帝国ピストンリング 2006年度の動向
ハイライト
単位:百万円 | 2007年3月期 | 2006年3月期 | 増減率 (%) | 要因 |
全社 | ||||
売上高 | 52,307 | 48,507 | 7.8 | 国内の販売は横這いだったものの、海外グループ会社の業績が伸長。 |
営業利益 | 5,272 | 5,271 | 0.0 | 品種構成の変化、品質対応コスト増、設備償却費の増加等のマイナス要因をカバーし、前年並の利益を確保。 |
経常利益 | 5,849 | 5,848 | 0.0 | |
当期純利益 | 2,751 | 3,066 | (10.3) | 環境対策工事費用等の引き当て増加により、減益。 |
自動車関連製品事業 | ||||
売上高 | 39,383 | 36,725 | 7.2 |
下記参照 |
営業利益 | 3,946 | 3,982 | (0.9) | 主力製品であるピストンリング、シリンダライナの品種構成の変化等による利益率低下。 |
要因(自動車関連製品事業)
①ピストンリング事業:北米での生産販売が拡大したものの、アフターマーケット等の販売が減少したため、売上高は15,356百万円(対前年同期比0.9%減)。
②シリンダライナ事業:エンジンブロックのアルミ化に伴い、独自開発のアルミブロック用外周鋳肌ライナの需要が拡大し、売上高は18,849百万円(対前年同期比12.4%増)。
③焼結事業:国内需要はほぼ横這いだったが、中国拠点での生産販売は好調で、順調な業績を確保。
④アルミ事業:2輪車向けアルミホイールの売上が順調に伸長。
合理化活動
2006年度から08年度までの3カ年の中期経営計画で設定した合理化目標を、当初の2倍に引き上げる。05年度の2倍の合理化効果を目指した従来目標は、すでに中計初年度となる今期に達成した。ピストンリングを始めとした生産のグローバルなマザー機能を担う同社長野工場では、生産ラインの24時間稼働を導入したり、自動化率の引き上げといった体制を整えるなど、合理化に取り組んできた。今後は、そのノウハウをグローバルに展開していくとともに、長野工場からベトナム工場に一部製品の生産を移管するなど生産の役割分担を見直し、一層の合理化を図る。(2007年3月8日付日刊自動車新聞より)
バルブシートなどの焼結部品事業の収益向上に向けて、合理化への取り組みを強化する。エンジン関連部品などに活用される焼結部品は、日系自動車メーカーのグローバル生産の増強に伴い需要が伸びているほか、将来は用途の拡大が見込まれている。ただ、同分野は現在、銅粉を始めとした素材の価格上昇に伴い採算が厳しくなった。こうした中、生産効率の改善を実現して優位性を確保し、競争力を高める。(2007年3月27日付日刊自動車新聞より)
新会社設立
2006年8月、ベトナムに全額出資の生産子会社を設立。新生産拠点「TPRベトナム(TPRV、仮称)」は資本金500万ドル、ビンズン省ホーチミン市の北方32キロメートルに建設。同工場では、鋳鉄製ピストンリングを年産3千万本製造する計画。生産開始時期は07年7月を予定する。従業員数は200人を予定している。
2006年9月、大連鼎鑫特鋼製品有限公司及び安慶環新集団有限公司(Anqing Huanxin Group Co.,
Ltd.)との合弁で中国での特殊合金材料加工製造、販売の大連伯新特鋼制品有限公司(Dailian Bo Xin Te Gang Zhipin Co.,Ltd)を設立。
>>>設備投資欄参照
今後の課題
2009年3月期を終期とする「09中計」を策定。09中計の主要戦略及び最終年度到達目標値は以下の通り。
<主要戦略目標>
① ピストンリング、シリンダライナ、焼結製品等の主力商品の売上拡大
② グループ全拠点の“ものづくり力”の向上と革新的コストダウン
③ グローバルな事業活動を支える“人づくり”
④ 世界No.1技術・商品の開発
⑤ グローバルな品質保証体制の確立
⑥ グローバルな調達の推進
⑦ CSRの推進
⑧ 新事業の育成
<最終年度到達目標値>
(連結)
売上高: 60,000百万円
営業利益: 5,800百万円
経常利益: 6,800百万円
開発動向
開発の主な成果(自動車関連製品事業)
①エンジン部品
Ⅰ ピストンリング
・超低フリクションリングの開発。(DLCコーティング処理)
・薄幅高機能オイルリングの開発。(高追従性、高耐久性)
・ピストンリング革新的コストダウン製造ラインの構築取り組み。
Ⅱ シリンダライナ
・超薄肉アズロック遠鋳鋳鉄ライナの開発。(ブロックのコンパクト化)
・超軽量、高熱伝導ライナの開発。(アルミライナ)
Ⅲ バルブシート
・高耐摩耗バルブシート材料の開発。(代替燃料対応)
②その他の製品
Ⅰ アルミ製品:バイク用アルミホイール用新鋳造方案構築及び設備導入実施。
Ⅱ 焼結機械部品:ショックアブソーバー部品の寸法精度改善工法開発。
研究開発の基盤整備
①単体機能評価試験、エンジン実機評価設備の整備拡充。
②シミュレーションシステム構築の推進。
③設計開発支援システム構築取り組み。(ピストンリング)
設備投資
・自動車関連製品事業においては、ピストンリング、シリンダライナの生産能力増強とコストダウンのための合理化投資を中心に5,807百万円の設備投資を実施。
・その他製品事業においては、生産設備の効率化、維持更新など731百万円を実施。
中国の現地企業と合弁で遼寧省に特殊合金材料を製造する工場を新設すると発表した。07年1月から金型用線材やモーター用軸材を生産する計画で、総投資額は1千万米ドル。特殊合金材生産のため設立する合弁会社は「大連伯新特鋼製品有限公司」で、9月中に設立する予定。資本金は600万米ドルで、出資比率は現地企業のDDXが42・0%、同社が34・8%、安慶環新集団有限公司が23・2%。新会社は中国遼寧省大連市大連経済開発区に工場を建設し、特殊合金材料を加工・製造する。従業員数は150人の予定。新工場では、金型用線材やモーター用軸材を2010年に月産400トン生産する計画。(2006年9月19日付日刊自動車新聞より)
設備の新設(自動車関連製品事業)
会社名・ 事業所名 (所在地) |
設備の内容・ 目的 |
投資予定 金額 (百万円) |
着手予定 年月 |
完了予定 年月 |
完成後の 増加能力 |
本社長野工場 | ピストンリング生産設備 | 1,432 | 2007年4月 | 2008年3月 | 3%増加 |
本社岐阜工場 | 焼結製バルブシート生産設備等 | 280 | 2007年4月 | 2008年3月 | 10%増加 |
TPRベトナム社 | ピストンリング生産設備 | 607 | 2007年4月 | 2008年3月 | 当期より操業予定。 |
施設の改修(自動車関連製品事業)
会社名・ 事業所名 (所在地) |
設備の内容・ 目的 |
投資予定 金額 (百万円) |
着手予定 年月 |
完了予定 年月 |
完成後の 増加能力 |
本社長野工場 | ピストンリング生産設備の合理化 | 1,591 | 2007年4月 | 2008年3月 | 生産能力に影響を及ぼさない |
テーピ工業㈱ | シリンダライナ生産設備の合理化 | 900 | 2007年4月 | 2008年3月 |