Robert Bosch GmbH 2012年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2012年
12月期
2011年
12月期
増減率
(%)
要因
グループ全体
売上高 52,464 51,494 1.9 1)
EBIT 1,310 2,709 (51.6) -
自動車技術部門
売上高 31,047 30,404 2.1 2)
EBIT 1,410 2,331 (39.5) -electromobility事業への先行投資、原材料価格の高騰、ファウンデーションブレーキ事業の売却

要因
1) グループ全体
-2012年12月期の売上高は、前年比1.9%の増加にとどまった。為替影響分の調整後は前年比0.8%の減少。
-主に事業買収および売却が売上高減少に影響。台湾の自動車アフターマーケット用製品メーカーUnipoint Groupを始めとした事業買収により、売上高は340百万ユーロ増加。
-一方、ファウンデーションブレーキ事業の売却、現代自動車との合弁会社現代ケーフィコの全株式の売却が売上高を600百万ユーロ押し下げた。

<地域別>
-二桁成長を達成した東南アジアや北米 (8.8%増) が堅調に推移。一方で、ブラジル・アルゼンチンの自動車生産台数が伸び悩んだ南米 (9.9%減) や同社の売上高の半分以上を占める欧州 (2.4%減) が伸び悩んだことが影響。

2) 自動車技術部門
-2012年12月期の自動車技術部門の売上高は、前年比2.1%増加の31,047百万ユーロ。

<ディーゼルシステム>
-大型トラックの世界生産台数が落ち込んだこと、またディーゼル乗用車の割合が高く、同社の市場シェアが高い南欧で苦戦。
-一方で、インドでディーゼル乗用車が堅調に推移したことや、排ガス規制が強化されるため、ディーゼル排ガス後処理システムの需要が増加。
-ディーゼル排ガス後処理システムの需要の増加に対応するため、DeutzEberspaecherとの合弁会社Bosch Emission Systems GmbH & Co. KGを完全子会社化。今後は、北米およびアジアのトラックメーカー、エンジンメーカー、オフロード車両メーカーからの受注拡大を目指す。

<ガソリンシステム>
-欧州の自動車生産台数の落ち込みが同分野にも影響を及ぼしたが、2012年はエネルギー効率が高く、環境に配慮した製品の旺盛な需要に支えられた。特にガソリン直噴システムは、前年比で50%の売上成長を達成。
-他にもダウンサイジングエンジンの需要が堅調であったことから、ターボチャージャーの市場規模も拡大。

<ステアリングシステム>
-ZFとの折半出資合弁会社ZF Lenksysteme GmgHでは、EPSが堅調に推移。

合弁事業

<中国>
-2012年11月、同社は蕪湖瑞創投資有限公司 [Wuhu Ruichuang Investment] およびオーストラリアのAtechとの共同出資により、安徽省蕪湖の経済技術開発区にマルチメディア部門の合弁会社「博世汽車多媒体 (蕪湖) 有限公司 [Bosch Car Multimedia Wuhu Co., Ltd.]」を設立したと発表。Boschの出資比率は60%。同社は過半数の株式を取得することで、中国市場の拡大を図る。合弁会社はアジア太平洋地区自動車インストルメント・クラスター業務部門のエンジニアリング技術センターと生産拠点の役割を担う。生産能力はインストルメント・クラスター200万台規模となる予定。すでにAtechから170名のエンジニアを含む従業員480名が合弁会社に転入している。(2012年11月28日付けプレスリリースより)

-2012年10月、同社と一汽四環集団有限公司 [FAW Sihuan Group] は長春ハイテク開発区に合弁会社「博世汽車部件 (長春) 有限公司 [Bosch Automotive Components (Changchun) Co., Ltd.]」を設立。総投資額は2.4億元。登録資本金は8,000万元で、出資比率は同社55%、一汽四環45%。年産能力はスターター60万個、オルタネーター55万個ですでに生産を開始している。主な供給先は一汽VW、一汽轎車などFAWグループ傘下の自動車メーカーを中心とした東北市場。(2012年10月26日付け各種リリースより)

<ドイツ>
2012年、ドイツで電動モビリティ事業を強化
-同社とDaimlerの折半出資合弁会社「EM-motive GmbH」は、EV用電気モーターの生産を強化。2020年までに100万個超の電気モーターの生産を計画。

-Robert Bosch、BMW Group、Daimler、EnBW、RWE、Siemensの6社は、ドイツのベルリンに合弁会社「hubject GmbH」を設立したと発表。hubject GmbHは、データプラットフォームを開発・運営し、統合充電インフラを構築。電動モビリティのユーザーが全国で充電インフラを快適・安全に利用できることを目指す。新たなサービスプラットフォームのテストランは2012年夏頃に行われる予定。(2012年3月15日付プレスリリースより)

事業提携

-2012年、同社とDeutzEberspaecherは、ディーゼル排ガス後処理システムの分野における提携関係を再構築することで合意した。
  • 同社は、合弁会社Bosch Emission Systems (BESG) の株式をDeutzとEberspaecherより取得し、完全子会社化。今後、北米およびアジアにおけるトラックメーカー、エンジンメーカー、オフロード車両メーカーからの受注拡大を目指す。
  • 同社とDeutzは提携関係を強化し、排ガス後処理システム、ディーゼル噴射システム、エレクトロニクスなどの分野に注力。BESGは引き続きDeutzへ排ガス後処理システムの供給を行う。
  • BoschとEberspaecherの両社は、排ガス後処理システムに関して共同開発を行う計画。

事業再編

<韓国>
-2012年、同社は現代自動車との折半出資合弁会社現代ケーフィコの持分を、現代自動車に売却し合弁事業を解消。解消後も同社は韓国内で直噴式ガソリンエンジン部品の生産を継続する。

-同社とSamsung SDI (韓国) は、両社の合弁会社SB LiMotiveを解消することで合意。SB LiMotiveは、両社の折半出資により2008年に韓国で設立され、HV・EV用リチウムイオン電池の開発・生産・販売を行っている。両社の間では、今後も開発や供給など全ての提携契約は維持するよう手続きを進めており、特許の相互利用についても合意している。今回の合弁解消に伴い、同社はドイツStuttgartを本拠とする子会社SB LiMotive Germanyを取得。同子会社ではシステムエンジニアリング、バッテリーマネジメントシステムの開発、試作品製造、マーケティング、販売などに注力している。また、米国ミシガン州Orionとオハイオ州Springboroに拠点を置く、ニッケル水素充電システム製造子会社Cobasysも同社傘下に入る。(2012年9月5日付プレスリリースより)

<ファンデーションブレーキ事業>
-同社は、ファウンデーションブレーキ事業を米国の投資会社KPS Capital Partnersへ売却する計画を発表した。売却の対象となるのは、ブレーキキャリパー、ディスクブレーキ、ドラムブレーキ、パーキングブレーキのOE事業。同事業には従業員約5,200名が所属し、2010年売上額は850百万ユーロ。欧州、アジア・太平洋地域、南米に20拠点を保有し、そのうち15拠点が生産工場。なお、Boschは2009年春にブレーキ事業の再編に関する意向を発表。2009年末に、北米のファウンデーションブレーキ事業を曙ブレーキへ売却している。今回、北米以外の地域における事業をKPS Capital Partnersへ売却することで、Boschのブレーキ事業再編は完了し、同事業は今後、ブレーキブースターおよびブレーキ制御システムに注力する計画。(2012年1月10日付プレスリリースより)

<インド>
-2012年、同社はインドのBangalore工場における生産および関連機能を、現在のAdugodiからBidadiに移転すると発表。移転は、2012-2013年および2015-2016年の2段階で行う予定。投資額は両フェーズで併せて約60億ルピー。同社は新工場の建設に向けて、Bidadiに97エーカーの土地を購入した。
  • 第1フェーズ:2012年から2013年にかけて工場の建設を行う。従業員約1,000名を異動し、2014年の第1四半期からコモンレールポンプ、コモンレールプラグ、グロープラグの生産を開始する計画。
  • 第2フェーズ:2015年から2016年の間に工場を建設する。インラインポンプ、エレメント、デリバリーバルブ、従来型ポンプ、PFポンプの生産を2017年第1四半期に開始する予定。これに伴い、残りの約3,000名の従業員が新拠点に移動。
なお、Boschは引き続きAdugodi拠点にインド本社を置く意向。さらに、移転により生じる空きスペースには、Bosch R&D CentreおよびRobert Bosch Engineering & Business Solutions (India) の拡張に向け、技術・エンジニアリングセンターを建設する。(2012年6月8日付プレスリリースより)

<デンソーとの資本提携>
-2012年、同社が保有していたデンソー株全株 (発行済み株式の約5%) を売却したと発表。売却で得た約11億ユーロ (約1100億円) は将来性のある分野への投資や企業買収の資金として活用する。同社は1950年代半ばからデンソー株を保有してきたが、今回の売却により両社の資本関係が解消されたことになる。両社は引き続き既存の提携関係の枠内で協力していくほか、グローバルな自動車業界のニーズに応えるための提携機会を探るとしている。

受注

-2012年の主な受注
搭載モデル 製品名 備考
Volkswagen 「eco up!」 -エンジンマネジメントシステム
-天然ガスおよびガソリン用インジェクター
-平均圧力温度センサー
-エアバッグ制御ユニット
-ワイパー駆動装置
-スターター
-オルタネーター
-
Mercedes-Benz 「Actros」 -予測パワートレイン制御システム -Mercedes-Benz Trucksとの共同開発。
-同システムによりドイツ国内の高速や幹線道路の走行において平均3%の燃費向上が可能。
Mercedes-Benz 「Sprinter」、Volkswagen 「Crafter」 -電動パワーステアリングシステム 「Servolectric」 -新欧州ドライビングサイクル基準 (NEDO) の市街地走行において、従来の油圧ステアリングシステムと比べて約0.6Lの燃費削減を実現。
Volkswagen 「Passat Alltrack」 -眠気検知システム -ステアリング操作を監視することで疲労の初期兆候を検知し、ドライバーへ休憩をとるように促す。
Peugeot 「3008 HYbrid4」 -ディーゼルエンジンと電動モーターが一体化された電動パワートレイン -ディーゼルエンジンと電動モーターを組み合わせることで、同モデルは35%の燃費削減を実現。
Tata -電動パワーステアリングシステム (現地生産) -

事業動向

<ガソリンシステム>
-2012年11月、同社はガソリンシステム部門において「HDEV5」シリーズのガソリンインジェクションバルブの累計生産数が50百万ユニット、「HDP」シリーズの高圧ポンプの累計生産数が10百万ユニットに達したと発表。同社は2011年に、インジェクションバルブの累計生産数25百万ユニット、高圧ポンプの累計生産数5百万ユニットを達成しており、同製品の急激な伸びが見られる。両製品の生産は現在、BambergおよびNuremberg (ドイツ)、Bursa (トルコ)、Wuxi (中国江蘇省無錫)、 Charleston (米国サウスカロライナ州)、韓国にある各工場で実施。

-2012年、同社はガソリン直噴システムの販売数を、2011年から2014年の間に年間4百万ユニットから8.6百万ユニットに引き上げる予定。

<ディーゼルシステム>
-2012年、同社はコモンレールディーゼルシステムの年間販売数を2011年の7.2百万ユニットから、2014年は9.6百万ユニットに拡大すると発表。

<横滑り防止装置>
-2012年、同社は新型横滑り防止装置「ESP plus」の量産を開始したと発表。第9世代製品となる本製品により、横滑り防止システムのほか様々な安全・運転支援機能を車両に統合することが可能になる。アイドリングストップ機能付きのアダプティブクルーズコントロールなどがこれに含まれる。

-2012年3月、同社は横滑り防止装置「ESP」を1995年に量産を開始して以来、累計生産数が75百万ユニットに達したと発表。第1世代では4.3kgであったのに対し、現在の第9世代の標準タイプでは1.6kgと大幅な小型・軽量化を実現している。(2012年3月26日付プレスリリースより)

<スタート/ストップシステム>
-2012年2月、同社は2007年に製造を開始して以来、スタート/ストップシステムの累計生産数が500百万ユニットに達したと発表。

2013年12月期の見通し

-欧州市場を始めとした景気動向が不透明であるため、同社は2013年の売上成長は限定的であり、2-4%にとどまると予測。2012年と同様に、買収・売却によるマイナス効果が影響すると見ている。

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
グループ全体 4,787 4,190 3,810
自動車技術部門 N.A. 3,270 3,004

-同社の研究開発費の約半分は、高効率内燃エンジン、electromobility、高効率油圧パワートレイン製品などの環境対応・高効率製品に投下される。

研究開発体制

-2012年、昨年に引き続き研究開発要員を4,300名増員。その内の2,200名がアジア太平洋地域に所属。2012年12月末現在、同社の研究開発要員は世界で42,800名 (2011年:38,500) が86拠点で研究開発に従事。その内26,400名がドイツを始めとする欧州、2,600名が米州、13,800名がアジア太平洋に所属。

研究開発拠点

-2012年、同社は研究開発のハブ拠点となるドイツRenningen拠点の建設を開始、また東欧・アジアの研究開発能力の増強を実施。

<ドイツ>
-2012年、ドイツRenningenにおいて研究・先端技術開発センターの建設を開始したと発表。今後2年間で、100ヘクタールの敷地に14の建物を建設する。これらの建物はあわせて約11万平方メートル。投資額は約160百万ユーロ。2014年春には従業員1,200名が新拠点での勤務を開始する。Renningen拠点では、新たなシステム・部品・生産プロセスの開発を行うほか、材料および手法、その他の技術に注力し、同社の研究開発のハブ拠点となる。これらの研究開発事業とその関連部門は現在、Stuttgart行政管区内であるGerlingen-Schillerhohe、Schwieberdingen、Waiblingenの郊外に点在している。2014年春に最初の社屋が完成すれば、これらのStuttgart地域の拠点から徐々に従業員が新拠点へ移動することになり、同年秋に移動が完了する計画。

<インド>
-同社の完全子会社Robert Bosch Engineering and Business Solutions (インド、バンガロール) は、自動車システム研究所 (Automotive Systems Laboratory) を開設。同研究所では、エンジニアおよび研究者が実際のエンジンや車両システムを用いて最新の走行メカニズムを研究することが可能。エンジンマネジメントシステム、クラッチおよびブレーキシステム、エキゾーストシステムなどのシステムのほかにセンサーやアクチュエーターなどを使用した実践的な試験を行う。この施設への投資額は2000万ルピー (約278,000ユーロ)。(2012年11月6日付プレスリリースより)

-インドのBangalore工場における生産および関連機能を、現在のAdugodiからBidadiに移転するに伴い、Adugodi拠点の空きスペースに技術・エンジニアリングセンターを建設。Bosch R&D CentreおよびRobert Bosch Engineering & Business Solutions (India) の拡張が主な目的。

<中国>
-2012年、同社は中国のWujin製造拠点内に研究開発センターを建設中。

研究開発活動

酸素センサー
-同社は、米国エネルギー省 (DOE) より2.75百万米ドルの助成金を授与されたと発表。今回の助成金により、同社はクレムゾン大学国際自動車研究センターおよびOak Ridge国立研究所と共同で、インテークマニホールド内の酸素濃度を直接測定し、正確に算出する酸素センサーを開発する。(2012年9月12日付プレスリリースより)

排熱回収システム
-同社は、排気管からの排熱を回収するハイブリッドシステムを開発中。排熱を電気エネルギーおよび機械エネルギーに変換するこのコンセプトは、燃料消費を約5%向上する可能性があるという。排気管内の排熱は蒸気を発生させ、この蒸気が膨張機を駆動する。これにより得られる機械エネルギーが、直接もしくはギアユニットを通じてクランクシャフトを動かすことに利用される。このほかに、膨張機がジェネレーターを駆動させることで、車載ネットワークやハイブリッドパワートレインのトラクションバッテリーに電気エネルギーを供給することが可能になる。同社は現在、エネルギー変換の主要部品である様々なタイプの膨張機を開発している。(2012年6月28日付プレスリリースより)

商用車パラレルフルハイブリッドシステム
-同社は、商用車用パラレルフルハイブリッドシステムを開発中と発表。このシステムは、大きなスペースを取らずにドライブトレインへ統合することが可能。長距離走行や頻繁な荷下ろしをする配達においては、下り坂やブレーキの時に電気量を回復し、一時的に高電圧電池に貯蔵することができる。これにより、上り坂や発進の際に電気モーターを駆動させ、内燃エンジンをサポートすることが可能になる。このハイブリッドシステムでは、長距離走行で約6%、配送で約20%のエネルギー消費を削減できるという。(2012年6月28日付プレスリリースより)

製品開発

<安全性>
複合慣性センサー
-同社は、複合慣性センサー「SMI650」を新たに開発した。最大140℃の高温でも作動するほか、特殊な振動ダンパーにより広範囲の強い振動にも対応する。横滑り防止装置「ESP」の電子制御ユニット (ECU) に、振動ダンパーを一体化したセンサーを装着するのは今回が初めて。この慣性センサーを統合したESP ECUでは、外部センサーと接続するための複雑な配線は不要となる。新型慣性センサーの初の量産版は、「ESP generation 9」のECUに組み込まれる予定。(2012年11月16日付プレスリリースより)

周辺加速度センサー
-同社は、乗員保護システムに使用する次世代の周辺加速度センサーを発表した。1996年から5世代目の製品となる。新型デジタルセンサーは、±120gから±480gの広い測定範囲を持ち、通信インターフェースにSPIまたはPSI5-V1.3を選択できるのが特徴。「SMA58x」は±120gから±240gの範囲で切り替えが可能で、周辺の側面衝突センサーに統合される。また、2倍の測定範囲を持つ「SMA59x」は主に正面衝突用センサーとなる。これらのセンサーは、電子システムが衝突の規模の大小を確実に判断するのに必要な全てのデータを、わずか数ミリ秒でエアバッグ制御ユニットに送信できる。その後、制御ユニットは車両拘束システム (フロント、ヘッド、サイドエアバッグ、シートベルトプリテンショナーなど) のうち、どれを作動させるかを決定する前に、受信したセンサーデータの妥当性を確認する。(2012年9月25日付プレスリリースより)

77GHzレーダーシステム
-同社は、リア用の77GHzレーダーシステムを2014年に発売すると発表。欧州自動車メーカーが採用する予定。この中距離レーダーセンサー「Bosch MRR」は、死角に入った車両や後方から接近する車両の位置を正確に判定する。従来の24GHz製品と比べて、物体の識別能力は最大3倍、速度・距離の測定に関しては最大5倍の性能を発揮する。なお、フロント用MRRも同時に開発されており、最大測定距離は160m、視野角は最大45度まで対応する。(2012年10月29日付プレスリリースより)

ステレオビデオカメラ
-同社は、運転支援システムに両眼視機能を可能にするステレオビデオカメラを新開発した。この両眼視機能を用いてビデオ信号のみで対象物までの距離を測定し、そのデータにより自動緊急ブレーキシステムを作動することが可能。衝突が不可避の場合、衝突の速度や事故の規模を最小限にする。また、乗員拘束システムを準備することで、エアバッグやシートベルトプリテンショナーを最適な方法で作動させることができる。(2012年10月29日付プレスリリースより)

新型横滑り防止装置
-同社は、新型の横滑り防止装置「ESP 9 premium」を開発したと発表。効率的なリターンポンプにより振動をほとんど発生させることなく、ブレーキ圧を急速に高めることが可能になるもの。従来のブレーキ制御システムは2つのポンプ部品で作動するのに対し、「ESP 9 premium」にはあわせて6つのピストンが組み込まれている。1世代前の製品に比べて小型化され、800gの軽量化を実現した。(2012年8月15日付プレスリリースより)

<ディーゼルシステム>
中型・大型商用車向けコモンレール式噴射システム
-同社は、中型・大型商用車向けのコモンレール式噴射システム「CRSN3-25」を開発した。噴射圧力は最大2,500バールを実現。圧力制限弁が組み込まれているため、車両の走行中においても包括的なシステムチェックが可能になる。このモジュラー噴射システムは、様々な噴射ポンプに対応するよう設計されているため、最大16気筒のディーゼルエンジンをはじめ、オンハイウェイおよびオフハイウェイ車両用のエンジンにも使用できる。短距離・長距離走行車両、建設機械、トラクター、船舶用製品などが対象。さらに、この製品は2013年に施行される欧州排出ガス基準「Euro 6」や米国基準「US 10」の達成に寄与する。(2012年8月6日付プレスリリースより)

<快適/利便性>
新型運転支援システム「Eco.Logic motion」
-同社は、商用車用の新型運転支援システム「Eco.Logic motion」を開発したと発表。このシステムは、最適な運転方法を選択するための予測センサーとして機能するもの。勾配やカーブなども含むデジタル地図に基づいて、周囲の画像を3次元で作成。この画像に、GPSを通じて取得した車両の正確な位置情報を組み合せることで、前方の経路に対する最適な速度の算出やギア選択を可能にする。これにより、ドイツ国内の高速や幹線道路の走行において平均3%の燃費向上が期待できる。(2012年8月6日付プレスリリースより)

デジタル・ラジオ・チップセット
-同社のマルチメディア部門とSTマイクロエレクトロニクスは、AM/FMとマルチ・デジタル・ラジオ放送を同時に受信・処理する業界初のデジタル・ラジオ・チップセットを共同開発した。今回開発したマルチスタンダード・デジタル・ラジオ・チップセットは、高性能、コスト効率の高い車載インフォテインメント・システムの開発期間の短縮に貢献する。同システムは、テキストと画像を同期ストリーミングして気象・交通などの情報をリアルタイムでアップデートするような次世代ラジオ機能や、付加価値サービスによりドライブ体験を向上させる。(2012年7月24日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
グループ全体 3,151 3,226 2,379
自動車技術部門 N.A. 2,321 1,556

-2012年12月期の設備投資額3,151百万ユーロの内、1,100百万ユーロをドイツに投資。主に、ドイツRenningenに建設中の研究開発センターに投じられた。また、380百万ユーロは米州に投資。主に、商用車用インジェクションシステムおよび乗用車用ガソリン直噴インジェクションシステムの製造設備増強に使用された。

海外投資

2012年、自動車技術部門では、主に東欧とアジアの更なる現地生産化を推進するための投資を実施
東欧
<ロシア>
-同社は、ロシアのSamaraに自動車部品工場を建設する計画を発表した。2015年までに約40百万ユーロを投じる予定。敷地面積はあわせて約20万平方メートル。建屋の床面積は約15,000平方メートルで、生産、管理、倉庫、技術インフラなどのスペースが含まれる。2013年上期に建設を開始し、2017年末までに従業員500名超を雇用する計画。なお、同拠点にはシャシーシステム制御、スターターモーター・ジェネレーター、ディーゼルシステムの3部門が属することになる。ABSやオルタネーターなどを生産し、現地顧客に供給する予定。将来的には商用車用のスターターやコモンレールインジェクターの生産も行う。(2012年12月18日付プレスリリースより)

<セルビア>
-2012年9月、同社にとってセルビアで初となる工場の定礎式を、同国Pecinciにおいて開催。Electrical Drives部門に属する同工場は現在建設中で、2013年後半に自動車用ワイパーシステムの生産を開始する予定。同社は今後7年間でPecinci工場に約70百万ユーロを投じ、従業員620名を雇用する計画。(2012年9月25日付プレスリリースより)

<ルーマニア>
-同社は、ルーマニアのCluj-Napocaに自動車用電子制御ユニット (ECU) の開発・生産を行う新拠点を設立すると発表した。2013年末までの第1フェーズにおける投資額は77百万ユーロ。2012年第2四半期に建設を開始し、2013年半ばに生産開始となる予定。総床面積は38,000平方メートルで、2013年末までに従業員約340名を雇用する。その後数年間かけて、さらに拡張が行われる計画。(2012年5月8日付プレスリリースより)

-同社は、ルーマニアのBlaj工場を拡張すると発表。2013年春より、自動車用ホイールスピードセンサーおよびクランクシャフトセンサーを生産する計画。2012年春に建設を開始し、2013年末までに約43百万ユーロを投じる見込み。新工場の敷地面積は、約21,000平方メートル。2013年末までに従業員約300名を増員し、2020年までには約1,000名まで増員する計画。(2012年3月2日付プレスリリースより)

アジア
<中国>
-2012年11月30日、同社の子会社博世汽車柴油系統股份有限公司 [Bosch Automotive Diesel Systems Co.,Ltd.] は第二の生産拠点の建設を青島ハイテク技術開発区で開始。新工場ではクリーンディーゼルエンジン技術の開発と大型、小型商用車および乗用車用コモンレールインジェクターの生産を行う。(2012年11月30日付けプレスリリースより)

<インド>
-2012年、同社はインドのNashikおよびAhmedabadの拠点において、拡張計画が進行中と発表。
  • Nashik拠点:需要増加に伴い、標準ノズルホルダーの日産能力を17,000ユニットから26,500ユニットに引き上げた。また、DSLA型ノズルの日産能力も同様に、18,000ユニットから30,500ユニットに増強。同拠点を33,000平方メートル拡張している。
  • Ahmedabad拠点:面積37,000平方メートルの新工場を建設中。2012年の第1四半期に稼動開始となる予定。同工場では油圧式バルブ、パワーユニット、制御ブロック、シリンダーを生産する。
<韓国>
-2012年、同社は韓国大田 (Daejeon) 工場を増設すると発表。コモンレール高圧ポンプ「CP4」、コモンレールインジェクター「CRI」 、「CRI2-20」の生産ラインを2013年までに設置する。このうち「CP4」の生産能力は年間50万台分。

<ベトナム>
-2012年、同社はLong Thanh拠点のCVT用プッシュベルトの製造設備に約230百万ユーロを投資。同プッシュベルトは主に日系自動車メーカー向けに供給されている。同工場は現在約700名が勤務しており、2年以内に1,500名まで増員する計画。