電気自動車(BEV/PHV/FCV)販売月報 2024年5月
5月の電気自動車販売台数は前年同月比24.6%増の116.4万台(主要12ヵ国+北欧3ヵ国)
2024/06/25
- 電気自動車(BEV/PHV/FCV)のシェア
- 各国の電気自動車シェアと推移
- 主要メーカーの電気自動車販売台数推移とパワートレイン別販売構成比
- 主要12ヵ国の乗用車販売動向(電気自動車だけではなく、内燃機関など全てのパワートレインを含む)
電気自動車(BEV/PHV/FCV)のシェア
本レポートは、世界自動車販売台数(注1)の約83%をカバーする主要12カ国に北欧3カ国(注2)を加えた計15カ国の新車販売台数(マークラインズ集計データ、商用車を除く、推計値を含む。)を対象にグローバル市場における電気自動車(BEV/PHV/FCV)の動向を分析する。
主要12カ国:中国、米国、日本、インド、ドイツ、フランス、ブラジル、英国、韓国、カナダ、イタリア、タイ
北欧3カ国:ノルウェー、スウェーデン、フィンランド
電気自動車の世界販売に占めるこれら15カ国の割合は約90%。
(注1)2024年6月21日集計
過去の台数データの一部に修正が入りました。
2024年1月よりタイを集計対象に加えました。
中国の販売台数(出荷台数)は輸出台数を除く集計値となります。
(注2)北欧諸国の電動化率が高い理由
1. 国民の元々の環境意識が高い
2. 水力、風力等、再生可能エネルギーによる電力比率が高い(潤沢な再生可能エネルギーを電気自動車に使うという意識)
3. 補助金、税制面でのインセンティブ、充電インフラ整備などの手厚い政策
4. 電気自動車のモデルラインナップが多い
主要12カ国とノルウェー、スウェーデン、フィンランドの北欧3カ国(計15カ国)における5月の電気自動車販売台数は116.4万台だった。前年同月比で24.6%増加し、前月比でも13.8%増となった。5月の電気自動車シェアは22.8%で、前月から1.8ポイント増加した。1~5月の電気自動車の累計販売台数は、前年同期比24.2%増の485.8万台となり、自動車販売台数全体に占めるシェアは19.9%だった。
HVの5月の販売台数は前年同月比で10.0%増、前月比1.0%減の36.7万台だった。シェアは前月から0.4ポイント減の7.2%となった。1~5月のHV累計販売台数は188.5万台、前年同期比で15.6%増加し、自動車販売台数全体に占めるシェアは7.7%となった。
5月は米国で電気自動車に関する大きな動きがあった。一つ目はバイデン政権が5月6日に発表したEVメーカーへの資金提供に関する政策で、EVへの移行を促すため、自動車部品メーカーの設備改修と人材育成に1億ドルを提供するとしている。財源はインフレ抑制法(IRA)と超党派インフラ法(BIL)によって賄われる。二つ目は5月14日に発表された中国製EVへの関税の引き上げ措置で、現行の25%から4倍の100%に引き上げられる。
欧州委員会は6月12日、中国の電気自動車(EV)バリューチェーンが不当な補助金の恩恵を受けており、それがEUのEVメーカーに経済的な損害の脅威を与えていると結論づけた調査結果を発表した。中国当局との協議で効果的な解決を見いだせない場合は、中国から輸入されるEVに暫定的な追加関税を課す予定。追加される関税率はメーカー毎に異なり(BYDが17.4%、吉利が20%、上海汽車が38.1%など)、調査に協力しなかったメーカーは38.1%が現行の関税率である10%に上乗せされる。この措置は2024年7月4日に導入される。
中国製EVは中国国内での補助金や制度によって安価に生産されており、それらが大量に国外に輸出されることで、輸出された側の市場に悪影響を与えることが懸念されている。米国や欧州での保護主義的な動きは、国内のEVに関する投資と雇用を守り、EV市場の発展をサポートする目的がある一方で、電気自動車の最大市場である中国側の対応も懸念される。引き続き各国・地域の動きを注視していく必要がある。
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