ブラジル:Fiat/VW/GMが、2014年にそれぞれ100万台販売を計画

トヨタはブラジルに、ホンダはアルゼンチンに新工場を建設し、小型車を生産

2011/01/20

要 約

 以下は、ブラジルとアルゼンチン市場の最近動向概要である。

 2010年ブラジルの新車販売は中大型商用車を含め352万台に達し、ドイツ(315万台)を抜いて中国、米国、日本に次ぐ世界第4位の市場に拡大した。2010年で、Fiat、VW、GM、Fordの上位4社が乗用車・LCV市場の73.8%のシェアを占めている。

 各社は、ブラジル市場は今後も拡大すると見込み、生産能力と開発力の強化を進めている。Fiat、VW、GMの3社は、それぞれ2014年にブラジル市場で100万台の販売を見込み、Fiatは4社のなかで最大の、5年間で100億レアル(44億ユーロ)を投資すると発表した。

 トヨタは第2工場建設を開始し、2012年後半から小型車を生産する。トヨタCorollaやホンダのCivic/Fitは、価格がブラジルの量販車の価格帯(3万レアル前後)に比べ高く、販売が伸び悩んでいるため、ブラジル市場に適合する小型車を生産するとされる。

 現代自動車と奇瑞汽車が、2013年にも新たに現地生産を開始する計画。安徽江淮汽車は、2010年末に、輸出販売を開始した。

 アルゼンチンでは、2010年に72万台を生産し、70万台を販売した。ホンダが新工場を建設し、2011年前半に生産を開始する。Fordは250百万ドルを投資し、新型車を生産する。

主要自動車メーカーの、ブラジル市場での計画

 期間投資額目標
Fiat 2011~2014年 100億レアル
(44億ユーロ)
 Pernambuco州に年産20万台の新工場を建設。既存のMinas Gerais州の工場の生産能力を80万台から95万台に増強。2014年に100万台販売を計画。
VW 2009~2014年 23億ユーロ  生産能力拡大と新商品開発に投資し、2014年に100万台販売。
GM 2008~2012年 50億レアル
(28億ドル)
 生産能力拡大と新商品開発に投資し、2014年に100万台販売を見込む。2012年に新エンジン工場で生産を開始。
Ford 2011~2015年 45億レアル
(24億ドル)
 生産能力拡大と新商品開発に投資する。ブラジルで生産する小型SUV EcoSportの新型車を、ブラジルの開発拠点で開発した。
PSA 2010~2012年 530百万ユーロ  Porto Real工場で、Peugeot/Citroen両ブランドの新モデルとエンジンの生産に向けた設備増強を進める。
 PSAは、中期的には、南米で50万台の生産を目指す。
現代
自動車
~2013年 750百万ドル  年産15万台の新工場を建設し、2013年をめどにHyundai i20をベースとする小型車を生産する。
奇瑞汽車 ~2013年
(第一次計画)
400百万ドル  サンパウロ州に新工場を建設し、2013年にも年産5万台で生産を開始し、将来は年15万台規模に拡大する計画。
安徽江淮
汽車
2010年12月~    乗用車やSUVの輸出販売を、2010年12月に開始した。2020年までに累計62万台の輸出販売を計画。
日本自動車メーカーの計画
トヨタ ~2012年 6億ドル  ブラジル第2工場を建設し、2012年後半から、2010年末にインドに投入したEtiosをベースとする小型車を生産する。
日産      2009年からRenaultのCuritiba工場で、新たにLivinaシリーズの生産を開始。シェアを、1%未満から5%へ引き上げる計画。
三菱自動車 2010~2015年 8億レアル
(454百万ドル)
 現地生産委託先の経営権を取得、生産能力を5万台から10万台に倍増し、Pajero DakarとLancerの現地生産を開始する。
スズキ      2012年をめどに、Jimnyを年3,000台生産する。
マツダ ~2013年 300~400億円
(メキシコ工場)
 マツダは、300~400億円を投資してメキシコに新工場を建設し、2013年にも生産を開始する計画。メキシコからブラジル市場にも参入するとされる。

主要自動車メーカーの、アルゼンチン市場での計画

Ford 2010~2012年 250百万ドル  Pacheco Plantに250百万ドルを投資し、Fordのどの工場でも生産していない新型車を生産し、南米市場に供給する。
ホンダ ~2011年 160億円  アルゼンチンに建設する新工場で、2011年前半から当初年産3万台規模で生産を開始する。

資料:各社発表、各紙報道

 



ブラジル:2010年に352万台を販売

 2010年のブラジル自動車市場は352万台に達した。ブラジル国内で364万台生産し、77万台(生産台数の21.0%)を周辺諸国に輸出した。

 また輸入車の販売は、2005年の8万台から年々着実に増加し、2010年には66万台を販売した(新車販売の18.8%に相当する)。

ブラジルの生産・輸出台数

(台)
 2004年2005年2006年2007年2008年2009年2010年
生産 2,317,227 2,530,840 2,612,329 2,980,108 3,215,976 3,182,923 3,638,390
輸出 758,787 897,144 842,837 789,371 734,583 475,325 765,680
輸出/生産 32.7% 35.4% 32.3% 26.5% 22.8% 14.9% 21.0%
ブラジルの販売台数
新車販売台数 1,626,232 1,711,972 1,920,139 2,487,701 2,864,482 3,141,240 3,515,064
(内)国産車   1,631,217 1,786,036 2,227,136 2,493,178 2,652,366 2,854,923
(内)輸入車   80,755 134,103 260,565 371,304 488,874 660,141
輸入車/販売   4.7% 7.0% 10.5% 13.0% 15.6% 18.8%
資料:ブラジル自動車工業会(ANFAVEA)
(注) 1. 新車販売台数は、2004~2008年は卸売り台数、2009~2010年は登録台数。
2. 自動車メーカー別販売台数を、レポート末尾に掲載した。

 



アルゼンチン:2010年に72万台を生産し、70万台を販売

 2010年アルゼンチンでの生産は、2009年の51万台から72万台に拡大、販売は49万台から70万台に増加した。

 市場規模が限定されるなかで、有力自動車メーカー8グループが生産している。このため、各社は生産車種を絞って近隣国に輸出し、アルゼンチン市場には輸入車を含め販売している。生産台数のうちの輸出比率、販売台数のうちの輸入車比率とも約6割になっている。

アルゼンチンの生産・輸出台数

(台)
 2004年2005年2006年2007年2008年2009年2010年
生産 260,420 319,755 432,101 544,647 597,086 512,924 724,023
輸出 146,236 181,581 236,789 316,410 351,092 322,495 447,953
輸出/生産 56.2% 56.8% 54.8% 58.1% 58.8% 62.9% 61.9%
アルゼンチンの販売台数
新車販売台数311,961402,690460,478564,926611,770487,142698,299
(内)国産車 108,572 143,282 188,479 234,354 238,465 198,732 269,534
(内)輸入車 203,389 259,408 271,999 330,572 373,305 288,410 428,765
輸入車/販売 65.2% 64.4% 59.1% 58.5% 61.0% 59.2% 61.4%
資料:アルゼンチン自動車工業会(ADEFA)
(注) 1. アルゼンチンでは、GM、VW、Ford、Renault-日産、PSA、Fiat、Daimler、トヨタの8グループが生産している。このため各社の生産台数は、GMとPSAの2社の生産が2007年と2008年に10万台規模に達したが、他社は年間数万台規模にとどまっている。
2. 自動車メーカー別販売台数を、レポート末尾に掲載した。

 



ブラジルの上位4社(Fiat、VW、GM、Ford)

Fiat:100億レアルを投資し、2014年に100万台体制

 Fiatは、2005~2010年の間ブラジル市場で販売トップを維持している。

 Fiatは、2010年12月に、ブラジルに総額100億レアル(44億ユーロ)を投資して、ブラジル北部のPernambuco州に年産20万台の新工場を建設、既存工場の生産能力も80万台から15万台分を増強して、2014年にブラジルで100万台以上を販売する体制を構築すると発表した。

 新工場では、ブラジル市場向けにブラジルで開発する低価格車を生産する計画とされる。

Fiat:ブラジル第2工場を建設し、現工場の生産能力を拡充

 Fiatは、2010年12月、2011~2014年の間にブラジルに総額100億レアル(約44億ユーロ)を投資すると発表した(農機具部門への投資を含む)。内訳は、既存のブラジル南東部Minas Gerais州の工場に70億レアルを投資し、現在の年産80万台から15万台分を増強、また30億レアルを投資して、北東部Pernambuco州の臨海工業団地に年産20万台の新工場を建設し、3年後をめどに生産を開始する。
 Pernambuco州では、年産20万台の工場に加え、新商品や新プラットフォーム開発を担当するR&Dセンター、社員教育センターも設置する。フル稼動時には、3,500人を雇用する予定。
 新工場では、ブラジルおよび南米市場向けに、ブラジルで開発する、低価格の新型車を生産する計画。

資料:Fiat広報資料 2010.12.14

VW:23億ユーロを投資し、2014年に100万台販売を計画

 VWは、販売台数はFiatに続く第2位だが、生産台数はトップを続けている。2009~2014年の間に、新商品開発と生産能力増強に、23億ユーロを投資する計画。2014年にブラジルで100万台の販売を見込んでいる。

VW:2009~2014年に23億ユーロを投資、生産能力は既に100万台超

 VWは、2009~2014年の5年間で総額23億ユーロを投資し、2014年にブラジルで100万台販売を目指す。完成車のAnchieta、Taubateの2工場と、Sao Carlosエンジン工場の設備を増強する。
 VWは2009年11月時点で、1日当り3,000台の生産能力を持つブラジル最大の自動車メーカーであり、またブラジル最大である600店の販売網を有している。
 2009年時点で、ブラジルでは人口7人に1台の車を保有しているが(ドイツでは2人に1台)、今後5年間で、保有割合が4人に1台に増加すると見込まれている。VWにとって、ブラジルは中国とドイツに次ぐ市場規模になっている。
資料:VW広報資料 2009.11.27
(注) VWは、2010年1~11月に977,764台を生産しブラジルで第 1 位(同期間にFiatは693,878台を生産)。しかしVWは同期間に、Polo、Spacefox、Gol など366,283台を輸出しているため、ブラジルでの販売台数はFiatが第 1 位を維持している。

GM:2008~2012年に、ブラジルに28億ドルを投資

 GMは、2014年にブラジル市場は400万台規模に拡大し、GMの販売は100万台に到達すると見込んでいる。そのためにGMは、2008~2012年の5年間に総額28億ドルを投資する計画。

 また2010年7月、中断していたエンジン工場の建設を再開すると発表した。

GM:ブラジルのエンジン工場建設を再開

 GMは、2010年7月、2008年末の大雨と洪水で建設を中断していたJoinville市のエンジン工場の建設を、8月から再開すると発表した。投資額は350百万レアル(28億ドルの一部)。2012年に生産を開始し、年間エンジンを12万基とアルミ製シリンダーヘッドを20万台分生産する。
GM South America部門を設立
 GMは2010年7月1日から全社の組織を変更し、GMIO(GM International Operations)からブラジル、アルゼンチンなど南米諸国を分割し、"GM South America"部門を設置すると発表した。本部はブラジルのSao Pauloに置く。従業員数は29,000人。地域に合わせた車を開発し、GMのGlobal product architectureを補完する機能も持つ。

資料:GM広報資料 2010.6.22/2010.7.20

Ford:2011~2015年に、ブラジルに24億ドルを投資

 Fordは、2011年~2015年の間に、ブラジルに45億レアル(24億ドル)を投資すると発表した。ブラジルでの商品開発も強化し、ブラジルで生産するEcoSportの新型車を、ブラジルの拠点で開発した。

 アルゼンチンでは、2010~2012年に250百万ドルを投資して、新型車を生産すると発表した。

Ford:ブラジルに5年間で24億ドルを投資し、開発力を強化

 Fordは2009年11月に、2011~2015年の5年間にブラジル市場に40億レアル(22億ドル)を投資すると発表した。2010年4月、5億レアルを増強し、総額45億レアル(24億ドル)を投資すると上方修正した。 南米全体では、同期間に30億ドルを投資する計画。
新型EcoSportを、ブラジルで開発
 最新のブラジルでの投資の中心は商品開発で、ブラジル北東部Camacariの開発拠点で、ブラジル市場および輸出向けに、BサイズのSUV "EcoSport"の新型車を開発した。新型EcoSportは、欧州で開発したBプラットフォームをベースとしている。Fordは、Bプラットフォームをベースに5モデルを開発し、2014年には世界で160万台を生産する計画。

(注)初代のEcoSportは、Fordの北米開発拠点で開発し、2004年からブラジルで生産している。

アルゼンチンに、250百万ドルを投資し、新型車を開発

 Fordは2010年4月、アルゼンチンのPacheco工場に2012年までに250百万ドルを投資して生産設備を改良し、現在Fordの世界のどの工場でも生産していない新型車を生産すると発表した。アルゼンチンと南米諸国で販売する。アルゼンチン工場もONE Ford Planに組み入れていく方針。

資料:Ford広報資料 2010.4.7/2010.4.8

 



その他の欧州自動車メーカー(PSAとMercedes-Benz)

PSA:2012年までに530百万ユーロを投資し、新モデルと新エンジンを生産

 PSAは2001年に現Porto Real工場で生産を開始した。Peugeot 206/207、Citroen C3/ Xsara Picassoなどを生産している。2010年にブラジル市場で17.4万台を販売し、シェアは5.2%で第5位。

 2010年3月に、2012年までに530百万ユーロを投資する計画を発表した。

 また中期の目標として、南米で年50万台を販売し(2010年実績は26.7%増の294,300台)、ブラジルでは上位4社の一角に食い込むとしている。

PSA:新モデルと新型エンジンの生産を強化

 PSAは、2010年1月に700人の従業員を追加雇用し、Porto Real工場に第3シフトを導入した。
 2010年3月、2012年までにブラジルのPorto Real工場に530百万ユーロを投資し、Peugeot/Citroen両ブランドの新モデルと新型エンジンの生産のため設備の整備を進めると発表した。
 2010年5月に、小型ピックアップトラックPeugeot Hoggarの生産・販売を開始、秋にCitroen C3 Aircross(SUV風のスタイルを持つ)の生産・販売を開始した。2011年に、AircrossのベースとなったC3 Picasso MPV(より伝統的なスタイル)の生産・販売を開始する。
資料:PSA website
(注) 1. PSAは、中国、南米とロシアを、今後の成長が期待できる地域として強化する計画。
2. 新商品投入により、PSAの販売する商品がブラジル・アルゼンチン市場をカバーする比率を、2009年の40%から2012年に57%に高めるとしている。

Mercedes-Benz:2011年から大型トラックActrosを生産

 ブラジルは、Mercedes-Benz商用車事業の最大市場で、ブラジルMercedes-Benzの販売の8割強は、中型以上のトラック・バスで構成されている。2011年から、ドイツ、トルコに続いて、ブラジルJuiz de Fora工場で大型トラックActrosを生産すると発表した。ブラジルでは、近年、建設、鉱業、農業、石油産業への投資により、大型トラック需要が増加している。

 



韓国と中国の自動車メーカー(現代自動車、奇瑞汽車、安徽江淮汽車)

現代自動車:2013年から、年産15万台の新工場で生産

 現代自動車は、輸入車を中心に販売を急拡大し、2010年に10.6万台(登録台数)を販売した。新工場を建設し、2013年から小型車の生産を計画。2013年には、現代ブランド車のみで30万台の販売を計画している。

現代自動車:2013年に、年産15万台の新工場で生産を開始

 現代自動車は、2010年1~11月に、合計101,819台(卸売り台数)を販売した。うち現代ブランド車輸入代理店のCKD工場で組立てたSUV Tucsonなどが17,965台、輸入車が83,854台で、2010年のレアル高の恩恵を受けているとされる。
 2010年に新工場の建設を開始した。750百万ドルを投資して、年産15万台で2013年に生産を開始する。i20をベースとし、ブラジル市場のニーズに適合させた小型車を生産するとされている。

資料:現代自動車Website、広報資料 2007.4.20/2008.9.18

奇瑞汽車:4億ドルを投資して新工場を建設、将来は15万台を生産

 中国の奇瑞汽車は、約4億ドルを投資してSao Paulo州に新工場を建設し、2013年にも年間5万台(2交代)規模で生産を開始、将来は15万台(3交代)規模に拡大する。まず、1300ccエンジンを搭載するChery A1を生産し、市場を見ながら生産車種を拡大する。

安徽江淮汽車(JAC):10年間で62万台の輸出販売を計画

 中国の安徽江淮汽車は、ブラジルの大手自動車ディーラーSHCグループと提携して、乗用車やSUVの輸出販売を計画。2010年12月に出荷を開始した。

 2011年に4.6万台、2012年に5万台と徐々に台数を増加し、2010~2020年の間に累計62万台の輸出販売を計画している。

 



日本の自動車メーカー

トヨタはブラジルに、ホンダはアルゼンチンに新工場を建設

 トヨタはCorolla、ホンダはCivic、Fit、Cityをブラジルの自社工場で生産しているが、いずれもブラジルの量販車価格帯(3万レアル前後)より高く、2010年の販売台数は、それぞれ99,585台、126,439台にとどまっている。

 トヨタは、2010年9月にブラジル第2工場の建設を開始した。2012年後半から、2010年末にインド市場に投入したEtiosをベースとする小型車を生産する。

 ホンダは、南米での販売を、2010年の約16万台から、早期に24万台に引き上げる計画。2011年前半からアルゼンチンに建設する新工場で小型車の生産を開始する。

トヨタがブラジルに、ホンダはアルゼンチンに新工場を建設

トヨタ  トヨタは2010年9月、ブラジルのTDB(Toyota do Brasil LTDA.)の新工場の起工式を行った。約6億ドルを投資し、2012年後半から新開発小型車(インドで2010年末から生産・販売するEtiosベースのセダンとハッチバックで、バイオエタノール 100%に対応させるなど南米向けに改良した)を、当初年産7万台規模で生産する。南米の周辺諸国にも輸出する計画。
 新工場の用地は既に2008年7月に取得していたが、世界金融危機のため着工を延期していた。総敷地面積は約370万m2で、インダイアツーバ工場の2倍強ある。
 トヨタは現在、インダイアツーバ工場でCorollaを生産し(年産能力は7万台)、サンベルナルド工場でCorolla用とHilux用の部品を生産している。
ホンダ  ホンダの2010年販売実績(と一部見込み)は、ブラジルで12.6万台、南米全体で16万台。早期に南米で24万台体制を構築する。ブラジルでの販売網は、2010年末で160店強だが、主要都市と準主要都市をカバーするにも200店は必要で、今後も整備を進める(ブラジルでのホンダ二輪車販売店は800店)。
 ブラジル工場ではCivic、Fit、Cityを生産している。ホンダのFitは、ブラジルの最量販モデルであるVWの Gol に比べ価格が高い。また2011年にインドとタイに投入する "New Small Concept"はブラジル市場向けにはサイズが小さいため、Fitのサイズで、南米専用車の開発を検討している。
 ホンダは2011年前半に、160億円を投資して建設するアルゼンチン工場で、当初年産3万台規模でFitベースの小型車の生産を開始する。当初は2009年後半に稼動させる予定であったが、世界同時不況のため延期していた。

資料:トヨタ広報資料 2010.7.16/2010.9.9、ホンダ広報資料 2007.7.18、日刊自動車新聞 2010.11.26

ブラジル市場の主要な小型車と、トヨタ・ホンダ・日産の現地生産車

モデルベースエンジン
の排気量
寸法(mm)
(全長×全幅×全高)
価格帯(レアル)2010年1~11月
販売実績(台)
Fiat Palio
Fiat Uno
999cc
999cc
3827×1634×1433
3700×1636×1480
ベース車価格は、
26,000~30,000
150,133
118,724
VW Gol
VW Fox
999cc
999cc
3899×1656×1451
3823×1641×1543
267,384
132,765
トヨタ Corolla 1800cc 4540×1760×1480 62,110~88,250 49,492
ホンダ Fit
ホンダ Civic
1400cc
1800cc
3900×1695×1535
4489×1752×1450
54,905~71,720
66,660~87,665
37,859
30,542
日産Livina 1600cc 4180×1690×1575 43,990~ 12,569
資料:各社のブラジルWebsite、AUTO KATALOG 2010/2011
(注) 1. 2011年1月初旬時点で、1レアルは約50円。
2. ブラジルの量販モデルは1000cc~1600ccが中心、またPSAの資料によると、ブラジル市場では、B セグメント車が、2007年に81%、2008年に78.8%を占めた。

その他の日本自動車メーカー:日産、三菱自動車、スズキ、マツダの計画

 日産は、従来のFrontier、Xterraに加え、2009年からLivinaシリーズをRenaultのCuritiba工場で生産し販売している。ブラジルでの販売は、2008年の1.6万台から2010年の3.6万台に拡大した。

 三菱自動車は、今後5年間で現地生産能力を5万台から10万台に増強する。

 スズキは、2012年をめどにJimnyを現地生産する計画。

 マツダは、住友商事と合弁でメキシコに工場を建設する計画。メキシコから、ブラジル市場へ参入する方針とされる。

その他日本自動車メーカーの、ブラジルでの計画

日産  ブラジル市場では、従来RenaultのCuritiba工場で生産するFrontierとXterraを販売してきたが、2009年からLivinaシリーズの生産・販売を開始。日産の販売は、2008年1.6万台、2009年2.3万台、2010年3.6万台と拡大している。
 日産は、2010年5月、ブラジル市場全体の拡大に合わせて、中期的に日産のシェアを1%未満から5%に拡大し、Renaultと合わせたシェアを5%から10%に早期に引き上げると発表した。
三菱自動車  三菱自動車は、PajeroとピックアップトラックTritonを生産委託している。生産委託しているMMC Motores do Brasil に50%以上出資して経営権を取得し、今後5年間で8億レアル(454百万ドル)を投資して生産能力を5万台から10万台に倍増し、四輪駆動車Pajero DakarとセダンLancerの生産を開始する。
 また2013年をめどに、電気自動車i-MiEVを生産する計画とされる。
スズキ  スズキは、2012年をめどに、1300cc小型4WD車Jimnyを、年間3,000台程度現地生産する計画。スズキは、2000年にブラジル市場に参入したが2003年撤退、2008年に現地販売会社を設立し再参入した。
マツダ  マツダは、300~400億円を投資し、住友商事と共同でメキシコに新工場を建設し、2013年にも生産を開始する計画。またメキシコからブラジル市場に参入する方針とされる。

資料:日産決算発表資料(2010.5.12)、各紙報道

 



ブラジルとアルゼンチン市場の、自動車メーカー別販売台数

 

ブラジルの自動車メーカー別販売台数

(台)
 2004年2005年2006年2007年2008年2009年2010年
Agrale 4,315 3,346 3,408 4,124 6,773 4,529 5,203
DaimlerChrysler 42,926 42,144          
Mercedes-Benz     39,849 48,993 57,718 53,982 75,159
Fiat 358,079 405,987 464,734 612,703 665,614 736,969 760,494
Ford 195,517 211,503 226,717 258,484 296,833 325,504 365,924
GM 377,055 360,934 402,624 519,199 560,849 595,491 657,706
ホンダ 52,114 57,522 66,657 87,956 121,725 125,869 126,439
Hyundai       18,098 42,261 71,049 106,012
Iveco 4,804 4,425 3,135 6,356 11,957 10,587 17,979
Land Rover 1,770 2,093          
MMC Automores 21,457 24,409 23,682 31,164 44,031 37,504 44,608
日産 8,595 7,195 5,858 5,636 15,704 23,225 35,874
PSA 64,496 81,495 101,238 132,345 152,803 151,159 174,383
Renault 55,428 46,496 49,665 76,674 115,363 117,521 160,299
Scania 6,676 6,127 5,765 7,524 8,831 9,097 16,314
トヨタ 50,309 63,212 70,521 68,811 81,162 93,506 99,585
VW 370,982 381,575 416,874 539,658 586,549 686,408 700,620
MAN(注4)     27,366 36,455 44,974 41,068 57,364
Volvo Truck 6,529 6,063 6,347 8,138 10,493 9,007 16,756
International             100
合計 1,621,052 1,704,526 1,914,440 2,462,318 2,823,640 3,092,475 3,420,819
その他 5,180 7,446 5,699 25,383 40,842 54,430 110,321
合計 1,626,232 1,711,972 1,920,139 2,487,701 2,864,482 3,146,905 3,531,140
資料:ブラジル自動車工業会(ANFAVEA)
(注) 1. 2004~2008年は、卸売り販売台数。2009~2010年は、乗用車+LCVの登録台数と中型以上トラック・バスの卸売り台数合計の速報値。
2. Mercedes-Benzは、販売の82.5%が中型以上のトラックとバス(2010年1~11月実績)。
3. 三菱自動車は、生産をMMC Automotores do Brasilに委託している。
4. MANは、2009年にVWのブラジル商用車部門 "Volkswagen Caminhoes e Onibus"を買収した。2003年まではVWに含まれる。VWはMANの株式29.9%を所有する。
5. 「その他」は、ANFAVEA非会員企業による輸入車販売。スズキ、韓国の起亜自動車、中国の奇瑞汽車と安徽江淮汽車の販売はここに分類されている。
6. 2010年の乗用車・LCV市場でのシェアは、Fiatが22.8%、VWが21.0%、GMが19.8%、Fordが10.1%で、上位4社合計で73.8%を占める。

 

アルゼンチンの自動車メーカー別販売台数

(台)
 2004年2005年2006年2007年2008年2009年2010年
Fiat 30,813 44,080 43,751 56,621 65,605 47,902 69,145
Ford 56,402 61,851 65,867 77,472 78,460 65,598 85,518
Mazda 19 18          
Jaguar 17 20 17 12 4    
Volvo 72 175 203 443 425    
Land Rover 156 213 244 227 187    
GM 56,020 72,782 76,228 94,399 96,634 78,078 112,213
Suzuki 8,710 11,194 9,391 9,618 9,330 7,385 6,060
Isuzu 711 747 21        
Iveco 2,018 3,424 3,005 3,629 4,699 2,272 5,011
DaimlerChrysler 8,119 12,058 13,823 16,980      
Mercedes 7,361 10,747 12,023 13,943 15,049 9,321 14,366
Chrysler 758 1,311 1,800 3,037      
PSA 36,085 52,761 64,978 83,728 77,732 64,725 87,124
Renault 29,282 43,255 58,988 68,740 74,591 64,372 97,369
日産 2,671 3,652 2,932 3,933 5,795 4,155 10,942
Scania 1,036 1,795 1,580 1,722 1,723 716 1,702
トヨタ 12,990 17,035 23,563 28,057 31,837 27,913 33,012
VW 72,786 83,934 93,950 112,713 125,370 96,045 145,764
合計 305,551 392,975 445,733 544,061 571,700 456,942 651,224
その他 6,410 9,715 14,745 20,865 40,070 30,200 47,075
合計 311,961 402,690 460,478 564,926 611,770 487,142 698,299
資料:アルゼンチン自動車工業会(ADEFA)
(注) 1. 「その他」は、ADEFA非会員による輸入車販売。
2. Mazda/Jaguar/Volvo/Land RoverはFordの内数。SuzukiとIsuzuはGMの内数。日産はRenaultの内数。2007年までのMercedesとChryslerは、DaimlerChryslerの内数。


IHSグローバルインサイト中期生産予測レポート

ブラジル:グループ別・ブランド別生産台数 (IHSグローバルインサイト社予測)

(台数)

 グループ  ブランド 20082009201020112012201320142015
 AGRALE  AGRALE  231 118 371 385 442 466 526 544
 CHERY  CHERY  0 0 0 0 0 10,835 60,748 60,210
 DAIMLER AG  MERCEDES-
BENZ
27,095 15,211 12,063 0 0 0 0 0
 FIAT GROUP  FIAT  722,447 736,620 762,686 825,707 965,653 963,762 992,180 1,025,917
 IVECO  6,834 5,655 7,031 9,637 9,231 9,745 10,455 11,034
 FORD  FORD  297,206 324,804 330,156 320,502 337,256 352,944 344,756 359,543
 GM  CHEVROLET  579,507 586,015 617,506 632,455 670,377 732,004 751,268 732,536
 HONDA  HONDA  131,139 132,006 132,030 144,675 139,558 205,431 258,227 276,660
 HYUNDAI  HYUNDAI  0 6,814 20,524 25,997 41,539 96,067 102,622 105,935
MAHINDRA
& MAHINDRA
MAHINDRA & MAHINDRA 0 502 872 818 841 816 810 828
MITSUBISHIMITSUBISHI 37,203 32,407 38,308 42,007 44,592 59,334 65,006 67,115
NISSANNISSAN 5,316 18,792 17,649 22,748 23,459 25,810 28,406 29,646
PSACITROEN 63,332 47,706 61,966 76,414 90,163 94,493 94,147 96,655
PEUGEOT 83,489 69,915 84,790 92,241 95,951 89,765 121,774 152,798
RENAULTRENAULT 128,621 121,529 167,471 159,271 169,151 155,134 177,757 189,127
TOYOTATOYOTA 66,983 62,713 60,159 60,830 83,048 179,238 183,034 189,525
VW GROUPVW 717,009 769,956 815,339 831,780 820,454 835,292 849,662 873,540
Total 2,866,412 2,930,763 3,128,921 3,245,467 3,491,715 3,811,136 4,041,378 4,171,613

資料:世界小型車生産台数データ (2011年1月 6 日時点)

  • (注)
  • 1. データは、小型車(乗用車+車両総重量 6t以下の小型商用車)の数値のみ。
  • 2. 2008年と2009年は実績
  • 3. 本表の無断転載を禁じます。転載には IHSグローバルインサイト 社の許諾が必要となります。

IHS グローバルインサイト レポート

予測と分析-業界及び生産の概況 : 自動車(除く大型車)生産 (2010年10月11日)

ブラジルにおける自動車(除く大型車)の2010年の生産台数は7月までの累計で11%増加して180万台となった。その後数ヶ月間に月間27万台のペースで推移すれば2010年の累計は312万台に達する。自動車メーカーは収益を犠牲にしてでもブラジルにおけるモメンタムを維持しようとしているので、我々は今後とも市場は強含みに推移すると考えている。南米GMの社長であるJaime Ardillaは、ブラジルの競合は大変厳しく収益を悪化させてでも価格を下げざるを得ないが、市場と同じペースの伸びを維持していくことは非常に重要であると最近語っている。ブラジルにとっての大きなリスクはメルコスールの市場に頼っていることであり、メルコスール域外への輸出はごくわずかである。ブラジル通貨高の輸出に与える影響が懸念されている。

乗用車の生産台数は7月までに7%増加して148万台となった。我々は現在の情勢では、生産台数は年間累計で255万台付近に落ち着くものと考えている。これは前年に対しては3%の増加である。このモメンタムの低下は主に2010年3月にIPI(工業製品税)の減税の期限が切れた事による。

小型商用車は乗用車よりははるかに順調であり、7月までに30%増加して322千台となった。この小型商用車の急激な拡大は、小型商用車(商用のピックアップおよびバンに限られる)に対するIPI減税の年末までの延長による。この結果我々は2010年累計では572千台と予想している。

工場の従業員数は伸び続けている。2009年8月と2010年8月を比較すると従業員数合計は9千人増加して11万5千人になった。多くのメーカーがスタッフレベルを少しずつ増員し、コストの高い残業や休日出勤を長期に亘って実施することを避けようとしている。

ブラジルからの自動車(除く大型車)輸出は、年の最初の8ヶ月間で対前年47%増という目覚しい伸びを見せ305千台となった。前年の上半期には輸出市場が過剰在庫の調整過程にあり、また国内市場がIPI減税の効果で顕著に伸びてこれを補ったため、輸出が低調だったことは考慮に入れておく必要がある。輸出は2010年累計では45万~47万台になると予想される。ブラジルにおける自動車メーカーの課題は、通貨の上昇の中でいかに輸出市場を確保していくかということになるであろう。最近の明るいニュースとしては、アルゼンチンの経済が好調なことであり、これはブラジルからの輸出に直接的に貢献するであろう。

この地域の生産に関し懸念していることもある。主なリスクは以前と引き続き同様である。即ち国内市場の軟化と労働者の解雇に反対する組合のストライキである。この2つほどではないが投資回収のための価格値上げや予想よりも激しい日用品価格の上昇もリスクファクターとして加わるであろう。

業界及び生産の概況 : メーカー別見通し

自動車メーカーは、2015年までにブラジルで250億米ドルを超える投資を計画している。2008年には主に新車の開発、工場の効率改善、及び3交代制の実施のためにおよそ49億米ドルが投資された。この金額は最近の年間投資額平均の2倍の数字である。今後数年間の投資は、自動車メーカーが130億米ドル(部品メーカーも加えると260億米ドル)を投資した1995-2001と比肩される。現在トヨタ及び現代自動車が新工場を建設中で、ともにおよそ7億5千万米ドルを投資する。トヨタは2012年後半に組立て開始、現代自動車もこれに続く(2013年初め)。この2社はサンパウロ州でBセグメントの乗用車を生産する。我々は除く大型商用車で2012年までには生産能力は450万台に達すると予想している。

フィアットのBetim工場では、30億米ドルに近い額の投資が、2010年の6億米ドルのプロジェクトを最後に2010年末には完了する。これにより生産台数は100万台を超え世界で断トツにトップの工場となる。VWは2007-2010計画による21億米ドルの投資を完了し、2011-2013年に同規模の投資を計画している。新しい投資計画では2013年における最新のGolファミリーの車及び新型Foxの立ち上がりとともに、工場でのボトルネックの解消を図る。GMは2011年に始まる新プログラムのために10億米ドルを追加する。これはONIX/GSVプロジェクト向けであり、既に引き当てられているViva及びGMT700向けの10億米ドルに上乗せされるものである。フォードもこれに続き2012年からFiestaの2バージョン化を計画している。現行のFiesta B256をエントリーモデルとして継続する一方、上級車種としてB2Eを追加し、両モデルともCamacari工場で生産する。ルノーはRoganファミリーを最新版とするため2億米ドルを追加投資すると発表した。この中にはサプライヤーにはH79として知られているSUVのDusterも含まれている。

 

アルゼンチン:グループ別・ブランド別生産台数 (IHSグローバルインサイト社予測)

(台数)

 グループ  ブランド 20082009201020112012201320142015
DAIMLER AGMERCEDES-
BENZ
31,159 11,698 14,378 20,742 22,379 23,358 24,499 25,127
FIAT GROUPFIAT 28,700 78,573 92,113 78,071 66,228 64,656 67,526 71,156
FORDFORD 83,643 72,554 93,885 90,826 93,310 99,279 99,969 106,089
GMCHEVROLET 111,911 77,579 128,677 123,657 128,024 124,832 123,732 131,367
HONDAHONDA 0 0 0 7,452 23,491 30,543 30,720 30,238
PSACITROEN 41,548 34,706 39,077 46,510 51,503 49,250 48,322 49,159
PEUGEOT 90,243 50,739 88,199 103,348 100,563 98,990 101,504 102,707
RENAULTRENAULT 73,336 65,470 85,675 115,287 119,717 116,731 119,075 125,887
TOYOTATOYOTA 64,539 62,545 69,498 74,157 73,464 75,088 74,641 87,426
VW GROUPVW 63,156 52,034 86,373 96,263 98,211 95,305 94,347 102,510
Total 588,235 505,898 697,875 756,313 776,890 778,032 784,335 831,666

資料:世界小型車生産台数データ  (2011年1月 6 日時点)

  • (注)
  • 1. データは、小型車(乗用車+車両総重量 6t以下の小型商用車)の数値のみ。
  • 2. 2008年と2009年は実績
  • 3. 本表の無断転載を禁じます。転載には IHSグローバルインサイト 社の許諾が必要となります。

要約-世界自動車工業界レポート : 乗用車生産見通し (2010年12月23日)

乗用車の2010年10月までの生産台数は累計で対前年38%増加して398千台となった。これはピークであった2008年を上回るものであり、アルゼンチンの自動車生産における新しいピークとなるものである。この結果我々は2010年の年間生産台数は488千台に達するものと考えている(今後の残り2ヶ月間はルノーFluence 及びプジョー408の生産開始による効果が出るはずである)。アルゼンチン製乗用車への需要がコノ・スール地域(南回帰線より南の南米地域)で強いことを考えると、2010年の勢いは2011年にも、多少ペースは落ちるにしても持ち越すものと思われ、2011年はおよそ525千台に達するものと考えている。

小型商用車の生産台数は10月までに50%以上増加して17万台になった。このペースによれば2010年は累計で21万台に達し、これはまたアルゼンチンの小型商用車生産の新記録となる。この生産台数の回復は小型商用車の需要に直結する農業分野の改善の結果である。このため我々はこの勢い翌年にも持ち越されて2011年の生産台数は232千台になると考えている。

輸出は10月までに40%以上増加して359千台となった。アルゼンチンの製品は地域的な市場とグローバルな市場の双方に連動しており、我々は今後も輸出は好調に推移すると考えている。アルゼンチン製品の主要市場であるブラジルとアルゼンチン自体において自動車需要に大きな弾みがついており、これがアルゼンチンの自動車生産工場にきわめて有利に働いている。VW Amarokの中米への輸出は2010年の第3四半期に開始されたが世界のその他の国々には2011年初めより開始される。しかしAmarokの欧州向けの輸出車の生産は1年程度で欧州に移管されることになっている。

アルゼンチンの現在の生産能力はブラジルでの生産能力が逼迫してきたこと、及び1億アルゼンチン・ペソ以上の投資を要求する2003年に公布されたアルゼンチンの自動車法令に伴い近年増加してきた。投資を行うことにより自動車メーカーは低い税率で自由貿易協定を結んでいない国からも部品を輸入することが出来る。我々はこれまでアルゼンチンの工場稼働率は低いままに留まるとしてきたが、ここ数年の間、ブラジルの需要により70-80%の稼動率になると予想している。

自動車メーカーは依然として2007-2013年の間にアルゼンチンに35億米ドルを投資するという方向に向かって進んでいる。近年アルゼンチンへの幾つかの大きな投資の発表があった。2007-2009年の間にフォードはPacheco工場にFocus とRanger のフェイスリフトのために1億6千万米ドルを投資した。Ranger T6の計画は、同社の財務状況の悪化により少なくとも2年間は遅れることとなり、Rangerは2009年末にフェイスリフトが行われた。GMはCorsa4300の後継車となるAgila(ブラジルGMで開発、アルゼンチン生産のコンパクト車)のVivaのプログラムに2億米ドルを投資、更に現在の10万台から12万台への生産拡大のための投資を模索している。Agilaは他のラテン・アメリカ諸国へも輸出されるため、通貨問題によりブラジルではなくアルゼンチンでの生産が予定されている。フィアットはSiena 及びPalioの生産再開とエンジン及びトランスミッション生産のためFerreyra工場に3億米ドルを投資した。タタ車ベースのフィアットのピックアップは無期限に延期、しかしフィアットとクライスラーの提携に基づきダッジ・ダコタを生産するという噂は立っていない。ダコタをフィアット・バッジ(ブランド)で市場に出すと決めたとしても、フィアットがSete Lagoas(ブラジルの都市)にLCV(小型商用車)の生産ラインを持っているので、我々はこのシナリオは成り立たないと考えている。最後に重要なものがもう一つ、VWはピックアップAmarokの生産のため2010年からPacheco工場に1億米ドルを投資する。Amarokの年間計画台数は、欧州でも生産されるため当初計画より低く平均6万台前後である。

業界及び生産の概況 : 自動車(除く大型車)生産 (2010年10月13日)

アルゼンチンにおける自動車(除く大型車)の2010年の生産台数は7月までの累計で対前年47%増加して353千台となった。アルゼンチンでは2008年末に過剰在庫問題が深刻であり、2009年の上期はその影響で生産が停滞し非常に苦しいものとなった。

アルゼンチンの製造者組合は2010年の自動車(除く大型車)の生産台数を68万台と予想している。我々の予測はこれに近く67万台である。アルゼンチンは自国通貨の下落から輸出が有利となっており、またこの年はVW Amarok, プジョー308、ルノーFluenceといった新車の投入される年でもある。

乗用車の生産台数は(2010年1-7月累計で)42%増加して25万台となった。ブラジルでの需要増によりGMのAgileとフィアットSienaがフル生産となった。Fluenceと308によりルノーとプジョーも同様になると考えられる。このため我々は2010年の乗用車の生産台数は68万台に達すると考えている。

LCVの生産も乗用車と同様のペースになっており、(2010年1-7月累計で)60%増加して10万5千台弱となった。LCVのセグメントは2009年にはこのセグメントの重要な指標である穀物価格の下落により特に落ち込みが深刻であった。大豆の価格が前年に比べて回復するということを考慮に入れ、2010年末までのブラジルの商用の小型車に対するIPI(工業製品税)減税が延長されることに加えて、グローバルな市場向けのAmarokの生産も加味すると2010年はかなり良い年になるであろう。我々は、年間生産台数は20万4千台あたりに収まると考えている。

輸出台数も同様のペースをなり、5月までの5ヶ月間で54%増の224千台となった。アルゼンチンの製品は地域的な市場とグローバルな市場に直結しており、今後も好調に推移すると考えている。VW Amarokの中米及びメキシコ向けの輸出は2010年の第3四半期に開始、その他の地域に向けては第4四半期に開始されるであろう。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>