Magneti Marelli 2009年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2009年
12月期
2008年
12月期
増減率(%) 要因
全社
売上高 4,528 5,447 (17) -
営業利益 (40) 93 - -
部門別売上
照明 1,228 1,524 (19) 1)
エンジンコントロール 850 933 (9) 2)
サスペンションシステム 525 893 (41) 3)
ショックアブソーバー 281 315 (11) 4)
電子システム 501 570 (12) 5)
エキゾーストシステム 543 635 (15) 6)
プラスチック部品及びモジュール 469 545 (14) 7)

要因
1)
照明部門
-09年の売上高は前年比19%減の1,228百万ユーロ。 世界的金融危機を起因とする全般的な販売減は、照明部品の売れ筋分野に当たる中~上級車セグメントに最も顕著に見られた。

2)
エンジンコントロール部門
-09年の売上高は前年比9%減の850百万ユーロ。販売業績は各地域で異なる。欧州と米国市場は減少。インドはディーゼル制御部品の売上好調で増加、中国での売上も増加。ブラジルは前年並み。

3)
サスペンションシステム部門
-09年の売上高は525百万ユーロ。イタリアの小型トラック生産台数が縮小したことが最も大きな要因。ポーランドではFiat向けとその他メーカーへの販売増が貢献。ブラジルは前年並み。

4)
ショックアブソーバー部門
-09年の売上高は前年比11%減の281百万ユーロ。欧州と米国の市場が売上を落としたことが要因。ポーランドのみ前年を上回る販売高を記録。

5)
電子システム事業部

-09 年の売上高は、世界の傾向に反して中国とブラジルでは販売は好調に推移したものの全般で前年比12%減の501百万ユーロ。Fiatグループ以外の顧客向 けの販売が好調でインストルメントパネルの売上は10%増。一方、インフォテイメントシステムの製品が廉価仕様にシフトしたことで、テレマティクスの売上 は52%の大幅減。 内装用製品の売上は前年並み。

6)
エキゾーストシステム部門
-09年の売上高は前年比15%減の543百万ユーロ。この売上高減は、新規製品導入で一部相殺はしたものの中核となる原材料の市場価格が下降したことによる影響を受けたことが要因。

7)
プラスチック部品及びモジュール部門
-09年の売上高は前年同期比で14%減の469百万ユーロ。市場需要の低迷の影響を受けたことが要因。


受注

照明部門
-Mercedes、Audi、Skoda用としてヘッドランプを、Land RoverとPeugeot用にリアランプを受注。

エンジンコントロール部門
-Fiat のGrande Punto向けにCNG systems、同じく Punto EvoとMiTo向けにMultiAirコントロールユニット。Volkswagenには, 1,000CC と1,400CCエンジン用のシステム。Fiasaの1,600CC/1,800CC Tritec エンジンのシステム。ブラジルで生産されるGMのモデルにFreechoiceシステムを受注。

サスペンションシステム部門
-ポーランドで生産されるFiat 500C用としてサスペンションシステム。また、同じくポーランドで生産される予定のBMWのプラットフォーム用にストラットを供給する契約を締結。

電子システム事業部
-Volkswagen 向けにインストパネル、Fiat向けにダッシュボードピンアウト、Fiatグループ以外のメーカーにインフォテイメント製品。テレマティックスは、 FiatのトラッキングコンテイナーやTomTom キットといったアフターマーケット用の製品を受注。

エキゾーストシステム部門
-ユーロ5対応エンジン用のエキゾーストシステムとSeat用にエキゾーストシステム全般を受注。

プラスチック部品及びモジュール部門
-米国で販売されるFiat 500用の新製品を開発を開始。


企業買収

-2009年1月、インドのMagneti Marelli UM Electronic Systems Private Limitedの株式51%の取得。インドで電子部品の設計・製造・組立てを行う。

-International Steel Solutions, LLCのテネシー州Pulaski工場を買収すると、子会社のMagneti Marelli Suspensions USA, LLCを通じて発表。この施設を活用し、ショックアブソーバーやそれに関連するサスペンション部品の生産を継続していく方針。Pulaski工場現従業員 の大部分を雇用することにしており、今後2年間でさらに増員して製品のラインナップを拡充していく。(2010年1月18日プレスリリースより)


合弁事業

-中国の上海汽車変速機有限公司(SAGW)と折半出資の合弁会社を設立することで合意。新会社ではMagneti Marelliの自動制御式MT(AMT)「Freechoice(TM)」向けの油圧部品を生産する。上海地区に本社を置き、2009年後半の操業開始 を予定。フル稼働時には、年間でAMT35万基分の部品生産を見込んでいる。SAGWは上海汽車(SAIC)の子会社で、自動車用トランスミッションメー カー大手。(2009年1月27日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2009年12月期 2008年12月期 2007年12月期
全社 245 268 221


製品開発

照明部門
-高輝度で高角度のビームを確保するBihalogen Projection Moduleの開発を推進。

エンジンコントロール部門
- Peugeotと Citroen向けと 南ア、インド、ロシアなどの市場に新型スロットルボディーを、VWグループ向けにGDI injectorを新規開発。電気及びハイブリッド車用としてバッテリーパックなどの部品開発ならびにディーゼルエンジンの窒素酸化物削減対策製品の開発 にも注力。

ショックアブソーバー部門
-Lancia DeltaとAlfa Romeo MiTo向けに 電子Synaptic制振サスペンションシステム装置の生産を立ち上げる。慣性バルブ(ショックアブソーバー用新バルブ)とselectronic企画 (電子ショックアブソーバーの新コンセプト)などの開発も開始。

電子システム部門
-Fiat、 Volkswagen/AudiおよびFerrari向けに複数の新型インストパネルや内装部品を開発。テレマティック製品分野ではPSA用として新型無 線ナビを、Fiat用に Blue&Meの将来モデルを、そして同じく Fiat用にInstant Navの改良型などの開発に注力。Ford向けにはMicrosoft社との協力関係を継続してWindowsのプラットフォームを採用したナビと高速イ ンターネットの利用が可能となる新型Fordworksを開発中。

エキゾーストシステム部門
-ディーゼルエンジンの騒音、音質(デュアルモードマフラー)、CO2排気ガス削減、燃費向上などの対策に集中した開発を行う。09年にはデュアルモードマフラー技術を取り入れたAbarthブランドエキゾーストの生産と供給を開始。

プラスチック部品及びモジュール部門
-小型・中型エンジン車種用の燃料タンク生産を目的とした排気量多層式ブロー成型技術と商用車のダッシュボード開発のためのスラッシュ成型(仕上がり向上目的)の採用などの技術開発を実行。


技術提携

-Brembo、Pirelliの両社と自動車セーフティーシステム分野で共同開発を行うことに合意。Pirelliのインテリジェントタイヤ 「Cyber Tyre」に、同社の電子制御システムとBremboのブレーキシステムを統合した製品を開発する計画。(2009年1月27日付プレスリリースより)

-FAAM 社(イタリア)とリチウムイオンバッテリーおよびバッテリーマネジメントシステム(BMS)を共同で開発・生産・販売することで合意。2010年後半まで に製品の販売を開始する予定。この提携は輸送機器市場が対象で、特にハイブリッド車や電気自動車分野に重点を置いたもの。FAAMは鉛電池、リチウムイオ ン電池、燃料電池、電気自動車などの製造・販売を行っており、イタリア、ウルグアイ、中国に生産拠点を所有している。(2009年8月31日プレスリリー スより)

-STマイクロ社とハイブリッド車(HV)及び電気自動車(EV)向けのインバーター(交流、直流の変換装置)の電源制御用モ ジュール、部品の量産展開について、協業に関する覚書に調印したと発表。両社はフォーミュラワン(F1)に搭載されている運動エネルギー回生システム (KERS)のインバーターの開発で協力しており、その成果を成長が見込まれるHV、EVに活用し、同分野における優位性の確立を目指す。(2009年9 月19日付日刊自動車新聞より)

-Samsung Mobile Displayとインストクラスター、インフォテイメント、カーナビなどの市場をターゲットとして、次世代ディスプレイ製品を開発することで協力協定を締 結。同社は、自動車分野、特にインストクラスターやビルトインカーナビシステムの分野での経験や専門知識を提供する。一方、Samsung Mobile DisplayはTFT(薄膜トランジスタディスプレイ技術)からアクティブ・マトリックス方式OLEDまで、ディスプレイ用途に開発された幅広い技術の ノウハウを提供する。(2009年11月26日付プレスリリースより)

-Telit Communications S.p.A.と自動車向けテレマティクス装置で使用するGSM (Global System for Mobile Communications) およびGPRS (General Packet Radio Service) の分野について覚書を締結。Telitは同社に対し、全世界、特に欧州とブラジルで自動車向けテレマティクス装置に装着するセルラーモバイルM2Mモ ジュールを供給する。M2M (machine to machine) に接続することにより、自動車から幅広いインフォモビリティーサービスや車内マルチメディアエンターテイメントサービスを利用できるようにな る。(2009年12月15日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2009年12月期 2008年12月期 2007年12月期
全社 356 474 319

海外投資

-中国安徽省の蕪湖経済技術開発区(Wuhu Economic Development Area)に工場を開設。照明部門およびパワートレイン部門の拠点となる。照明部門では、ヘッドランプやリアランプ等を製造し、国内に加えて日本や韓国を はじめとするアジア諸国にも輸出する。また、パワートレイン部門では、中国国内メーカー向けにインテークマニホールド、スロットルボディー等を生産。フル 稼働時の年産能力は、照明部品400万個、パワートレイン部品450万個を見込む。(2009年5月16日付プレスリリースより)