日本精機 (株) 2015年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2015年
3月期
2014年
3月期
増減率
(%)
備考
全社
売上高 226,956 220,144 3.1 -四輪車用計器が米州で前年比5,400百万円増収、欧州で1,400百万円増収。
-海外売上高が前年比7,000百万円増収。米州でGM、クライスラー向け、欧州でBMW、PSA向け、アジアで上汽GM向けが増加。
営業利益 16,436 18,215 (9.8) -計器事業で設計開発費、減価償却費が増加。
-ASEANで人件費上昇などにより原価率が悪化。
経常利益 23,619 23,029 2.6 -
当期純利益 14,467 13,908 4.0 -
自動車および汎用計器事業
売上高 174,436 167,820 3.9 -北米市場が好調であった四輪車用計器の売上が増加。
営業利益 13,856 17,034 (18.7) -

長期事業計画

-NSグループ長期事業ロードMAP: 2018年3月期に売上高2,700億円、将来的に3,000億円を目指す。

-周辺領域の拡大: スマートフォン連携メーター、2PlaneHUD、レーザーHUD、以心伝心コックピット など
>>>「製品開発」 を参照

-設計開発リソースの拡大: グローバルで設計開発から試験まで完結できる体制
>>>「研究開発体制」 を参照

-四輪車用メーター事業:
 同社のグローバル生産台数は、2015年3月期の10,086千台から2018年3月期に12,614千台に拡大すると予測。特に、北米は3,023千台から4,424千台 (+46%)、中国は1,430千台から2,141千台 (+50%)、欧州は1,036千台から1,299千台 (+25%) に増加する見通し。

-ヘッドアップディスプレー (HUD) の成長戦略:
 同社のHUDグローバル生産台数は、2015年3月期の約600千台から2018年3月期に1,000~1,200千台に拡大すると予測。
>>>「製品開発」 を参照

ヘッドアップディスプレー (HUD) の受注拡大

-2015年7月、独アウディからヘッドアップディスプレー (HUD) を受注し、納入を始めたと発表した。アウディには1990年代からメーターの納入実績があるが、HUDでの取引は今回が初めて。フォルクスワーゲンのスロバキア工場で生産する大型SUV 「Q7」 に搭載され、順次、アウディのその他の車種に搭載される。採用されたHUDはフロントガラスに投影するウインドシールドタイプのもので、TFT液晶を搭載している。ドライバーの視点から約2.1メートル先に車速、警告、ナビゲーションなどをフルカラーで表示する。光源には高輝度LEDを採用し、明るい太陽の下でも鮮明な画像表示を実現した。(2015年7月17日付日刊自動車新聞より)

-2014年9月、車速やナビゲーションの情報をフロントガラスに映し出すヘッドアップディスプレー (HUD) の累計販売台数が8月で200万台を超えたと発表。BMW、ゼネラル・モーターズ (GM) に加え、マツダにもコンバイナータイプの納入を開始し、販売量が増加している。ドライバーが前方を見たままで車速などの情報を確認できるため、安全運転をサポートする装置として採用が広がっている。世界市場でのシェアは1位で、14年3月期は年間40万台、111億円を売り上げた。17年3月期には販売台数70万台、売上高170億円を見込んでいる。需要の増加に対応するため、生産を新潟のみから広島、北米を加えた3拠点体制に拡充した。他地域での生産も検討している。(2014年9月5日付日刊自動車新聞より)

-ヘッドアップディスプレー (HUD) の売上高を2017年度に13年度の1.8倍に当たる年間220億円に引き上げる。納入先、採用車種の拡大が見込まれるためで、生産台数は倍増する見通し。HUDはフロントガラスや専用のコンバイナーに車速や方向指示などの情報を映し出す装置。安全運転に貢献する技術として中長期的な市場拡大が見込まれている。同社は現地生産化や開発の効率化を進め、国内外での需要拡大に対応していく。(2014年6月18日付日刊自動車新聞より)

2016年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2016年3月期
(予測)
2015年3月期
(実績)
増減率
(%)
売上高 230,000 226,956 1.3
営業利益 12,500 16,436 (23.9)
経常利益 14,500 23,619 (38.6)
当期純利益 8,500 14,467 (41.2)


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 4,459 3,616 3,401
-自動車および汎用計器事業 4,146 3,416 3,155

研究開発体制

-研究会開発活動は、R&Dセンター (新潟県長岡市)、NSテクニカルセンター (新潟県長岡市) を中核として、各事業分野を担当する量産製品の開発、設計組織および生産技術部門と連携して実施。

R&D体制の強化
-日本: 生産・開発体制の整備によるマザー機能の拡充
 2014年10月、本社敷地内に新実験棟が竣工、11月から本格稼働。電波ノイズ評価装置などを整備し、今後の高度化、複雑化する試験要求に対応する。

-海外: 大規模市場・成長市場を中心に、シェアの拡大を図るべく、生産体制の拡充及び設計の一貫体制確立により、ものづくり基盤を強化
 米国 「N.S. International, Ltd.」 では、デトロイトでエンジニアの増員を図り、2014年9月に新拠点が本格稼働。試験・試作機能を保有することで、北米で設計開発プロセスを完結できる体制の構築を進める。

研究開発活動

自動車および汎用計器事業
-ヘッドアップディスプレイ (HUD) 等の運転支援型情報表示システムの開発、および次世代HMI (ヒューマン・マシン・インターフェイス) 機器の開発
-スマートフォン連携技術の開発
>>>スマートフォン連携メーター (2015年人とくるまのテクノロジー展情報)
-車載用光学技術およびアクチュエーター技術の開発
-車載用センサー機器の開発

製品開発

-ヘッドアップディスプレイ (HUD)

  • Windshield HUD: 広画角、高輝度HUD、AR-HUD* の技術確立 *AR-HUD: 3次元で空間を表現するHUD、先進運転支援機能 (ADAS) の情報を実風景に重畳表示する
  • Combiner HUD: コンパクトカーの領域で拡販
  • 2PlaneHUD: 表示面を空間的に遠近2画面に切り分けた次世代HUD。表示像1はステータス情報 (車速、制限速度、標識情報、ACC設定情報など)。表示像2は運転支援情報 (ルートガイド、前方障害物警告 (FCW)、死角障害物警告 (BSW)) で必要な時にだけ表示。

-生体センサー: 身体情報、脈波、心拍、脳波、感情を図る。

-以心伝心コックピット (Advanced Safe-i system): 人の気持ちを 「理解」+「先読」+「提供」 できるインパネ
>>>以心伝心コックピットコンセプト (2015年人とくるまのテクノロジー展情報)

設備投資額

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 12,027 12,061 9,891
-自動車および汎用計器事業 9,384 9,520 8,127


自動車および汎用計器事業
-新機種対応および生産能力拡大、設備更新を目的とし、基板実装設備、計器組立設備の投資を実施。

-日本・本社 3,100百万円: 試験設備の増強、新機種対応
-米国 N.S. International, Ltd.: 1,690百万円: 設計開発拠点構築・強化
>>>「研究開発体制」 を参照

設備の新設計画 (自動車および汎用計器事業関連)

(2015年3月31日現在)
会社名
事業所名
(所在地)
設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了
予定

本社および本社工場
(新潟県長岡市)

基幹業務システム 2,200 2014年
12月
2019年
3月
エヌエスアドバンテック (株)
本社工場
(新潟県小千谷市)
成型および印刷設備 476 2015年
4月
2016年
3月
エヌエスアドバンテック (株)
長岡工場
(新潟県長岡市)
着色設備 211 2015年
4月
2016年
3月
エヌエスエレクトロニクス (株)
(新潟県長岡市)
実装設備 154 2015年
2月
2015年
8月
NSウエスト (株)
本社工場
(広島県庄原市)
実装設備 200 2015年
8月
2016年
1月
Nippon Seiki De Mexico S.A. De C.V.
(メキシコ ヌエボレオン州)
実装設備 149 2015年
1月
2015年
8月
NS Sao Paulo Componentes Automotivos Ltda.
(ブラジル サンパウロ州)
組立・検査設備 166 2015年
3月
2015年
10月