ダイムラー:モデルラインナップ刷新と中国市場強化で販売は大幅増
運転支援技術と幅広いCO2低減技術で先進技術イメージを牽引
2014/12/26
- 要 約
- モデルラインナップの刷新
- 車名の命名方法を2015年から変更
- Mercedes-Benzの中国戦略と、プレミアム3ブランドの販売台数
- 運転支援システムとCO2低減の先進技術戦略
- Daimlerグループの連結業績
- LMC Automotive 販売予測:Daimlerのライトビークル販売は2017年に230万台へ
要 約
Daimlerの乗用車部門Mercedes-Benzは、2020年にプレミアムセグメントで販売台数ナンバーワンになることを目指し、1)小型車を中心としたモデルラインナップの刷新、2)中国を始めとする新興国市場での成長、3)環境技術の開発に取り組んでいる。それを背景に、2014年1-9月の乗用車部門の販売台数は8.5%増で過去最高の123.9万台、通年でも2年連続の過去最高を狙う。
モデルライナップの刷新
Mercedes-Benzは、2014年にC-Classのフルモデルチェンジと、新型車GLA-Classを新規投入した。E-ClassやCLS-Classもマイナーチェンジを実施し、2013年にフルモデルチェンジしたフラッグシップのS-Class以下、主力車種はすべて新しいデザインに統一され、搭載技術も刷新された。また、B-Classから始まったFFコンパクト車の新しいMFAプラットフォームシリーズではA-Class、CLA-Classに、GLA-Classを加えた4車種が好調で大幅台数増となった。そして、車種が増え複雑化したラインナップをわかりやすくするため、モデル名の簡素を図った命名方法を2015年から適用する。
中国戦略:生産能力を20万台へ拡張
ライバルのAudi、BMWに大きく出遅れを取っている中国では、合弁相手の北京汽車と組んで2015年までに40億ユーロを投資していく。具体的には現地生産モデルを1モデル追加するとともに、現地生産能力を10万台から20万台へ拡大し、中国で販売台数の3分の2を現地生産車とする計画。また、地方都市を中心として、販売網の拡大も図り、先行するAudi、BMWに追いつくための戦略がスタートしている。
運転支援システムとCO2低減技術の先進技術開発
安全技術の柱として、将来の自動運転を目指した運転支援システムに関するDaimlerの取り組みは、技術レベルの高さ、幅広い車種への展開で他社を明確にリードしている。また、PHEV(S-Class)、FCV(B-Class)、EV(Smart、B-Class)をそれぞれ投入し、内燃機関の燃費向上も含めて、幅広い技術分野でCO2低減に取り組み、着実に実現している。
中期目標
販売目標 | ・2020年までにプレミアムセグメントで販売台数ナンバーワンとなる。 ・2015年までの販売台数目標:Mercedes-Benzブランドでは160万台、トラック部門で50万台、バン部門で40万台、バス部門で4.2万台を目標。 |
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利益率 | ・金融部門を除く、自動車部門で利益率(=EBIT/売上高)9%を目標。2014年1-9月は7.2%。乗用車部門の目標は10%。2014年1-9月は7.8%。 |
4つの戦略領域
コアビジネスの強化 | ・モデルラインナップの刷新、ブランド力強化、効率性向上。Mercedes-Benzブランドモデル数を現在の26車種から、2020年までに11車種増やす。 ・乗用車/商用車向けの、アクティブ/パッシブ セーフティーの先進技術開発。 |
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新興市場での成長 | ・今後の成長が期待できる、中国、インド、ロシア、ブラジルを中心とした新興市場での成長を狙う。 |
環境技術のリーダー | ・内燃機関、ハイブリッド、EV、FCVなど環境(CO2低減)技術開発の強化。 |
新しいモビリティ、サービス | ・都市化、IT技術の発展に伴い、顧客の要望が変化しつつある。使い勝手の良い移動手段、どこでもインターネットにつながることへの要求に対応していく。 |
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