Gestamp Automocion S.A. 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)

2016年12月期 2015年12月期 増減率 (%) 要因
売上高 7,548.9 7,034.5 7.3 1)
EBITDA 841.1 760.3 10.6 2)
事業部別売上
ホワイトボディー及びシャシー 6,067.4 5,813.0 4.4 3)
機構部品 902.4 832.1 8.4 4)

要因
1) 売上高
-売上高は前年比7.3%増の7,548.9百万ユーロ。為替の影響を除くと、売上高は前年比12.3%増加。売上増は北米、欧州、アジアでの販売向上によるもの。これら地域での売上増はブラジル市場の不況による南米の販売減により一部相殺。

2) EBITDA
-2016年12月期のEBITDAは前年比10.6%増の841.1百万ユーロ。売上増は北米、アジア、欧州が寄与したが、南米での売上減と為替差損が利益を圧迫。

3) ホワイトボディー/シャシー
-2016年12月期でホワイトボデイーとシャシー合わせ6,067.4百万ユーロの売上で前年比4.4%増。受注したホワイトボディスタンピング案件のほぼすべてが全面受託だったことが売上増に寄与。地域別には南米以外の全ての地域で売上高が増加。

4) 機構部品
-2016年12月期で前年比8.4%増の902.4百万ユーロの売上。全ての地域で伸び、特にアジアで最も大きく伸張。

企業買収

-2016年11月24日に子会社のGestamp Metalbagesが23.4百万ユーロでESSA Palauの株式60%を取得し完全子会社化。ESSA PalauはスペインBarcelonawoを本拠とし、乗用車用部品の加工、製造をしている。

組織再編

-三井物産は同社に出資参画することに合意したと発表。創業家持株会社であるACEK Desarrollo y Gestion Industrialとの間で新設する特定目的会社Gestamp 2020を通じ、間接的に同社株式の12.525%を取得する。三井物産の支払額は416百万ユーロ (約470億円)。最終的な支払額は、今後の同社の業績に応じて調整される。2017年3月期中に出資を実行する予定。同社の資本構成は、Gestamp 2020が50.1%となり、ACEK社等Gestampグループの出資比率は100%から49.9%となる。三井物産は2013年に同社の米州 (米国、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン) 事業会社へ参画して以来、連携を強化してきた。今回の出資参画により、米州のみならず全世界ベースでの自動車メーカーのニーズをとらえ、高機能素材市場の成長を取り込むことが可能になる。(2016年9月8日付プレスリリースより)

-ArcelorMittalは保有する同社の株式35%を875百万ユーロで主要株主のRiberas家へ譲渡したと発表。ArcelorMittalは、1998年にこのRiberas家との合弁事業に出資した。株式売却後も、自動車分野での研究開発パートナーや鋼鉄の主要サプライヤーとして同社との連携を幅広く継続していく意向。(2016年2月5日付プレスリリースより)

受注

-米国ウエストバージニア工場でホンダ Civic 2016年モデル向けの各種車体部品を生産。同社とホンダはソフトゾーンシステムを共同開発した。この共同開発は2013年に日本で始まり、2014年に北米にシフトした。(2016年5月11日付プレスリリースより)

主な受賞

-2016年Volkswagen Group Awardを受賞。
-GMより2015年Supplier of the Yearを受賞。

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
全体 298.5 240.9 180.1

-欧州投資銀行より160百万ユーロの融資を受けたと発表。スペイン、ドイツ、フランス、スウェーデン、英国の生産拠点における研究開発事業に充当される予定。このうちスペインには、全体の26%となる41.6百万ユーロが投じられる。この投資計画により同社は、欧州拠点で4年間の新しい研究プログラムを実施する予定。車の安全性向上、排出ガス低減の部品製造を目的とする。(2016年7月14日付プレスリリースより)

研究開発体制

-12カ所の研究開発拠点を保有。約1,300名が研究開発に従事。

研究開発施設

-2017年3月1日現在、下記8か国に12か所の研究開発センターを持ち、更にアジアで追加の研究開発所を建設中。

  • スペイン
  • ドイツ
  • フランス
  • スウェーデン
  • 米国
  • ブラジル
  • 中国
  • 日本

研究開発活動

-ホワイトボディ製品の開発は、OEMと共同でパッシブセーフティー、NVH、構造、衝突性能、変形検知、エネルギー吸収等の車両特性の改善が中心。

-シャシー製品では軽量化やコストダウンなどの課題を考慮する一方、剛性、強さ、耐久性、対衝突性などの品質改良を実施。

-構造部品では重量軽減や使いやすさなどに焦点を合わせている。

製品開発

-IZB見本市で出品された製品
-IZBサプライヤー見本市での主な出展製品

  • フロントロアコントロールアーム:
    コントロールアームは統合ボールジョイントが特徴。プラスティクオーバーモールド工程で統合され、部品重量を軽減かつ高精度にできる。更にボールジョイントは他の部品を使うことなく、直接、溶接組立に統合される。
  • 電動開口のアルミドア:
    高強度アルミで作られたヒンジがついている電動開口機構を使用したアルミドア。機械部品部門(Edscha)による開発。
  • ドア閉め:
    ドア路の障害物を検知する様々なセンサーがついたドア止め。Edcchaによる開発。
  • ソフトゾーンホットスタンピング技術:
    異なった特性を一つに統合し単一の部品にするホットスタンピング工程を開発した。この工法により、EVで重量が増したバッテリー重量を補うため、ひずみを抑えより軽い構造をつくるのに適している。(2016年10月18日付プレスリリースより)
  • EV用バッテリーボックスのプロトタイプ:
    このバッテリーボックスはVolkswagenとの共同開発によるもので、バッテリーセルをサポートするモジュールで構成されている。もしセルがダメになった場合、セルに接触することなく、より速く、より安全にモジュールを変える箱の設計になっている。なお、試作品は拡張性があるため、様々な車両に使用できる。


-スキンパネルの専門的技術でVolkswagenのFuture Automotive Supply Tracks (FAST)」プログラムの戦略的パートナーに選定された。(2016年5月23日付プレスリリースより)

特許

2016年12月31日現在ビジネスや製品に関連して、960以上の特許、実用新案を申請。

設備投資

2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
合計l 724.8 622.4 483.3


-新工場の設立や既存工場の生産能力増強が中心。売上高に対する設備投資費の割合は、2013年から2016年平均と同等の予定。売上高が8%増加し、うち設備投資費用が9%とすると2018年12月期の設備投資費は約800百万ユーロとなる。

-2014年から2016年通じ1,830.5百万ユーロを投資。
・3年間の設備投資で約850百万ユーロが事業成長への投資。850百万ユーロの内、約52%が新しいプロジェクト、31%が主要工場の拡張、17%が既存工場での新しい工程や技術への投資。

-2017年3月1日現在、10の追加の生産施設を建設中。さらに、2019年までに13の新工場と10の工場拡張のフル稼働を計画している。

スペイン以外での投資
<米国>
-米国ミシガン州Chelseaに新工場の建設を決定。新施設はシャシー組立、電気塗料ライン、3-D遠隔レザー溶接ラインを備える予定。新工場には68百万USドル投資し、今後4年間で195の新案件を見込む。同工場設立のために、Michigan Economic Development Corporation及びAnn Arbor SPARK、Chelsea市からの援助があった。(2016年10月25日付プレスリリースより)

<英国>
-英国のWolverhamptonの近郊にあるFour Ashesに新工場建設を計画。投資総額は70百万ポンド超。プレス設備を備え、面積は50,000平方メートルとなる予定。既存のCannock工場から新工場へ生産を移管するが、Cannock工場の従業員800名の雇用は維持できるようにする。新工場はBMW、ホンダ、Jaguar Land Rover (JLR)、Renault-Nissan、トヨタなどの顧客向けに納入する予定。2017年末までに生産開始となる見込み。同社は2011年以降、英国に180百万ポンド超を投じており、そのうち既存のCannock工場への投資額は30百万ポンド超となる。新たに建設するWest Midlands工場の年間売上高は140百万ポンドを超えるとみられる。Cannock工場は、トレーニングや開発などのニーズに対応するため一部の業務が維持される予定。(2016年9月6日付プレスリリースより)

<メキシコ>
-傘下のEdschaは、メキシコのSan Luis Potosi市で新工場の起工式を開催。早ければ2016年12月に生産を開始する予定。新工場では、まずドアヒンジ、ドアチェック、リフトゲートヒンジ、フードヒンジを生産する。その後、リアリッドやリフトゲート用の自動開閉システムの生産も行う予定。第1フェーズでの工場面積は約3,800平方メートルで、2016年末までに従業員約60名を雇用する。数年間で面積は10,000平方メートルまで拡張し、従業員数は約300名に増員する計画。(2016年6月22日付プレスリリースより)

<ロシア>
-ロシアのTogliattiに同社にとって同国4番目となる新工場を開設したと発表。傘下のEdschaが運営する。新工場の従業員数は約50名で、ロシア市場向けにドアヒンジ、リフトゲートヒンジ、リアドアヒンジの生産・組立を開始した。2016年に約250万ユニットのヒンジを生産する見込み。中期的には従業員を150名超まで増員する計画。生産スペースは約5,000平方メートルで、さらに6,000平方メートルの拡張が可能になるという。(2016年3月10日付プレスリリースより)