日本ピストンリング株式会社 2008年3月期の動向
ハイライト
業績 | (単位:百万円) |
2008年 3月期 |
2007年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 51,924 | 48,150 | 7.8 | -海外現地生産での供給能力拡大を進め、OEMへの拡販に取り組んだ結果、国内・海外関連会社とも新規受注を獲得。 |
営業利益 | 2,575 | 2,027 | 27.0 | -固定費の削減を中心とした原価低減活動を推し進めたが、減価償却制度変更による費用負担の増加や、原材料費の高騰等が影響。 |
経常利益 | 1,232 | 1,700 | (27.5) | |
当期純利益 | 532 | 743 | (28.3) | |
自動車関連製品事業 | ||||
売上高 | 45,469 | 42,092 | (1.7) | - |
営業利益 | 2,176 | 1,744 | (38.3) |
業務提携
-ドイツのピストンメーカー大手、KSコルベンシュミット(KS、ネッカースウルム)と業務提携契約を結んだと発表。中国市場などで、欧米系自動車メーカーへ対するモジュール部品のマーケティング活動や拡販で連携するほか、環境技術の共同研究などに取り組む。ピストンとピストンリングを中心に、関連部品のモジュール対応やシステム供給力を高め、グローバルレベルでシナジーを追求する。今回の提携は、エンジンの基幹部品であるピストン関連で、グローバルレベルで協業体制を築くのが狙い。欧州や米国系の自動車メーカーでは、ピストン、ピストンリングを中心にモジュール部品として調達する傾向が強まっており、欧米や中国などの主要市場で、こうしたニーズに対応する。(2007年9月13日付日刊自動車新聞より)
開発動向
研究開発費 | (単位:百万円) |
2008年3月期 | 2007年3月期 | 2006年3月期 | |
全体 | 1,655 | 1,705 | 1,811 |
自動車関連製品事業 | 1,588 | 1,637 | 1,739 |
研究開発活動
1. アルミボア用ピストンリング
-開発、量産実績から得られたアルミボア固有の技術的諸課題に対応するため、新技術の適用されたピストンリングの量産化開発を進めている。
2. 低フリクションピストンリング
-フォーミュラカーレース用リングの製造で培った高精度薄幅リングの設計や加工技術を適用することで、大径ボアエンジンで高精度リングの量産化開発を完了。
3. 耐久性にすぐれたディーゼルエンジン用ピストンリング
-Euro-VI、US10等の排ガス規制及び重量車燃費規制に対しては、新PVD皮膜技術等を適用し、排ガスと燃費の低減が両立できるピストンリング技術の開発を進めている。
4. バルブシート
-ガソリンエンジンでは低燃費希薄燃焼化対応材、ディーゼルエンジンでは排気ガス規制対応材、また昨今増えつつあるバイオアルコール燃料(E85等)に対応した各種バルブシートの開発に着手し、国内外の自動車メーカーへ量産中。
5. 組立式焼結カムシャフト
-ガソリンエンジンではVVT(可変動弁機構)搭載の高機能エンジン、ディーゼルエンジンでは乗用、商用トラック用に開発し量産採用が増えている。また、次世代型組み立て焼結カムシャフトの開発に成功し2006年より量産を開始している。
6. MIM製品
-MIM工法による軟磁性材料を開発し、燃料噴射制御装置(インジェクタ)部品の量産数量が増加。
7. 新規焼結製品
-エンジンブロックの高機能化ニーズに対応し、従来、鋳鉄ではアルミダイガストと密着性が困難だった強化材用の鉄基焼結合金材を開発し、アルミ材との複合化に成功。現在、ガソリン車へ量産中であり、2007年度から乗用ディーゼルエンジンにも採用。
8. シリンダーライナー
-新長期排ガス規制対応ディーゼルエンジン用ライナの量産化開発を推進し量産仕様を確立。また、今後の排ガス規制や燃費規制に対応するための新材料・複合化技術についても開発及び評価中。
開発強化
-エタノールを始めとした代替燃料対応車の普及の本格化をにらみ、エンジン関連部品の開発を強化する。代替燃料車では、エンジン燃焼温度が既存の車両と比べて上昇、エンジンバルブの着座部に挿入するバルブシートの摩耗防止に効果のあった燃焼成分の生成がなくなるため、対策が求められている。その解決に向けて、自己潤滑性の付与といった耐久性を改善する独自技術を実用化し、新規需要の吸収を目指す。代替燃料は、再生可能なクリーンエネルギーで、CO2の排出抑制に効果を持つ一方で、燃焼温度が高くなり酸化物を始めとした燃焼生成物が減少することにより焼結合金製のバルブシートの摩擦防止効果が低下、凝着摩耗が発生しやすくなる。バルブシートの耐久性改善については、自己潤滑性の付与を図るとともに、合金の成分見直し、せん断を高めるなどの対策を実現する考えだ。バルブシートは、同社の部品群の中では3番目となる約12%の売上高構成比を占める主力製品。2009年度にはグローバルの月産規模を、2005年度比30%増の1900万本に引き上げる計画だ。(2007年7月9日付日刊自動車新聞より)
技術供与契約(2008年3月時点)
相手会社名 | 国名 | 内容 | 契約期間 |
株式会社瑞進カム (Seoin Cam Co., Ltd.) |
韓国 | 焼結カムシャフトの製造法 | 1996年9月13日より量産開始後7年間 |
ヘナン ヅォングァン エンジン フィッテイング ストック社 (Henan Zhongyuan Engine Fitting Co.,Ltd. ) | 中国 | シリンダーライナの製造法 | 製品供給終了迄 |
儀征双環活取塞環有限今司 (Yizheng Shuang Huan Piston Ring Co., Ltd) |
中国 | ピストンリングの製造法 | 2012年12月31日迄 |
アイピー リングス社 (IP Rings) |
インド | オイルリングの製造法 |
2010年10月6日迄 |
窒化リングの製造法 | 2010年2月28日迄 | ||
スチールリングの製造法 |
2013年2月20日迄 |
||
組合せオイルリングの製造法 | 2011年11月30日迄 | ||
クロームメッキリング・鋳鉄リングの製造法 | 2013年3月31日迄 | ||
ジーケー エヌ シンターメタルス社
(GK S Sinter Metals) |
インド | 焼結合金バルブシートの製造法 | 2010年3月30日迄 |
設備投資
設備投資費 | (単位:百万円) |
2008年3月期 | 2007年3月期 | 2006年3月期 | |
全体 | 7,098 | 8,795 | 5,060 |
自動車関連製品事業 | 6,634 | 8,545 | 4,603 |
-国内関連設備投資:生産能力増強等
-海外関連設備投資:北米、インドネシアの製造拠点の立ち上げ、稼動に向けた設備投資
設備の新設 | (単位:百万円) |
会社名 | 所在地 | 設備内容 | 投資予定 総額 |
着工 年月 |
完了 年月 |
完成後の 能力 |
NPR Manufacturing Kentucky, LLC | 米国 ケンタッキー州 |
工場新設 | 5,500 | 2006.05 | 2011.06 | 1,800万本/年 |