Magna International 2008年12月期の動向

ハイライト

業績 (単位:百万ドル)
2008年
12月期
2007年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 23,704 26,067 (9) 1)
営業利益 328 1,150 (71) -
セグメント別
北米部品 10,938 12,977 (16) 2)
欧州部品 7,089 6,936 2 3)
その他地域部品 515 411 25 4)
完成車組立 3,306 4,008 (18) -
ツーリング、生産技術他 1,856 1,735 7 -

要因
1)
売上全体
-売上減の要因は、北米での部品生産数減少や完成車組立部門の販売減による。売上減は、欧州とその他地域での部品売上やツーリングその他売上により一部相殺。

対前年度(2007年度)との比較
-北米で自動車生産台数は16%減少したが、同社の台あたり平均売上高は1%増加
-欧州で自動車生産台数は8%減少したが、同社の台あたり平均売上高は12%増加
-完成車組立の売上は前年の40億ドルから18%減少し33億ドル。また組立台数は37%減少し12万5千台

2)
北米部品売上
-北米の自動車生産台数が16%減少したことにより、売上は16%減少。この減少は、台あたり平均売上高の1%増加で一部相殺。
-前年度と比べ北米主要顧客の自動生産台数は減少し続けた。
-対前年度比で北米全体の自動車生産台数は16%減少。Chrysler、Ford、GMにおいては、それぞれ25%、21%、19%の減少。

-同社の車両台あたり平均売上高は、前年の859ドルから8ドル、1%増加して867ドル。主な要因は以下のとおり。

1) 2007年及びそれ以降の新規立ち上げ車種
-Dodge Journey
-Dodge Grand Caravan、Chrysler Town & Country、Volkswagen Routan
-Buick Enclave、Chevrolet Traverse
-Ford Flex
-Mazda 6
2) 2007年以降の買収
-Plastech Engineered Products Inc.の外装事業
-米アラバマ州バーミンガムにあるOgihara America Corporationのプレス及びサブアッセンブリー工場
3) 生産増やChevrolet CobaltやPontiac G5等車両への装着率アップ。
4) カナダドル高による米ドル建て売上高の上昇

3)
欧州部品売上
-欧州の自動車生産台数の増加は8%だったが、同社の台あたり平均売上高は12%増加したため、欧州での売上げは増加。

-同社の車両台あたり平均売上高は、前年の435ドルから51ドル、12%増加して486ドル。主な要因は以下のとおり。

1) 2007年及びそれ以降の新規立ち上げ車種:
-Volkswagen Tiguan
-MINI Clubman
2) カナダドル高による米ドル建て売上高の上昇.
3) 生産増や下記車両等への装着率アップ。
-Mercedes-Benz C-Class
-Volkswagen Transporter
-smart fortwo

上記売上増は下記により一部相殺。

1) 生産減や下記を含む車種への装着率ダウン
-BMW X3
-MINI Cooper
2) 2007年及びそれ以降の一部工場売却
3) Cheysler Voyager向けなど、2007年及びそれ以降の生産プログラム中止
4) 顧客からの要望により販売価格の引き下げ


4)
その他地域での部品売上
-売上増の主な要因は以下のとおり
1) 2007年およびそれ以降の、南ア、中国における新規生産の立ち上げ
2) 中国やブラジルでの生産増や台あたり装着率アップ
3) ブラジル、中国通貨レートの対ドル高による米ドル建て売上高の上昇

上記売上増は、韓国ウォンの対ドル安による米ドル建て売上高の減少により一部相殺。


企業買収
<米国>
Allied Transportation Technology, Inc.
-2008年2月、自動車用の障害物検知システムなどを手がける米Allied Transportation Technology, Inc. (ミシガン州)を買収したと発表。運転支援システムの開発強化が狙い。電子制御関連システムなどを手がけるMagna Electronics Inc.が買収した。Allied社の主要製品は超音波検知システムで、駐車や後進時の障害物検知に採用されてきた。(2008年2月26日付日刊自動車新聞より)

オギハラ・アメリカ(スタンピング部門とサブアセンブリー施設)
-2008年4月、同社で自動車用金属成形部品を手掛けるCosma International Inc. が、オギハラ・アメリカのスタンピング部門とサブアセンブリー施設を買収すると発表。買収後はそこで構造溶接組み立てを行い、メルセデスベンツを含む米南東部の完成車メーカーに供給する計画。(2008年4月25日付日刊自動車新聞より)

Plastech Engineered Products Inc.(外装事業)
-2008年6月16日、連邦破産法第11条適用下のPlastech Engineered Products Inc.より外装事業及び関連資産の大部分を買収。買収した事業部門は、米国およびカナダでChrysler, Ford、GMに納入を行っている。

BluWav Systems
-2008年10月3日、BluWav Systems LLCを買収。BluWavはハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車向けの電気・エネルギーマネジメントシステムのサプライヤー。

<中国>
サクシング・エレクトロニクス
-2008年2月、中国江蘇省の張家港サクシング・エレクトロニクス(Zhangjiagang Suxing Electronics)の生産拠点を買収したと発表。同社がアジアにエレクトロニクス製品の製造拠点を持つのは初めてで、車体コントロールモジュールなどを製造する計画。同社の電装品事業会社ー、Magna Electronics Incが買収した。取得した生産拠点は「Magna Suxing Electronics.」の名称とする。(2008年2月28日付日刊自動車新聞より)

<ロシア>
Technoplast
-2008年8月、同社はロシアの内・外装樹脂部品メーカーTechnoplast買収を発表。TechnoplastではGAZ Groupから複数のプログラムを受注しており、新型「Volga Siber」向けの製品も納入している。(2008年8月1日付プレスリリースより)


リストラクチュアリング
-2008年、以下整理統合を実施。
1) カナダ、米国で内装、外装事業を整理統合。
2) 米国セントルイスのシートシステム工場を閉鎖。
3) カナダのクロージャーシステム事業を整理統合。
4) カナダ、米国のパワートレインダイカスト事業を整理統合。

開発動向

研究開発費
-同社は、以前より技術開発を重視しており、対税前利益で最低7%を研究開発に投入するという政策を企業憲章に記載している。


新研究開発施設
<中国>
-2008年、中国長春に技術研究開発センターを開設。


技術提携
-2008年、排ガスゼロでリチウムイオン電池使用の電気自動車の2011年市場化を目指してFordと提携。そのコンパクトカーは、Fordの電化戦略上重要なものとなる。同社はそのコンパクトカーに重要部品を提供し、また電気推進システムやその他新しいシステムを電気自動車の構造に組み込むための技術においても重要な役割を果たす。


研究開発活動
電気自動車向けテクロノジー

-2008年11月、電気自動車(EV)の受託生産や部品供給の事業化に向けて、技術開発を本格化すると発表。車体部品からパワートレーン、電気・電子制御まで自動車の部品をトータルに手掛けるグループ体制を生かしながら、各部門が個別に開発したユニットを車両にまとめることなどによって最新のEV技術を提案する。早ければ2011年にも技術成果を公開し新規ニーズの吸収に結びつける。同社はこのほど、ハイブリッド車、EV向けの電気・エネルギー管理システムの開発・供給会社である米ブルーウェーブ・システムズ社(ミシガン州)を買収、同分野の開発強化に向けて着々と基盤を固めている。(2008年11月6日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額 (単位:百万ドル)
2008年12月期 2007年12月期 2006年12月期
合計 739 741 793


海外投資
<インド>
-2008年10月、同社のボディ/シャシーシステム事業部門Cosma Internationalは、インドのPuneに新工場を設立すると発表。CosmaにとってBangaloreのエンジニアリングサービス拠点に次ぐインド第2の拠点で、2010年から稼動開始の予定。Pune新工場ではインド国内外の自動車メーカーに製品を供給する。(2008年10月15日付プレスリリースより)

<中国>
-2008年10月、同社の自動車用ボディ/シャシーシステム事業部門Cosma Internationalは、中国上海に新工場を開設したと発表した。この上海工場は同社の安亭工場に代わる新たな拠点で、国内主要自動車メーカーにボディ/シャシー製品を供給している。(2008年10月20日付プレスリリースより)