Bridgestone Americas Holdings 2005年度、2006年度の動向

ハイライト

業績
(単位:
10億円)
2006年度 2005年度 増減率
(%)
要因
売上高 1,333.5 1,157.9 15 ・米州での販売は増加。背景には販売が好調であったこと、ブランド力も貢献、製品の取り揃えも良かった、値上げ効果があったことなどによる。為替では円安傾向が続いたことによる効果もあった。営業利益では原材料の高騰の影響を受けたにもかかわらず前年比で増益。地域別では、業界全体が冷え込んでいる北米で乗用車及び商用車用タイヤの販売量が、OEメーカーと補修部品市場の双方で落ち込んだ。OEメーカー向けトラックとバス用のタイヤ販売量は増加。これは2007年に新たに導入が予定されている排気ガス関連の環境規制に対する駆け込み購入によるもの。タイヤ以外の多角化商品の販売とラテンアメリカでの販売は前年度を上回った。
営業利益 42.0 38.9 8
(注)上記財務数値はブリヂストン本社が2007年2月20日に発表した転結決算に基づくものである。したがって、当該レポートに記載される財務数値について特別注記がない限りすべて日本円で表示されている。尚、ブリヂストン本社によれば当該財務数値で使用された為替レートは1米国ドル=119円11銭である。

受注

・2005年3月、Turanza EL40002タイヤのサイズP245/50R18 99Hが2006 Cadillac DTSにOE採用になったと発表した。Turanza EL40002・P245/50R18 99Hの速度記号はH、UTQG(Uniform Tire Quality Grade)による評価はトレッド磨耗指数300、トラクションA評価、温度A評価となっている。
・同月、Bridgestone、Firestone両ブランドのタイヤを2005 トヨタTacoma小型トラック数モデルに、 供給すると発表した。FirestoneブランドDestination LEのサイズP215/70R15 97Sが、Regular Cab 4x2モデルとAccess Cab (extended cab) 4x2モデルにOE装着される。BridgestoneブランドDueler H/T 684IIのサイズP265/65R17 110Sは、TacomaのAccess CabモデルとDouble Cabモデルの4x2、4x4バージョン双方にオプションとして搭載される。また、BridgestoneブランドPotenza RE050AのサイズP255/45R18 99Vが、トヨタTacoma X-Runnerに装着される。
・2005年4月、2006 BMW3シリーズ・パフォーマンスセダンにOEとして、Bridgestoneブランドの全季節型タイヤ” Turanza EL42”ランフラットタイヤと、Bridgestoneブランドの夏タイヤ” Potenza RE050A”ランフラットタイヤを供給すると発表した。
・2005年5月、ブリヂストンブランドタイヤ“Insignia SE20002”が、新発売の2006年型 Buick Lucerne CXにOE採用されたと発表した。同社は、このまったく新しいエントリー高級セダンに、CXモデルで標準の16インチホイール用のP225/60R16 97Sサイズの” Insignia SE20002”タイヤを供給する。
・また同月、2006年式の三菱EclipseにBridgestoneブランドの“Potenza RE92”タイヤがOE搭載されると発表した。供給するBridgestone Potenza RE92AタイヤのサイズはP225/50R17 93V。速度記号はVで、UTQG(Uniform Tire Quality Grade)による評価はトレッド磨耗指数260、トラクションA評価、温度A評価となっている。
・2005年6月、2006年式のマツダの新型四輪駆動高性能セダンMAZDASPEED6全車に、Bridgestoneブランドの“Potenza RE050A2”タイヤが搭載されると発表した。同社が日本の防府工場に納入するタイヤサイズは215/45R18XL 93Y。Potenza RE050Aタイヤは、UTQG(Uniform Tire Quality Grade)による評価はトレッド磨耗指数140、粘着摩擦 A、温度評価 A となっている。
・2005年10月、2006年式 Subaru ImprezaにBridgestoneブランドのPotenza RE9タイヤをOE装着として供給すると発表した。
・2006年2月、Bridgestoneは、"Dueler H/T 840"タイヤが2007年モデルのToyota FJ CruiserにOE装着されると発表した。装着サイズはP265/70R17 113S。

企業買収
・2005年10月、Goodyearは、以前発表したGoodyear Sumatra Plantations (GSP)の保有株売却に関し、約62百万ドルでBridgestoneに売却を完了したと発表した。同社によると、主力事業に集中する戦略の一環として、GSP株の95%に当たる同社保有分の売却が実施された。
・2006年12月、Bridgestone Americas Holding,, Inc.及びBandag, Incorporatedは、合併契約に調印したと共同で発表した。これによれば、Bridgestone Americasは、Bandagの各種発行済み株式を一株あたり50.75米ドルで取得する。この取引の総額は約10.5億米ドル。 Bandagは再生タイヤ素材及び装置メーカーの大手。アイオワ州Muscatineにあり、再生タイヤの製造、販売及びタイヤマネジメントサービスを行う900以上のフランチャイズ・ディーラーを世界的に持っている。 2005年の同社のグローバルな売上は、9.21億米ドル。合併完了後、BandagはBridgestone Americas Holding, Inc. の100%子会社として運営される。2007年の半ばまでの買収手続き完了が見込まれている。

開発動向

(1) R&D組織
・オハイオ州AkronのFirestone Park(敷地面積15エーカー)近隣に研究センターを構える。他2ヶ所(東京とローマ)の技術センターと密接に協力。こうした技術センターの3極体制は、タイヤ開発計画におけるグループのグローバル化を明確に示すものである。さらに、グループでは4番目の規模となる技術センターが横浜市に在り、多角化製品の開発業務の中枢を担っている。

(2) 開発概要
オハイオの研究センターは高度なポリマー分野研究所の1つとして世界でも定評がある。長い歴史を通じ多くの実績を築いてきた。
主な開発実績:
・初の合成天然イソプレンゴム('Coral rubber')を開発
・耐衝撃性ABS樹脂技術プロセス
・タイヤ、プラスチックや接着剤用ポリブタジエン及びスチレンブタジエンゴムのリチウム化、陰イオン化、バッチ化と連続的溶液重合プロセス
・耐熱、耐冷、対炎性の半有機体ポリホスファゼンエラストマー 
・エラストマーの放射線化学技術を先駆けて開発。これを応用したプレ加硫技術は現在タイヤ業界が採用している。
・タイヤ用ヘテロ原子力開始装置エラストマー(タイヤの磨耗を削減、燃費を改善)

触媒、ポリマー化学、材料化学分野のパイオニアとして引き続き研究開発を進める。製品の性能向上・独自性の向上を追求。

(3) BIRD
・Bridgestoneの革新的タイヤ製造システムで、原料の初期加工から完成品の最終検査に至るタイヤ製造の全工程を自動化した世界初のシステム。また、種類やサイズの異なるタイヤを同時に製造することも可能。

設備投資

・2005年1月、メキシコNuevo Leon州Monterrey市に建設予定の工場にBIRDシステムが日本以外で初めて導入されると発表。同工場では、北米タイヤ市場向けに乗用車及び小型トラック用の高性能、超高性能、並びに大型タイヤを生産する。工場建設は、2007年7月の操業をめどに間もなく着工する予定で、生産能力8,000本/日、従業員数200名を予定。同工場建設の設備投資は、220百万ドルの予定。完成すると、Bridgestoneグループにとっては49番目、メキシコではMexico City、Cuernavacaに続く3番目の工場となる。