アルプス電気株式会社 2008年3月期の動向

ハイライト

業績
単位: 百万円 2008年3月期 2007年3月期 増減率(%) 要因
全社
売上高 692,656 708,126 (2.2)

-

営業利益 19,876 22,077 (10.0) -
経常利益 13,123 24,631 (46.7) 急激な円高による為替差損の増加などにより減益
当期純利益 4,418 4,918 (10.2) -
電子部品事業
売上高 391,424 396,447 (1.3) 生産終息を予定しているHDD(ハードディスクドライブ)用ヘッドの売上高が大幅に減少したが、車載電装事業をはじめとした4事業で減少を補い、売上高では若干の減収、営業利益では20%の増益となった。
営業利益 6,318 5,264 20.0

電子部品事業内の自動車部品関連業績
1. コンポーネント事業
・部門の売上高は、99,900百万円で、前期比7.9%増。
・自動車の安全性や燃費向上に貢献するセンサやスイッチなどが増加。

2.情報通信事業
・部門の売上高は、56,100百万円で、前期比3.4%増。
・自動車関連では、高周波技術と車載電装ビジネスで蓄積した強みを活かした車載用BluetoothTMモジュールが、運転中における携帯電話使用禁止の法制化に伴い、ハンズフリー通話機器向けやカーナビゲーション向けに売上を伸ばした。

3. 車載電装事業
・部門の売上高は、109,000百万円、前期比12.3%増。
・多機能化の要請に応えたステアリングモジュールや前面操作用パネルモジュールなどの特長ある製品が伸長、売上が増加。



開発動向

研究開発費用

単位: 百万円 2008年3月期 2007年3月期 2006年3月期
全社 42,255 46,804 42,829
電子部品事業 15,015 18,002 16,604

電子部品事業
英ケンブリッジ大学、米マサチューセッツ工科大学を始め、国内外の大学や研究機関等とのコラボレーションを図るとともに、プロセス・電子部品の技術開発等を行う事業開発本部と、各製品事業領域で市場密着型の製品開発を行う事業部の開発・技術部門を中核とし、研究開発を展開。

1. コンポーネント事業:オプト関連では、車載用カメラモジュール、FTTH用の光通信モジュールの開発を進めている。また、360度セキュリティカメラの量産を開始。

2. 情報通信事業:自動車関連では、ハンズフリーの要求される車載機器に向けて各種ソフトを搭載した高性能なBluetoothTMモジュールや小型・薄型ニーズに対応した高速無線LANモジュール及びBluetoothTM・無線LANのコンビネーションモジュールを開発し、量産を開始。

3. 車載電装事業: 固有技術・要素技術を応用した製品を通じて、HMI (Human Machine Interface)領域において、入力、コミュニケーション、センサの各デバイスを機軸に部品から統合システム製品まで研究開発を展開。
<開発項目>
-インパネ、ステアリング、センターコンソール、オーバーコンソールの四つのエリアにハプティック技術、静電容量検出技術、カメラ技術等の独自技術を応用したAI (ALPS Innovative)コックピットの開発
-バイワイヤ技術の先行開発
-車体制御機能に対応する磁気応用高精度舵角センサの開発
-バッテリーレスタイヤ空気圧モニタリングシステムの基礎開発
-磁気センサを応用した非接触式パワーウィンドウモジュール及びステアリングモジュールの実働サンプルの製作
-車両搭載機器用組込みソフトの生産性向上に向けて、MBTDD(Model Base Test Driven Development)技法を用い、ソフトウェア技術の改善とプログラム自動生成技術の開発を推進。


製品開発
静電容量式圧力センサー「HSPCシリーズ」を開発した。静電容量式圧力センサーは、絶対圧を測定する装置で、自動車のタイヤ空気圧監視システム、気圧計、血圧計などの用途がある。2007年10月から「HSPCシリーズ」のサンプル出荷を開始。静電容量式圧力センサーは、気圧、血圧、その他の圧力を静電容量の変化を基に検知する。圧力がかかることにより可動電極を取り付けた「ダイヤフラム」と呼ばれる膜がたわみ、固定電極間の静電容量に変化が生じる。その静電容量の変化を検知して圧力を測定する仕組み。静電容量式圧力センサーは、一般に、圧力変化感度が高く、消費電流が低いのが特徴。「HSPCシリーズ」には、数年におよぶ技術開発での成果が集積されており、外形寸法が縦4.8mm×横4.8mm×厚み1.8mmというコンパクト化を実現、静電容量式圧力センサーとしては業界最小という。また、パッケージには、温度特性に優れたセラミック素材を採用しており、幅広い動作温度にも対応できる。(2007年7月31日付プレスリリースより)

車室内のマップランプやハザードランプ用のスイッチとして、プッシュロックタイプの車載用プッシュスイッチ「SPEFシリーズ」を開発したと発表した。2007年11月よりサンプル出荷を開始する。本製品は、スイッチの操作部を押し込み、オン位置でロックし、再び押すことで初期位置に戻るプッシュロック機構を持つ、車載用プッシュスイッチ。可動部には、同社独自のラチェットカム構造を採用し、回転ガイドとガイドに組み合わせるカムの山を滑らかにすることで静粛性を達成した。又、この構造により、スムーズな操作感も生み出している。本シリーズでは、プッシュスイッチとして同社初の表面実装タイプを追加、これまでのディップ3方式に加え、セット製品のはんだ付け方法の選択肢を広げている。更には、微細加工技術を用い、薄型・小型化(縦9.4mm×幅9.0mm×高さ6.9mm)も実現した。(2007年9月20日付プレスリリースより)

気圧や空気圧、水圧などの検知に用いる小型圧力センサー(ピエゾ抵抗タイプ)を開発、「HSPP」シリーズとして2007年11月からサンプル出荷を開始すると発表した。絶対圧(真空基準)とゲージ圧(大気圧基準)の2種類を設定、カーナビゲーションやポータブルナビゲーション(PND)、電気製品向けに拡販する。ナビゲーションに利用した場合は、道路の高低差の検知機能を付加することが容易になり、自動車の省エネ運転や自転車、ハイキング向けで付加価値が高まる。HSPPシリーズは、ピエゾ抵抗素子を用いた圧力センサーとしては業界最小レベルの大きさを実現した。また、デジタル回路と温度補正回路を最適化することで、優れた精度を確保し、高度換算で1メートル、水位換算で1ミリメートル単位の分解能を持つ。(2007年9月27日付日刊自動車新聞より)

カーナビゲーションや車載用TV向けに、地上デジタル放送用4ダイバシティ対応TVチューナー「TSRNシリーズ」を開発、08年1月より量産を開始した。同社独自の高密度実装技術により、4ダイバシティ対応チューナーとして業界最小サイズ(縦41.6mm x 幅55.1mm x 高さ7.0mm)を実現、セット機器の実装スペース減少という課題に対応した製品。さらに、チューナー内で使用するデバイスの最適化と回路設計により、2.4Wの低消費電力を達成した。(2008年1月24日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資費用
単位: 百万円 2008年3月期 2007年3月期 2006年3月期
全社 43,153 45,307 50,061
電子部品事業 26,349 29,525 37,170

電子部品事業
自動車関連では、車載用センサ・スイッチ等の増産に対応するため設備増設への投資を実施。


設備の新設

事業所名
(所在地)
設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手年月 完了予定
アルプス電気 コンポーネント事業部
(宮城県大崎市)
(宮城県遠田郡)
(宮城県角田市)
コンポーネント部品の製造設備等 8,000 2008年4月 2009年3月
本社、プロセス技術センター他
(東京都大田区)
(宮城県仙台市)他
本社・支店設備、研究開発等 9,131 2008年4月 2009年3月
車載電装事業部
(宮城県大崎市)
車載電装用品の製造設備等 2,793 2008年4月 2009年3月