カヤバ工業 (KYB) (株) 2014年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2014年
3月期
2013年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 352,710 305,752 15.4 -
営業利益 18,170 10,473 73.5 -
経常利益 20,390 13,561 50.4 -
純利益 12,761 7,789 63.8 -
AC (オートモーティブコンポーネンツ)
売上高 218,948 184,802 18.5 1)
営業利益 9,152 5,106 79.2 -

要因
1) AC (オートモーティブコンポーネンツ)
四輪車用油圧緩衝器
-国内販売の好調に加え、ドイツ、北欧を中心に欧州市場も回復基調にあり、米国でも生産出荷が好調に推移した。市販向けの販売も順調に推移した結果、売上高は1,515億円と前年比24.8%の増収。

四輪車用油圧機器
-電動パワーステアリングの新規受注やCVT用ベーンポンプの販売好調により売上高は367億円と前年比13.0%の増収。

CVT油圧ポンプのグローバル供給体制の整備

-自動車用無段変速機 (CVT) に搭載される油圧ポンプの世界供給体制を整備する。同社のCVTポンプ生産は現在、日本国内と中国で合わせて月産28万基規模で行っているが、今秋にタイで同製品の生産を開始するほか、来年にはメキシコの新工場が稼働する。両工場合わせた生産能力は月産15万基で、これによりCVTポンプの世界生産能力は現在の50%超増となる月産43万基となる。日系自動車メーカーやトランスミッションメーカーの増産に対応するもので、供給先の現地生産開始に合わせ世界4極で供給体制を構築、14年以降もそれぞれの生産拠点での能力拡大も検討する。(2013年3月5日付日刊自動車新聞より)

-2013年、メキシコに自動車用無段変速機 (CVT) に搭載される油圧ポンプの生産拠点を設立すると発表。2014年9月に稼働し、主にジヤトコのメキシコ工場に供給する。現地生産子会社「KYBメキシコ」をグアナファト州シラオ市に設立する。(2013年2月8日付日刊自動車新聞より)

受注

-2013年、日産自動車の「インフィニティQ50」に搭載された世界初のステアリング・バイ・ワイヤ「ダイレクト・アダプティブ・ステアリング」用の製品を受注。ギアアセンブリーや反力モーターといった部品に加え、電子制御ユニット (ECU) も受注し、子会社に専用工場を建設して供給を始めた。完全子会社のKYBトロンデュール (金子衛司社長、新潟県長岡市) に約24億円を投資し、車載用ECUの専用工場を建設、新システム用ECUの生産を始めた。ギアアセンブリーや反力モーターの生産は、岐阜北工場(岐阜県可児市)に約9億円をかけて設置した専用ラインで行っている。(2013年11月12日付日刊自動車新聞より)

新中期計画 (2015年3月期 - 2017年3月期)

基本方針
①AC (オートモーティブコンポーネンツ) 事業
-世界5極開発によるグローバルでの顧客獲得
-市販ビジネスの拡大

②HC (ハイドロリックコンポーネンツ) 事業
-農業機械・航空機器・鉄道機器などの販売拡大
-建機用油圧製品のコスト競争力確保

③人財育成
-グローバル成長戦略を支える人財の育成と確保およびグローバル経営幹部育成

④技術・商品開発
-各市場ニーズに基づいた商品開発体制の強化

⑤モノづくり
-リードタイム半減活動の海外および取引先への展開拡大によりグループ生産性の向上および国際物流費の低減

⑥マネジメント
-欧州・中国・米州地域統轄機能の充実

-新中期計画の業績目標
2017年3月期
売上高 4,300億円
営業利益 300億円
営業利益率 7.0%

2015年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2015年3月期
(予想)
2014年3月期
(実績)
増減率 (%)
売上高 369,000 352,710 4.6
営業利益 19,600 18,170 7.9
経常利益 20,000 20,390 (1.9)
当期純利益 12,000 12,761 (6.0)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 6,916 5,468 4,035
AC (オートモーティブコンポーネンツ) 4,493 3,398 2,401

研究開発体制

名称 所在地 研究内容
KYB開発実験センター 岐阜県
加茂郡
-自動車・二輪車用サスペンションやステアリング機器の開発・実験。
基盤技術研究所 神奈川県
相模原市
-油圧機器、自動車機器などに関する基礎研究と新製品・新技術の開発。
電子技術センター 神奈川県
相模原市
-電子機器の設計や評価、製造技術の集約。
生産技術研究所 岐阜県
可児市
-性能向上、低コスト化等の商品力向上のための開発。
工機センター 岐阜県
可児市
-生産技術研究所および各工場で培われた生産設備設計のノウハウの集約。
-設備の内製化の強化および推進。

研究開発活動

AC (オートモーティブコンポーネンツ)
四輪車用ステアリング機器
-日産向け:「ダイレクト・アダプティブ・ステアリング」用電子制御ユニット、ステアリングギアボックス、反力モーターを開発、日産新型「Skyline」 (Infiniti「Q50」) に搭載。

四輪用ショックアブソーバー
-トヨタ向け:大入力時の伸側減衰力を大幅に抑制する超飽和バルブがトヨタ「CT200h」向けショックアブソーバーに採用。

ショックアブソーバーの廉価版の開発

-新興国向けの廉価なショックアブソーバーを開発する。耐久性や性能などの仕様を新興国向けに引き下げるとともに、部品の調達を現地化することにより、低コスト化する。2014年には開発を完了し、自動車メーカーの要請に応じて、東南アジアなどで提供できる体制を整える。(2013年10月24日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 29,908 39,215 27,172
AC (オートモーティブコンポーネンツ) 18,391 18,086 9,378


設備の新設

2015年3月期の投資予定額:22,600百万円
AC (オートモーティブコンポーネンツ):14,100百万円

生産能力の増強

<欧州>
-PSA Peugeot Citroenをはじめとする欧州自動車メーカーからの新規受注の増加に伴い、欧州拠点においてショックアブソーバーの生産能力を増強する。欧州生産拠点における欧州自動車メーカー向けのショックアブソーバー生産数量を、2012年度の約580万本/年から2014年度には約1,000万本/年に引き上げる計画。このうちPSA向けの生産台数は、2013年度は約170万本/年、2014年度は約400万本/年となる見込み。搭載車種はPeugeot 「2008」および「308」、Citroen 「C4 Picasso」。また、同社は約30億円を投じてチェコの子会社KYB Manufacturing Czech (KMCZ) の工場を拡張する計画。ショックアブソーバーの生産能力を2012年度の450万本/年から2014年度に650万本/年に拡大する。(2013年12月27日付プレスリリースより)