Michelin 2009年度の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ) 2009年度 2008年度 対前年比(%) 要因
全社
売上高 14,807 16,408 (9.8) 1)
営業利益 862 920 (6.3)
乗用車及び小型トラックタイヤ部門
売上高 8,280 8,668 (4.5) 2)
営業利益 661 370 78.6
トラックタイヤ部門
売上高 4,496 5,433 (17.2) 3)
営業利益 -69 138 (150.0)

要因
1)
-全売上高は14,807百万ユーロとなり、現為替レート換算では対前年比9.8%減。この下落は、タイヤマーケットがグローバルレベルで14.8%減と記録的に下落したため。
-営業利益額は862百万ユーロとなり、対前年比で6.3%減。 これは販売ボリュームが減少したため。
-営業利益率は昨年の5.6%を上回り5.8%となった。

2)
-乗用車及び小型トラックタイヤ部門の売上高は、対前年比4.5%減の8,280百万ユーロとなった。
-営業利益は、昨年370百万ユーロに対し2009年は661百万ユーロとなった。営業利益率は、昨年の4.3%に対し8.0%となった。-これは、年末 の冬用タイヤなどの販売ボリュームアップ、プライスミックス、原材料費コスト削減、生産ラインでの生産性向上によるもの。

(3)
-トラックタイヤ部門の売上高は、4,496百万ユーロとなり対前年比17.2%減となった。これは、販売ボリュームの急激な減少によるものであり、それに対応した価格政策でのオフセット効果は限定的なものとなった。
-上半期の営業利益は、163百万ユーロの赤字。 これは、景気悪化による急激な販売ボリュームの下落、稼働率の低下、原材料費高が原因。
-下半期の営業利益は、94百万ユーロの黒字。 これは、販売ボリューム減少に対応した価格対応、原材料費の低減、稼働率アップによるもの。
-通年の営業利益では69百万ユーロの赤字となり、営業利益率はマイナス1.5%となった。

受注

-日本ミシュランタイヤ(東京都千代田区)は、ラグジュアリー車用タイヤの「Primacy(プライマシー)HP」がメルセデス・ベンツの「Sクラスハイブリッド」の純正装着タイヤに採用されたと発表した。(2009年9月11日付日刊自動車新聞より)

-東洋ゴム工業、日本ミシュランタイヤ、日本グッドイヤーのタイヤメーカー3社は、トヨタ自動車の新型「プリウス」に新車装着用タイヤの納入を開始したとそれぞれ発表した。(2009年5月23日付日刊自動車新聞より)

-日本ミシュランタイヤ(東京都千代田区)は、乗用車用タイヤ2種が、独フォルクスワーゲンの新型「ゴルフ」の日本仕様に新車装着用タイヤとして採用されたと発表した。(2009年4月14日付日刊自動車新聞より)

-ミシュランは10日、同社の環境タイヤ「エナジーセイバー」が欧州で販売されるトヨタ・ヤリスの1リッターモデルに標準装着されると発表した。(2009年3月11日付日刊自動車新聞より)

-Michelinは、トヨタが2009年前半から販売予定の新型「Yaris」1.0リッターモデルに、「Energy Saver」タイヤを独占供給すると発表。(2009年2月5日付プレスリリースより)

企業買収

-中国のShanghai Michelin Warrior Tire Co. Ltd. (SMWT)を完全子会社化したと発表。これまでSMWTの株式70%を保有しており、残る30%を中国のDouble Coin Groupから約18百万ユーロで取得したもの。(2010年2月2日プレスリリースより)

-中国の合弁会社Shanghai Michelin Warrior Tire Co. Ltd (SMWT)の全株式を取得する意向。現時点での資本構成は、同社が70.0%、中国のDouble Coin Holdings Ltd.が28.5%、Shanghai Minhang United Development Co., Ltdが1.5%となっている。SMWTは中国の上海市に工場を有し、「MICHELIN」「Warrior」ブランドの乗用車用ラジアルタイヤを生産し ている。(2009年7月17日付プレスリリースより)

リストラクチャリング

-太田工場(群馬県太田市)でのタイヤの生産を7月に停止すると発表した。世界的な生産体制を再構築する取り組みの一環で、国内生産から撤退することになる。(2010年1月18日付日刊自動車新聞より)

-フランス工場の再編計画を発表。Montceau工場で生産している乗用車用タイヤは、他の西欧拠点に移管・統合する。また、欧州の他工場で扱っている 小型トラック用タイヤは、Cholet工場に生産を集約。更に、Seclin工場における高性能タイヤの生産は、Les Gravanches工場に移管する計画。これにより、1,093人の従業員がリストラの対象となる見込み。(2009年6月17日付プレスリリースよ り)

-Michelin North Americaは、米国アラバマ州Opelika工場を2009年10月31日までに閉鎖すると発表。この工場では「BF Goodridge」ブランドの乗用車タイヤを製造している。(2009年4月14日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ) 2009年度 2008年度 2007年度
合計 506 499 561
対売上比率 3.4% 3.0% 3.3%

 

研究開発体制

-フランス、スペイン、北米、日本に4000名のリサーチ・エンジニアスタッフ。

-フランスClermont-FerrandのR&Dセンターをアップグレードすると発表した。タイヤの新製品開発に要するリードタイム短縮と、製造プロセスの革新が目的。今回の投資額は100百万ユーロを超える。(2009年6月17日付プレスリリースより)

製品開発

-環境タイヤ「エナジーセイバー」が欧州で販売されるトヨタ・ヤリスの1リッターモデルに標準装着されると発表。ミシュランはヤリスの開発に協力するとと もに、転がり抵抗の低減、グリップ性能、トレッドの長寿命、快適な乗り心地の四つの要求性能を高めることに力を注いだとしている。この達成のためコンパウ ンドに新しい種類のシリカを配合、設計・製造工程も見直した。(2009年3月11日付日刊自動車新聞より)

技術提携

-ValeoとMichelinは、電気自動車およびプラグインハイブリッド車向けのシステムを共同開発することで合意。開発対象は、駆動システム、エン ジンおよびバッテリーの冷却制御システム、空調システム、照明、エネルギー制御システム、タイヤなど。(2009年2月13日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資費(部門別)

(単位:百万ユーロ) FY2009 FY2008
乗用車及び小型トラックタイヤ部門 322 635
トラックタイヤ部門 178 353
その他 172 283
合計 672 1,271

設備投資費(地域別)

(単位:百万ユーロ) FY2009 FY2008
欧州 423 709
北米 152 280
その他 97 282
合計 672 1,271

-2009年度設備投資総額は、672百万ユーロ。対売上高比率は4.5%となった。2008年度の設備投資総額1,271百万ユーロ、対売上高比 率7.7%に比し2009年度は減少となった。これは、キャッシュフローの確保のためであり、成熟市場における投資を延期し、中国、インド、ブラジルなど 成長市場の重要プロジェクトへの投資に向けられている。

主要な設備投資プロジェクトは以下の通り:

乗用車及びライトトラック用タイヤ


-生産性向上及び生産ラインリフレッシュプロジェクト
-生産能力増強プロジェクト
中国、上海
ブラジル:新工場におけるエンジニアリング及び建築基礎工事プロジェクト
スペイン :Vitoria工場での新Michelin Energy Saver fuel-efficient tire開発

トラックタイヤ


-中国:瀋陽工場の生産能力アップ
-インド:新たなトラックタイヤ工場の用地取得
-生産性向上プロジェクト
-新型モールド開発などの生産ラインリフレッシュプロジェクト

Earthmoverタイヤ:

-米国:Lexington, SC工場でのminingタイヤ生産能力増強