現代自動車グループ:品質向上を優先し、急拡大路線を修正
米国で燃費誇大表示が発覚、大規模リコールを実施
2013/08/14
- 要 約
- 2013年1~6月期、総出荷台数は26万台増だが、韓国からの輸出は9万台減
- 品質向上を優先し、早急な生産能力増強はしない
- ウォン高:対ドルではウォン高が一服だが、対円では2012年の安値より3割高の水準
- 韓国国内の労使問題:新しい労働条件が韓国内の生産能力を低減
- 韓国国内販売:輸入車シェアが10%に達し、現代自グループの販売は微減傾向
- 米国市場で、燃費誇大表示と大規模リコールが発生
- 2013年1~6月期、利益水準は高いが、現代自は7.7%、起亜自は21.0%の営業減益
- LMC Automotive 生産予測:現代自グループは2016年に835万台を生産
要 約
現代自動車グループ(現代自動車と起亜自動車)はここ数年急速な拡大を遂げてきたが、2012年に、韓国での時限ストライキの発生と操業時間短縮を含む労働条件への同意、それに伴う生産能力の低下、ウォン高、米国で燃費誇大表示や大量リコールなど複数のマイナス要因が発生した。
ここ数年の急成長の後で、現代自動車の世界の工場は2011年107.4%、2012年108.4%の稼働率で生産した。そこに韓国工場での時短が加わり、市場が拡大している米国などで供給能力が不足している。米国では2013年1~7月期でグループのシェアを9.0%から8.2%に落した。
しかし現代自グループは今後の設備増強については慎重で、数年間にわたり急速に生産を拡大した後であり、このまま拡大路線を続けると部品サプライヤーの能力が追いつかずに品質問題が発生すると懸念している。そのため、2013年後半以降に予定されている生産能力増強は、2013年末トルコ工場で年産10万台から20万台への増強、および2014年後半に生産開始する起亜自の中国第3工場にとどまる(他に、現代自が中国第4工場を建設するとの報道がある)。
急速な設備増強はしないで、その結果一時的にシェアを失うことがあったとしても、品質向上、顧客満足と現代自グループおよびディーラーの収益を優先する。経営の効率を高め、次の成長期に備えるとしている。
現代自グループの業績は、売上高の伸び率は低下しているが(2013年1~6月期の起亜自は0.6%の減収)、営業利益率は現代自が10%程度、起亜自は8%程度で、高水準の収益を維持している。
レポート末尾に、LMC Automotive社による現代自グループの国別生産台数予測を添付した。今後伸び率は低下するが、2016年に835万台を生産すると予測している。
また現代自グループで今後最大の成長が見込まれる中国事業については、別途レポートする予定。
関連レポート:「現代グループ:2012年販売計画は40万台増の700万台、質的向上を優先」(2012年4月掲載)
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