Compagnie de Saint Gobain S.A. 2015年12月期の動向

近年の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2015年12月期 2014年12月期* 増減率
(%)
要因
全社
売上高 39,623 38,349 3.3 1)
営業利益 2,636 2,522 4.5 -
部門別
イノベイティブマテリアル 9,573 8,981 6.6 -
-平面ガラス 5,185 4,862 6.6 2)
-高機能材料 4,388 4,119 6.5 3)

*パッケージング事業の売却に伴い、2014年の業績は遡及修正された。

要因
1) 売上高
-2015年12月期の売上高は前年比3.3%増の39,623百万ユーロ。為替の影響による増加分3.0%を除いた成長幅は0.4%であった。フランス市場の販売回復が予想を下回ったものの、製品価格が安定したことが影響した。

2) 平面ガラス事業
-2015年12月期の売上高は前年比6.6%増の5,185百万ユーロ。自動車ガラス部門が西欧、アジアや新興国 (ブラジルを除く) で大幅に売上を伸ばしたものの、ブラジル市場の減速と西欧の建設市場低迷の影響で増加分は一部相殺された。

3) 高機能材料事業
-2015年12月期の売上高は前年比6.5%増の4,388百万ユーロ。セラミックプロパントの売上が僅かに減少したものの、他製品の売上は増加した。

買収

-2015年12月、スイスのSikaの経営権取得に向けて、全ての独占禁止法規制当局より事前承認を得たと発表した。ブラジルの競争当局 「CADE」 より、最後となる無条件の承認を獲得した。この承認は、スイスや欧州委員会 (EU) などその他の承認の内容に即している。(2015年12月7日付プレスリリースより)

最近の動向

-同社は欧州向けなどで採用が拡大しているステアリング部品のサポートヨークを日系メーカーに売り込み、2017年度までの新規採用を目指す。新車時の操作性を半永久的に維持できる耐久性の高さを訴求する。高級車向けなどから市場を開拓し、徐々に採用車種の裾野を広げる考えだ。ステアリング機構では、シャフトに連結したピニオンギアの回転をラックギアで横軸方向に変換し、ハンドルの動きを車軸に伝えている。サポートヨークは、ギアの噛み合わせを良くするためにラックを後部から支持する部品だ。表面にはフッ素樹脂のポリテトラフルオロエチレン (PTFE) の層を施すことで、何万回ものステアリング操作に耐えられるように摺動性を高めている。サンゴバンではフィルム状のPTFEを本体に貼り付ける独自の技術を有しているため、競合メーカーに比べて5倍以上の厚膜を付与することが可能だ。(2015年1月22日付日刊自動車新聞より)

-同社は新興国向けの輸出車や現地での生産車両を対象にトレランスリング (盗難防止機構) 付きステアリングシステムの拡販を進める。今後は中国やブラジル、ロシアなどで盗難防止装置の需要増加が予想されることから、早い段階で同システムを拡販し、車両への搭載を促す考えだ。将来的には日本や欧州並みの普及を目指すとともに、各地域でトップシェアの獲得を狙う。トレランスリングは金属製のリングを波形加工した部品で、ステアリングシャフトとロックカラーの間に組み込むことで施錠時のハンドル操作を抑止する。同社によれば、既に日本や欧州で走る普通乗用車の90%にトレランスリングが採用され、その大半をサンゴバンが供給しているという。(2015年1月16日付日刊自動車新聞より)

合弁事業

-セントラル硝子は5日、サンゴバンとの合弁でインドネシアに自動車ガラス製造販売会社を設立すると発表した。2014年12月にジャカルタ東部に新会社 「セントラル・サンゴバン・セキュリット・インドネシア」 を設立する。投資額などは非公表だが、出資比率は折半とする。16年初頭に生産能力が年間50万台の新工場を立ち上げ、同国向けを中心に自動車用ガラスを供給する計画。(2014年9月8日付日刊自動車新聞より)

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2015年12月期 2014年12月期* 2013年12月期*
合計 434 395 423

*パッケージング事業の売却に伴い、2014年の業績は遡及修正された。

-2015年12月期、イノベイティブマテリアル部門 (Innovative Materials (IM) Sector) の研究開発費が全社の約3分の2を占めた。

研究開発体制

-研究開発部門の従業員数は3,700名。うち2,100名がイノベイティブマテリアル部門 (Innovative Materials (IM) Sector) の研究開発に従事し、薄層コーティング技術、高効率合わせガラス製造技術、および自動車用プラスチックフィルム等、500以上の開発プロジェクトに取り組む。

研究開発拠点

-主に以下の8拠点で研究開発を行っている。

  • フランスCavaillon: Centre de Recherche et d'Études Européen (CREE)
  • フランスThourotte: Centre de Recherche et de Développement de Chantereine (CRDC)
  • ドイツHerzogenrath: Herzogenrath Research & Development Centre (HRDC)
  • 米国マサチューセッツ州Northboro: Northboro Research & Development Center (NRDC)
  • フランスAubervilliers: Saint-Gobain Recherche (SGR)
  • 中国上海: Saint-Gobain Research Shanghai (SGRS)
  • インドChennai : Saint-Gobain Research India (SGRI)
  • ブラジルCapivari: Saint-Gobain Research Brazil

-2016年初頭、ブラジルCapivariに研究開発センターを開設した。建屋面積は3,000平方フィート。現地の技術産業や南米の技術機関と協力して同市場向けの製品開発に取り組む。

特許

-2015年は約350件の特許を申請。

製品開発

-自動車業界向けでは、燃費削減、乗員保護機能の促進、NVH (騒音、振動、乗り心地) 対策の向上に対応すべく、ガラスの軽量化、ドアシールの性能向上などの技術開発に取り組んでいる。

極薄ラミネートフロントガラス
-2014年にRenaultと共同で極薄ラミネートフロントガラスを開発。ガラスの厚さが通常の4.5ミリに対し新製品は3ミリと薄いが、遮音性能などの機能は維持。サイドガラスやリアビューミラーにも採用することができ、CO2削減に貢献する。

鉛フリーはんだ技術
-同社は鉛を使わない自動車ガラス用のはんだ技術 (鉛フリーはんだ) の新工法を開発し、日系自動車メーカーへの提案を開始した。既存の鉛はんだ設備を活用できるため、低コストかつ短期間での導入が可能なことを訴求していく。欧州ではELV (使用済み自動車) 指令により、16年1月から自動車ガラスの結露防止用熱線などの配線材料に有害物質の鉛を用いることができなくなる。鉛使用車の輸入も禁止されるため、日系など欧州以外の自動車メーカー も対策を迫られているのが現状だ。将来的には世界的に鉛規制の強化が予想されることから、メーカー各社に対して早い段階での対策を促していく方針。 (2014年8月27日付日刊自動車新聞より)

設備投資

(単位:百万ユーロ)
2015年12月期 *2014年12月期*
イノベイティブマテリアル 529 418
-平面ガラス 311 235
-高機能材料 218 183
建設材料 528 521
建築材料 231 264
その他 58 20
合計 1,346 1,223

*パッケージング事業の売却に伴い、2014年の業績は遡及修正された。

海外投資

<インド>
-インドのラジャスタン州Bhiwadiに平面ガラス (フロート) 工場を開設したと発表した。この新ラインは、2014年3月に生産を開始。総投資額は140百万ユーロとなる。敷地面積は27エーカーで、平面ガラスの年産能力は30万トン。同社にとってはインドで4番目となるフロートラインで、現地の建設・自動車市場向けに供給する。(2014年 10月27日付プレスリリースより)

2016年12月期の見通し

-原価低減に向けた取り組みの一環として、2016~2018年に800百万ユーロのコスト削減を計画している。主に効率改善と購買による費用低減を目指す。

-2016年12月期の設備投資は、1,400百万ユーロを計画。主に西欧地域外に投じられる。