北米市場における日本メーカーの概況とモデル計画

トヨタはPrius の派生車、ホンダは中大型クラスのPHEV、日産はEV Leaf を投入

2011/01/25

要 約

 米国の2010年Light Vehicle 販売は1,159.0万台で、09年比11.1%増加した。経済危機により縮小していたpickup truck等の需要が徐々に回復し、Light truck の販売は09年比18.2%増加、乗用車は5.2%増加した。

 米国3社の販売台数は12.4%増の526.1万台で、市場シェアは0.5ポイント回復して45.4%。一方、日本メーカー7社の販売台数は6.4%増の447.6万台で、市場シェアは1.7ポイント縮小して38.6%に下降した。

 トヨタ、ホンダ、スズキのシェアは低下したが、日産と富士重工はシェアが拡大。マツダと三菱は2009年から変化がなかった。

 以下は、緩やかな景気回復を示す北米市場における、日本メーカーの概況とモデル計画の概要である。大半のメーカーがHEV, PHEV, EV等の電動車両を投入するほか、トヨタはエントリー・ラグジュアリー・セグメントのLexus CT200h、ホンダはAcura ブランドのコンパクト車、マツダ、三菱はそれぞれ小型 crossover のCX-5, Outlander Sport を投入し、日産は中型SUV Rogue の生産を北米に移管する。

米国の新車販売:メーカー別 Light Vehicle 販売

(台)
  2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2010年
前年比
市場シェア
2009年 2010年
GM 4,065,341 3,822,611 2,954,819 2,071,749 2,211,699 6.8% 19.9% 19.1%
Ford 2,901,090 2,559,259 2,002,279 1,677,234 1,964,059 17.1% 16.1% 16.9%
Chrysler 2,142,505 2,076,650 1,453,122 931,402 1,085,211 16.5% 8.9% 9.4%
米国 3社 9,108,936 8,458,520 6,410,220 4,680,385 5,260,969 12.4% 44.9% 45.4%
トヨタ 2,542,525 2,620,825 2,217,660 1,770,147 1,763,595 -0.4% 17.0% 15.2%
ホンダ 1,509,358 1,551,542 1,428,765 1,150,784 1,230,480 6.9% 11.0% 10.6%
日産 1,019,249 1,068,237 951,350 770,103 908,570 18.0% 7.4% 7.8%
富士重工 200,703 187,208 187,699 216,652 263,820 21.8% 2.1% 2.3%
マツダ 268,786 295,737 263,949 207,767 229,566 10.5% 2.0% 2.0%
三菱自動車 118,558 128,993 97,257 53,986 55,683 3.1% 0.5% 0.5%
スズキ 100,990 101,884 84,862 38,695 23,994 -38.0% 0.4% 0.2%
いすゞ 8,614 7,098 4,758 165 -   0.0%  
日本 8社 5,768,783 5,961,524 5,236,300 4,208,134 4,475,708 6.4% 40.3% 38.6%
現代自動車 749,822 772,482 675,139 735,127 894,496 21.7% 7.0% 7.7%
欧州メーカー 932,084 961,538 924,059 807,699 959,101 18.7% 7.7% 8.3%
合計 16,559,625 16,154,064 13,245,718 10,431,345 11,590,274 11.1% 100.0% 100.0%
資料:Automotive News 2011.1.4
(注) 1. GM には、2010年 2月まで Saab ブランド車を含む (Saab は2010年 2月23日に Spyker Cars に売却された)。
2. Ford には、2010年 7月まで Volvo ブランド車を含む (Volvo は2010年8月2日に中国 Geely Holding Group に売却された)。
3. 欧州メーカーには、DaimlerChrysler の時期の Mercedes-Benz ブランド車と、Tata Motors 傘下の Jaguar, Land Rover を含む。また、2010年3月以降のSaab ブランド車、2010年8月以降のVolvo ブランド車を含む。


トヨタ:2011~2012年に Prius の派生車を 3車種追加

 トヨタの2010年米国販売は、リコール問題や主力車 Camry がモデル末期であることの影響で、前年比 0.4% 減少し、市場シェア 2位を Ford に譲った。2011年は、全面改良する Camry など新車の投入が相次ぐ予定で、米国販売は 8%増の 190万台を見込む。

 トヨタは、2011年1月のデトロイトモーターショーで、米国市場の4つの柱を Corolla, Camry, pickup trucks, Prius Family とすると表明。Prius Family については、2011~2012年に Prius の派生車を3車種 (wagon車, PHEV車, 若者向けhatchback車) 追加すると発表した。

 また、Lexus ブランドは、2010年末に新たなブランドテーマを "progressive luxury" と定め、hybrid車、先進的なテレマティクス、sporty package に注力するとしている。2011年春には、エントリー・ラグジュアリー・セグメントの hybrid 車 CT200h を投入する。

トヨタ:北米事業の業績

(1,000台, 100万円)
2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度
見込み
4-9月
2009年 2010年 増減率
連結販売台数 2,942 2,958 2,212 2,097 2,090 904 1,041 15.2%
連結生産台数 1,205 1,268 919 1,042   452 670 48.2%
北米への輸出台数 1,408 1,304 928 690 660 313 322 2.9%
売上高 9,029,773 9,423,258 6,222,914 5,670,526   2,594,350 2,821,277 8.7%
営業利益 449,633 305,352 (390,192) 85,490   26,928 145,881 441.7%
資料:トヨタの連結決算報告書
(注) 1.  (後出の各社表も同様) 売上高と営業利益は所在地別セグメント情報による。輸出台数は日本からの輸出台数。
2.  輸出台数 (トヨタ単独決算ベース) 以外の項目は、日野自動車を含む。
3.  2010年度見通しは2010年11月発表。5月発表の見通しでは、販売台数 217万台、輸出台数 72万台。

 

トヨタ:北米市場での Prius Family 計画

基本方針  2011年 1月開催のデトロイトモーターショーにおける豊田社長の発表では、北米市場での 4つの柱は、Corolla, Camry, pickup trucks, Prius family としている。
 2011~2012年にかけて HEV Prius の派生車を 3車種追加して Prius Family を 形成し、2020年までに米国でのトヨタブランドの最量販モデルとする計画。販売状況により、米国生産の可能性もある。
Prius Family  ・Prius v (2011年夏に発売) 5人乗りの wagon 車。荷室スペースを現行 Prius より 50% 以上拡大したが、燃費は 2割の悪化に抑える。
 ・Prius PHEV (2012年前半に発売) 09年末から特定利用者にリースしているが、2012年前半に市販開始。トヨタとして初めてリチウムイオン電池を搭載し、EV走行距離は約13マイル。充電所要時間は 110V で3時間、220V で 90分。価格は Chevrolet Volt の 4万ドルより安く設定する。
 ・Prius c (2012年前半に発売) 現行 Prius より低燃費・低価格の、若年層向け hatchback。

資料:Automotive News 2010.9.27/2011.1.4/1.10

トヨタ:北米市場モデル計画

Toyota ブランド
2011MY 新型 Sienna  ミニバン。フルモデルチェンジして、2010年春に発売した。
2012MY 新型 Yaris  新開発の 1500cc エンジンと 6速AT を搭載する見込み。
新型 Camry  2011年末か2012年初にモデルチェンジする見込み。
新型 RAV4  小型 crossover SUV。内装を上質に、外観を大胆なデザインに変更し、Honda CR-V に対抗する。Tesla Motors と共同開発中の RAV4 の EV は、2012年に投入予定。
Sporty coupe  (または2013MY) 富士重工と共同開発する sporty coupe (コンセプト車を FT-86 と呼称)。水平対向4気筒エンジンを搭載する。
2013MY 新型 Highlander  2011MYにマイナーチェンジ、2013MYにフルモデルチェンジする 中型 Crossover SUV。
Scion ブランド
2011MY iQ  2011年初頭に投入する 4人乗りミニカー。日欧で販売中のモデルは、100hp 1.3L 4気筒エンジンを搭載。iQ ベースのEV は2012年に投入予定。
新型 tC  Avensis ベースの sport coupe で、北米で開発する Scion 専用モデル。2010年秋にフルモデルチェンジし、従来よりパワフルな 2.5L 4気筒エンジンを搭載。
2013MY 新型 xB  5ドア wagon 車 (日本名 Corolla Rumion)。2012年夏にフルモデルチェンジする予定。
新型 xD  5ドア hatchback 車 (日本名 ist)。2012年夏に大幅改良を検討中。
Lexus ブランド
2011MY CT 200h  エントリー・ラグジュアリー・セグメントの 5ドア hatchback車。1.8L 4気筒エンジンとモーターを搭載したコンパクトハイブリッド車。ボディサイズは BMW 1 Series や Audi A3 と同等。
2012MY 新型 GS  2011年春にフルモデルチェンジの見込み。対抗車は BMW 5 Series, M-Benz E-Class。
LFA  2010年12月に発売された超高級スーパーカー。まず世界で 500台の coupe を限定販売し、2014年 1月頃に roadster を発売する見込み。
新型 ES  Toyota Camry をベースとする中型 sedan。Hybrid 仕様が設定される見込み。
2013MY 新型 IS  コンパクトカーセグメントのプレミアムスポーツセダン。対抗車は BMW 3 Series。
新型 LS  Lexus ブランドの最上級 sedan。
資料:Automotive News 2010.9.27, Toyota Press Release 2010.11.18
(注)  前出の Prius Family の計画を除く。

 



ホンダ: 2012年に中大型クラスの PHEV と Fit EV を投入

 ホンダの2010年米国販売は、主力車の Civic がモデル末期であること等により前年比 6.9%増にとどまり、市場シェアが 0.4ポイント低下して 10.6% となった。

 ホンダは、2011年春に Civic をフルモデルチェンジし、2010年に低下した市場シェアを回復するとしている。また、 2010年11月に開催されたロサンゼルスモーターショーでは、北米市場における環境対応車計画を明らかにした。2011MYに CR-Z、2012MYに新型Civic のhybrid 仕様を投入し、hybrid 車のラインアップを拡充。2012年には中型以上のクラスのPHEVとFit EVを投入する。

 Acura ブランドは、経済危機後の市場縮小の影響で、V8エンジンや後輪駆動仕様の開発を中止する一方、MDXやRDXなど効率的なデザインの高級 SUV の販売拡大を図っている。また、Acura ブランドとして一度撤退した小型車セグメントには、2012年にも再参入する計画。

ホンダ:北米事業の業績

(1,000台, 100万円)
2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度
見込み
4-9月
2009年 2010年 増減率
連結販売台数 1,788 1,850 1,496 1,297 1,475 623 738 18.5%
生産台数 1,394 1,441 1,251 1,152   520 649 24.9%
北米への輸出台数 263 366 414 133   68 111 62.9%
売上高 6,172,644 6,265,263 4,779,124 3,908,216   1,875,232 2,159,468 15.2%
営業利益 456,827 432,628 79,702 236,379   54,877 186,666 240.2%
資料:ホンダの連結決算報告書、Press Release 2010.4.26/10.25
(注)  2010年度見通しは、2010年10月発表。4月発表の販売台数見通しは148万台。

 

ホンダ:北米市場での環境対応車計画

Hybrid車
ラインアップの拡充
 米国市場には、Insight に加え、2011MYに CR-Z、2012MYに新型 Civic の hybrid 仕様を投入。Civic Hybrid には、Honda として初めてリチウムイオンバッテリーを搭載する。
次世代PHEV  2012年に発売予定の次世代 PHEV は、中型クラス以上のモデルに、2つの高出力モーターを搭載し、EV 走行可能距離は最大 10~15マイル。短時間で充電可能なリチウムイオンバッテリーを搭載。
Fit EV  2010年11月のロサンゼルスモーターショーにコンセプトを初出展。市街地での移動に適したコミューター。燃料電池車 FCX Clarity で培った電動化技術を活かし、最高時速 145km、最大航続距離 160km。充電所要時間は 120V で12時間以内、240Vで 6時間以内。2010年中にプロトタイプ車による実証実験を開始し、2012年中に発売する計画。

資料:Honda Press Release 2010.11.18

ホンダ:北米市場モデル計画

Honda ブランド
2011MY CR-Z  1.5 i-VTEC エンジンとHonda 独自の hybrid system を組み合わせた、hybrid の小型 sport model。北米では 2シートタイプのみ。
新型 Odyssey  ミニバン。6速AT を新たに採用。Hybrid 車は設定されない見込み。
2012MY 新型 Civic  2011年春に Civic (sedan) と Civic Si (sport coupe) をフルモデルチェンジする。両モデルともモノフォルム・デザインのボディ、躍動感や力強さを表現した外観、快適な居住空間が特徴。Hybrid車、天然ガス車も設定する。
新型 CR-V  (または2013MY) 小型 crossover SUV。180hp 2.4L エンジンは継続されるが、V6 仕様は設定されない見込み。
2013MY 新型 Accord  現行モデルは大型化しすぎたとして、新型車は現行モデルより若干小さくする見込み。
新型 Ridgeline  (または2014MY) Pickup truck。新型車には、新型 Odyssey の platform を使用する見込み。
Acura ブランド
2011MY TSX wagon  欧州市場向けHonda Accord wagonベースの TSX wagon を、2010年秋に発売。前輪駆動で、4気筒エンジン仕様のみ。
2012MY 新型 RDX  小型 crossover SUVで、対抗車は BMW X3。
新型 MDX  (または2013MY) Crossover SUV。ホンダの大型車向け hybrid system が開発されるまで待って、2013MY にフルモデルチェンジする可能性もある。
 未定 compact  2006年に RSX の生産を中止して以来、空白となっていたセグメント。次期 Honda Civic ベースで、早ければ2012年春に発売する計画。
資料:Automotive News 2010.9.27, Honda Press Release 2010.10.28/11.18/2011.1.11
(注)  前出の次世代 PHEV, Fit EV の計画を除く。

 



日産: EV Leaf の本格投入、中型 SUV Rogue の生産を米国に移管

 日産の2010年米国販売は、中型 SUV の Rogue や pickup truck の Frontier 等 Light Truck が好調で、18.0%増加し、市場シェアも 0.4 ポイントアップして、7.8% となった。

 日産は2010年度下半期に、北米で EV Leaf, ミニバンの Quest, Murano の CrossCabriolet, 小型商用車の NV シリーズを投入する。EV Leaf は、2010年12月にまず 5州で発売し、2011年秋までに米国全土で販売する計画。

 北米生産では、為替変動に影響されにくい体制を構築するため、中型 SUV Rogue の生産を、2013年頃のモデル更新時に米国に移管する計画。

日産:北米事業の業績

(1,000台, 100万円)
2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度
見込み
4-9月
2009年 2010年 増減率
小売販売台数 1,334 1,352 1,133 1,067 1,220 519 580 11.8%
連結生産台数 1,123 1,151 868 837 1,020 360 512 42.2%
売上高 4,689,443 4,650,269 3,156,914 2,795,224   1,262,524 1,572,767 24.6%
営業利益 360,016 317,865 (46,693) 208,584   90,630 129,098 42.4%

資料:日産の連結決算報告書

(注)  2010年度見込みは、2010年11月発表。5月発表の見通しは販売台数 120.5万台、生産台数 99万台。

 

日産:北米での EV Leaf 投入計画

 日産は EV Leaf を、まず2010年12月に、EV とインフラを展開するプロジェクトを実施するカリフォルニア、ワシントン、オレゴン、アリゾナ、テネシーの 5州で発売。2011年 1月にテキサス州とハワイ州、4月にノースカロライナ、フロリダ、ジョージア、バージニア、メリーランド、サウスカロライナ、アラバマの7州とワシントンD.C.で発売し、2011年秋までに米国全土で販売する。
 当初は日本の追浜工場で生産して輸出するが、2012年末にはテネシー州 Smyrna 工場で生産を開始する。同工場では、Leaf を年間 15万台、リチウムイオン電池 20万台分を生産する計画。

資料:Nissan Press Release 2010.7.27

日産:北米市場モデル計画

Nissan ブランド
2011MY Juke  小型 crossover SUV。2010年夏に日本、同年秋に欧米で発売。コンパクトスポーツカーの俊敏さと SUV の力強さや安心感を融合したデザイン。
Murano CrossCabriolet  Crossover SUV と Cabriolet のカテゴリーの枠を超えた新しいジャンルの車。Murano のルーフを折り畳み式電動ソフトトップに変え、Bピラーをなくし、従来の 4ドアをこれまでより前後長の長い 2ドアに変更。量産モデルというよりも、日産ブランドの革新的なデザインを提示するためのモデルと位置付けている。
新型 Quest  ミニバン。2009年に米国生産を中止したが、次期型からは日本国内用 Elgrand と統一され、日本で生産される。
2012MY NV full-sized van  日産として北米市場に投入する初の小型商用車。2011年半ばに 3車種を発売する予定で、NV1500 は 4.0L V6 エンジン、NV3500 は 5.6L V8 エンジン、NV2500 は V6 または V8 を搭載。
2013MY 新型 Versa  (または2012MY) 小型 sedan/hatchback。日産の北米エントリーモデル。
新型 Titan  (または2014MY) 大型 pickup。2009年 8月に Chrysler が次期型 Titan の OEM 契約を解消したため、日産が独自に開発する。
新型 Pathfinder  (または2014MY) 中型 SUV。現行モデルは Titan と共通の platform を使用しており、Titan の更新に合わせてモデルチェンジする見込み。
新型 Armada  (または2014MY) 大型 SUV。2009年に生産中止という報道があったが、日産は2010年に生産継続を表明。現行モデルは Titan と共通の Platform を使用しており、Titan の更新に合わせてモデルチェンジする見込み。
Small van  小型商用バンのNV 200 (全長 173.2インチ、全幅 66.7インチ) が投入される可能性がある。5人/7人乗りの乗用バンと貨物バンの 2タイプがあり、EVの可能性もある。
新型 Rogue  (または2014MY) 小型 crossover SUV。Renault と共同開発中の中型車用次期 C platform を使用し、現行車に比べて 3割のコスト低減を目指す。
Infiniti ブランド
2011MY G25  G37 の 3.7L V6 328hp エンジンに代えて、2.5L V6 218hp エンジンを搭載したエントリーレベル・セダン。2010年9月に発売。日産は、このモデルにより、Gクラスの販売が30%増加すると見込んでいる。
新型 M  M37/M56 セダンをフルモデルチェンジし、2010年3月に発売した。2011年春には、hybrid車 M35h を投入する予定。
新型 QX  2010年 7月にフルモデルチェンジしたフルサイズ SUV。日本で生産される海外市場向け SUV の新型 Patrol をベースに開発された。
2013MY EV model  (または2014MY) 高性能5シーターのコンパクトなラグジュアリー EV。2013年頃に発売予定。
資料:日産 Press Release 2010.11.17, Automotive News 2010.9.27. 日刊工業新聞 2010.11.13
(注) 1.   前出の EV Leaf の計画を除く。
2.  日産は、為替変動の影響を抑えるため、北米向け中型 SUV Rogue の生産を、2013年頃の全面改良時に、日本の九州工場から米国テネシー州の Smyrna 工場に移管する計画。低燃費志向の高まりにより、米国でも中型 SUV の需要が拡大すると見込んで、移管に踏み切る見通し。

 



富士重工:新型 Forester, Legacy/Outback が好調、北米での生産能力を 3割増強

 富士重工は、米国市場に合わせて車室を広げた新型Forester (08年発売)、新型Legacy/Outback (09年発売) の貢献により、2008年の金融危機以降に大幅縮小した米国市場で、販売拡大を続けている。2010年販売も前年比21.8%増加し、市場シェアが 2.3% に高まった(08年は 1.4%、09年は 2.1%)。

 2012MYには、トヨタと共同開発する sporty coupe と、新型 Impreza を発売する。2013年には、トヨタから技術供給を受けて開発するhybrid 車を、北米市場に投入する計画。

富士重工:北米事業の業績

(1,000台, 100万円)
2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度
見込み
4-9月
2009年 2010年 増減率
連結販売台数 207 210 207 250 302 108 144 33.3%
生産台数 103 109 92 104 166 36 78 116.7%
北米への輸出台数 90 96 124 118   n.a. n.a. -
売上高 590,275 638,578 562,239 579,641   258,200 332,400 28.7%
営業利益 5,171 6,575 (1,964) 32,057   7,391 24,100 226.1%
資料:富士重工の連結決算報告書、ファクトブック、日刊工業新聞 2011.1.6
(注)  2010年度見込みは2010年11月発表。5月発表では、連結販売台数は 27.0万台、生産台数は 14.6万台。

 

富士重工:北米市場モデル計画

2012MY Sporty coupe  (または2013MY) トヨタと共同開発する sporty coupe (トヨタはコンセプト車を FT-86と呼称)。富士重工にとっては、ブランドイメージを向上させるモデル。富士重工が開発した 水平対向4気筒エンジンを搭載する。
新型 Impreza  小型 sedan および 5ドア hatchback をフルモデルチェンジする計画。トヨタの技術供給により、hybrid 仕様を設定する可能性もある。
資料:Automotive News 2010.9.6/11.2, Reuters 2011.1.11
(注) 1. 富士重工は2011年 1月開催のデトロイトモーターショーで、2013年に Subaru ブランドの米国向け hybrid 車を発売する計画を明らかにした。具体的なモデルについては言及していない。
2. 2010年11月のロサンゼルスモーターショーで、富士重工は米国における新たなブランド・スローガンを "Confidence in Motion" とすると発表。同社が技術力、安全性、顧客ニーズに対応する革新性を重視していることを示す。
3. 2010年度は、Legacy の販売増に応えるため、北米生産拠点 Subaru of Indiana Automotive の生産能力を 3割増強。北米市場のエンジン、トランスミッションの需要増に応えるため、日本国内工場の生産能力も増強した。
4. 富士重工は、2011年に米国南部のディーラー網を整備し、南部における新車販売シェアを現在の約 0.5% から 1.5% に引き上げる計画。米国全体のディーラー数が 100店以上増える見込み (4WD に強いスバル車は、雪や坂道の多い北部でのシェアが高く、南部では低い)。

 



マツダ:2011年に次世代低燃費 SKY-G ガソリンエンジンを北米投入

 マツダの2010年米国販売は、Mazda3, CX-7, CX-9 の好調により、前年同期比 10.5% 増加した。市場シェアは前年と同水準の 2.0% を維持している。

 北米市場のモデル計画では、2012MYに、新型 Mazda5 (Premacy) とCX-5 (Tribute の後継車である crossover) を発売する。

 また、マツダは、2015年までに燃費を2008年比 30% 向上させることを目標に、次世代低燃費技術 (SKYコンセプト) を開発。2011年に次世代直噴ガソリンエンジン SKY-G を、2012年にはディーゼルエンジン SKY-D を北米市場に投入する。

マツダ:北米事業の業績

(1,000台, 100万円)
2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度
見込み
4-9月
2009年 2010年 増減率
小売り販売台数 380 406 347 307 358 158 177 12.0%
生産台数 87 78 91 39   n.a. n.a.  
北米への輸出台数 307 280 236 240   99 136 36.9%
売上高 998,266 978,973 684,774 572,050   241,919 318,857 31.8%
営業利益 15,456 5,987 25,488 (19,303)   (5,702) (12,668) 122.2%
資料:マツダの連結決算報告書、会社概況 2010
(注) 1.  2010年度見込みは、2010年 4月発表。
2.  生産台数は暦年で、Ford Kansas City 工場で生産された Tribute を含む。

 

マツダ:北米市場モデル計画

2011MY Mazda2  2010年夏に投入した小型 5ドア hatchback。マツダの北米モデルの中で最小車種。1.5L 4気筒エンジンを搭載し、燃費は 30mpg/28mpg (highway/city)。
2012MY 新型 Mazda5  小型ミニバン。マツダ Nagare のデザイン、低燃費エンジンを採用するほか、内装を更新する。
CX-5 crossover  (または2013MY) Tribute の後継車。Tribute は Ford Escape の platform を使用していたが、CX-5 は Mazda の platform を使用する。
2013MY 新型 Mazda6  Toyota Camry を対抗車とする中型車。2011MY にマイナーチェンジ、2013MY にフルモデルチェンジして、1種以上の SKYエンジンを搭載する予定。
新型 CX-7  中型 crossover。ガソリンまたはディーゼルの SKY エンジンを搭載予定。
新型 CX-9  マツダの crossover の中で最大の車種。
資料:マツダ Press Release 2010.11.18, Automotive News 2010.9.6
(注) 1.  2010年 4月に発表した SKY 技術の北米展開計画によると、2011年に次世代直噴ガソリンエンジン SKY-G と、高効率のAT SKY-Drive を組み合わせた商品を投入、2012年には SKY ディーゼルエンジンを投入する。2014MY か 2015MY には、北米販売する全モデルに搭載する計画。
2.  マツダは、北米でのフリート比率およびインセンティブの抑制など、ブランド価値向上の方針を堅持し、米国のMazda3, Mazda6, CX-9の残存価値はセグメントトップクラス。
3.  Ford は2008年11月、マツダへの出資比率を 33.4% から 13% に引き下げ、2010年11月には 3.5% にまで引き下げた。両社の戦略的提携関係は継続するとしており、米国やタイでの生産提携は続いているが、中国での合弁は解消し、新型エンジンや環境技術等の開発はそれぞれ独自に行う方向とされる。

 



三菱自動車:販売不振の北米事業を、EV と小型車投入で立て直す方針

 三菱自動車は、販売不振が続いている北米事業を、EV と小型車投入で立て直す方針。2010年には、コンパクト SUV の Outlander Sport (日本名 RVR) を発売。2011年半ばに EV の i-MiEV、2012年に Global small (グローバル市場向け A セグメント車) を投入する見込み。

三菱自動車:北米事業の業績

(1,000台, 100万円)
2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度
見込み
4-9月
2009年 2010年 増減率
小売販売台数 164 172 119 88 104 46 43 -6.5%
生産台数 93 76 44 23   7 14 100.0%
売上高 423,941 392,765 232,063 165,984   73,163 78,994 8.0%
営業利益 5,466 (10,586) (23,605) (4,379)   (3,081) (2,634)  
資料:三菱自動車の連結決算報告書, Automotive News 2010.12.20
(注)  2010年度見込みは、2010年10月発表。4月発表の小売販売台数見込みは10.9万台。

 

三菱自動車:北米市場モデル計画

2011MY Outlander Sport  2010年秋に発売した小型 crossover (日本名 RVR)。既に北米で発売している Outlander とホイールベースは同じだが、全長・全幅は若干小さく、車高も低い。Lancer と同じ 2.0L 4気筒エンジンを搭載。年販目標は 1.7万台。
2012MY i-MiEV  2011年11月に投入予定。当初は西海岸の 3州と Hawaii州で販売する。価格は 3万ドル以下を計画。北米市場でのモデル名は Mitsubishi "i " powered by MiEV Technology とする。
2013MY Global Small  グローバル市場向けに開発している A セグメント小型車。1.0~1.3L 3気筒エンジンを搭載。価格は 1.2万ドル以下を計画。2012年末までに投入し、2013年には PHEV または EV 仕様も投入する予定。
資料:Automotive News 2010.9.6
(注)  三菱自動車の米国 Illinois 工場では、現在生産している北米専用車 Galant, Endeavor, Eclipse を2013年度までに廃止する。周辺国への輸出も見込める SUV Outlander など世界戦略車の生産に順次切り替える計画 (2011年 1月報道)。

 



スズキ:VW との提携による商品計画見直しで、新型 Swift の北米投入は2011年以降

 スズキの米国販売は、2006~07年は年販 10万台を超えたが、08年以後急減し、09年は 3.9万台。商品ラインアップの穴を埋めるべく、2009年末に投入した中型 sedan Kizashi の販売も期待を下回り、2010年も前年比 38.0%減の 2.4万台にとどまった。

 2010年秋には、現在北米販売していない Swift の新型車を投入する予定だったが、VW との包括的提携により商品計画を見直すため、2011年以降に投入を延期している。

スズキ:北米事業の業績

(1,000台, 100万円)
2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度
見込み
4-9月
2009年 2010年 増減率
連結販売台数 113 112 70 39 n.a. 21 15 -28.6%
生産台数 22 28 7 0 0 0 -
売上高 459,277 405,696 225,601 128,881 78,873 45,543 -42.3%
営業利益 5,914 (8,535) (24,143) (11,642) (8,906) (2,075) -
資料:スズキの連結決算報告書

 

スズキ:北米市場モデル計画

2011MY 新型 Swift  (または2012MY) 2001MY以後、北米販売を中止していたが、2010年 9月に日本で発売した新型車から、北米販売を再開する計画。北米投入は2010年秋の予定だったが、2011年以降に延期。09年12月に合意した VW との包括的提携により、商品計画を見直すためと、円高進行により価格戦略を再考しているため。
資料:Automotive News 2010.9.6
(注)  2009年12月に VW はスズキの株式の約 20% を取得し、両社は包括的な提携関係を構築することで合意した。新興国市場への対応や小型車開発・供給などを中心に、提携の相乗効果を目指す。提携事業を調整するのに 1年程度、具体的な成果が出るまでには 数年かかる見通し。
                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>