株式会社ジェイテクト 2009年3月期の動向

ハイライト

業績 (単位:百万円)
  2009年
3月期
2008年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 1,017,071 1,157,594 (12.1) -急激な生産・販売量の減少。
営業利益 22,370 77,650 (71.2) -急激な需要減による売上高の減少に加え、円高および原材料等の価格上昇などの影響。
経常利益 11,109 72,896 (84.8)
当期純利益 (11,954) 43,446 -
機械器具部品事業
売上高 830,608 954,968 (13.0) -自動車業界向けをはじめとして、国内、海外とも売上が減少。
営業利益 10,837 59,569 (81.8) -


受注
-自社開発したCVT用チェーンを初受注し、9月から国分工場(大阪府柏原市)で量産を開始する。海外の変速機メーカーから受注したもので、月間1千台分の規模で生産を立ち上げる。少量ながら初の量産に入ることで、本格的な事業化に向けた取り組みを進める。量産を始めるCVT用チェーン「ジェイテクト・インボリュートチェーン」(J-IC)は、既存の金属ベルト式とチェーン式のメリットを合わせ持つ、高効率・高トルク対応、低騒音のチェーンで、これまでに国内外で商品化例はなかった。(2008年6月3日付日刊自動車新聞より)

-印タタ自動車が年内にインドで発売する超低価格車「ナノ」のマニュアルステアリングを受注した。現地の合弁生産会社、ソナ・コーヨー・ステアリングシステムズ(ハリアナ州グルガオン市)が生産する。これまで同社とタタ自との取引は同合弁会社の売上高の数%程度にとどまっていた。タタ自がナノの部品調達をダブルソーシング(2社調達)にする方針であることから新規の受注につながった。同社がタタ自から受注したのは、油圧や電動によるパワーアシスト機構を持たないステアリングギア。補助動力がないためパワーステアリングに比べ操作性が低下するが、仕組みが簡素なため低価格にできる。(2008年7月4日付日刊自動車新聞より)



2009年度の事業計画 (単位:百万円)
  2010年3月期 対前年度比 (%)
全社
売上高 770,000 75.7
営業利益 (20,000) -
経常利益 (22,000) -
当期純利益 (23,000) -
設備投資額 38,000 74.4
減価償却額 52,000 93.1
機械器具部品事業
売上高 665,000 80.1

2009年度の地域別売上高 (注) (単位:百万円)
  2010年3月期 対前年度比 (%)
日本 430,000 79.7
欧州 130,000 64.7
北米 95,000 65.2
アジア・オセアニア 100,000 85.6
その他 15,000 104.3
(注)外部顧客に対する売上高である。


2009年度 グローバル生産体制の再構築

-需要変動に柔軟に対応できる生産拠点再編の検討

<欧州>
ステアリング:フランス生産拠点の再編と東欧への生産拠点シフト

<アジア>
軸受:東アジア生産拠点の再編

<米州>
ステアリング・軸受:北米生産拠点の再編

工場間の寄せ止め・サプライチェーン再構築の推進

<北米>
テキサスからテネシーへギア用部品加工ライン移設
バージニアからテネシーへギアライン移設
サウスカロライナから日本へダンパプーリ移設

開発動向

研究開発費 (単位:百万円)
  2009年3月期 2008年3月期 2007年3月期
全社 29,056 30,857 29,957


研究開発拠点 (国内)
拠点名 所在地
研究開発センター 奈良県橿原市
大阪府柏原市
愛知県刈谷市


研究開発活動

ステアリング部門
-コラムタイプの電動パワーステアリングに全長を変えずに電動チルトテレスコ機能を搭載した商品を2008年11月に高級ブランド車両向けに市場投入した。

-安全・安心対応商品として、部品の万一の故障時にもアシストを継続させる安心機能を搭載した電動パワーステアリングを2008年12月に市場投入した。さらにさまざまな故障パターンへの対応技術を開発している。

-操舵安定性向上の顧客ニーズに対しては、高い剛性感と外乱吸収機能を併せ持ったインターミディエイトシャフト(ステアリングコラムとギヤボックスをつなぐ連結軸)をベアリングの設計技術を応用した高剛性直動型スライド構造により実現し、2008年12月から市場投入した。

-重量2トン超のSUVに対応可能なアシスト力を確保すると同時に、搭載性を高めた電動パワーステアリング(EPS)を開発した。ステアリングシャフトと一体配置することが通例だったアシスト用モーターを独立させて、ラックギアと並行に配置する「パラレル型EPS」とする。エンジンルーム内に配置する部品としてはサイズが比較的大きく、搭載場所が限られがちなモーターの配置の自由度を高められるので、幅広いモデルに適用できる。重量級のSUVや大型セダンなどの燃費改善につながるユニットとして提案し、同分野の拡販に結びつける。(2008年5月30日付日刊自動車新聞より)

ベアリング・駆動系部品部門
<ベアリング>
-ハイブリッド自動車用の高速回転玉軸受を開発した。ハイブリッド自動車用動力機構の回転部で遠心力による保持器の変形を抑制し高速回転対応を可能とした。

-変速機等の小型化・高効率化に寄与するベアリングとして、超小型の低トルクスラスト針状ころ軸受を開発した。変速機の小型化に伴い短いころの使用に対応したもので、最大60%の低トルク化とあわせ20~30%の軽量化を達成した。

-ハブユニットについて、軽自動車向けの超軽量・超低トルクハブユニット、普通車向けではブレーキ性能安定化のための高剛性ハブユニットを開発した。

-ABSセンサーを本体に内蔵し軽量化につなげた駆動輪用のハブユニットを開発した。設計を見直して防水部品を不要にするなど部品点数、工数を削減してコストダウンを実現した。内蔵タイプにすることで、ABSセンサーの取り付け台座をなくし、ダウンサイジングした。センサーカバーとドライブシャフトの隙間を詰める「ラビリンス構造」を採用して、防水性の確保に必要だったデフレクタを廃した。(2008年7月5日付日刊自動車新聞より)

-軽自動車向け「超軽量・超低トルクハブユニット軸受」を開発、2010年度の量産を目指す。小型車、軽自動車ニーズが拡大し搭載部品の軽量・小型化や、低トルク化商品の開発が急務となっている。それらのニーズを吸収し、環境に配慮した製品としてハブユニット軸受を新開発した。新製品の量産開始は2009年10月の予定。年間販売目標は金額ベースで14年までに22億円規模とする。(2008年12月6日付日刊自動車新聞より)

<駆動系部品>
-新開発のコンパクトなセンタデフ用トルセンの搭載を拡大。2007年度の高級ハイブリッド乗用車への搭載に続き、高級乗用車用の4WD車にも搭載が拡大。

-高級クロスオーバーSUV車向けに高い走破性を実現する4WDカップリング(ITCC)を開発し、2009年1月から量産を開始した。今回の開発品は、大型車においても滑りやすい路面での過酷な使用で十分に性能を発揮できるよう従来品より耐久性を向上し、十分な付加能力を確保。

設備投資

設備投資額 (単位:百万円)
  2009年3月期 2008年3月期 2007年3月期
全社 51,104 58,912 60,303
機械器具部品事業 44,204 54,411 53,053


設備の新設計画
事業所名 所在地 設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了
予定
国分工場 大阪府
柏原市
機械器具部品製造設備 等 6,600 2009年
4月
2010年
3月
香川工場 香川県
東かがわ市
機械器具部品製造設備 等 2,400 2009年
4月
2010年
3月
刈谷工場 愛知県
刈谷市
機械器具部品製造設備 、工作機械製造設備等 1,200 2009年
4月
2010年
3月
ダイベア(株)
本社・堺工場
ほか
大阪府
堺市
機械器具部品製造設備 等 1,400 2009年
4月
2010年
3月
Koyo Corporation of USA アメリカ
サウスカロライナ州
機械器具部品製造設備 等 1,100 2009年
1月
2009年
12月