IAA Mobility 2025:アウディ、BMW、メルセデス・ベンツ
電気自動車の差別化要因としてのデザインの役割
要約
2025年9月8日から14日まで、IAA MOBILITYがミュンヘンで3回目の開催を迎えた。この展示会では、業界関係者向けの「サミット」がメッセ・ミュンヘン見本市会場で9月9日から12日まで開催され、9月8日にはプレスデーが開かれた。また、今回もミュンヘン中心部に「オープンスペース」と呼ばれるユニークなモビリティイベントの舞台が設けられ、こちらは誰でも無料で参加することができた。
IAAは、従来型のモーターショーから進化し、電気自動車や自動運転車、自転車、バス、スマートシティのインフラに至るまで、あらゆる形態のモビリティを対象とするグローバルなプラットフォームへと発展した。
今年のモットー「It's All About MOBILITY(モビリティこそがすべて)」は、モビリティがもはや自動車だけの問題ではなく、人とモノが世界中でどのように移動するかという問題であることを強調している。これは、モビリティが人と場所、そして機会を結びつけるという考えを反映している。
また、これは異業種間の協業の重要性も強調している。自動車メーカー、テクノロジー企業、都市計画の専門家、エネルギー供給事業者、そしてスタートアップが、この議論の一翼を担っている。
モビリティはイノベーションの原動力となり、人工知能、電動化、デジタルコネクティビティ、持続可能なソリューションの分野における進歩を促進する。
最後に重要な点として、このモットーは、すべての利害関係者に対し、よりスマートで、より環境に優しく、より包摂的な未来を設計し、形作ることを奨励している。
ミュンヘンで開催されたこの国際モビリティ展示会では、世界新エネルギー自動車会議(World New Energy Vehicle Congress: WNEVC)が2年連続で重要な役割を果たした。
今回の会議では、「産業変革におけるドイツと中国の協力の新たな段階」をモットーに、電動モビリティと産業革新の分野における両国の進化するパートナーシップが強調された。
IAA MOBILITY 2025には、37カ国から約750の出展者が参加し、今回も50万人以上の来場者を集めた。サミットの来場者数は2年前と比べて13%増加した。
本稿では、今年のイベントで欧州の主要OEM 3社が発表した最新のイノベーションを取り上げる。
IAAは、電気自動車、デジタル統合、およびソフトウェア中心の自動車アーキテクチャーへの急速な移行によって牽引され、デザイン革新のショーケースへと進化しつつある。かつては理論上のものにすぎなかったことが、今や現実のものになりつつある。このデザインの飛躍は、特にBMW、メルセデス、アウディによる大胆な変革を示している。これらのメーカーのデザインは、電気自動車が野心的で、ラグジュアリーで、きわめて個性的になり得ることを実証するものであり、従来の実用本位のイメージを脱却している。
特に注目を集めたモデルは、BMWとメルセデス・ベンツの完全電動DセグメントSUV「iX3」と電動「GLC」で、どちらもこれが世界初公開となった。
この2つのモデルは、それぞれ先代「iX3」と前身モデルにあたる「EQC」から大きく進化しており、プレミアムミッドサイズ電動SUVセグメントで直接競合することを明確に意図して設計されている。
BMWの「iX3」が、大容量のバッテリーと400kWの急速充電によって実現された優れた航続距離と急速充電性能で差別化を図っているのに対し、メルセデスの電動「GLC」は、「マジックスカイコントロール」や拡張されたフロント収納スペースなどの洗練されたラグジュアリー装備によって独自性を打ち出している。
アウディが発表した「コンセプトC」スタディは、大きなスタイル上の転換を示しており、2027年以降のアウディ市販モデルの方向性を決定づけるものとなっている。