エヌティエヌ株式会社 2007年度の事業動向
ハイライト
単位:百万円 | 2008年 3月期 |
2007年 3月期 |
増減率(%) | 要因 |
全社 | ||||
売上高 | 533,984 | 483,817 | 10.4 | - |
営業利益 | 49,611 | 46,792 | 6.0 | - |
経常利益 | 43,231 | 42,210 | 2.4 | |
当期純利益 | 27,431 | 27,014 | 1.5 | - |
軸受部門 | ||||
売上高 | 338,452 | 307,249 | 10.2 | - 欧州、中国でアクスルベアリングやニードルローラベアリングが好調であり、日本、米州、アジア他地域でアクスルベアリングが好調。 |
等速ジョイント部門 | ||||
売上高 | 165,071 | 147,463 | 11.9 | 欧州、アジア他地域では主に日系自動車メーカ向けに新規案件の量産開始が寄与したことにより好調。米州地域では主に米国自動車メーカ向けに、日本では輸出向けや小型車などの新規案件の量産開始が寄与し堅調。 |
2008年度の課題
2007年4月より2010年3月までの3年間で新たな中期経営計画「創成21」を実施する。
・営業・技術関連の施策
- 2008年4月に連結子会社となったSNR社(フランス)との技術力、営業力の融合によるシナジー創出を図る。
- 2008年12月に桑名地区に新たな研究開発センターを建設し、要素技術の蓄積と産業機械向け商品の研究開発機能を強化する。
>>>詳細は研究開発を参照
・生産関連の施策
- アクスルベアリングでは、2008年2月より株式会社NTN紀南製作所第2工場(和歌山県)が操業を開始し前工程の能力増強を図った。
- インドにおける等速ジョイントの生産拡大、SNR社のルーマニア工場とブラジル工場の活用など自動車需要への対応を強化する。
>>>詳細は設備投資を参照
・収益体質の強化施策
グローバルな事業拡大に伴いVA・VEの推進及びグローバル調達や現地調達の拡大によるコスト削減と棚卸資産回転率・設備稼働率などの資産効率の向上を推進する。
開発動向
(単位:百万円) | 2008年3月期 | 2007年3月期 | 2006年3月期 |
軸受関連商品 | 9,085 | 8,551 | 8,613 |
等速ジョイント関連商品 | 5,039 | 4,893 | 5,248 |
精密機器関連商品 | 880 | 775 | 909 |
全社 | 15,005 | 14,221 | 14,771 |
研究開発体制
2007年度は、中期経営計画「創成21」の初年度の目標達成のため、戦略商品(等速ジョイント、アクスルベアリング、ニードルローラベアリング、クラッチ、精密ベアリング等)の開発に経営資源の集中化を図った。また、研究・開発の24時間体制を強化など、開発期間短縮化の取組みを継続。
- 2007年11月、三重県桑名市の桑名ビジネスリサーチパーク内に約30億円を投資して、R&Dセンター「新桑名研究開発センター(仮称)」を新設すると発表した。ベアリングや等速ジョイントの要素技術と産業機械向け商品の研究開発を強化するのが目的。2008年6月着工、同年12月完成予定。新しいR&Dセンターでは、環境にやさしい熱処理技術と材料の開発、高度なナノ組織の観察、表面創生による材料の高強度化研究、次世代潤滑剤の開発に加え、開発のスピードアップにつながる解析技術の高度化など、一連の研究開発環境を充実し、競争力を引き上げる。(2007年11月17日付日刊自動車新聞より)
研究開発成果(2008年3月期)
- 業界初の「環境対応型転がり軸受」を開発。環境負荷の低減を目的に、保持器を始めシール、グリースのすべてに生分解材料を使用した。(2007年8月7日付日刊自動車新聞より)
- 2008年4月に連結子会社となったSNR社(フランス)と共同で、回転センサの出力が40倍の高分解能を持つ「高分解能回転センサ付軸受」を開発。
- ニードルローラベアリングでは、ディーゼルエンジンで発生する粒子状物質による摩耗を抑制した「ディーゼルエンジン対応ロッカーアーム用軸受」を開発。
- 「荷重センサー内蔵ハブベアリング」を開発。新製品は、検出センサー(歪素子)をホイールベアリング外輪の取り付けで、車両旋回時に外輪に発生するひずみをセンサーが検知し、サスペンションの影響を受けず、路面とタイヤの間に作用するコーナリング力を検出可能とした。同時に、センサーには歪素子の温度補正用に温度センサーを内蔵し、温度の影響を受けないよう検出精度の向上を図った。(2007年11月1日付日刊自動車新聞より)
- セ氏180度での連続使用を可能にしたオルタネーター用密封型深溝玉軸受けを開発。環境面も配慮したグリースを採用し、(1)従来品に比べセ氏180度での寿命を50%向上(2)脆性剥離寿命を従来品に比べ2倍に向上したなどの特徴を持つ。(4月25日付日刊自動車新聞より)
- 従来品と同等のトルク容量を維持しながら、小型・軽量化を実現した乗用車用の「小型クラッチ内蔵プーリー」を開発。(1)最小プーリー径が直径51ミリメートルと小型化(2)本体重量が400グラムと軽量(3)定格トルクが90ニュートンメートルと従来品と同等―などの特徴を持つ。(2007年6月20日付日刊自動車新聞より)
- 従来品に比べ2倍以上の長寿命化を達成するとともに、新しい非分離構造を採用することで組み立て性を向上した大型商用車向けディスクブレーキ用の「高機能クレイドル軸受」を開発。(2007年8月24日付日刊自動車新聞より)
- 従来品に比べ約10%の軽量化を図るとともに、材料使用量を20%削減した「省資源仕様・軽量ハブベアリング」を開発。開発品は、設計面ではFEM(有限要素法)解析の活用により、異形フランジやホイールパイロット部に断続的なつめ形状を採用することで軽量化を実現。(2008年2月4日付日刊自動車新聞より)
等速ジョイント
- 需要の拡大が見込まれる新興市場向け車両用として、高いコストパフォーマンスと小型・軽量化を実現したV(Value)シリーズ等速ジョイント「VBJ」、「VDJ」、「VTJ」を開発し、「一体型ハブジョイント」、「分離型ハブジョイント」と共に顧客へ提案。
- 最大作動角50度の対応品では世界最小レベルとなる新型コンパクト固定式等速ジョイント「CUJ」を開発。開発品はボール保持器のポケット形状を工夫し、従来の「EUJ」と強度は同等ながら、(1)外輪外径および重量を約4%低減(2)耐久性が高常用角8度で30%向上、高作動角46度で40%向上した―などの特徴を持つ。(2007年4月21日付日刊自動車新聞より)
- FR車及び4WD車のドライブシャフト向けに、現行の等速ジョイントよりトルク損失率を約50%低減した「高効率・コンパクトLJ」を開発。開発品は、トルク伝達効率、NVH(騒音、振動、乗り心地)特性の向上を目指した新構造を採用し、ボールサイズを小径化するとともにボール数を従来の6個から10個に引き上げることで、軽量・小型化を実現。(2007年9月28日付日刊自動車新聞より)
精密機器商品等 (自動車部品関連)
- 従来製品に比べ全長が短く補機周辺の設計自由度向上に貢献する乗用車用「補機ベルト用ショート型オートテンショナ」を開発。従来の鋼球を用いた油圧ダンパによるチェックバルブ機構に代えて、弾性リングを用いた新発想の機構を採用し、従来製品と同等の性能を確保しつつ、オートテンショナー全長の短縮化と部品点数の削減を実現した。(6月25日付日刊自動車新聞より)
- エンジンからのオイル供給の必要がない「給油レスチェーンテンショナ」を開発。ダンパー機構にスプリングダンパーを使用することで従来の油圧式チェーンテンショナーと同等の張力調整性能を実現しエンジンからのオイル供給を不要とした。(2007年9月5日付日刊自動車新聞より)
- エンジンの低燃費化技術である連続可変バルブ機構用の「ボールねじユニット」を開発し量産中。
- 次世代ブレーキシステムとして、軽量・コンパクトで耐久性に優れる「遊星ローラねじ式電動ブレーキアクチュエータ」を開発した。新製品は、遊星ローラーねじによる独自の直動機構(押圧力発生機構)とモーターから構成。この直動機構は、サンローラーと遊星ローラー間を摩擦伝動とすることにより、減速機構なしで十分なパッド押圧力の発生を可能とした。(2007年10月20日付日刊自動車新聞より)
- 連続可変バルブ機構に搭載する電動アクチュエーター用「ボールねじユニット」を開発し、日立製作所オートモティブシステムグループ向けに量産納入を開始。(2007年11月20日付日刊自動車新聞より)
- スイングアーム式バルブ駆動機構用として、同社の独自技術「のこ歯ねじ機構」を採用した「エンドピボット型メカニカルラッシュアジャスタ」を開発。開発品は、(1)給油レスのラッシュアジャスター機構(2)気泡混入による性能低下を排除(3)エンジン設計の自由度向上(4)油圧式の20%低減など軸方向寸法の小型化などを実現した。(2007年11月22日付日刊自動車新聞より)
技術供与契約(2008年3月現在)
相手先 | 国名 | 契約内容 | 契約期限 |
Unidrive Pty. Ltd. | オーストラリア | 等速ジョイントの組立に関する技術の供与 | 1983.2.15-2013.6.9 |
台惟工業股份有限公司 (Tung Pei Industrial Co., Ltd.) | 台湾 | 等速ジョイントの製造に関する技術の供与 | 2003.3.26-2013.3.25 |
National Engineering Industries Ltd. | インド | ボールベアリング等の製造に関する技術の供与 | 1985.11.5-2011.11.1 |
設備投資
-軸受部門:
NTN三重製作所、桑名製作所で生産再編成による製造設備の増設及び建屋増築、岡山製作所、AMERICAN NTN Bearing Mfg. Corp.の製造設備の増設等で43,273百万円の設備投資を実施。
-等速ジョイント部門:
NTN Driveshaft, Inc.、NTN袋井製作所の製造設備の増設等で15,711百万円の設備投資を実施。
-2008年2月、自動車向けアクスルベアリングなどの事業拡大に向け、現在操業中の(株)NTN紀南製作所に第2工場を新設すると発表した。第2工場ではベアリング部品の鍛造加工等を行う。新工場は延床面積約8,000m2。2008年2月より生産を開始予定。従業員数は約25名(2009年度)を予定。(2008年2月19日付プレスリリースより)
設備の新設・除去等
会社名事業所 | 内容 | 総額 (百万円) |
着手 | 完了 | 目的 |
同社 | |||||
-研究部門 | 研究用設備 | 6,144 | 2005年6月 | 2010年10月 | 研究開発等 |
-桑名製作所 | 軸受用設備 | 13,827 | 2005年7月 | 2009年10月 | 合理化 |
-磐田製作所 | 軸受・等速ジョイント・精密機器商品等用設備 | 4,493 | 2006年4月 | 2009年2月 | 増産及び合理化 |
-岡山製作所 | 軸受・等速ジョイント用設備 | 16,132 | 2004年9月 | 2009年2月 | 合理化 |
-長野製作所 | 軸受用設備 | 954 | 2005年11月 | 2009年2月 | 合理化 |
子会社・関連会社 | |||||
NTN三重製作所 | 軸受用設備 | 9,793 | 2007年1月 | 2010年3月 | 増産及び合理化 |
NTN上伊那製作所 | 軸受用建屋及び設備 | 8,459 | 2006年1月 | 2008年9月 | 増産 |
NTN袋井製作所 | 等速ジョイント用設備 | 3,802 | 2006年10月 | 2008年8月 | 増産 |
NTN紀南製作所 | 軸受用建屋及び設備 | 3,189 | 2007年1月 | 2008年6月 | 増産 |
American NTN Bearing Mfg. corp. | 軸受け用設備 | 2,797 | 2007年1月 | 2008年8月 | |
NTN Driveshaft, Inc. | 等速ジョイント用設備 | 2,526 | 2006年10月 | 2008年6月 | 増産 |
NTN-Bower Corp. | 軸受け用設備 | 1,402 | 2007年10月 | 2008年12月 | |
NTN Transmissions Europe (Allonnes,France) |
等速ジョイント用設備 | 3,253 | 2007年11月 | 2009年9月 | 増産 |
NTN Manufacturing (Thailand) Co., Ltd. | 軸受・等速ジョイント・精密機器商品等用設備 | 2,176 | 2007年11月 | 2009年3月 | 増産 |
上海恩梯恩精密機電有限公司 [Shanghai NTN Corporation] |
軸受・等速ジョイント用設備 | 7,180 | 2006年3月 | 2010年3月 | 増産 |