中国の日系部品メーカー(下):華南・華北・東北などでの動向

現地開発体制と生産体制の整備/欧米系・中国系メーカーへの販路拡大

2014/03/06

要 約

 本レポートは、中国における日系部品メーカーの、華南・華北・東北などでの動向をまとめた(2013年7月から2014年2月下旬までの約8ヵ月間を収録)。

 日系部品メーカーの多くは日系自動車メーカーの自動車生産拡大に対応して、現地生産体制の整備や、新設備を導入している。また、中国地場メーカーや欧米メーカーにも販路を拡大して、売上増を目指す。

 日系部品メーカー動向関連レポート:
・中国の日系部品メーカー(上):華東・華中地域の動向 (2014年3月)
・中南米の日系部品メーカー(下) (2014年2月)
・中南米の日系サプライヤー(上) (2014年2月)
・タイ編(上) (2014年1月)

・タイ編(下) (2014年1月)
・ASEAN編 (2013 年11月)
・欧州編 (2013年10月)
・インド編 (2013年8月)
・中国 (華北/東北/西南地域) 編 (2013年8月)
・中国 (華南/華中地域) 編 (2013年7月)
・中国 (華東地域) 編 (2013年6月)
・米国編 (2013年7月)

華南周辺地図
華南周辺地図
華北/東北周辺地図
華北/東北周辺地図

 



▽華南地域における日系部品メーカーの動向

▽広東省

会社名 活動内容
アーレスティ

広州アーレスティの第3工場で新ライン建設を開始

アーレスティの広州子会社 広州阿雷斯提汽車配件有限公司(Guangzhou Ahresty Auto Parts Co., Ltd.) は第3工場の第2期工事を2013年10月に開始した。2014年9月に建築完了予定で、敷地面積は2.1万平方メートル。第3工場では第1工場から14の機械加工ラインを移設し、また5ラインの追加を予定している。第1・第2工場では自動車用エンジン向けダイカスト部品を製造し、第3工場追加後は月産2600トンの能力を持つ。
曙ブレーキ

広州工場でライン増設

曙ブレーキはディスクブレーキやドラムブレーキなどを製造する広州工場、広州曙光制動器有限公司(Akebono Corporation (Guangzhou))に約4億円を投資して生産ラインを増設する。2014年に新ラインを稼働させ、2015年までに生産能力を2013年計画比で2倍に増強する計画。現地の日系自動車メーカー、欧米メーカーに納入する(2013年7月報道)。
旭テック

広州市の新工場を増築し、第1工場を統合

旭テックの広州市拠点、ホイールホース・アサヒ・アルミニウム(Wheelhorse Asahi Aluminium Co., Ltd. )では、新工場の新棟増築を2015年度中に完了する。現在稼働中の第1工場は閉鎖し、新工場へ統合する。新工場の敷地面積は17.3万平方メートル。第1工場と新工場ではアルミ鋳造のホイールを合計年300万本生産している(2013年10月報道)。
アドヴィックス

広東省雲浮市の工場でブレーキ部品の生産を開始

2013年10月、アドヴィックスは広東省雲浮市の工場、愛徳克斯 (雲浮) 汽車零部件有限公司 (ADVICS Yunfu Automobile Parts Co., Ltd.)でブレーキブースター、ディスクブレーキキャリパーなどのブレーキ部品の製造を開始した。同工場の敷地面積は約6.7万平方メートル、工場の面積は約1.8万平方メートルで、2016年までに売上高4億元(約68億円)を目標としている。
エイチワン

広東省清遠市工場の生産能力増強

エイチワンは、広東省清遠市の生産拠点、清遠愛機汽車配件有限公司(QH Auto Parts Industries Inc.)に約27億円を投入し、プレス機と溶接ロボットラインを導入する。ロボットラインは2014年11月に導入し、溶接工場は4,000平方メートル拡張される。プレス機は2015年7月に稼働開始を予定で、プレス工場は5,700平方メートル拡張される。生産能力を増強して、ホンダの中国での販売拡大計画に対応し、中・大型車向けのボディパネル・フレーム部品を生産する(2013年12月報道)。
カネミツ

広東省子会社で、エンジンボス部一貫生産体制構築へ

カネミツは広東省佛山市の佛山金光汽車零部件有限公司(Foshan Kanemitsu Automoive Parts Co., Ltd.)で、エンジン部品に使用されるボス(突起部)一体成型加工の前工程ラインを、コスト削減の為に新設する。今まではボス部を加工した半製品を日本・タイの拠点から輸入をしていた。2014年6月までに630トンプレス機や、ロール加工設備などの設備を追加する。現在供給しているトヨタ、ホンダなどの日系メーカーの他、中国メーカーへ拡大し、2014年に中国での売上高を2013年見込みに比べて2割増を計画している(2014年2月報道)。
カルソニックカンセイ

広州市に開発拠点を設置

2013年11月、カルソニックカンセイは広州市花都工場、康奈可(広州)汽車科技有限公司 総公司・花都分公司(Calsonic Kansei (Guangzhou) Corporation Headquarters / Huadu Plant)の敷地内に、中国で2か所目になる、自動車部品開発を行うエンジニアリングセンターを設立したと発表した。主要顧客である日産向けの部品開発力を高める狙い。
クラボウ

広州市の自動車用シート部材メーカー買収、生産能力を増加

2013年8月、クラボウはフレームラミネート製品、ウレタンフォームなどを生産している現地会社、広州倉福の株式の51%を、台湾喬福集団(Chiao Fu Group)より取得し、経営権を取得したと発表した。広州倉福の生産能力は年産200万メートル。資本金は182.5万USドル。
小糸製作所

広州市第2工場2013年9月稼働開始、華中・華北への拠点拡大も検討

小糸製作所は広州市の子会社 広州小糸車灯有限公司(Guangzhou Koito Automotive Lamp Co., Ltd.)の、自動車用ランプを生産する広州の第2工場を、2013年9月に稼働した。投資額は20億円で、稼働後の広州工場のヘッドランプの年産量は合計150万個になる。
また、小糸製作所は華北・華中地区での欧米自動車メーカーの生産拡大に対応するため、新拠点の設置について調査を行っている(2014年1月報道)。
サンコール

エンジン用弁バネやリングギア生産拠点を強化

サンコールは2013年度中に、日本・米国・中国・タイの4カ国の工場に合計約10億円を投資して、エンジン用の弁バネの生産能力を前期比3割増の月産1,300万個、エンジンスターター用のリングギアの生産能力を2割増の85万個に拡大する。広東省広州市の広州新確汽車配件有限公司」(Suncall (Guangzhou) Co., Ltd.)には、1億7,000万円を投入し設備を一部更新する。
タチエス

開発センターを中国に設置し、現地向け商品開発体制を整える

2013年8月、タチエスは広州市に新たに開発センターを設立し、2014年内稼働を目指し設立すると報道された。日産やホンダの広州での開発体制強化に対応して、現地開発体制を整え、100人規模の拠点を設立する。
TDK

自動車用磁石の一貫生産体制を導入

TDKは2013年4月に稼働させた東莞市の新工場、東電化(東莞)科技有限公司(TDK Dongguan Technology CO.,LTD,)で自動車用磁石の一貫生産を始めた。モーターなどに使用する湿式フェライト磁石の材料の選定・配合を含む工程を導入する。従業員一人当たりの生産量を3倍増に高め、人件費が抑えコスト競争力を向上させる(2013年10月報道)。
デンソー

仏山市で新カーエアコン工場を稼働

2013年8月、デンソーは広東省仏山市で、中国で11か所目となるカーエアコン工場を稼働させた。ヒーターコアやエバポレーターなどの主要部品は他工場から調達し、室内機ユニット(HVACユニット)の最終組み立て工程を手掛け、近隣の完成車メーカーに納入する。投資額は5,000万元(約8億円)。敷地面積は約2万㎡。延べ床面積は8000平方メートル。
トヨタ紡織

広東省河源市でシートカバー新工場稼働

2013年10月、トヨタ紡織は広東省河源市の新工場、河源豊田紡織汽車部件(Heyuan Toyota Boshoku Automotive Parts Co., Ltd.)でシートカバーの生産を開始した。新工場の生産能力は年23万台で約4億円が投資されている。広汽豊田汽車有限公司(GAC Toyota Motor Co., Ltd.)で生産する「カムリ」向けに納入する。
日信工業

広東省中山工場を拡張

日信工業は、ブレーキ製品を生産する広東省中山市の拠点、中山日信工業有限公司(Zhongshan Nissin Industry Co., Ltd.)の建屋面積を今までの1.6倍となる4.9万平方メートルに拡張した。納入先であるホンダの生産状況に対応して、生産能力を強化(2014年1月報道)。
日鉄住金物産

広東省広州市の新工場が生産販売開始

日鉄住金物産の子会社である荒井製作所は、中国の広州衛亜汽車零部件有限公司(Guangzhou Wire Auto Parts Co., Ltd.)との合弁会社 広州荒井汽車零部件有限公司(Guangzhou Arai Auto Parts Co., Ltd.)を2013年10月に広州市に設立し、2013年12月からヘッドレスト部品及びシート部品を製造・販売開始。新会社の資本金は1.5億円で、出資比率は荒井製作所が70%、広州衛亜汽車零部件有限公司が30%。同拠点の年産能力は30万台分。
三菱レイヨン

自動車向けCFRP企業に資本参加へ

2014年1月、三菱レイヨンは中国で自動車向け炭素繊維・複合材料事業を強化するため、自動車用の炭素繊維強化プラスチック (CFRP) 製部品を製造する中国のアクション・コンポジット・インターナショナル (AC) への資本参加を発表した。中国国内で高まる自動車軽量化需要に向けて、CFRP部品を供給する体制を構築する。ACは広東省東莞市の工場でCFRP製部品を生産している。三菱レイヨンは同社の株式を35%取得した。
八千代工業

広東工場で吉利向け生産

八千代工業は、吉利汽車 (Geely)向けサンルーフを生産し、2013年9月に納入を開始した。2~3万台のサンルーフを受注し、広東省中山市の八千代工業 (中山) 有限公司(Yachiyo Zhongshan Manufacturing Co., Ltd.)の工場で生産する。年産能力は75万台。主要取引先のホンダ以外に、中国メーカーにも供給し、販売を拡大する。
ヨロズ

サスペンション部品生産体制を中国国内で整える

ヨロズは2015年夏までに武漢工場 武漢萬宝井汽车部件有限公司(Wuhan Yorozu Bao Mit Automotive. Co., Ltd.)の生産能力を1.5倍に増強する。同じく拡張する広州工場と合わせて35億円を投資し、建屋の拡張と設備増設を行う。日産やホンダの生産拡大計画に対応して、サスペンション部品の生産体制を整備する(2013年12月報道)。





▽華北地域における日系部品メーカーの動向

▽天津市・河北省

会社名 活動内容
アイシンAW

天津工場・蘇州工場を強化し、AT年産70万台以上を目指す

アイシンAWは、中国国内でのAT年産能力を強化するため合計340億円を投じて、現地化を進め、欧州メーカーを中心に受注を増やしてシェア拡大を狙う。天津市の合弁工場 天津艾達自動変速器有限公司(Tianjin AW Automatic Transmission Co., Ltd.)では現在年産10万台の生産能力を持つ。2014年末には年産40万台の独立資本の工場、愛達 (天津) 汽車零部件有限公司 (AW Tianjin Automotive Parts Co., Ltd.)が立ち上がる。2013年9月に稼働した蘇州工場 AW (蘇州) 汽車零部件有限公司(AW Suzhou Automotive Parts Co., Ltd) ではATの24万台の年産能力を持っており、合計74万台へ拡大する。
椿本チエイン

天津市に第2工場建設

椿本チエインは、天津市のタイミングチェーンシステムを生産する椿本鏈条(天津)有限公司(Tsubakimoto Chain (Tianjin) Co., Ltd.)に第2工場を建設する(2013年2月報道)。投資額は約30億円で、2016年1月に生産開始予定。中国国内で自動車メーカーの生産増加に対応して、生産数を増加する。椿本チエインは2016年度の中国での売上高は13年度比で2倍強の120億円強を見込む。
豊田鉄工

中国での生産設備強化を見直し

豊田鉄工は、2012年初頭から中国天津市の工場、天津豊鉄汽車部件有限公司(Tianjin Toyotetsu Automobile Parts. Co., Ltd.)に、大型プレスマシンなどの導入を準備していたが、2012年秋に発生した日中の緊張による日本車の不買運動などのリスクを懸念し、より販売回復傾向が顕著な北米での生産強化を優先する(2013年8月報道)。
タチエス

河北省襄陽市にシート生産拠点を設置

2013年8月、タチエスは河北省襄陽市に、広州タチエスと東風李爾汽車座椅有限公司(Lear Dongfeng Automotive Seating Co., Ltd.)との新合弁会社 襄陽東風李爾泰極愛思汽車座椅有限公司(Tachi-S Lear DFM Automotive Seating (Xiangyang) Co., Ltd.)の設立を発表した。自動車シートの生産を2014年10月より開始予定で、2016年度に年産11万台分を目標とする。資本金は3000万元(約4.8億円)。



▽東北・西南地域における日系部品メーカーの動向

▽吉林省・遼寧省

会社名 活動内容
タチエス

遼寧省大連保税区に新合弁会社を設立

2013年8月、タチエスは遼寧省大連保税区に、広州タチエスと東風李爾汽車座椅有限公司(Lear Dongfeng Automotive Seating Co., Ltd.)との新合弁会社 大連東風李爾泰極愛思汽車座椅有限公司 を設立した。2014年9月に、自動車用シートの生産開始を予定しており、年産8万台分を見込む。資本金は5000万元(約8億円)。
三菱マテリアル

アルミダイカスト事業のアルミ鋳造子会社を売却

2013年9月、三菱マテリアルは、遼寧省大連市で金属加工を手掛ける、大連晋炆金属制品有限公司へ、三菱マテリアルの完全子会社であるタマダイの全株式を売却すると発表した。タマダイの資本金は3.6億円で、売上高は24億円(2012年度)。タマダイは日本国内の自動車メーカーにアルミ鋳造品を納入していたが、事業規模が小さく、他事業との相乗効果が見込めないとして、売却を決定した。
ユニプレス

遼寧省大連市にプレス部品製造合弁会社設立

2013年11月、ユニプレスは、遼寧省大連市に車体用プレス部品を製造する合弁会社、ユニプレス東昇大連会社(大连优升汽车部件有限公司/Unipres Sunrise Corporation)の設立を発表した。資本金は5千万元 (約8億円) で、ユニプレス (中国) が40%、襄陽東昇機械有限公司が40%、襄陽吉晟機械有限公司が20%を出資する。敷地面積8万平方メートル、建屋面積1万9千平方メートルの工場を建設。16年度に売上高70億円を見込む。

▽重慶市

会社名 活動内容
ハイレックス

重慶市の工場に新棟を建設して、中国メーカーに販売拡大へ

ハイレックスは重慶子会社、重慶海徳世拉索系統集団有限公司(Chongqing HI-LEX Cable System Group Co., Ltd.(CHG))の工場に新棟を建設する。2015年までに約12億円を投資し、ドアとパーキングブレーキ操作用のケーブルを2012年の売上高約9.3億元(約150億円)から、2015年までに8割増の17億元(約270億円)を目指す。またCHGは主に日系メーカーに納品していたが、生産能力増強に伴い中国メーカーへ拡大し、受注を増加させる狙い(2013年8月報道)。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>