日立化成 (株) 2017年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2017年
3月期
2016年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上収益 554,144 546,468 1.4 -需要の増加等により前年度実績と同水準。
営業利益 53,152 53,036 0.2 -需要の増加に加え、継続的な原価低減の効果により前年度実績と同水準。
税引前当期利益 54,380 53,682 1.3 -
当期利益 40,704 39,152 4.0 -
親会社株主に帰属する当期利益 40,186 38,512 4.3 -
-機能材料
売上収益 272,994 269,769 1.2 -無機材料:リチウムイオン電池用カーボン負極材は、環境対応自動車向けの売上が増加したことにより、前年度実績を上回る。
営業利益 44,241 38,574 14.7 -
-先端部品・システム
売上収益 281,150 276,699 1.6 -自動車部品:樹脂成型品、摩擦材、粉末冶金製品は、新規案件の立ち上げがあったものの、為替の影響を受けたこと等により、前年度実績を下回った。
-蓄電デバイス・システム: 車両用電池、産業用電池・システムは、第4四半期にFIAMM Energy Technology S.p.A.を連結子会社化したこと等により、前年度実績を上回った。
営業利益 8,824 14,388 (38.7) -

事業再編

独断熱部品メーカーISOLITEを買収
-2017年4月、ドイツに本社を置き自動車・航空機・産業用途の断熱部品を製造・販売するISOLITEの株式100%を、ドイツのプライベート・エクイティ・ファンド、Equita GmbH & Co. Holding KGaA及びその他の株主から取得する契約を締結したと発表。今回の株式取得により日立化成は、国内での既存の販売網を通じてISOLITEの断熱部品を日本の自動車メーカーへ拡販するとともに、ISOLITEの有する欧州での販売網や製造拠点を活用して日立化成の自動車部材の欧州展開を加速する。(2017年4月27日付プレスリリースより)

FIAMMの自動車用および産業用鉛蓄電池事業を買収
-2016年11月、イタリアのFIAMM Energy Technologyの株式51.0%を取得すると発表した。FIAMMグループの事業のうち、自動車用および産業用鉛蓄電池事業 (中国事業の一部を除く) を分割し、その事業を引き継ぐ。2016年12月中に契約書締結し、2017年2月中に株式譲渡を実施する予定。取得価額は約102億円。今回の契約締結により、日立化成は、FIAMMのブランド力や製造拠点、販売網などを活用し、欧州、米国、東南アジア等における鉛電池事業の強化を図る。特に自動車用鉛電池については、アイドリングストップシステム (ISS) 車向け鉛蓄電池の技術をFIAMM Energy Technologyに展開し、同社の製品力を強化して、欧州など主要市場におけるシェア拡大を図る。(2016年11月28日付プレスリリースより)

-2016年1月、新神戸電機を吸収合併、蓄電システム事業を同社第3の基幹事業に成長させる基盤を構築
-2015年4月、米国に地域統括会社Hitachi Chemical Company America, Ltd.を設置
-2015年4月、タイで複数の子会社を再編・統合、経営資源を集中
-2015年4月、台湾日邦樹脂股份有限公司を連結子会社化、アジア地域における事業強化
-2015年1月、台湾神戸電池股份有限公司を連結子会社化、海外における販路・拠点を獲得

研究開発拠点

名称 所在地
コア技術革新センター 茨城県つくば市
コア技術革新センター (山崎) 茨城県日立市
コア技術革新センター (下館) 茨城県筑西市
コア技術革新センター (埼玉) 埼玉県深谷市
Hitachi Chemical Research Center, Inc. 米国カリフォルニア州
Hitachi Chemical - SJTU Research & Development Center 中国上海市

研究開発体制

-2016年4月1日付の組織再編により、研究 (R機能) と開発 (D機能) の役割を明確化し、機能の強化を図る。

  • イノベーション推進本部・コア技術革新センター: 将来の非連続成長に必要な基盤技術開発 (R機能)
  • 開発統括本部: 既存事業の拡大を支える新製品開発 (D機能)

技術供与契約

(2017年3月31日現在)
契約会社名 相手方の名称 契約内容 契約期間
同社 Hung-A Forming Co., Ltd.
(韓国)
インナーパネルを除くバックドアモジュールに関する技術実施許諾 2013年3月11日 -
2029年9月30日
(その後は1年ごとの自動更新)

技術導入契約

(2017年3月31日現在)
契約会社名 相手方の名称 契約内容 契約期間
同社 日立製作所 (日本) ミューチップタグに関する特許権および技術ノウハウの実施権の取得 2007年04月20日-
2017年04月19日

研究開発費

(単位:百万円)
2017年3月期 2016年3月期 2015年3月期
全社 28,200 27,800 26,900
-機能材料 20,100 19,800 19,800
-先端部品・システム 8,100 8,000 7,100


-機能材料: 車載用高信頼性半導体用封止材、半導体パッケージ用極薄多層材料等
-先端部品・システム: 鉛フリーディスクブレーキパッド、高多層対応配線板等

設備投資額

(単位:百万円)
2017年3月期 2016年3月期 2015年3月期
全体 39,900 32,000 26,600
-機能材料 22,100 12,000 12,500
-先端部品・システム 17,800 20,000 14,100


2017年3月期の設備投資額
-機能材料: 国内における配線板材料の量産設備導入、量子ドットフィルム事業立ち上げに伴う量産および開発設備導入等
-先端部品・システム: 国内における産業用電池の生産能力増強および生産性向上、自動車用樹脂成形品の生産性向上、米国における粉末冶金製品の生産能力増強等

2018年3月期の設備投資額
-機能材料 29,000百万円、先端部品・システム 31,000百万円で、合計60,000百万円を予定している。

2018年3月期の見通し

(単位:百万円)
2018年3月期
(予想)
2017年3月期
(実績)
増減
(%)
売上収益 610,000 554,144 10.1
-機能材料 280,000 272,994 2.6
-先端部品・システム 330,000 281,150 17.4
営業利益 58,000 53,152 9.1
税引前当期利益 60,000 54,380 10.3
当期利益 44,000 40,704 8.1
親会社株主に帰属する当期利益 42,500 40,186 5.8

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

-機能材料: 需要拡大が期待される次世代半導体や車載用機器等向けに、半導体実装材料や機能性樹脂を中心に拡販を強化する。
-先端部品・システム: 自動車部品は、海外での販路・拠点強化、差別化製品の投入加速等により、海外での実績拡大を図る。蓄電デバイスは、自動車用、産業用ともに海外での需要獲得を強化する。

中期経営計画 (抜粋)

2018中計
全社 技術 プロセス技術 評価技術を強化
-売上収益: 7~8% (CAGR、2015年度→2018年度)
-営業利益率: 11%
自動車部材 グローバルサプライヤーになるための基盤強化
-成形品:欧州市場への本格参入に向け信頼性評価の加速
-摩擦材:次世代車種への適用拡大
-粉末冶金:タイにデザインセンターを開設、高付加価値製品の売上拡大
-独ISOLITEの連結子会社化
蓄電システム
自動車用電池
拠点拡充等によるグローバル需要の獲得
-FIAMM Energy Technologyへアイドリングストップシステム(ISS)および電池技術供与と量産体制の構築
-国内からの技術支援によるモノづくり力強化


-10年後に高機能材料を基軸に化学を超えたイノベーションをグローバルに提供する企業を目指す。