日本ピストンリング株式会社 2006年度の動向

ハイライト

業績 (単位:百万円)
- 2007年3月期 2006年3月期 増減率(%) 要因
全社
売上高 48,150 48,773 (1.3) 下記1)参照
営業利益 2,027 3,452 (41.3) 下記2)参照
経常利益 1,700 3,394 (49.9)
当期純利益 743 2,161 -
自動車関連製品事業
売上高 42,092 42,807 (1.7) 下記3)参照
営業利益 1,744 2,821 (38.2)

要因
1)海外現地生産での供給能力拡大を進め、OEMへの拡販に取り組んだ結果、国内・海外関連会社とも新規受注を獲得したが、米国販売会社の決算期変更の影響、補修部品の受注減少等の影響により減収。

2)原価低減に努めたものの、海外生産子会社の立ち上げ及び新規製品の立ち上げ等により、営業利益および経常利益ともに減少。また、特別損失として関係会社株式消却損174百万円を計上したこと等により、純利益も減少した。


<自動車関連製品事業>
3)好調な輸出に支えられた国内自動車生産の増加や、新規部品の受注増等があったが、米国販売会社の決算期変更等の影響により、減収減益。

-ピストンリングは国内向けは、堅調な国内自動車生産に支えられ、ほぼ前年並みであったが、海外向けは米国販売会社の決算期変更と補修部品の受注減少等により、売上高22,044百万円と前期比1.5%の減少。

-シリンダライナは排ガス規制に伴なう代替需要の一巡によるトラック向けの減少や、北米向けの販売不振による減少に加え米国販売会社の決算期変更の影響を受けたことにより、売上高7,430百万円と前期比9.8%の減少。

-動弁機構部品は堅調な国内生産により組立式焼結カムシャフト、バルブシート等が増加したことにより、売上高12,618百万円と前期比3.6%の増加。

生産体制
2006年7月、インドネシアでのピストンリング製造を06年7月から開始すると発表した。2006年3月に全額出資生産子会社「PT・NPRマニュファクチャリングインドネシア」を同国東ジャワ州パスルアン市に設立しており、生産開始後は自動車エンジン基幹部品である鋳鉄ピストンリングなどについて08年度に月産約100万本規模で製造する計画。総投資額は約19億円、従業員数は約200人を予定。(2006年7月27日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発費 (単位:百万円)
- 2007年3月期 2006年3月期 2005年3月期
全体 1,705 1,811 1,738
自動車関連製品事業 1,637 1,739 1,669


主な研究成果
1. アルミボア用ピストンリング
-ガソリンエンジンのアルミボア用リング技術の実用化開発を進め、試作段階の開発評価が完了し、量産化開発を進めている。

2. 低フリクションピストンリング
-低張力でシール機能を満足するピストンリングの技術を確立し、ハイブリッド、小型ガソリンエンジンなどに量産採用。高精度リング設計、製造技術を適用することで、高出力ガソリンエンジンにおいても量産採用。さらに、フリクションロス低減のために必要な技術要素である、新材料、表面処理、設計技術の開発中。

3. 耐久性にすぐれたディーゼルエンジン用ピストンリング
-ディーゼルエンジンの排ガス規制に対応し、耐スカッフ性、耐摩耗性に優れた、PVD表面処理ピストンリングの量産拡大を図った。
-ポスト新長期、Euro-V等の排ガス規制及び重量車燃費規制に対して、高出力と燃費の両立のできるピストンリング技術の開発を進めている。

4. バルブシート
-ガソリンエンジンでは低燃費希薄燃焼化対応材、ディーゼルエンジンでは排気ガス規制対応材、また今後の代替燃料(バイオアルコール等)に対応した各種バルブシートの開発に着手し、国内外の自動車メーカーへ量産採用開始。

5. 組立式焼結カムシャフト
-ガソリンエンジンではVVT(可変動弁機構)搭載の高機能エンジン、ディーゼルエンジンでは乗用、商用トラック用に開発し、量産採用が増加。
-次世代型組み立て焼結カムシャフトの開発に成功し、2006年より量産を開始している。

6. MIM製品
-MIM工法による軟磁性材料を開発し、インジェクタ部品の量産増加。

7. 新規焼結製品
-強化材用の鉄基焼結合金材を開発し、アルミ材との複合化に成功。現在ガソリン車へ納入開始。

8. シリンダーライナー
-新長期排ガス規制対応ディーゼルエンジン用ライナの量産化開始。
-2008年度以降導入される、ポスト新長期、Euro-V等の排ガス規制、及び重量車燃費規制に対応するための新材料、表面処理、加工方法等も開発評価推進中。

新技術開発
アルミ合金製シリンダーブロックの課題の一つで、熱膨張によって軸受け部とクランクシャフトとのすき間が拡大して発生する振動や騒音を低減する新技術を開発した。補強用焼結材をブロックの軸受け面を囲むように鋳込み、がたつきの発生を抑制する“たが”の役割をさせる。研究開発が盛んな振動・騒音分野で、エンジン性能を向上させる高付加価値製品として拡販を図る。同社では「複数の自動車メーカーから引き合いがある」としており、需要拡大に期待している。(2006年12月13日付日刊自動車新聞より)

技術供与契約(2007年3月時点)

相手会社名 国名 内容 契約期間
株式会社瑞進カム
(Seoin Cam Co., Ltd.)
韓国 焼結カムシャフトの製造法 1996年9月13日より量産開始後7年間
ヘナン ヅォングァン エンジン フィッテイング ストック社 (Henan Zhongyuan Engine Fitting Co.,Ltd. ) 中国 シリンダーライナの製造法 製品供給終了迄
儀征双環活取塞環有限今司
(Yizheng Shuang Huan Piston Ring Co., Ltd)
中国 オイルリングの製造法 2012年12月26日迄
アイピー リングス社
(IP Rings)
インド オイルリングの製造法

2010年10月6日迄

窒化リングの製造法 2010年2月20日迄
スチールリングの製造法

2008年2月20日迄

組合せオイルリングの製造法 2011年11月30日迄
クロームメッキリング・鋳鉄リングの製造法 2008年3月31日迄
ジーケー エス シンターメタルス社
(GK S Sinter Metals)
インド 焼結合金バルブシートの製造法 2010年3月30日
ジーケーエヌ シープブリッジストークス社
(GKN Sheepbridge Stokes Ltd.)
英国 シリンダーライナの製造法
製品供給終了まで
カミサ エス エー社
(CAMISA S,A, DEC.V.)
メキシコ シリンダーライナの製造法
2007年2月6日迄

設備投資

設備投資費 (単位:百万円)
- 2007年3月期 2006年3月期 2005年3月期
全体 8,795 5,060 2,853
自動車関連製品事業 8,545 4,603 2,736

-国内関連設備投資:新規増産向け生産設備の増強等
-海外関連設備投資:中国のバルブシート製造拠点の立ち上げ稼動に向けた設備投資を重点的に実施

設備の新設 (単位:百万円)
会社名 所在地
設備内容
投資予定
総額
着工
年月
完了
年月
完成後の
能力
日環汽車零部件製造(儀征)有限公司 中国
江蘇省儀征市
工場新設 2,574 2005.01 2007.12 2,040万本/月
NPR Manufacturing Kentucky, LLC 米国
ケンタッキー州
工場新設 5,500 2006.05 2011.06 1,800万本/月
PT. NT Piston Ring Indonesia インドネシア
パスルアン市
工場新設 1,900 2006.09 2007.07 1,200万本/月
- 中国における自動車生産の拡大に伴ない2005年1月に会社を設立し量産を開始し、設備投資を実施している。
- 米国における現地生産により日系メーカーをはじめ、現地メーカーへの拡販を図るため、工場を建設中。
- インドネシアでの鋳鉄ピストンリングの製造を計画し、工場を建設中。