クラリオン (株) 2011年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
   2011年
3月期
2010年
3月期
増減率(%) 要因
全社
売上高 178,318
174,762 2.0 -国内では上期まで実施されたエコカー補助金制度による自動車販売の特需があったものの、下期以降はその反動により大幅に販売が減少。さらに、東日本大震災により3月の新車販売台数は前年同月比過去最大の下落率となった。
-米州及び中国を筆頭としたアジア地域での新車販売台数は前期比で増加し、OEM市場を中心として好調に推移。
営業利益 4,936
624 690.5 -部品供給の逼迫問題に起因する機会損失と輸送費等一部の費用の増加。
-東日本大震災に伴う売上の減少。
-固定費の抑制及び変動費低減活動の強化により原価率が改善。
経常利益 4,153
47 8736.2
当期純利益 1,383
549 151.9
自動車機器事業
売上高  161,605 156,372 3.3 -

事業提携

-自動車におけるスマートフォンの活用に向けてノキアと技術提携。ノキアが提唱する携帯端末と車載機器連携用規格「Terminal Mode」の開発で協力する。クラリオンはこの連携を通じて業界標準としてノキアと標準化団体「コンシューマー・エレクトロニクス・フォー・オートモー ティブ(CE4A)」が提案中のスマートフォンインターフェースの開発に共同で取り組む。また、ノキアが自社で設けているスマートフォン向けのオンライン アプリケーションストア「Ovi Store」を活用した車載機器向けアプリケーションサービス事業の構築も目指す。ノキアが強固な市場基盤を持つ欧州や北米に加え、中国、新興国市場に向 けた車載情報システムの開発を加速し、商圏の拡大を狙う。 (2010年6月23日付日刊自動車新聞より)

工場閉鎖

-フィリピン連結子会社Clarion Manufacturing Corporation of the Philippines(CMCP)を閉鎖すると発表した。CMCPは1990年よりカーオーディオ、カーラジオを生産し、主に北米・欧州・日本へ輸出し てきた。CMCPは2011年1月に生産終了、同年3月に清算開始する予定。これにより、同社は2011年3月期の第3四半期において、533百万円の特 別損失を計上する。なお、同社は中国工場を拡大するなど、グローバル生産拠点の再編を現在実施している。(2010年11月24日付プレスリリースより)

>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

2012年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 増減
売上高 176,500
178,318 (1,818)
営業利益 3,500
4,936 (1,436)
経常利益 2,000
4,153 (2,153)
当期純利益 1,200 1,383 (183)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2011年3月期 2010年3月期 2009年3月期
全社 142
86 1,596

研究開発活動

IVCS・カーナビゲーション分野
-カーナビゲーションには外部と繋がる機能、ネットワークとクラウドを活用した新しい車載器サービスの拡大、例えばGoogleとの連係機能(Google Local Search、Send to機能)を搭載した。 
-低価格の実現、高効率開発の対応、 容易なカスタマイズ、機能アップ実現可能なHMI(Human Machine Interface)、ソフト/アプリ更新・追加が可能にするUpgradability、全方位スマートフォン連携やサーバーとの協調が可能な Connectivityの実現等を基本コンセプトにGPF(Global PlatForm)開発に着手し、商品化を目指している。

カーオーディオ分野
-CDメカニズムを搭載せず、USB・Bluetooth接続で音楽再生ができるカテゴリのモデルを投入し、市場に普及している携帯電話の拡張機能の一環としても利便性と新規性を提案している。

特機事業
 -路線バス分野において、メモリーカードを用いた普及価格帯のドライブレコーダーを開発。最長600時間の録画時間、カメラ映像記録、音声同時記録等の機能を搭載しており、ネットワーク オートガイドシステムとの連携機能により、目的のバス停留所付近の映像を簡易にサーチする機能等、路線バスのニーズに適したソリューションを提供している。
-早稲田大学などが開発した、先進電動マイク ロバスWEB-3(Waseda advanced Electric micro Bus)にクラリオンのバスロケーションサービスを無償提供した。

製品開発

車載用フルデジタルスピーカー
-車載用フルデジタルスピーカーを開発。これにより、完全デジタルの新カーオーディオシステムが実現する。今回開発したスピーカーは、デジタ ル信号処理技術「Dnote」とクラリオンの車載音響技術を融合し開発。CDなどのデジタル信号を直接スピーカーに入力し再生することで、音源のデジタル 音質をそのままの高音質な状態で再生できる。また、駆動電圧を従来の半分以下、消費電力を約1/8に抑えるなど大幅な省電力を実現する。省電力が求められる電気自動車、ハイブリッド車、アイドリングストップ車等に最適な高音質カーオーディオシステムの製品化を目指していく。(2011年3月10日付プレスリリースより)

カメラ画像処理技術

-日産自動車がアラウンドビューモニターや移動物検知に活用しているカメラ画像処理技術のライセンスをクラリオンに供与。同技術は両社が共同開発したもの。クラリオンは日産の承諾無しに他社へ販売することが出来なかった。日産は、知的財産を積極的に活用して売り上げを増やす取り組み の一環として供与を決めた。クラリオンは今後、他の自動車メーカーなどに対してアラウンドビューモニターと移動物検知システムの提案活動を行うことが可能 になる。(2011年2月15日付日刊自動車新聞より)

技術導入契約

(2011年3月31日現在)

相手先 国名 内容 契約期間
ディスコビジョン・アソシエイト
(Discovision Associate)
米国 光学系ディスクプレーヤーの製造技術

1994年12月01日-
許諾特許権満了日

財団法人道路交通情報通信システムセンター 日本 VICS技術情報の使用に関する契約 1995年11月28日-
両当事者での
終了確認日

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2011年3月期 2010年3月期 2009年3月期
全社 1,601
1,946 5,796
自動車機器事業  - 1,725 5,487

自動車機器事業
-中国工場の生産設備更新、新機種生産のための金型等へ投資。

海外投資

-タイに新工場を建設すると発表。成長するASEAN地区での売り上げ拡大を目指し、中国生産の一極集中を回避する。インドや欧州向けの輸出拠点として活用するとともに、関税メリットも生かす。同社が45%を出資する関連会社「クラリオン・マレーシア(CM)社」の子会社、「サイアム・シー エム・エレクトロニクス(SCE)社」が発行する新株を引き受ける。SCE社は社名を「クラリオン・アジア(タイランド)」に変更する予定で、タイのイー スタンシーボードIIに新工場を建設。2012年4月に操業を開始する。(2011年2月25日付日刊自動車新聞より)