【ものづくり】TECHNO-FRONTIER 2018:自動車産業の課題に応える加工技術

スピード試作、高透明度切削加工、低周波帯ノイズ対応など

2018/04/27

要約

  テクノフロンティア (TECHNO-FRONTIER、会期:2018年4月18~20日、会場:幕張メッセ)は、一般社団法人日本能率協会主催のメカトロニクス・エレクトロニクス分野の要素技術と製品設計を支援する専門家向けの展示会。本展示会は、「モータ技術展」「電源システム展」「EMC・ノイズ対策技術展」「モーション・エンジニアリング展」「機械部品・加工技術展」などで構成されている。400以上の企業・団体が出展するスケールの大きさと、最新の技術動向が学べる技術シンポジウムが同時開催されるイベントとして、研究開発や設計、生産、製造に関わるエンジニアが来場している。来場者の半数以上がエンジニアで展示内容も専門性が高い。


  自動車産業関連では、「機械部品・加工技術展」に自動車部品の試作専業メーカーが2社出展していた。「EMC・ノイズ対策展」には数多くの展示があった。その中で自動車産業の抱える課題にマッチした展示品を取材した。

TECHNO-FRONTIER 2018入場口 TECHNO-FRONTIER 2018会場全景
TECHNO-FRONTIER 2018 入場口 TECHNO-FRONTIER 2018 会場全景

 

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機械部品・加工技術展:試作ワンストップサービス・5軸加工機による精密加工、最短3日の簡易金型

  自動車部品開発は1次試作、2次試作、量産試作、量産のステップを踏む。設計者の立場では1次試作でも量産にできるだけ近似した材質にしたいと願っている。そうすることで、性能試験だけでなく、強度や摩耗の確認もできる。一方、試作には多額の費用がかかるので、できるだけコストを抑えたいといった管理サイドからの要求もある。このような背景から折衷案で、数個を試作する場合、大物部品は本来、型で製作するものも削り出しとなり、また樹脂の小物部品では簡易金型や1個取り金型で試作を進める対応となることが多い。また工程毎に個別に発注するとコストアップになることもある。

 今回紹介する試作専業メーカー2社はワンストップサービス対応で開発期間の短縮にもなり、自動車部品開発のニーズに合っている。

 近年3Dプリンターの進化により、試作が容易になった部品もあるが、金属部品の試作や簡易金型など含めて、まだまだ「ものづくり屋さん」の活躍の場はたくさん残っている。



試作専業 ワンストップサービス

会社名 展示品 機能
㈱イナック
(愛知県岡崎市)
・試作 透明樹脂ヘッドライト
          (削り出し)
・模型 透明樹脂トランスミッション
          (削り出し)
・機構設計 (CAD CAM)
・試作加工
 (5軸加工機、真空注型機)
・3Dプリンター光造形
・表面処理メッキ等
㈱スタッフ
(大阪府門真市)
・試作 樹脂ステアリングパーツ
          (アルミ簡易型)
・機構設計 (CAD CAM)
・試作加工
  (最短3日簡易型 成形機60台、真空注型機)
・3Dプリンター光造形
・電子設計試作
  (回路設計、ソフト設計、部品調達、基板組立)
・量産 樹脂成形機18台



透明カットモデル (イナック):5軸加工機による精密加工

  イナック社が最も得意としているのはアクリルやポリカーボネートなどの透明樹脂を使った高透明度切削加工技術といえる。

ヘッドライト 加飾技術サンプル

材質:透明樹脂
       アクリル、PCポリカーボネート
工法:樹脂切削加工
       透明光造形
       アルミ真空蒸着メッキ
       塗装
トランスミッション 内部可視化モデル

材質:透明樹脂
       PCポリカーボネート
工法:分割切削加工後溶着
ヘッドライト
量産品と見分けがつかないくらい精巧に仕上がっている。
トランスミッション
内部に実際にオイルを入れて観察が可能。



電子基板開発 (スタッフ):スピード試作

  スタッフ社が最も得意としているのは、最短3日で製作する簡易型による樹脂部品試作と回路設計、ソフト設計から基板組立まですべてを行う電子基板試作といえる。

試作 樹脂ステアリングパーツ
工法:最短3日簡易型
試作 樹脂カメラケース
工法:最短3日簡易型
試作樹脂ステアリングパーツ工法
アルミの簡易型の場合は型寿命2000ショットとのこと。
試作樹脂カメラケース工法
家電業界は自動車業界よりも、スピード感がある。
納期短縮が期待できる。

 

 



EMC・ノイズ対策技術展:低周波帯ノイズに対応する製品

  EMC(電磁適合性)は、EMI(電波妨害)とEMS(電磁妨害感受性)の両立をめざしている。近年、自動車の高機能化に伴い電子制御装置(ECU)の搭載数が急速に増加している。自動車はノイズの発生源であるエンジンや数十個のモーター等のノイズ源を搭載して走る。また、外部から来るノイズの影響も受けている。車載機器ではノイズによる誤動作がユーザーの命にかかわる問題になるため、とくに厳しい規制がある。またAM/FMなどの無線システムへの干渉を防ぐ必要もある。


  ECU回路設計ではEMC対策の回路素子を組み合わせ、強固な金属筐体で、この厳しい規制をクリアしている。しかし、誤動作のほとんどは、3MHz以下の低周波帯ノイズが原因とされるが、低周波帯で安全率が少ないのが実情だという。

  自動車産業でニーズの高い、この低周波帯に狙いを定めている製品を紹介する。



低周波帯ノイズ対応商品

会社名 展示品 自動車部品用途例
富士通㈱ ソフト:電磁ノイズシミュレーション ECU電子基板設計
藤倉化成㈱ 塗料:磁気シールド塗料 カーナビ筐体等
㈱トーキン シート:電磁波吸収シート カーナビ筐体等
竹内工業㈱ シート:電磁波吸収シート カーナビ筐体等
電線クランプ:2分割ワンタッチ装着型 ワイヤーハーネス



コンピュータソフトによる電磁ノイズの可視化シミュレーション (富士通):設計時間短縮と信頼性向上

  電子基板設計は回路設計図と実装図で成り立っているが、高周波回路では回路設計が良くても、実装の素子配置とプリント基板の配線パターンが良くないと性能に大きな差が出る。設計者の経験と力量の差が出る領域であるが、電磁波は目に見えないので、経験者のノウハウもうまく伝えられていない。展示されていた電磁ノイズの可視化シミュレーションは有効な設計ツールといえる。

自動車 電磁波解析ソリューション 電子制御装置(ECU)
自動車 電子制御装置
<活用事例>
・昇圧回路のスイッチングノイズ解析
・車体まわりのEMI(電波妨害)解析
電磁波の伝達アニメーション (展示は動画)



磁気シールド塗料 (藤倉化成):軽量化、EMC信頼性向上

  磁気シールド塗料を塗ることでシート材に対して電子部品や回路に隙間なく成膜が可能となり効果的に磁界ノイズを抑えることができる。このシールド塗料で筐体を金属から樹脂へ変更し、軽量化とコストダウンが可能になるかもしれない。

磁気シールド塗料 磁気シールド塗料(展示パネル)
磁気シールド塗料 展示パネル
低周波磁界ノイズに効く
300 KHz 70%減衰 (10 dB)
1 MHz 90%減衰 (20 dB)

100 MHz 99%減衰 (40 dB)



電磁波吸収シート (トーキン、竹内工業):EMC信頼性向上

  高透磁率を有しているので薄くても高いノイズ抑制効果がある。電磁波吸収シートも低周波帯を強化している。

ノイズ抑制シート・バスタレイド(トーキン)
トーキン

<自動車用途>
 カーナビ筐体
 ディスプレイモジュール
 ヘッドアップディスプレイ
 カメラモジュール
 ワイヤーハーネス
電磁波吸収シート・P200シリーズ (竹内工業) 電磁波吸収シート(展示パネル)
竹内工業 竹内工業
 高透磁率/低周波対策用 ノンハロゲンタイプ



電磁波吸収 電線クランプ (竹内工業):EMC信頼性向上

  高透磁率MnZnコアを使用し、低周波数帯の減衰特性を向上させている。

  また2分割になっており、配線後でも後から装着できる。

電磁波吸収 電線クランプ
<自動車用途> ワイヤーハーネス用
自動車用途





モータ技術展:ステッピングモータの低騒音、低振動化

IC ステッピングモータドライバ TB9120FTG (東芝デバイス&ストレージ株式会社)

  2016年12月末に新発売されたICでステッピングモータを低騒音、低振動で駆動できるのが特徴という。

自動車用ヘッドアップディスプレイ搭載例 新製品の特徴
ヘッドアップディスプレイ搭載例



1 低騒音化・低振動化
    ・高分解能 最大1/32
      (90度を32ステップ、2.8度きざみ)
    ・SMD(Selectable Mixed Decay)技術
       使用するモータに合わせて最適な電流を制御をする技術

2 低発熱

3 小型

4 異常検知機能の搭載
   脱調を知らせる信号が出力される
ステッピングモータで動く反射板 IC搭載基板
ヘッドアップディスプレイ搭載例 ヘッドアップディスプレイ搭載例


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キーワード
テクノフロンティア、試作、5軸加工、切削加工、成形加工、樹脂、EMC、電磁波、低周波、ノイズ

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