Brembo S.p.A. 2015年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2015年
12月期
2014年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 2,073.2 1,803.3 15.0 1)
営業利益 251.3 178.4 40.9 -
部門別売上高
-乗用車用製品事業 1,546.2 1,301.9 18.8 2)
-モーターバイク用製品事業 193.9 173.6 11.7 -
-商用車用製品事業 207.0 187.6 10.3 3)


要因
1) 売上高
-2015年12月期の乗用車用製品事業の売上高は前年比15.0%増の2,073.2百万ユーロ。乗用車用製品事業、モーターバイク用製品事業、商用車用製品事業で売上が増加した。一方、レース用製品事業の売上高は、Sabelt S.p.A.およびBelt & Buckle S.r.o.を非連結化したことにより減少し、他3部門の増収分を一部相殺した。

2) 乗用車用製品事業
-2015年12月期の乗用車用製品事業の売上高は前年比18.8%増の1,546.2百万ユーロ。欧州、米国、中国で売上が増加したが、ロシア、ブラジル、アルゼンチン、日本で売上が減少したことにより増収分の一部は相殺された。

3) 商用車用製品事業
-2015年12月期の商用車用製品事業の売上高は前年比10.3%増の207.0百万ユーロ。小型、中型、大型商用車の販売が全て増加したことが同社の売上を押し上げた。

買収

-2015年9月、亜新科美聨 (廊坊) 制動系統有限公司 [ASIMCO Meilian Braking Systems (Langfang) Co., Ltd.] の株式66%を取得することでASIMCO (China) およびASIMCO Technologies Hong Kongと合意したと発表した。取得金額は616百万元 (約86百万ユーロ)。残りの34%は廊坊市国有資産経営有限公司 [Langfang State-owned Asset Operation] が保有する。取得手続きは今後数カ月で完了するとみられる。河北省廊坊に位置する亜新科美聨 (廊坊) 制動系統は、乗用車用ディスクブレーキの生産に向けた鋳鉄製造・加工を行っており、欧州や米国との合弁企業を中心とする近隣の自動車メーカーに納入してい る。2015年の売上高は650百万元 (約90百万ユーロ) の見込み。現在、従業員580名を雇用している。(2015年9月29日付プレスリリースより)

受注

-GM 「Chevrolet Camaro」 の2016年モデル向けにブレーキシステムを開発した。「Camaro LT」 に搭載されるBrembo製ブレーキには、4ピストン型アルミキャリパーが付いた12.6インチ (321×30mm) のフロントローターが含まれる。また、「Camaro SS」 には、同じく4ピストン型アルミキャリパーが付いた13.6インチ (345×30mm) のフロントローターのほか、4ピストン型キャリパー付の13.3インチ (339×26 mm) リアローターが搭載されている。これらのブレーキシステムは、米国ミシガン州にあるBremboのHomer工場で組み立てられる予定。(2015年6月1日付プレスリリースより)

-新型ブレーキシステムがFerrariの新型 「488 GTB」 に搭載されたと発表した。フロントおよびリアキャリパーにはさまざまな直径のピストンが付いており、ブレーキパッドの摩耗を均一にして、ブレーキディスクの入り口角だけが摩耗することを防ぐ。また、複合セラミック素材のカーボンセラミック (CCM) ブレーキディスクは、従来の鋳鉄製ブレーキディスクに比べて50%の軽量化を実現している。(2015年3月4日付プレスリリースより)

研究開発体制

-全従業員の約10%にあたるエンジニアと専門家が研究開発に従事。

-イタリア、ポーランド、中国および米国に研究施設を保有。

研究開発活動

-同社は、2014年6月に立ち上げられたプロジェクト 「EU-LIVE (Efficient Urban Light Vehicles)」 に参加している。このプロジェクトは、自動車メーカー、サプライヤー、研究機関など12団体で構成される欧州のコンソーシアムにより進められており、3年以内に二輪・三輪・四輪の3種類のEVに使用できる共通プラットフォームの開発を目指している。全車両とも重量450kg未満とし、生産に向けて準備を進める計画。(2015年9月15日付プレスリリースより)

-2015年、摩擦材と軽量ディスクの共同開発を継続。社内で同分野の共同開発を進められる唯一のメーカーであるメリットを生かす。

-2015年、メカトロシステムの研究開発を継続。ブレーキシステムに電動トラクションモーターやサスペンション・ステアリングコンセプトなど他の車両システムを統合したシステム、ブレーキバイワイヤーシステム、ABSユニットと統合された電動パーキングブレーキ (EPB) など。

-同社は、EUの 「Horizon 2020」 プログラムより資金提供を受けている 「LowBraSys」 プロジェクトに参画している。同プロジェクトの期間は2015年後半から3年間。特定の摩擦材使用による、排ガス微粒子削減効果を実証するのが目的。

-2015年、スチール材の代わりに複合材料を使用した軽量ブレーキパッドを開発する 「LIBRA」 プロジェクトが資金提供を受けた。

製品開発

ブレーキバイワイヤーシステムを統合したインホイールモーター技術
-フランクフルトモーターショーで、ブレーキバイワイヤーシステムを統合した自動運転車向けの新たなインホイールモーター技術を展示する。展示車両は、4つの電気エンジンをそれぞれのホイールに搭載しており、最大出力は90kW、最大トルクは900Nmとなる。平均では出力60kW、トルク600Nmを実現する。このシステムの要になるのは永久磁石のブラシレスモーターで、小型のスターターローターASSYが搭載されている。一方のブレーキシステムは、軽量キャリパーとディスクを備えたブレーキバイワイヤー式電動システムとなる。(2015年9月15日付プレスリリースより)

ブレーキディスク用ピラーベンチレーションシステム
-ブレーキディスク用の新型ピラーベンチレーションシステム 「PVT Plus」 を開発した。耐サーマルクラック性を最大30%向上しながら、ディスクの長寿命化を実現する。また、システム内の通気性を向上させることで動作温度を最大30%低減。さらに、ディスクの質量を最大10%軽量化した。この 「PVT Plus」 は、イタリアのKilometro Rosso拠点で2年間にわたって開発された。生産は同国のMapello工場で行われる。まず、Audi 「A6」、BMW 「5-Series」、Mercedes-Benz 「E-Class」 など高級セダン向けに供給される予定。(2015年5月20日付プレスリリースより)

軽量ブレーキディスク
-鋳鉄ディスクの軽量化に引き続き注力。新型ブレーキディスクは、鋳鉄でブレーキリングを作成し、ブレーキハットにスチールを薄く張り合わせたもので、従来品に比べて15%の軽量化を実現。新型Mercedes MRAプラットフォームに採用された。

アルミ合金ブレーキキャリパー
-揺変性アルミ合金からブレーキキャリパーを製造することに成功。揺変性アルミ合金は、鋳造アルミ合金に比べ低温で製造することができる。これにより、従来の性能を維持しながら5~10%の製品軽量化を実現。

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
全社 155.9 126.8 133.1


-2015年12月期の設備投資額のうち、137.5百万ユーロは土地、工場および設備機器の購入に充てられた。残りの18.4百万ユーロは無形資産に投じられた。

-2015年12月期の主な設備投資先は以下のとおり:

  • 北米:40%
  • イタリア:27%
  • ポーランド:15%
  • 中国:9%
  • チェコ:6%

国内投資

-2015年12月期、主な国内投資は生産工場、機械、設備の購入。このほか、研究開発費に11.6百万ユーロを投資。

海外投資

<米国>
-2015年、米国ミシガン州のHomer拠点近郊で鋳鉄工場の建設を開始。米国における生産の垂直統合化に向けたプロジェクトの一環となる。新工場は2017年に完成予定。投資予定額は74百万ユーロ。

<メキシコ>
-2015年10月21日、メキシコのMonterrey近郊に建設したアルミキャリパー用の鋳造工場と生産工場の開設式を行った。新工場のフル稼働時には年間200万ユニットのアルミキャリパーの製造が可能になる。2015年~2017年までに総額32百万ユーロが投じられる予定。

<東欧>
-2015年、ポーランドのDabrowa Gornicza拠点とチェコのOstrava-Hrabova拠点で生産能力の増強を実施している。Dabrowa Gornicza拠点では乗用車、商用車用ブレーキディスクの鋳造および加工を行っており、Ostrava-Hrabova拠点ではブレーキキャリパーおよびその他アルミ部品の鋳造、加工、組立を行っている。

-新規投資計画として、ポーランドのNiepolomiceに新工場建設。2014年~2017年にかけて、34百万ユーロを投じる計画。スチール製ディスクハットを生産する。