ElringKlinger AG 2008年度の動向

ハイライト

業績
百万ユーロ 2008年12月期 2007年12月期 増減率 要因
全社
売上高 657.8 607.8 8.2% -
税引き前利益 60.0 114.9 (52%) -
OE 事業
売上高 476.5 435.5 9.4% - 同事業はグループ全体の売上高の72.4%を占める。
- 買収により連結子会社となったSEVEX社とElringKlinger Marusan社の売上の大半はOE事業の売上として計上され、売上高は9.4%増加。
- 同買収効果を除外すると、欧州および北米での生産台数減少の影響により、OE事業部門の売上は2007年度の売上を下回る。

OE事業概況(2008年12月期)

- 2008年後半の自動車生産の落ち込みによって、シリンダーヘッドガスケット部門は全部門の中でもっとも大きなダメージを受けた。

- 低燃費・小排気量エンジン(小型化)を開発する傾向が強くなり、その結果特殊ガスケット部門シールディング技術部門での販売数量が増加。

- 特殊ガスケット部門では、AT用トランスミッションコントロール部品やターボチャージャー向け高温用ガスケットの販売数量が増加し、売上に貢献。

- エラストマー技術/モジュール部門では、プラスチック製の軽量モジュールが営業売上の伸長に寄与。

企業買収

- 2008年4月、SEVEX AGの買収手続を完了した。SEVEXは、スイスSevelenに本拠をおく断熱/防音シーリングシステムメーカー。SEVEX本体に加え、子会社であるSEVEX North America,orth America, Inc.(本社:米国Buford)とSEVEX Asia(同:中国蘇州)の事業も獲得。2008年度における旧SEVEX事業の売上げは、約95百万スイスフラン(59百万ユーロ)を見込む。(2008年4月17日付プレスリリースより)

- 2008年3月7日を期して、同社スペイン子会社ElringKlinger, S.A.(本社所在地:Reus)の株式49%を取得すると発表。同じくスペインReusを本拠とする子会社ElringKlinger Sealing Systems, S.Lの株式10%も併せて取得する。これにより既に部分買収を実施していた両子会社の未取得分株式全てを獲得する。ElringKlingerは、グループ企業の完全子会社化を進める方針を打ち出しており、このたびの株式取得もその戦略に沿ったもの。(2008年3月10日付プレスリリースより)

- 2008年5月、ガスケットメーカーのマルサン(Marusan Corporation:東京都)への出資比率を10%から50%に拡大。マルサンは、マルサン本体と系列企業3社で構成され、乗用車/トラック業界向けに、シリンダーヘッドガスケット、特殊ガスケット、ヒートシールドモジュールなどを製造。両社は、2004年3月、日本をはじめとするアジア市場における開発・販売での協業を目的として、合弁会社ElringKlinger Marusan Corporationを設立。(2008年5月2日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費用
(単位:百万ユーロ) 2008年
12月期
2007年
12月期
2006年
12月期
R&D 36.5 29.8 26.0

- 研究開発部門の従業員は293名。研究開発費は売上全体の5.5%を占める。
- 研究開発部門の拠点はドイツに集中し、主に Dettingen/Erms工場で行われている。
- 開発費の大半は、新事業部門のプロジェクトに投入。プロジェクトは、ディーゼル微粒子除去装置、燃料電池、バッテリー技術の開発や既存技術のレベルアップによる新規製品への対応。

研究開発活動(OE事業)

エラストマーコーティング
安定性を高めたエラストマーコーティングを開発し、高圧・高温状態でのシーリングシステムのパフォーマンスと耐用年数をさらに改善。

ターボチャージャー用シーリング部品
重点的課題として、高耐熱性合金についての新たなコンセプトの開発と、ガスケットの形状をターボチャージャーのインレット、アウトレット、及びインテリアケースに合わせて最適化することに取り組んだ。

SCRモジュール
ドイツの自動車メーカーと共同で、自動車用SCR直噴システムのシーリングやシールドを行う複合モジュールを開発。

トランスミッション製品

ATコントロールシステムの微粒子遮蔽構造の一体化が重点的課題で、AT機能の効率を高めるミクロビーズガスケットを開発。

シールディング技術
ドイツの自動車メーカーと共同で、熱遮蔽・音響遮蔽の統合エキマニガスケット付きの多機能型シールディングシステムを開発。

バッテリー技術
バッテリーメーカーと共同で、バッテリーの初期製品コンセプト開発に向けたプログラムを立ち上げた。開発チームは現在、主にマイクロ/マイルドハイブリッド車に使用する複極式鉛蓄電池( bipolar lead-acid batteries)用部品の開発に取り組む。

軽量化のソリューション
エラストマー技術/モジュール部門は、統合シーリングシステムの軽量プラスチックモジュールに注力。構成部品の重量は、金属部分を熱可塑性プラスチックに変えることで軽量化が可能。またこれにより燃費節減も可能になる。

設備投資

設備投資
(単位:百万ユーロ) 2008年
12月期
2007年
12月期
2006年
12月期
工場、土地及び機材、無形資産への投資金額 132.2 90.9 49.1

- 2008年12月期は、主にドイツおよびアジアの拠点での設備更新や拡張に投資。

設備投資(OE事業関連)
- シリンダーヘッドガスケット部門では、新規生産立上げに向けて組立ラインを拡張。

- 特殊ガスケット部門は、エキゾースト技術分野の拡充を行い、プレスシステム、連続自動ドライヤー、テストスタンド機器を購入。

- シールディング技術部門は、ドイツ Langenzenn工場において、ヒートシールド生産用に新ライン2つを増設するなどの生産能力拡大等の投資を実施。

- エラストマー技術/モジュール部門は、プラスティックカムカバー生産用に組立てライン2本を追加。メタルエラストマー製品用に洗浄と表面塗装のユニットを購入。

- 新事業部門は、セパレーターや燃料電池スタック生産の自動化レベルを上げるために、おもに関連機器やテストスタンド技術に投資。

海外投資
<インド>
- 2008年4月、同社にとってインド初となる工場をPune近郊のRanjangaonに開設。投資額は5百万ユーロ。年数百万個のガスケットを生産予定。エンジン、トランスミッションなどパワートレイン系部品のガスケット生産に特化した工場で、主力製品は新型の低排出ガス(ガソリン/ディーゼル)エンジン用ガスケット。この工場は敷地面積60,000㎡、建屋面積5,600㎡。Maruti Suzuki、Ford、Mahindra & Mahindra、Ashok Leyland、Fiat-Tata、Piaggio、MAN-Forceをはじめ、現地に拠点をおく自動車メーカー、部品サプライヤーに納入予定。 (2008年4月12日付プレスリリースより)