資産に投資された。また、残りの128百万ユーロは買収費用。
鉄鋼部門
-トルコ
テーラードブランクを扱うグループは、トルコ西部のBursa(ブルサ)に工場を設立する。2007年9月に稼動予定の新工場は、トルコ初のレーザー溶接テーラードブランク生産工場。イスタンブールの南方約90kmに位置するブルサでは、RenaultとFiatが現地企業との合弁により生産拠点を構えている。新工場は操業開始と同時に、これら2拠点への製品供給に追われる見込み。FiatのLinea(リネア)ノッチバックセダン、FiatおよびPSAの小型バン、RenaultのMegane(メガーヌ)ノッチバックモデル向けに、テーラードブランクを供給する。(2007年6月4日付プレスリリースより)
ステンレス部門
-米国
アラバマ州・マウントバーノンに工場を新設すると決定。同社のカーボン&ステンレス鋼部門を通じ、総額31億ユーロ(41億8,000万ドル)を投資、スチール製品の仕上げ加工工場を建設。2010年に操業開始の予定。(2007年5月11日付プレスリリースより)
テクノロジー部門
-メカニカルコンポーネント
米国にてカムシャフトの自動生産ラインの稼動を開始。また、ブラジルで中型サイズのクランクシャフトの新生産ラインに投資。
-オートモーティブソリューション
DampTronicショックアブソーバーや大型車両用スプリング等、様々な生産設備に投資。また、ブラジル市場向け製品の組立能力を拡張。