株式会社エクセディ 2006年度の動向

ハイライト

業績 (単位:百万円)
単位:百万円 2007年3月期 2006年3月期 増減率(%) 要因
全社
売上高 166,745 153,058 8.9 -
営業利益 16,670 14,902 11.9
経常利益 17,378 15,735 10.4
当期純利益 10,497 9,353 12.2
MT事業(手動変速装置関連事業)
売上高 50,913 49,311 3.2 国内は横這いで推移したが、アジア地域では続伸。
営業利益 7,054 6,024 17.1 アジア地域での売上高の増加と徹底したコストダウンにより、増益。
AT事業(自動変速装置関連事業)
売上高 99,659 89,907 10.8 国内自動車メーカー向けの販売増加、米国での新製品立ち上げにより、堅調に推移。
営業利益 8,366 7,981 4.8 アルミニウム、銅等の素材価格の増加があったものの、売上高の増加等により、増益。

海外事業
北米での収益体質を強化する。自動変速機(AT)用トルクコンバーターの生産能力増強と並行し、これまで社外から調達していた構成部品などの内製化を加速する。これまで46%だった部品の内製化比率を早期に国内並みの5割強に引き上げる。トルコンを生産するエクセディ・アメリカ(EAC、テネシー州マスコット)、摩擦材のダイナックス・アメリカ(バージニア州ローンノーク)に2007年度は20億円を投じ、増産および内製化に向けた設備投資を行う。同社の北米事業は、主力となるフォードや日産向けをはじめ、直接・間接を合わせ大半の自動車メーカーに供給してきたが、2006年からGM、フォードの新型6速ATに大型供給が始まったことで事業が急拡大しつつある。EACの07年3月期売上高は、当初85億円を予定していたが110億円に拡大する見通し。しかし、米国では鉄・アルミなどの原材料価格は高止まりしたままで、収益面では数量増の恩恵を十分に受けられていないのが実情。このため、収益向上には内外製の見直しが不可欠と判断した。(2007年2月23日付日刊自動車新聞より)

開発動向

- 2007年3月期 2006年3月期 2005年3月期
研究開発費(百万円) 3,552 3,714 3,945
研究開発スタッフ(名)
(総従業員対比)
255
(4%)
271
(5%)
276
(5%)


MT事業: 877百万円
・マニュアルクラッチ関係では、環境問題・低燃費に対応した希薄燃焼型エンジンや直噴ディーゼルエンジンから生じる振動を効率的に吸収する高性能ダンパー、2マスフライホイールなどを開発中。
・商用車では、クラッチ操作の自動制御のためのコンピューターユニットや、その指令に従って正確にクラッチをコントロールするアクチュエーターユニット、クラッチシステムなどの製品開発を推進中。


AT事業: 1,449百万円

・トルクコンバータに関して、内部の油の流れを解明し、性能改善につなげる研究を最新のコンピュータシステムを駆使して実施。具体的には、小さなスペースに収めやすい形状でありながら伝達効率の高いトルクコンバータの開発を継続的に進めており、これらの研究成果に基づく新製品により新たな受注を獲得。
・ハイブリッド車用に、エンジン/モータ切替え時に発生する振動を吸収するダンパー装置、エンジンへの過大負荷入力を防止するトルクリミッターなどの新製品分野の開発も行っている。



技術援助契約 (2007年3月時点)

国名 契約先 契約内容 契約期間
ドイツ J・M・フォイト社(J M Foito) 湿式タイプ2分割フライ
ホイールの製造技術
1992年1月1日より
15~20年間
ドイツ ルークラメレンウントクップルングスバウ(LuK GmbH & Co) 湿式タイプ2分割フライ
ホイールの特許実施権
1995年1月17日より
特許有効期限まで
日本 ヴァレオユニシアトランスミッション株式会社(Valeo Unisia Transmission ) フレキシブルフライ
ホイールの特許実施権
2000年1月31日より
特許有効期限まで

技術供与契約 (2007年3月時点)

国名 契約先 契約内容 契約期間
韓国 現代自動車株式会社 オートマチック用トランスミッションの部品製品に関する技術援助契約、技術指導 1989年12月28日より
2008年4月24日まで
韓国 起亜自動車株式会社 オートマチック用トランスミッションの部品製品に関する技術援助契約、技術指導 1992年12月17日より
2009年4月21日まで
韓国 株式会社瑞進クラッチ
(Seojin Clutch Corporation)
クラッチの特許実施権 1997年11月13日より
特許有効期限まで
インド シーケーダイキンリミテッド
(Ceekay Daikin Limited)
クラッチ製造に関する技術援助契約、技術指導 2004年10月07日より
10年間
アメリカ エクセディアメリカコーポレーション
(EXEDY America Corporation)
トルクコンバータ、クラッチ製造に関する技術援助契約、技術指導 2004年12月01日より
10年間
アメリカ ダイナックスアメリカコーポレーション
(DYNAX America Corporation)
オートマチックトランスミッション用部品製造に関する技術援助契約、技術指導 1997年01月01日より
許諾製品の製造販売が終了するまで
オーストラリア エクセディオーストラリアPTY. リミテッド
(EXEDY Australia Pty. Ltd.)
クラッチ製造に関する技術援助契約、技術指導 2002年12月01日より
5年間
ハンガリー ユーロエクセディクラッチリミテッド
(Euro EXEDY Clutch Ltd.)
クラッチ製造に関する技術援助契約、技術指導 2000年10月01日より
当該会社の存続期間まで
タイ エクセディ(タイランド)カンパニー リミテッド
(EXEDY (Thailand) Co., Ltd.)
クラッチ製造に関する技術援助契約、技術指導 2005年03月27日より
5年間
タイ エクセディフリクションマテリアルカンパニーリミテッド
(EXEDY Friction Material Co., Ltd.)
クラッチ用摩擦材の製造に関する技術援助契約、技術指導 1998年01月14日より
10年間
マレーシア エクセディ(マレーシア)SDN. BHD.
(EXEDY (Malaysia) Sdn. Bhd.)
クラッチ製造に関する技術援助契約、技術指導 2006年01月22日より
5年間
中国 愛思帝(重慶)駆動系統有限公司
(EXEDY Chongqing Co., Ltd.)
クラッチ製造に関する技術援助契約、技術指導 1995年12月09日より
2025年06月17日まで
中国 愛思帝(上海)駆動系統有限公司
(EXEDY (Shanghai) Co., Ltd.)
クラッチ用摩擦材、トルクコンバータ製造に関する技術援助契約、技術指導 2006年05月01日より
10年間
インドネシア P.T. エクセディインドネシア
(P.T. EXEDY Indonesia)
クラッチ製造に関する技術援助契約、技術指導 2005年10月19日より
5年間
台湾 台湾厚木工業有限公司(TAMP AUTO PARTS IND. CO., LTD) クラッチ製造に関する技術援助契約、技術指導 2004年06月09日より
5年間
コロンビア ボーネム社(Bonem ) クラッチ製造に関する技術援助契約、技術指導 2005年07月01日より
5年間

設備投資

単位:百万円 2007年3月期 2006年3月期 2005年3月期
設備投資費 12,640 12,978 10,360
MT事業 2,352 2,782 2,821
AT事業 9,477 9,314 6,427

MT事業
-本社及びアジア子会社での合理化及び更新投資
AT事業
-本社及び米国子会社での増産対応等による投資

中国(上海)にトルクコンバーターの新工場を建設する。2005年6月に摩擦材(フェーシング)の生産を開始した「愛思帝(上海)複合摩擦材」(エクセ ディ・フリクションマテリアル、上海市)の敷地内に、2006年末にも6億円を投じて工場建屋を着工する。詳細は未定ながら、同工場の敷地内に約4万平方 メートル規模のトルコン工場を建設する計画。08年度初頭から生産を開始、中国国内の日系メーカー向けに月間1万個を供給する。またペーパーフェーシング など自動変速機(AT)部品の子会社ダイナックスが持つ達耐時工業(上海)と上海達耐時汽車配件の2子会社のうち、短期リースの土地で運営してきた上海達 耐時を閉鎖。愛思帝に新設する工場棟にトランスミッション用ペーパーフェーシング(湿式摩擦材)の生産ラインをすべて移管する。今回の新設・統合により、 中国の生産拠点を上海2工場と重慶市の3カ所に再編する。(2006年6月21日付日刊自動車新聞より)

ハンガリー工場を07年中にも移転・新設し、生産規模を倍増する。現工場から1・5キロメートル離れた工業団地内に建設用地を確保、建て屋・設備などを一 新する。総投資額は約3億円で、大半をハンガリー子会社の増資で賄う。マジャール・スズキなど欧州現地メーカーからの増産要請に対応するとともに、将来的 な需要拡大が見込めるロシア・ウクライナ向け補修クラッチの生産にも着手する。東欧・ロシア圏までを視野に入れた欧州の中核生産拠点に位置付ける。移転・ 新設するハンガリー工場は「ユーロ・エクセディ・クラッチ」(EEC、タタバーニャ市)。同市内での移転となるが、現在のほぼ2倍となる約1万5千平方 メートルの工場敷地を確保し、2007年初頭にも着工する。建て屋面積は2500平方メートルとなる予定。(2006年7月18日付日刊自動車新聞より)

08年3月期に国内外で150億円規模の設備投資を行う。自動変速機(AT)や無段変速機(CVT)向けトルクコンバーターが国内外で増産を迫られてお り、日本・米国で生産能力を増強する。中国など新興市場でクラッチ部品も増産する。150億円は過去最高水準で2期連続。投資が償却を上回るのは、03年 度以降これで5期連続となる。来期の設備投資は、国内で約90億円、海外で60億円を予定。国内外の自動車生産拡大で増強を続けてきたトルコン工場の上野 事業所(三重県伊賀市)をさらに増設し、トルコン生産ラインの新設、変電設備の刷新などで60億円を投じる。クラッチ関連の子会社ダイナックス(北海道千 歳市)の2工場にも、約20億円をかけてクラッチディスクの生産ラインを新設。海外でも、GM、フォード向けの供給が始まったエクセディ・アメリカ (EAC、テネシー州マスコット)に20億円の増産投資を行うほか、ATの摩擦材を生産してきた中国のエクセディ上海(ESC)に、約10億円をかけてト ルコンの生産ラインを新設、摩擦材も増産する。(2007年1月31日付日刊自動車新聞より)