GKN Plc 2013年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ポンド)
  2013年12月期 2012年12月期 増減率
(%)
要因
全社
売上高 7,136 6,510 9.6 -
営業利益 560 624 (10.3) -
部門別売上高
ドライブライン部門 3,416 3,236 5.6 1)
粉末冶金部門 932 874 6.6 2)

要因
1) ドライブライン部門
-2013年12月期の本業の売上は前年度比7%伸び、世界の自動車生産の伸び (4%) を上回った。売上のうち等速ジョイントの売り上げは63%、等速ジョイント以外の売り上げは37%を占めている。

2)粉末冶金部門
-2013年12月期の本業の売上は同6%伸びた。材料価格の下落にも関わらず、北米、欧州、中国で売上が伸びた。

売却

合弁会社Emitecを売却
-2014年4月、Continentalとの折半出資による合弁会社Emitecの株式残り50%をContinentalに売却すると発表した。売却金額は46百万ポンド。今回の買収により、EmitecはContinentalのパワートレイン部門に統合される予定。(2014年4月30日付プレスリリースより)

受注

ドライブライン部門

-2013年9月、Land Rover 「Range Rover Evoque」の2014年モデルに、同社の四輪駆動 (AWD) システムが採用されたと発表した。同モデルのオプションとなる「Active Driveline」は駆動損失を大幅に低減し、モデルによって全体で最大11.4%の燃費向上を実現。同システムに搭載されたパワートランスファーユニット (PTU) は、トランスミッションのファイナルドライブディファレンシャルに接続され、AWDシステムをPTUハイポイドギアの上流側から切り離すためのシンクロナイザーとブレーキが組み込まれている。このAWDシステムの後部にあるリアドライブモジュール「TWINSTER」は、独立した湿式多板クラッチによって個々のリアホイールを駆動させる。「Active Driveline」タイプのほかに、GKN Drivelineは同モデルの「Standard Driveline」タイプにも前輪駆動システムを納入している。PTUとリアドライブモジュールはスウェーデンのKoping工場で、フロントサイドシャフトとプロップシャフトは英国のBirmingham工場でそれぞれ生産を行っている。

-パワートランスファーユニット (PTU) が三菱自動車の 「ASX」 に採用された。生産は中国の上海工場。

-2013年7月、フロントファイナルドライブユニット (FDU) がBMW 「X Series」 の複数のモデルに採用されたと発表した。米国ノースカロライナ州にある同社のNewton工場では、2013年8月から 「X3」 向けにFDUを納入するほか、年内に 「X6」 向けにも供給を開始する。さらに、同社のトルクベクタリングユニットは 「X6」 をはじめその他の 「X Series」 に採用され、サイドシャフトも 「X Series」 の複数のモデルに搭載されている。

粉末冶金部門
-スタートストップ用リングギアがVolkswagenの 「Passat」、日産の 「Serena」、Peugeotの 「508」、Valeo に採用された。

-電動パワーステアリング用ヘリカルプーリーをZFに納入。

-グローバル向けのダブルクラッチトランスミッション (DCT) 用ポンプ部品をGetragに納入。

受賞

ドライブライン部門
-2013年6月、Fordより3つの賞を受賞したと発表した。同社の米国工場GKN Driveline Newtonおよび中国工場Shanghai GKN (SDS) の2拠点が「World Excellence Award」を受賞。同社はさらに、特別賞「Go Further」も受賞している。

粉末冶金部門
-Chrysler 「Dodge Dart」 に納入している4気筒エンジン用リアカムシャフトキャップにつき、優秀賞を受賞した。

開発動向

研究開発活動

ドライブライン部門
-2013年9月、英国政府が16百万ポンドを援助する開発コンソーシアムの主要メンバーに選出された。Land Rover 「Range Rover Evoque」 のプラットフォームをベースにした次世代のハイブリッドパワートレインおよびバッテリー式電動パワートレインの開発プログラムに参画し、トランスミッション「eTransmission」を提供する。今回の共同研究では、マイルド・ハイブリッド式電気自動車 (MHEV)、プラグイン・ハイブリッド電気自動車 (PHEV)、フルバッテリー式電気自動車 (BEV) の3台のデモカーの設計・開発・製造を行い、最新のパワートレインコンセプトを発表する予定。

製品開発

ドライブラインの電動化

ヘリカルギア
-トランスミッション用軽量高効率のヘリカルギアの開発

設備投資

設備投資額

(単位:百万ポンド)
  2013年12月期 2012年12月期 2011年12月期
ドライブライン部門 142 159 113
粉末冶金部門 51 47 44

海外投資

ドライブライン部門
<メキシコ>
-2013年9月、メキシコVillagranにある同社の主要生産工場を拡張すると発表した。8,000平方メートルを拡張し、おもに等速ジョイント (CVJ) システムを生産するほか、新製品開発用の施設も建設する。従業員は250名増員する予定。これにより、サイドシャフトの年産能力は現在の750万ユニットから、2015年には950万ユニットにのぼるとみられる。2005年からメキシコ拠点に総額233百万ドル超を投じている。

<中国>
-2013年9月、上海納鉄福伝動軸有限公司 (Shanghai GKN Drive Shaft) の子会社「納鉄福伝動軸 (重慶) 有限公司 (GKN Drive Shaft (Chongqing)」は重慶北部新区で拡張工事の定礎式を行った。約43.9百万米ドルを投じて建築面積約1.2万平方メートルの工場を増築する。操業開始予定は2014年7月。拡張後の生産量は年100万セットを超える見込み。2006年8月にGKN、上海納鉄福伝動軸有限公司、長安汽車集団の3社により設立された合弁会社で、主に等速ユニバーサルジョイントシャフトを生産、長安フォード、長安マツダ、長安スズキ、長安汽車、江淮汽車、長城汽車、北京汽車、上海GM五菱などに供給している。

-2013年7月、上海納鉄福伝動軸有限公司 (Shanghai GKN Drive Shaft) は武漢第2工場を建設、開業を祝う式典を行った。第1期として建設された工場の建築面積は11,000平方メートル。投資額は約15百万ポンド。ドライブライン精密部品を生産する。年産量は等速ジョイントドライブシャフト1,100万本となる計画。

-2013年4月、同社と華域汽車系統 (HASCO) は、中国合弁会社Shanghai GKN Driveshaft (SDS) の大規模な拡張を発表した。SDSは、8つの工場でサイドシャフトおよびプロペラシャフトを生産し、中国・欧州の自動車メーカー向けに供給している。今回の拡張により、両社の合弁会社はAWDおよびeDriveの部品・システムを含むGKN Drivelineの製品ラインを網羅することになる。また、上海にあるGKN Drivelineの完全子会社の工場はSDSの傘下となる予定で、SDSは今後、名称を「Shanghai GKN HUAYU Driveline Systems Co. Ltd.」へ変更する。

-2013年1月、上海納鉄福伝動軸有限公司 (Shanghai GKN Drive Shaft) は、申江工場で拡張工事の着工式を行った。建築面積は1.5万平方メートル。2013年8月の竣工を目指す。新工場にはドライブシャフト組み立てライン8本、環境保全型表面塗装ライン2本、加工設備200台余り、最新検査機器を設置し、フックジョイント式ドライブシャフトを生産する。生産能力は100万台分。製品は主に上海VW、一汽VW、四川トヨタ、三菱、日産、江鈴などへ供給する。

<ポーランド>
-2013年9月、ポーランド拠点を拡張し、新たに6,800平方メートルの生産施設を開設したと発表した。新施設では主に等速ジョイント (CVJ) サイドシャフトおよびプロップシャフトを生産するほか、実験室やオフィス、物流エリアも含まれる。中東欧開発戦略計画の一環となる今回のプロジェクトでは、1億ポーランドズウォティ (約23.3百万ユーロ) を投じており、現在従業員672名を雇用している。今後5年間で新たに100名を増員する予定。生産能力は、現在の530万ユニットから2018年に650万ユニットに増強する見込み。

粉末冶金部門
<米国>
-2013年4月、GKN Sinter Metalsは、米国オハイオ州にあるGallipolis工場を拡張すると発表した。投資額は10百万ドル。この計画により、今後2~3年の間に従業員50名が増員になるほか、売上額は最大20百万ドル増加する見通し。ディファレンシャルギアの生産開始に向けて、750トンの粉末圧縮プレスなどの設備を新たに導入する。現在の工場面積は175,000平方フィートで、従業員数は160名超。Chrysler、GM、エクセディLuk USA、Allison Transmissionをはじめとするさまざまな顧客向けにギア、クラッチプレッシャープレート、トルクコンバーター部品を生産している。ディファレンシャルギアの生産は、2013年下半期に開始する。

<ドイツ>
-ドイツのボン工場にて、電子制御サスペンション用精密部品製造のための最新式の焼成設備、工程を拡張した。