車とスマートグリッド(1):トヨタグループが蓄電機能付き住宅を開発

車(EV/PHEV)と家と情報をITシステム「トヨタスマートセンター」で結ぶ構想

2011/04/14

要 約

 以下は、日本で検討・実証が進められているスマートグリッド計画において、EVやPHEVの導入・活用に関連する、または自動車メーカーが直接関わる動きの動向概要である。

 「スマートグリッド(次世代送電網)」は、電力の流れを供給側・需要側の両方から制御し最適化できる送電網を指し、2010年から国内で複数の実証計画が進められており、自動車メーカーではトヨタ、日産、マツダ、三菱自動車が参加している。ホンダは独自の実証実験を、日本(埼玉県)と米国カリフォルニア州で開始した。

 経済産業省は、2010年4月に、「次世代エネルギー・社会システム実証地域」として、横浜市(日産が参加)、豊田市(トヨタが参加)、京都府・けいはんな学研都市(三菱自動車が参加)、北九州市を選定した。この他にも、青森県六ヶ所村、茨城県つくば市などで実証実験が進行中。

 本レポートは、"車とスマートグリッド(1)"として、トヨタグループが開発する蓄電機能付き住宅や、トヨタがスマートグリッド戦略の中心と位置づけるITシステム「トヨタスマートセンター」の果たす役割、住宅各社の蓄電機能付き住宅の供給計画(EV/PHEVの普及も想定)などを中心にレポートする。次いで"レポート(2)"として、日産が横浜スマートシティプロジェクトで進める計画や、日産他各社が進めるリチウムイオン電池二次利用計画(EV/PHEVでの使用を終了した電池を住宅用蓄電池として再利用するなど)を中心にレポートする予定。

 トヨタ、日産、三菱自動車は、一連の実証実験を通して、EV/PHEVの駆動用電池を家庭の蓄電用に利用する試みも検証する計画。東日本大震災後、EV/PHEVが搭載する電池を停電の時の非常用電源として活用することの可能性も注目されている。



トヨタのスマートグリッド戦略

トヨタ:ITシステム「トヨタスマートセンター」を開発

 トヨタは2010年10月、スマートグリッドへの取り組みの一環として、住宅・車や電力会社から供給される電力など、エネルギー消費を総合的にコントロールするトヨタ独自のITシステム「トヨタスマートセンター」を開発したと発表した。家庭用エネルギー管理システムHEMS(Home Energy Management System)を装備する住宅を含め、より広い範囲をカバーし、電力使用を効率化する。

 2012年初めに市販を開始するEV/PHEVや、トヨタホームの一部において、このシステムによるサービスを開始する。

 トヨタは、スマートセンターはトヨタのスマートグリッド戦略の中核となるシステムであり、スマートセンターにより、自動車と住宅の両方を持つトヨタの強みを発揮し、エネルギー利用の最適化を提案できるとしている。

トヨタ:住宅と車のエネルギー消費を最適化するシステム「トヨタスマートセンター」を開発

 「トヨタスマートセンター」は、今後普及が予想されるPHEVやEV、さらには住宅内のエネルギー使用を管理するHEMS(Home Energy Management System)を装備した先進のスマートハウスを活用し、それらが使用するエネルギーと、電力会社からの電力や太陽電池など自家発電などにより供給されるエネルギーを合わせて、需要・供給を管理・調整する。
 具体的には、EVやPHEVから送信される電池残量や(EV/PHEVとの通信は、既存のテレマティクスを使用する)、HEMSから送信される住宅内の電力消費等の情報と、気象予測データや電力会社の時間帯別料金情報を合わせて総合的に判断し、生活圏全体におけるCO2排出量と居住者の費用負担を最小化するように、車両の充電や住宅内の電力消費を調整する。
 青森県「六ヶ所村スマートグリッド実証実験(後出)」においてトヨタホーム2棟とPHEV 8台で「トヨタスマートセンター」を実験的に稼働させており、2012年初めまでに市販を開始するEV/PHEVやトヨタホームの一部でもサービスを提供する計画。

 資料:トヨタ広報資料 2010.10.5

クルマと家と情報をつなぐ「スマートコミュニティサービス」を展開

 トヨタは2011年3月に、クルマと家と情報をつなぐ「スマートコミュニティサービス」をクルマの新しい付加価値と位置づけ、これらを総合的にコントロールする「トヨタスマートセンター」のグローバル展開を推進すると発表した。また2012年からのEV/PHEV導入により、「スマートセンター」の普及がさらに進む見込みとしている。

 その一環として、2011年4月、トヨタとマイクロソフトは、マイクロソフトのグローバルクラウドプラットフォームをベースに、次世代テレマティクスサービスを構築し、また将来、同じようにマイクロソフトのクラウドを使用して「スマートセンター」のグローバル展開を図っていくと発表した。

 

トヨタ:くるまの、「電気エネルギー機器としての価値」を訴求

トヨタの「スマートコミュニティサービス」
トヨタの「スマートコミュニティサービス」(トヨタグローバルビジョン説明会(2011.3.9))

トヨタ:マイクロソフトと提携し、「トヨタスマートセンター」をグローバル展開

 2011年4月、トヨタとマイクロソフトは、マイクロソフトのクラウドプラットフォーム"Windows Azure"をベースとした、トヨタの次世代テレマティクス向けグローバルクラウドプラットフォーム構築に向けて戦略的提携をすることで基本合意した。提携にあたり、トヨタの100%子会社でIT事業を担当するトヨタメディアサービス株式会社(資本金1億5,050万円)が10億円を増資し、トヨタとマイクロソフトが引き受ける(割合は調整中)。
 具体的には、トヨタが2012年に市販するEV、PHEVに、"Windows Azure"をベースに開発するテレマティクスサービスを採用。さらに2015年までに両社が共同で、独自のグローバルクラウドプラットフォーム構築を目指す。
 将来的には、このグローバルクラウドプラットフォームを活用して、「トヨタスマートセンター」のグローバル展開を図っていく計画。
資料:トヨタ広報資料 2011.4.7、日刊自動車新聞 2011.4.8
(注) 1. 「クラウド」はクラウドコンピューティング(Cloud computing)の略で、インターネットをベースとしたコンピュータの利用形態を指す。従来のコンピュータ利用では、ユーザーがコンピュータのハードウェア、ソフトウェアを自分自身で保有・管理していたのに対し、クラウドコンピューティングでは、ユーザーはインターネットを通じてサービスを受け、サービス利用料金を支払う。
2-1. クラウドを利用するHEMSシステムの開発としては、積水化学と日本電気も、2010年10月、クラウドを利用するHEMSを開発し販売すると発表した。
2-2. 家庭にあるパソコンを利用し、「太陽光発電 + オール電化住宅」の住宅のエネルギー需給を一元管理する。電力測定装置と情報収集装置で構成するシンプルなシステムで、10万円以下の普及価格を予定。セキスイハイムオーナーサポートの一環として活用する。

 

トヨタ:住宅事業をトヨタホームに集約、蓄電機能付き住宅を開発

 トヨタは、2010年10月1日、それまでトヨタ自動車の一部であった住宅事業の住宅生産部等をトヨタホームに移管し、住宅事業をトヨタホームに集約した。また10月1日付けで、トヨタホームはミサワホームの株式27.8%を所有する株主となった。

トヨタ:トヨタホ-ムに住宅事業を集約、ミサワホームとの提携を強化

 トヨタは、2010年10月1日付けで、住宅事業本部(企画部、技術部、生産部など)をトヨタホームに移管し、住宅事業をトヨタホームに集約した。従来、営業と商品企画の専門会社であったトヨタホームは、製販一体の企業となった。迅速な意思決定と機動的な事業運営を目指す。
 また同日付けで、トヨタグループ 9社(デンソー、アイシン精機、豊田自動織機など)が、合わせて12.2%を出資し(残りの87.8%はトヨタ自動車が保有)、グループをあげてトヨタホームを支援し、グループの住宅事業を強化する体制を構築した。
 トヨタホームは、2010年4月に、NPF-MG投資事業有限責任組合からミサワ株 14.4%の譲渡を受け、10月にはトヨタが所有していたミサワ株 13.4%を取得し、合計 ミサワ株27.8%の株主となった。

資料:トヨタ自動車広報資料 2009.10.23/2010.4.29、トヨタホーム広報資料 2010.9.14

 

トヨタは、トヨタホーム、トヨタホームに出資したグループ9社やミサワホームなどグループの総力をあげて、太陽光などの自然エネルギー、蓄電システムとトヨタスマートセンターを装備した住宅の実用化を目指す。トヨタとトヨタホームは、既に2009年4月に、共同で蓄電機能を備えたHEMSを開発し、2011年に実用化を目指すと発表していた。

トヨタ:グループの総力をあげて、自然エネルギー、蓄電機能とHEMS付住宅を開発

トヨタホーム
と協力
 トヨタとトヨタホームは、2009年4月、蓄電機能を備えたHEMS(Home Energy Management System)を共同で開発し、2011年に「トヨタホーム」で実用化を目指すと発表した。
 開発はトヨタが主体となり、トヨタホームが商品企画面を担当、蓄電池・電力変換機、制御機で構成する装置本体はデンソーが、表示・操作盤はミサワホームが担当する。
 リチウムイオン電池を搭載する蓄電地の一次試作品を完成させており、その蓄電量は5kWh。太陽光発電やPHEV、EVなどとの連携も視野に入れ(注1~3)、本システムを介して「家も車も、CO2ゼロ」の実現を目指す。2011年に実用化のめどをつけ試行販売する計画で、数十万円の製品価格を想定していると発表した。
グループ
各社が協力
 トヨタホームに出資したトヨタ系9社は、デンソーの空調機器(エコキュート(注4)について長年にわたる技術の蓄積を持つ)、豊田合成のLEDなど車載部品で蓄積した技術を活かし、家全体の消費電力を抑えたり、消費量を管理するシステムを構築する。
資料:トヨタ・トヨタホーム共同広報資料 2009.4.14、日本経済新聞 2010.6.9/2010.7.8
(注) 1.  5kWhは、一般家庭で9時から17時の間に使用する電力量をまかなえるとされる。2010年9月に開始した六ヶ所村実証計画で使用するトヨタホームも同じ容量の電池を装備する。ちなみに、トヨタが2009年12月に限定したユーザーにリース販売を開始したPrius PHEVが搭載する駆動用電池の容量は 5.2 kWh。
2. 日産Leafの駆動用電池の容量は 24 kWh。SIM-DRIVEが2011年3月に発表したEV SIM-LETの電池容量は24.9kWh。いずれも、一般家庭が使用する約2日分の電力を貯蔵できるとされる。従って、既に販売されているEV/PHEVの電池を電源として使用することにより、2011年3月に実施されたような3時間の計画停電に十分に対応することが可能。
3. 現在市販されている三菱 i-MiEVや日産Leafは、駆動用電池からEV駆動の目的以外に放電する機能は持たないので、設計変更が必要。また家庭に向けた放電に利用する場合、電池の耐久性への影響や、EV/PHEVをすぐ利用できる状態に保てるかなどの課題があるとされる。
4. エコキュートは、エアコンなどに利用されるヒートポンプ技術を採用した給湯機で、電気やガスの燃焼型給湯機に比べ機器は高価だがエネルギー効率が高く運転費用が安い。
ミサワホーム:蓄電池やEV充電器付き省エネ住宅を開発
ミサワホーム  ミサワホームは1998年に、世界初の、年間のエネルギー消費と発電エネルギーの収支をゼロにする「ゼロ・エネルギー住宅"HYBRID-Z"」を開発・発売した。2008年3月に北海道旭川市に、次いで三重県亀山市に「次世代ゼロ・エネルギー住宅」試行棟を完成させた。
 こうした技術の蓄積をベースに、2010年11月に、最先端の環境技術と日本家屋の伝統的な知恵や工夫を盛り込んだ「エコフラッグシップモデル」を完成させた。カスケードソーラーシステム(太陽光 + 太陽熱利用)、基礎断熱や付加断熱システム、高断熱ガラスなどの省エネルギー技術を採用する。
 さらに、トヨタグループ、トヨタホームと協力しながら、(1)家庭内のエネルギー利用を最適化する蓄電池付きHEMS(Home Energy Management System)、(2)PHEVやEVに対応する次世代充電ステーションを開発中で、早期の商品化を目指す。

資料:ミサワホーム広報資料 2008.3.17/2010.11.10、日経産業新聞 2010.11.25
(注)2010年6月、経済産業省は、2030年までに新築平均で、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル、1年間を通算してネットでエネルギー消費量がゼロになるようなビル)、およびZEH(同住宅)を実現するとの構想を発表した。トヨタグループおよび住宅各社は、この構想を見据えていると言われている。

 



トヨタ:豊田市と青森県六ヶ所村での実証実験に参加

 経済産業省は、2010年4月、「次世代エネルギー・社会システム実証地域」として、公募に応じた全国20ヵ所から、横浜市、豊田市、京都府(けいはんな学研都市)、北九州市、の4地域を選定した。各地域では、提出した提案書に基づきマスタープランを策定し実証計画にとりかかかった。

経済産業省:次世代エネルギー・社会システム実証地域に4地域を選定

選定地域  横浜市、豊田市、京都府(けいはんな学研都市)、北九州市
位置づけ  日本型スマートグリッドの構築と海外展開を実現するための取組み、と位置づける
求められる内容  ・大幅な省エネ目標・CO2削減目標、・大規模な再生可能エネルギーの導入、・次世代自動車・鉄道等も活用した交通システムにおけるエネルギーの効率的利用、など。
参加範囲  自治体だけでなく、エネルギー関連企業、システムメーカー等が参加し、一定数のユーザー(家庭、ビル、商業施設等)の参加も求める。
資料:経済産業省広報資料 2010.4.8
(注) 1.  4地域合計で、5,000世帯の一般家庭をスマートグリッド(次世代送電網)で結ぶ計画。5年間の計画で、総事業費は約1,000億円。横浜市、豊田市、北九州市では各市が、京都府では府が事業主体となる。(横浜市の計画の内容は、レポート(2)に記載予定))。
2. 京都府の計画には三菱重工業、三菱電機、オムロンなどの企業が参加。三菱自動車も参加し、家庭電力からEV用電池への充電、あるいはEV用電池の電力を家庭用電力へ供給する連係「V2H、Vehicle to Home」の実証を行う。
3. 北九州市の計画には、北九州市、新日鉄、東芝などが参加。「V2H」の導入実験や、日産も参加して「EV用リユース電池の適用先の検討・検証」を行う。

 

豊田市で、低炭素社会システムの実証を計画

 2010年4月、豊田市とトヨタ他参加企業19社は、豊田市が「次世代エネルギー・社会システム実証地域」に選定されたことを受け、実証実験の取り組みを開始した。全家庭平均で20%(HEMSを装備するスマートハウスでは70%以上)、交通部門で40%のCO2排出量削減を目指す。

 EV/PHEVの車載電池から家庭への電力供給、また大規模災害時に商用施設や公共施設への充電の可能性も検証する。

トヨタ・豊田市:低炭素社会システム実証プロジェクトを開始

狙い  豊田市における街づくりの一環として、地方都市型の低炭素社会を構築するとともに、将来、国内はもとより海外の都市へ横展開することも視野に、それぞれの社会環境に応じたシステムを構築する。事業費用は、2010年度から5年間で約113億円。
参加企業  豊田市、トヨタ自動車、中部電力、(株)ドリームインキュベータの4社を幹事とし、他に民間企業16社が参加。
基本方針 1. 家庭セクター(家 + 自家用車)からのCO2排出量を削減する。
2. 車の蓄電池の有効活用も含めて、 社会コストを抑える。
3. グローバルにも各地域で貢献できるシステムとし、国際標準を目指す。
具体的な
取り組み
①家庭内でのエネルギー有効活用:
・省エネ、創エネ機器(太陽光電池、燃料電池など)、蓄エネ機器(エコキュート、次世代自動車など)を、多彩に組み合わせ大規模に導入。
・EV/PHEV搭載電池の電力活用(V2H)の可能性を検証。
・HEMSを導入(5年間でHEMS装備住宅70戸、次世代自動車75台の使用を想定)
②コミュニティでのエネルギー有効活用:
・HEMSや再生エネルギー利用のネットワーク化、
・大規模災害を想定し、車載電池からコンビニなどの商用施設や公共施設向けの電力供給の可能性を検証する、
・定置用蓄電設備の商用施設などへの導入を促進。
③低炭素交通システムの構築:基幹路線にFCバスを試験導入、またEV/PHEVバス導入を検討。
④生活者行動支援によるライフスタイルの変更。
⑤グローバル展開の検討

資料:豊田市低炭素社会システム実証推進協議会広報資料 2010.4.8/2010.8.5
(注)豊田市の2010年1月1日付け人口は 423,016人。

 

トヨタ:青森県の「六ヶ所村スマートグリッド実証実験」に参加

 トヨタ、日本風力開発、パナソニック電工、日立製作所の4社が中心メンバーとなり、2010年9月から青森県六ヶ所村で、スマートグリッド実証実験を開始した。

 既に六ヶ所村に稼働している、世界初の大規模蓄電池併設風力発電所を活用し、電力会社の送電網から独立し、風力と太陽光のみで電気を供給するクローズドグリッドを構築し、その環境下でのエネルギー効率の最適化を実証する。

 トヨタは、提供しているPrius plug-in Hybrid 8台とHEMSを装備するトヨタホーム2棟に対して「トヨタスマートセンター」を実験的に稼働させており、六ヶ所村での実証実験を通じてシステムのさらなる進化に取り組んでいる。

トヨタ:青森県「六ヶ所村スマートグリッド実証実験」に参加

本計画の特徴  2003年から既に稼働している、国内最大規模で、かつ蓄電機能を持つ風力発電所を活用することにより、電力会社の送電網から独立し風力発電と太陽光発電のみで電力を供給する、日本初のクローズドグリッドを構築し、エネルギー利用の効率化を実証する。
参加企業 <主要メンバー企業>トヨタ、日立製作所、日本風力開発(JWD、Japan Wind Development)、パナソニック電工、
<協力企業>デンソー、トヨタホーム、積水ハウス、他、<協力自治体>青森県六ヶ所村
対象期間  2010年9月~2012年7月(予定)
主要設備 ・六ヶ所村二又風力発電所(2003~2004年に設置された)
・100kW級のNAS蓄電池(JWD):グリッド内の地域の電力需要量全体をコントロールするHUB蓄電池として2007年に設置。自然エネルギーの発電量が多い時は、エネルギーをHUB蓄電池に貯蔵し、発電量が少ない時は、HUB蓄電池から電力を供給する。
・コントロールセンター(JWD、日立製作所が担当)
・自営線(JWDが、風力発電所と尾駮レイクタウン北地区の間に、約8kmの専用電力ケーブル・通信用光ファイバーを新設)
・エネルギーマネジメントシステム(JWD、トヨタ、パナソニック電工):六ヶ所村の分譲地尾駮レイクタウン北地区内に、HEMSと家庭用蓄電池を装備するスマートハウス6棟を新設(うち2棟はトヨタホームで、最大容量5kWhの自家蓄電池を装備する)。
 トヨタは、スマートハウス、PHEVの運行管理システムなどを含めて、電力消費/蓄電計画を作成・制御するトヨタスマートセンターを実証する。
・自動検針システム:日立製作所が、スマートハウスなど消費地点にスマートメーターを設置。
・100kWの太陽光発電設備(日立製作所)
・Prius Plug-in Hybrid 8台と充電スタンド(トヨタ)

資料:トヨタ/日本風力開発/パナソニック電工/日立製作所 4 社共同広報資料 2010.9.15

 

六ヶ所村実証実験で、トヨタが取り組む内容

トヨタの「六ヶ所村スマートグリッド実証実験」発表資料
トヨタの「六ヶ所村スマートグリッド実証実験」発表資料(2010.9.15)

 



住宅各社が、EV/PHEVの普及も見込み、蓄電機能付き住宅を開発

 住宅メーカーや電気メーカーは、EV/PHEVの普及も見込み、太陽光発電、蓄電機能およびHEMS機能付き住宅の開発や実証実験に取り組んでいる。

 大和ハウスは、エリーパワー社製リチウムイオン電池を使用し、また貯蔵した電力を家庭内で消費するか、電力会社に売電するか選択できるシステム「D-HEMS」を開発した。パナソニックは、民生用の18650型円筒リチウムイオン電池を組み合わせたシステムを開発した。伊藤忠都市開発は、共用部に太陽光パネルとEnerDel製リチウムイオン蓄電池を設置するマンションを発売した。大阪ガスは積水ハウスと共同で、燃料電池・太陽電池・リチウムイオン電池の「3電池」を装備する住宅を開発し、居住実験を開始した。EV用電池を家庭用蓄電池として使用する実証も行う。

大和ハウス:リチウムイオン蓄電地付き住宅の実証実験を開始

 2010年6月、大和ハウスは、2020年までに、環境負荷ゼロ(CO2排出量ゼロ、光熱費ゼロ)のエネルギー自給住宅の実現を目指すと発表した。
 その第一弾として、2010年7月より、(1)太陽光発電システム、(2)家庭用リチウムイオン蓄電池(注1、エリーパワー社製)、と(3)ICT(Information and Communication Technology)技術、を搭載する住宅の実証実験を、埼玉県春日部市と愛知県名古屋市の2ヵ所の住宅展示場で開始した。2011年に商品化し発売する予定。
 ICT技術では、大和ハウス独自のエネルギーマネジメントシステム「D-HEMS」を導入する。太陽光発電で創られるクリーン電力を家庭内で消費する「ecoモード」と、クリーン電力を全て電力会社に売電する「おサイフモード」を設定し、選択できる。(注2)
資料:大和ハウス広報資料 2011.6.23
(注) 1. エリーパワーは、2006年9月に、大和ハウスグループ、シャープ、国際石油開発帝石、大日本印刷などの企業が出資し設立した大型リチウムイオン電池メーカー。
2. 「おサイフモード」では、太陽電池で発電した電力は住宅内では使わず、全て売電する。蓄電池は夜間の安価な電力を貯めて、日中に住宅で使用する。現在の法制度では、こうした方がユーザーの得になる。

パナソニック:18650型電池を使用し、住宅用蓄電システムを開発

 パナソニックは、2010年6月から、三洋電機の太陽電池と組み合わせて、リチウムイオン電池を使った家庭用蓄電システムの実証実験を、大阪市の住之江工場で開始した。蓄電システムは、18650型円筒リチウムイオン電池を140個組み合わせて蓄電容量が1.5kWhのモジュールとし、モジュールを4つ繋いで蓄電能力6kWh(4人家族が1日に使う電力の約半分)の蓄電システムを構築した。
 本実証実験では、(1)太陽光発電との組み合わせによる、リチウムイオン蓄電システムの充放電検証、(2)長期連続使用によるリチウムイオン電池システムの信頼性評価を行い、2011年度に住宅用蓄電システムとして、1台数十万円(初期投資を10年程度で回収できる価格)で発売するとされる。

資料:パナソニック広報資料 2010.7.8、日経産業新聞 2010.7.9

伊藤忠都市開発:共用部に太陽電池・蓄電システムを設置した分譲マンションを発売

 2011年3月、伊藤忠都市開発は、分譲マンション「クレヴィア二子玉川(東京都世田谷区、総戸数51戸)」を公開した。マンション内に、太陽光パネルと米国EnerDel社製蓄電システムを設置し、昼間の太陽光パネルで発電した電力を蓄積して、夜間に共用部の全電灯(一部を除き電力消費量の少ないLEDを採用)の電力で賄うことを可能にした。
 また、三菱i-MiEVを居住者が共同で利用できるカーシェアリングシステムを導入する。EV用充電器も設置する(将来はスタンダードな装備になると想定し先取りする)。

資料:伊藤忠都市開発広報資料 2010.1.8/2011.2.18

大阪ガス・積水ハウス:スマートエネルギーハウスの居住実験を開始

 大阪ガスは積水ハウスと共同で、2011年2月から3年間の予定で、スマートエネルギーハウス居住実験を開始した。固体酸化物型燃料電池、太陽電池、リチウムイオン電池の「3電池」を設置し、大阪ガスの社員家族が、EV乗用車を利用しながら居住する。
 実験では、3電池の最適制御、家電機器や給湯設備・自動制御設備などの管理・制御をHEMSにより行い、得られる省エネ効果や快適性を検証する。
 実験のなかで、EVの走行・充電データを取得し、定置型電池の代替としてEV用電池を利用する場合の効果を検討し、実際の検証に入る予定。

資料:大阪ガス・積水ハウス共同広報資料 2011.2.1

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>