Mercedes-Benz Group:2030年にEVオンリーを目指す
ラグジュアリー車とEVの比率を拡大し、収益力を強化
2022/09/07
- 要約
- 2022-2030年にEV事業に400億ユーロを投入、EV化の転換点を迎える
- Mercedes-Benz Cars:Top-End/Core/Entryの3セグメントに再編
- 独自の"MB.OS"を開発、自動運転システムをNVIDIAと共同開発
- バッテリー生産:Automotive Cells Companyの株式の1/3を取得
- Mercedes-Benz Groupの業績:販売台数は減少しているが、売上高と利益は拡大
- 2022年の展望:前進を見込むが、不確実性のリスクも
- LMC Automotive販売予測:Mercedes-Benz Groupの2025年販売は292万台
要約
Electric駆動をリードするEQSモデル(出典:Mercedes-Benz Group) |
旧Daimler AGは、2021年12月9日付で"Daimler Trucks & Buses"部門をスピンオフし、同部門は独立企業の"Daimler Truck Holding AG"として12月10日に上場した。Daimler AGは社名を"Mercedes-Benz Group AG"に変更、"Mercedes-Benz Cars & Vans"と"Mercedes-Benz Mobility"で構成される。
Mercedes-Benz Groupは2022年5月の経営発表会で、LuxuryとSustainabilityの両立を加速していく方針を確認した。Mercedes-Benz Carsのポートフォリオを、Top-End Luxury/Core Luxury/Entry Luxuryの3つのセグメントに再編する。各セグメントにおいてEV導入を加速し、2022年末までに現在参入している全てのセグメントにEVを設定し、2025年には全てのモデルにEVを設定する。2030年には、環境が整う市場では全ての販売車種をEVとする計画で、"Electric-first"から"Electric-only"に転換していく。
Mercedes-Benzはソフトウェアで業界をリードする方針。独自のMercedes-Benz Operating System(MB.OS)を開発し、2024年に投入する。また自動運転技術をNVIDIAと共同開発し、同じく2024年発売車から搭載する。
2021年通期および2022年1-6月の業績は、半導体不足やウクライナ問題などの影響により販売台数が減少し続けているが、Top-End LuxuryやEVの販売が拡大し、売上高と利益(EBIT)は拡大している。2021年のMercedes-Benz Carsの平均販売価格は49,800ユーロで、2019年比26%上昇した。
2022年の展望としては、欧州はウクライナ情勢の影響が最も大きく、2021年と同様に弱含みの市場となるが、世界の自動車市場はほぼ2021年並みと予測。2022年通期でグループ売上高はかなり上向き(significantly above)、EBITはやや上向く(slightly above)と見込んでいる。
急速なEV化と自動運転技術の高度化を強力に推進していくために、Mercedes-Benzはこの1年で会社組織、経営基盤を素早く変革し、明確な道筋を示している。さらに半導体不足に加えて、ウクライナ情勢による販売台数減の厳しい状況下で、販売比率の上級車シフトによって利益向上を果たすという、したたかな経営戦略を実践している。
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