現代モービス_2008年12月期の動向

ハイライト

2008年12月期のハイライト

業績 (単独) (単位:億ウォン)
- 2008年
12月期
2007年
12月期
増減率 備考
売上高 93,733 84,909 10.4% 2008年12月期はモジュール事業の売上が61,741億ウォンで、全体の66%を占める。
営業利益 11,865 8,245 43.9% -
純利益 10,899 7,766 40.3% 初めて純利益が1兆ウォンを突破。

会社設立

-ロシア

2008年3月、サンクトペテルブルクに子会社「Mobis Module CIS (MMCIS)」を設立。2008年6月より総額1億米ドルを投資し、2010年の工場完成を目標としている。2008年の上半期中に着工予定の現代自動車ロシア工場に対して、コックピットモジュールおよびバンパーを供給する計画。(2008年3月4日付プレスリリースより)

ロシアで工場の建設を開始した。年産10万台規模のモジュール工場が2010年に完成の見込み。このロシア新工場ではコックピットモジュール、インストルメントパネル、コンソール、バンパー等を生産し、現代自動車のロシア工場に納入する。本格的な量産開始は2011年1月を予定している。(2008年7月度同社発表より)

受注

-長沙衆泰汽車(Zhe Jiang Zotye Auto)


2008年4月、中国の長沙衆泰汽車(Zhe Jiang Zotye Auto)にブレーキ部品を供給する契約を締結。無錫(Wuxi)工場で生産する部品が、長沙衆泰「Lybra」の約30万台に搭載される。契約期間は2009年から5年間で、受注規模は約4,000万米ドルに達する。この契約によって、同社は2006年以降の中国での累計受注実績が1億6,000万米ドルに達し、今年中に2億ドルを突破するものと見ている。(2008年4月27日付プレスリリースより)

-北京現代自動車

2008年4月より、北京現代「New Avante」にマニュアルトランスミッション(M/T)を供給している。このM/Tは北京の専用工場 (Beijing Mobis Transmission)で生産した後、北京モービス(Beijing Hyundai Mobis Automotive Parts)でシャシーモジュールに搭載され、北京現代自動車の「New Avante」組立ラインに投入される。2004年より生産を開始した同社の北京トランスミッション工場は、年間40万台の生産能力を持ち、北京現代の「Elantra」、「Sonata」、「Tucson」、東風悦達起亜の「Cerato」、「Optima」、「Sportage」等にも5段M/Tを供給している。(2008年4月8日付プレスリリースより)

生産関連

-トランスミッション

2008年10月、中国におけるトランスミッションの累積生産台数が100万台を突破した。中国では「北京摩比斯変速機有限公司」(Beijing Mobis Transmission Co., Ltd.)がトランスミッションの生産を2004年に開始。操業初年に5.2万台だった生産台数は、2007年に26万台まで拡大した。2008年は年産31.3万台に達し、同年末には累積生産台数が110万台となる見込み。同拠点では5段マニュアルトランスミッションを中心に生産を行い、北京現代の「Elantra」や「Sonata」、東風悦達起亜の「Optima」、「Sportage」等、計11の車種に供給している。また、2007年には起亜自のスロバキア工場で生産中の「Sportage」(ガソリン車)向けに、トランスミッションの輸出を開始した。今後、同社は北京の同拠点から欧州やロシアへの輸出を拡大していく計画。(2008年10月7日付プレスリリースより)

-モジュール

2008年9月、シャシーモジュールとコックピットモジュールを合わせた累積生産台数が3,000万台を突破。同社は1999年、国内の蔚山(Ulsan)工場より現代自動車「Trajet」にシャシーモジュールを供給して以来、国内外のモジュール生産体制を拡大してきた。これまでの生産台数は、シャシーモジュールが1,715万台、コックピットモジュールが1,285万台。なお、自動車用コアモジュールの生産が3,000万台を超えた企業は同社が初めて。(2008年9月9日付プレスリリースより)

2008年7月、現代モービスのチェコ生産拠点「Mobis Automotive Czech s.r.o」がモジュールの試験生産を開始。同年11月より本格的な生産に突入する計画。(2008年7月度同社発表より)

-ランプ

2008年7月、慶尚北道 金泉(Gimcheon)市のランプ工場が試運転を開始した。本格的な量産に入るのは2009年の予定。同工場は土地面積13万7,350平方メートル、建物面積2万2,880平方メートルの規模。(2008年7月度同社発表より)

新規事業

現代ロテム(Hyundai Rotem Company)のハイブリッドカー部品製造事業を買収する。買収金額は13,553百万ウォン。現代ロテムは現代自動車グループ傘下の総合重工業メーカーで、鉄道車両や戦車等を製造している。(2008年11月3日付プレスリリースより)

2008年10月、ハイブリッド自動車の中核部品事業に進出すると発表。2012年までに1,000億ウォン余りを投資し、駆動モーターとIPM (統合パッケージモジュール)を中心に新事業を推進する計画。現代自動車「Avante」LPI (LPガス液体噴射方式)ハイブリッド向けの部品を、今年の12月から試験生産、2009年5月より量産開始する。また、現代「Sonata」ハイブリッドの量産が開始される2010年までに、ハイブリッド車部品の専用工場を新設する予定。(2008年10月27日付プレスリリースより)

事業計画 (2009年12月期)

2009年12月期の経営目標を発表。売上高が国内8兆9,000億ウォン、輸出67億米ドル、国内外合計で15兆ウォンの達成を目指す。特にモジュール事業では、米国ジョージア州およびチェコの新工場が本格稼動を開始するのに伴い、欧米市場で拡販を図る。また、R&D分野に前年度比60%増の2,000億ウォンを投資、ハイブリッド車部品や電装部品事業を強化する計画。同社は現在、駆動モーターやIPM(統合パッケージモジュール)といった、ハイブリッド車の中核部品を量産準備中。これらの部品は、2009年下半期に発売される現代「Avante LPI」と起亜「Forte Hybrid」への搭載が決定している。(2009年1月10日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発拠点
名称 所在地
竜仁(Yong-in)技術研究所 韓国
龍仁(Yong-in)
上海R&Dセンター 中国
上海
デトロイトR&Dセンター 米国
デトロイト
フランクフルトR&Dセンター ドイツ
フランクフルト

-韓国

現代自動車グループは、京畿道の義王(Uiwang)市に建設していた研究所の竣工式を行った。総額1,600億ウォンを投資し、8万平方メートル余りの敷地に地上15階・地下3階建ての研究施設を建設。入居するのは現代自動車、現代オートネット、現代ロテム、WIA、Autoever Systemsのグループ5社。このうち、現代自動車はプラスチック研究所など、現代オートネットは電子統合研究所、WIAは自動車部品総合研究所を同拠点内に設ける。(2008年10月21日付プレスリリースより)

京畿道の竜仁(Yong-in)に位置する技術研究所内に、韓国の部品メーカーとして初めて品質研究所を開設したと発表。設計段階から品質を向上させることで、量産時に発生する可能性のある問題を最小限に抑え、製品の開発期間を平均で6ヶ月程度短縮することが可能になる。(2008年5月8日付プレスリリースより)

-中国

上海技術試験センターは、同国の国家認証委員会より自動車部品の試験全般に関する国家認証書を取得した。これにより、同センターの性能試験を通過した製品は、中国の国家認証取得と同等の効力を持つことになる。その結果、これまでは認証取得に最長4ヶ月を要していたが、今後は半分以下に短縮される。また、費用も30%以上低減させることが可能になる。これは中国に進出した韓国企業で初めてのこと。また、世界の自動車関連企業で中国の同認証を取得したのは、20社程度に留まっている。(2008年11月11日付プレスリリースより)

研究開発費 (単独) (単位:億ウォン)
- 2008年12月期 2007年12月期 2006年12月期
金額 1,212 929 806
対売上高比 1.29% 1.10% 0.99%

研究開発活動 (2008年12月期)

-自動配光可変型前照灯システム

自動配光可変型前照灯システム(ALFS:Adaptive Front Lighting System)の国産化に成功した。同社は総額30億ウォンを投資し、1年半をかけて同システムを開発。走行状態、道路状況、天候条件などに応じて、運転者の視野を確保するための最適な照明を提供する。例えば、高速走行時にはライトを遠方まで照射するほか、市街地走行では配光の幅を広げ、対向車の眩惑を低減させる機能を持つ。また、既存製品に比べて原価を30%、重量を50%低減させることにも成功。今後は、LEDランプを採用したALFSの開発にも取り組む。同社は2005年、中国の江蘇省に自動車用ランプの生産拠点を設立。同国の長沙衆泰汽車(Zhe Jiang Zotye Auto Co., Ltd.)に30百万米ドル相当のランプを供給するなど、海外自動車メーカーおよび部品メーカーへの販売も推進している。(2008年12月24日付プレスリリースより)

-商用車用ブレーキシステム

2年間で100億ウォンを投資し、商用車用ブレーキシステム「MEB2-AT」を開発した。中国の無錫工場で生産を行い、まずは現代自動車の「County」、「Mighty」向けに供給する予定。本製品の重量は2.2kgで、輸入製品に比べて5分の1の重さに抑えることに成功。今後5年間に渡って、1,000億ウォン相当の輸入代替効果を同社は見込んでいる。(2008年11月26日付プレスリリースより)

-シャシー統合制御システム

ニュージーランド南部ワナカ(Wanaka)の冬季テストコースにおいて、「シャシー統合制御システム」開発を目指した試験走行を行う。特に、「NF Sonata」中国モデル(開発コード:NFC)のMEB(モービス電子ブレーキ)や、ESC(電子制御式横滑り防止システム)に関する試験を実施。期間は2008年6月下旬から4週間の予定。(2008年7月度同社発表より)

-エアバッグシステム

事故発生時に年少者や高齢者を保護するエアバッグシステムを韓国で初めて開発。2008年下半期に発売の現代・起亜自動車の2車種(北米仕様)に搭載されるのを皮切りに、今後北米で販売される全ての現代・起亜車に採用となる見込み。2006年より約10億ウォンを投資し開発してきたこの新システムは、FMVSS(米国連邦自動車安全基準)の前面衝突基準 (No.208)を満たしている。低リスク展開(LRD : Lower Risk Deployment)エアバッグと呼ばれ、助手席に座っている6歳以下の子供や高齢者がエアバッグ展開時に受ける衝撃を緩和したり、展開方向を左右に分散させるもの。同社はこの新製品により、1台当たり10万ウォン、年間で約400億ウォンの原価削減効果を見込んでいる。また、既存製品よりも最大2kgの軽量化が実現。燃費向上により、環境対策にも一翼を担うものと見られる。(2008年3月31日付プレスリリースより)

-MEB(モービス・エレクトロニック・ブレーキ)

MEB(モービス・エレクトロニック・ブレーキ)と呼ばれる新型ABS(アンチロックブレーキシステム)とESC(横滑り防止装置)を開発した。新型ABSは既存モデルに比べて30%のサイズ縮小に成功しており、2008年の上半期中に中国で量産を開始する予定。同社は今後、車両統合制御システムの開発活動を強化していく。それに伴い、2006年より量産中のMDPS(モーター駆動パワーステアリングシステム)、現代自動車の高級セダン「Genesis」向けに供給中のエアサスペンション、エアバッグの技術を同制御システムに連係させる。(2008年2月27日付プレスリリースより)

-商用車用ABS

韓国で初めて商用車用ABSの開発に成功した。各種の性能試験が完了しており、2008年中頃より量産を開始する予定。既に現代自動車「Mighty」、「County」等、トラックやバスへの搭載が決定している。今回の国産化によって、今後5年間で1,000億ウォンを超える輸入代替効果が見込まれている。(2008年2月27日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額  (金額:億ウォン)
- 投資額
(2008年
12月期)
投資予定額
(2009年
12月期以降)
投資目的
モジュール事業 786 563 -
-金泉(Gimcheon)工場 257 89 ランプ生産ラインの新設・増設
-昌原(Changwon)工場 47 283 油圧ブレーキシステム(CBS)生産ラインの増設
その他事業 605 166 -
合計 1391 730 -

設備投資計画

2009年12月期、油圧ブレーキシステム(CBS)生産ラインの増設に28,335百万ウォンを投資予定。