吉利控股集団 (Geely):Volvo買収後の世界戦略

Volvoと提携・中期的にVolvo PHV/EVも生産、陜西省/広西にも自主ブランド車新工場建設を検討

2012/12/28

要 約

 吉利控股集団 (Geely Holding Group) は低価格・販売量重視を柱としたローエンド車経営戦略から、安全志向・製品品質重視のミドル/ハイエンド車経営戦略へ、2007年から方針転換している。英 MBH (Manganese Bronze Holdings PLC) への資本参加・合弁生産販売開始、豪大手変速機メーカー DSI (Drivetrain Systems International Holding Pty. Ltd.) の買収に加えて、2010年はFordからVolvo Car (以下はVolvo) を買収。世界で評価の高い技術を獲得し、国内のみならず、グローバルで高品質・安全性重視というスローガンを掲げ、自主ブランド車のグローバル事業展開・拡大を図っている。

吉利控股集団の販売 (工場出荷ベース)
 2011年末時点、中国国内における吉利の自主ブランド乗用車の保有台数は220万台を超えている。2008年から2011年にかけて、海外のノックダウン(CKD/SKD)生産台数および完成車輸出を含む自主ブランドの乗用車販売台数の増加幅が急激に縮小した(前年比で、2009年は48.4%増、2010年26.5%増、2011年4.0%増)。2012年には、輸出の急速な成長により販売台数全体が増加したが、国産車の国内販売はやや停滞している。2012年の販売台数は年初計画の46万台から48万台になり、うち、輸出と海外ノックダウン (KD) 生産車販売は年初計画より 2万台増の 10万台になる見通し。

 吉利控股集団はグローバル販売目標を2012年の約48万台から2015年に3倍強増の200万台に拡大するとしている (Volvoの目標台数を含むか否か不明)。その内訳は、国内販売を2012年の約38万台から2015年の70万台、国産車の輸出と海外生産車の販売を2012年の約10万台から130万台に引き上げる。
 なお、2015年200万台のグローバル販売目標の実現について、吉利控股集団幹部は当初、国産車の輸出と海外生産車販売の合計がその三分の二を占めるとし、後にその比率は半分であるというなど、発言が二転三転し、実現の難しさを物語っている。


 以下に、吉利控股集団の自主ブランド事業と子会社Volvoと、それぞれの中期事業計画、技術提携および生産工場拡充等の中国における生産体制や販売体制整備、モデル計画などの最新動向をまとめる。

 関連レポート

    欧州の新型車装備 (2): PSA, Renault, 欧州GM, 欧州Ford, Volvo (2012年10月12日掲載)
    北京モーターショー2012 (1): 吉利などの中国新興自動車メーカー 8社の展示取材 (2012年5月14日掲載)



吉利の自主ブランド事業:Volvoと提携強化、英Aston Martin/MBHと買収交渉

吉利控股集団 (Geely) の自主ブランド事業の中期計画

事業方針 ・安全志向と高品質を追求して"中国のVolvo"を目指す。
 安全性重視のブランドづくりに重点を置く。小型車 (所謂"エコノミータイプ") を含む、すべての新規開発車種の安全性能を、「C-NCAP」中国衝突安全四つ星基準以上(うち8割を五つ星基準)とする。
 自動車安全/パワートレイン/新エネルギー技術および完成車プラットフォーム技術など、Volvo の自動車技術を吉利の自主ブランド車にも取り入れていく (2012年3月、Volvoと技術提携の関連契約を調印済み)。
販売目標 ・2012年:中国国内生産車で46万台 → 48万台 (2万台上方修正)
 うち、輸出は8万台→10万台超
・2015年:グローバルで 200万台 (世界シェア約2.5%)
 内訳: 中国国内販売70万台 (うち、AT車は約30万台)、輸出と海外生産車販売は合計 130万台。
 (注) 吉利控股集団の子会社となったVolvo の2015年中国販売目標は20万台であるが、上記の200万台に含まれるか否かは不明。
 海外で、2015年までに合計15の生産拠点を構築。なお、Volvoを含むか否か不明。
 (注) 2012年6月末時点、ロシア/ウクライナ/インドネシア/台湾/スリランカ/エジプトで生産拠点が稼働しており、ノックダウン (KD) 生産を行っている。2012年6月末時点、南米地域拠点として、ウルグアイでノックダウン工場建設を開始。
販売体制 ・全球鷹 (Gleagle)、帝豪 (Emgrand)、英倫 (Englon) の3ブランドの販売網 (販売代理店):
 合計800店舗 (2012年5月) → 900店舗 (2012年8月) → 1,000店舗 (~2013年)
 うち、「4S」(*注) 販売代理店: 480店舗 (2012年5月) → 500店舗 (2012年12月)
モデル計画 ・安全性重視のブランドラインナップを構築。
・完成車:
 <2013年> 英倫ブランド: SC5/SX7、帝豪ブランド:EX8/EV8、全球鷹ブランド: GX5、など
 <2015年> 5つの自主技術プロダクトをベースにした派生車を含む15モデルのラインナップを構築。
・エンジン:ディーゼルモデルを含む合計6つのエンジンプラットフォーム (排気量1.0~3.5L) を整備。
 2013年から新モデルへの、1.0/1.3/1.5/1.8L のターボ仕様エンジン搭載を強化・拡大。
・変速機:フルシリーズのMT/AT ラインナップを整備。
 2013年から、豪州DSI製 AT の吉利自主ブランドモデルへの搭載を強化・拡大。
開発体制 ・子会社 Volvo の自動車技術を最大限に生かす (共通技術の共同開発を含むVolvoと自動車技術提携契約を2012年3月に締結)。
・浙江省で唯一の省クラスの自動車安全実験室を保有 (2012年に1期建設竣工)。すでに、欧州 (Euro-NCAP)/中国 (C-NCAP)衝突安全基準、自動車の法規制に関するテスト実施能力を有する。
自社独自の全方位安全管理システム GTSM (Geely Total Safety Management) が整備されている。

資料:吉利控股集団リリース、各紙報道など
*注:「4S」は、Sale (販売),Spare part (部品・備品供給), Service (アフターサービス), Survey (情報フィードバック)を表し、その機能を持つ販売代理店を「4S」販売代理店という。

 

Volvoと技術移転契約を締結、自主ブランドのグローバル事業展開を加速

 吉利控股集団は今後、完成車プラットフォーム/動力システム(Powertrain)/自動車安全/新エネルギー分野で、子会社化したVolvoの自動車技術を活用し、ハイエンドの自主ブランド車を開発。Volvo の高い技術の採用により、品質の向上や輸出・海外市場の拡大を狙い、グループの自主ブランド車事業のグローバル化を加速する。
 これに向けて、吉利控股集団とVolvoとは2012年3月、技術移転を含む提携契約 (MoU) に調印した。両社が小型エコカープラットフォームおよびその技術、高性能の小型エンジンおよびその技術、EV/HV/PHV 等の新エネルギー車技術における共通技術を共同で開発する。
 また、両社は2012年12月、Volvoが今後数年内に使用停止を予定しているVolvo自動車技術の一部を吉利に移転することなどを合意したと報じられた。それには、Volvo の中型車プラットフォーム技術や、車内空気清浄 (濾過) およびその制御技術が含まれている。

 

英Aston Martin 買収を検討中

 吉利控股集団は2012年12月、英Aston Martin の買収について交渉していると報じられている。Volvo買収と同じ方式で進めていく方針。現時点では、同じくAston martin 買収を目指すトヨタが主なライバルであるとされる。

 

英MBH の株式80%買収を交渉中

 吉利控股集団は2012年12月、香港株式市場に上場している子会社の吉利汽車控股有限公司 (Geely Automobile Holdings Ltd.) を通して、2012年10月に破産保護 (Creditor Protection) に入った英 MBH (Manganese Bronze Holdings PLC)の株式を80%まで買収する交渉を行っていることを明らかにした。詳細は不明。
 吉利控股集団は、既にMBH株式の19.97%を保有している。2006年に両社は上海で合弁会社を設立、ロンドンタクシー (英倫TX4) の現地生産を開始し、現在は少量生産を続けている。両社の提携契約では、MBHが吉利からボディ(車体)を含む自動車部品を調達。吉利はMBHのロンドンタクシー (英倫TX4) を中国および他のアジア市場で販売するとしている。

 

台湾 Foxconn/UMCと、新エネルギー車部品分野での提携に合意

 吉利控股集団は2011年1月、電子製品製造受託サービス大手の台湾Foxconn (鴻海精密工業: Foxconn Electronics Inc.) および半導体受託生産で世界2位の台湾 UMC (聯華電子: United Microelectronics Corp.) と、新エネルギー車分野での提携について大筋に合意したことが明らかになった。
 3社は今後、吉利控股集団のEV/HVを含む新エネルギー車の部品等を共同で開発。また、自動車がインターネットに常時接続されるようにするなど、付加価値の高い自動車開発を目指す。2012年末時点の進捗状況は明らかにされていない。

 

 



吉利の自主ブランド車の事業体制構築の最新動向

  2012年末時点、吉利控股集団の中国国内にある生産工場は、浙江省の臨海・寧波(北侖)・路橋・慈溪、上海市(金山区)、湖南省の湘潭市、甘粛省の蘭州市、山東省の済南、四川省の成都に配置されている。上記工場を合わせた年産能力について、2012年3月時点で、乗用車完成車は60万台、エンジンと変速機はそれぞれ60万基であるとの報道がある。

 2015年世界販売200万台の目標に向けて、これらの既存工場の拡張を進めるほか、陜西省の宝鶏、広西(チワン族自治区)の欽州などにおいて、新しい自主ブランド乗用車工場の建設を検討・計画している。

生産体制整備について

慈溪工場: 2期建設で、年産能力を12万台から22万台に拡張へ
 吉利控股集団は2012年8月、2期建設を経て、慈溪工場 (杭州湾工場)の完成車年産能力を、現行の12万台(2直)から、22万台に引き上げると明らかにした。慈溪工場は、2011年4月に稼働、EC7シリーズなど帝豪ブランド車種を生産している。併設するエンジン工場も年産能力を40万基増の52万基に拡大する。これによって、年間生産高は、115億元から250億元に拡大する。

 

蘭州工場: 既存工場拡張と新ライン建設で、年産能力を5万台から12万台に拡大へ
 吉利控股集団は2012年8月、甘粛省の蘭州工場 (蘭州吉利汽車:上海華普汽車蘭州分公司) の生産体制を増強する。全球鷹・自由艦 (新型自由艦) を生産する既存工場の年産体制を現行の5万台から10万台に拡張。これに加えて、年産能力2万台を有する、全球鷹/帝豪ブランド車の生産ラインを新規建設。これによって、蘭州工場の年産能力を 5万台から 12万台に拡大する。

 

陜西省の宝鶏で、年産能力20万台の乗用車工場建設を検討
 2012年12月、吉利控股集団が西部地域の陜西省宝鶏で乗用車工場建設を検討し、現地政府と基本的な合意に至ったと報じられた。新工場建設への投資総額は60億元。年産能力は20万台規模。年間売上高約300億元と、税引き前利益25億元を見込んでいる。

 

広西の欽州で、エンジン工場を有する年産能力20万台の乗用車工場を建設へ
 2012年3月、吉利控股集団が広西の欽州 (保税港) でエンジン工場を併設する乗用車工場を建設する計画が明らかになった。2011年末に現地政府と関連契約に調印した。2015年に稼働する予定で、年産能力当初10万台で、20万台(エンジン20万基)に拡大する予定。新工場の敷地面積は133.3万㎡。 同工場をグループの輸出工場と位置づけている。

 

浙江省/上海での生産体制:上海華普汽車を再編、浙江省3工場が省内移転へ
  上海金山工場: 海景/英倫SC7を湖南省の湘潭工場に移管へ
 吉利控股集団は2012年、上海 (金山) にある上海華普汽車の生産を中止し、2年間かけて改修・拡張 (第3期) 建設を行う。詳細は明らかにされていないが、2012年7月からは、華普・海景の生産ラインを湖南省の湘潭工場に移管し、英倫ブランドのSC7と改称して生産・販売を継続。上海華普汽車の華普・海景以外の海シリーズ乗用車の生産を中止していた。
 上海華普汽車の再稼働は2年後の2014年7月以降になる見通し。詳細は明らかにされていないが、これまでの発表では、3期建設を経て年産能力5万台増で、既存の生産能力と合わせて、上海工場の年産能力は最終的に20万台に引き上げるとしている。

浙江省3工場が同省内の新敷地へ移転
 吉利控股集団は2012年8月、既存工場を拡張するほか、浙江省の既存3工場 (臨海/路橋/寧波北侖工場)を省内の新敷地に移転させることを明らかにした。臨海工場は臨海市の杜橋鎮に、路橋工場は台州椒江区に、寧波北侖工場は北侖区春曉鎮にそれぞれ移転する。新工場の年産能力は明らかにされていない。

 

販売体制をブランド別から地域別に変え、アフターサービス拠点建設・人材育成に1.2億元投資

 吉利控股集団は2012年6月、グループのマーケティング・販売事業体制を、これまでのブランド別 (全球鷹〔Gleagle〕、帝豪〔Emgrand〕、英倫〔Englon〕事業部) から、地域別 (北区/中区/南区事業部) に切り替えたことを明らかにした。また、これに先立ち、これまで、従来の吉利/華普ブランド車をマイナーチェンジして、全球鷹/帝豪/英倫ブランドに統合した。

 吉利控股集団は、アフターサービス拠点数の年間20%増を目指し、2011年から2013年までの3年間で合計1.2億元を投資して、アフターサービス人材(コンサル担当/補修担当)の育成やサービス拠点の建設などに充てる。このほか、吉利控股集団は、全球鷹/帝豪/英倫の自主3ブランドの販売代理店を2012年5月時点合計800店舗 (うち、「4S」販売店は約480店舗) から、2013年までに1,000店舗に増設する。なお、2012年12月時点の「4S」販売店は約500店舗に拡大した。

 

モデル計画:2013年から製販開始でSUV強化、AT搭載車のウェイトを拡大へ

 吉利控股集団は、プラットフォームなど自動車の共通技術や安全技術などについて、Volvoとの提携を通じて、世界での製品競争力を強化していく。

 具体的には、2013年からの今後3~5年間で、吉利とVolvo の「GMC」中型車プラットフォームや、パワートレインモジュールの共有および完成車全体における提携などによって、製品企画での共通性を推進。世界市場を視野に入れて、自主ブランド車の販売を拡大していく方針。


 また、2013年からは、中国市場で急速に拡大しているSUV分野に注力し、2015年までの3年間に小型・中型・大型のSUV合計4車種を発売。


 さらに、吉利控股集団は今後、AT搭載車にも力を入れ、2013年は、既存車種の海景/遠景に自社製4速ATと、今後発売予定の新型車に豪DSIの湖南 (湘潭) 合弁工場製6速ATを搭載するなどを皮切りに、AT搭載車の販売台数が自社国内販売全体に占める割合を、2012年12月現在の約10%から、2015年に約40% (約30万台) に引き上げていく。

 なお、これまで Ford/Chrysler/双竜などにも搭載されてきたDSI の 6速AT は、DSI 湘潭工場での現地生産によって、生産コストは1万元ほどまでに下がった。

 

(参考) 豪州変速機子会社DSI: 中国でのAT生産体制構築を加速
 吉利控股集団が2009年に完全子会社化した豪州自動変速機(AT)大手DSIは、中国の湘潭 (湖南省)/済寧 (山東省)/重慶での AT生産体制構築を加速している。
 湘潭にある合弁工場 (湖南吉盛国際動力傳動系統有限公司) は2012年6月に稼動。DSI の6速ATの生産を開始し、吉利の自主ブランド車 (GC7/GX7/EC8など) への搭載を始めた。同工場の年産能力は今後、現行の10万基から30万基に引き上げる。
 また、済寧工場 (山東済寧自動変速機) は2010年6月に着工。稼働開始時期は、2011年6月であったが、2012年末以降に先送りとなっている。年産能力は最終的に DSI モデルAT 30万台との計画。
 さらに、DSI は、吉利成都子会社との重慶 (銅梁県) 合弁変速機工場 (重慶DSI 変速箱製造有限公司) の建設に、2011年12月に着工した。稼働開始は2012年末としていたが、2013年1月以降に先送りされている。 投資総額は約8億元 (敷地面積約10.27万㎡)。年産能力は最終的に7速DCTを含めて30万基 (年間売上36億元)に拡大する。DCTは吉利汽車以外の他メーカーにも供給する。稼働当初は6速などトルク容量の大きいATを生産する。

 



Volvoとの合弁事業:成都/大慶/河北省で工場建設に着工、PHV/EVも生産へ

 吉利控股集団は、2010年8月2日にFordから不採算事業であったVolvo Car (Volvo) を買収した後、事業の建て直しや、中国での生産体制の構築を進めてきた。

 早ければ2013年内にVolvo乗用車の現地生産を開始する。2015年に、現地生産車18万台と輸入車2万台の合計20万台の販売と、中国高級車市場シェア20%の獲得を目標としている。また、当面、省エネ仕様の従来型エンジンを開発、中期的にPHV、続いて、EVの中国現地生産を計画している。


 このため、Volvo と吉利控股集団は、四川省の成都と黒龍江省の大慶にある生産合弁会社の乗用車工場建設に着工した。河北省の張家口にエンジン工場の建設も開始している (複数のメディアによる)。さらに、張家口エンジン工場には乗用車の生産体制を追加整備するとの報道もある。

完全子会社 Volvoの中期事業計画

経営方針・戦略など ・安全性/クリーンを追求。2020年に、排気有害物質の排出ゼロ、Volvo車種による死傷事故ゼロを目指す。
親会社の吉利控股集団と、技術分野などで提携を強化。
・2013~2017年、Volvo世界事業への合計 5年間の投資計画は 110億米ドル。
うち、中国事業には、成都/大慶乗用車工場、張家口エンジン工場、上海中国本部/開発センターの建設、新製品開発などに充てる。
販売目標 ・2020年: 80万台 (2012年は40万台強の見込み)
モデル計画 ・2018年までの6年間に、新型合計10車種投入
・Sシリーズ (2/3box) に重点を置くほか、XCシリーズ (SUV)/SAVシリーズにも注力。
 モデルラインナップを、Volvoの既存B/C/Dセグメントから、A/B/C/Dセグメントに拡大。
 (このため、エントリーモデル (Aセグメント XC40 Cross Country) と、ハイエンドモデル (Dセグメント XC90) の、両極モデルを追加投入)。
・60シリーズモデル (S60/V60/XC60など) を投入、更に、V70/V40シリーズを追加投入。
 2014年以降、SPA (Scalable Product Architecture) プラットフォームを採用、S80/XC90をモデルチェンジ。

中国事業
販売目標 ・2015年:高級車市場シェア 20%、
            輸出を含む販売台数 20万台 (内訳:現地生産車 18万台、輸入販売 2万台)
(注) 中国生産モデルは、周辺の新興国にも輸出へ
モデル計画 ・2013年: 順調であれば、S60L (セダンS60のロングサイズ仕様)/XC60 (SUV)の現地生産・販売を開始。
・2014年以降: SPAプラットフォーム搭載の新型車 (新型S80が最有力)、V60 PHVを発売。
販売体制 ・販売網(販売代理店):約110店舗 (2011年6月末) → 220店舗 (2015年)
省エネ・新エネルギー
車戦略
・フェーズ1:従来型エンジンの改良
 フェーズ2(中期的に): PHV (V60が有力) の現地生産
 フェーズ3:EV の現地生産
 なお、C30 EV は2012年10月時点、中国など複数の国で試験運行を実施中。
開発体制 ・Volvoの上海研究開発センターの従業員数は 1,000人超 (2012年8月時点)。
 うち、スウェーデンから 70数人の技術者が派遣されており、主に、電動車開発を担当している。
部品調達 ・2013~2017年:① 部品の中国での現地調達率を現行の 3%から 20%に増やす ② 中核部品の調達コストを 20%減らす。

資料: Volvo中国事業 5カ年(2011~2015年)計画(2011年2月発表)、各種メディア報道など

 

生産体制整備の最新の動き

四川省成都での合弁乗用車工場: 早ければ2013年稼働、12万台年産体制整備へ
 Volvo は親会社吉利控股集団と、西部地域の四川省成都で合弁生産会社「(仮称)成都吉利Volvo Car有限公司」を設立。投資総額は40億元。プレス/溶接/塗装/組立てラインを有する合弁工場を建設する。2012年8月時点、政府 (工業・信息化部) による設立許可は取得済み。早ければ2012年末に、政府による生産モデルの承認許可も下りる見通し。
 順調にすすめば、2013年に合弁工場を稼働し、生産を開始する。年産能力は当初3万~5万台で、10万台、のち12万台と拡大していく。稼働当初の生産モデルは、SUV XC60と、セダン S60L (S60のロングホイールベース仕様) が有力。

 

黒龍江省大慶での合弁乗用車工場: 2015年8万台の年産計画
 また、Volvoは吉利控股集団などと、黒龍江省の大慶市にも、合弁生産会社 「(仮称) 大慶吉利Volvo Car有限公司」を設立。2011年6月に、前審査段階である政府環境審査部門 (国家環境保護部: Ministry of Environmental Protection of P.R.China) による同工場の設立許可は取得済み。近々、政府・国家発展改革委員会による最終的な許可が下りる見込み。
 一方、最終的な許可取得に先立ち、Volvoは2010年10月、大慶市(高新技術開発区)で、合弁工場の建設をすでに開始した。早ければ2013年に稼働し、生産を開始する。
 同工場はプレス/溶接/塗装/組立て施設のほか、研究開発施設を有する。投資総額は45.76億元、敷地面積は84万㎡。早ければ2013年から、Volvo 新型ハイエンド自家用車 (モデルコード: 113K)、中高級SUV XC60、MPVの、合計3車種を順次生産。2015年の生産台数目標はそれぞれ、年間3万台、4万台、1万台。同工場の年産能力は当初8万台、12万台に拡大する予定。

 

河北省での合弁エンジン工場: 中国近隣新興国への輸出を含めて、年間60万基生産体制構築へ
 Volvoは中国でエンジン工場を建設する。河北省 (張家口) と上海市が有力候補地と報じられてきたが、2012年7月時点、河北省の張家口市で、Volvoのエンジン工場建設が着工されていると、複数のメディアが報道している。
 報道では、張家口エンジン工場の着工時期は2011年4月。年産能力は最終的に60万基の計画 (Volvo中国プロジェクト申請当初の年産能力は32.5万基)。稼働時期などの詳細は明らかにされていないが、排気量1.3L~2.5LのVolvo エンジン (1.3Lターボ仕様、VEP/15Pモデル) を生産する予定。製品は中国近隣の新興国市場にも輸出する。
 さらに、Volvoは今後、乗用車完成車の生産体制も追加構築する計画との報道もある。

 

 



(参考)

吉利控股集団の中国産乗用車の販売台数 (工場出荷ベース、輸出を含む)

(台)
モデル 販売 (輸出を含む)
2008年 2009年 2010年 2011年 2011年
1~11月
2012年
1~11月
(全球鷹)自由艦 81,076 113,673 95,583 82,653 75,190 52,878
(全球鷹)遠景 30,195 54,203 64,839 52,302 46,594 31,156
(全球鷹)熊猫 1,769 28,042 41,044 44,494 40,303 28,982
全球鷹GC7 - - - 916 - 16,297
全球鷹GX7 - - - - - 26,352
(英倫)金鷹 6,616 15,349 13,332 18,165 16,663 22,616
(英倫)金剛 56,300 65,821 74,106 68,465 60,680 50,006
英倫SC7/海景 0 9,704 50,591 51,480 44,874 46,614
英倫TX4 30 115 387 941 934 514
英倫SC3 - - - - - 10,161
英倫SC6 - - - - - 6,010
帝豪EC7 0 10,365 70,011 96,089 86,484 130,539
帝豪EC8 - - 1,335 17,130 15,762 12,559
中国龍 - 424 86 117 55 -
海迅 5,758 5,308 628 - - -
海尚 5,956 7,721 966 - - -
海域 20,389 15,029 2,943 - - -
海鋒 4,254 2,462 196 - - -
海悦 642 430 121 - - -
美日 8,570 426 - - - -
美人豹 268 32 - - - -
合計 221,823 329,104 416,168 432,752 387,539 434,684

(内数) モデル別輸出台数: 2012年通期は10万台超える見通し
モデル 2008 2009 2010年 2011年 2011年
1~11月
2012年
1~11月
(全球鷹)自由艦 17,708 8,014 6,678 7,625 7,615 16,624
(英倫)金剛 17,058 7,114 6,799 8,767 8,241 10,562
(全球鷹)遠景 4,261 900 628 852 838 0
(全球鷹)熊猫 13 1,165 2,802 8,005 7,059 9,187
英倫TX4 0 10 222 840 833 514
(英倫)金鷹 109 883 1,452 2,417 2,052 12,115
英倫SC7/海景 0 0 863 1,784 1,684 5,488
帝豪EC7 0 6 1,183 6,002 4,780 30,107
帝豪EC8 0 0 30 1,736 1,184 5,204
全球鷹GC7 0 0 0 0 0 1
全球鷹GX7 0 0 0 0 0 8
美日 27 0 0 0 0 0
美人豹 12 0 0 0 0 0
海域 492 180 842 0 0 0
海迅 556 1 0 0 0 0
海尚 903 559 0 0 0 0
海鋒 101 36 0 0 0 0
海悦 1 36 0 0 0 0
合計 41,241 18,904 21,499 38,028 34,286 89,810

(参考) 長安Ford-Mazda 重慶工場 (ライセンス生産)
モデル 2008年 2009年 2010年 2011年 2011年
1~11月
2012年
1~11月
Volvo S40 5,666 6,143 5,537 5,104 4,595 1,804
Volvo S80 - 8,353 11,554 9,780 8,489 5,011
合計 5,666 14,496 17,091 14,884 13,084 6,815

(注) 「S40」は2015年、「S80L」は2018年に委託契約期間が満了となる。

   なお、モデル欄の括弧表示は、モデル発売当初には「吉利(Geely)」または「華普(Maple)」ブランドで発売したモデルを示す。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>