大豊工業 (株) 2014年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2014年 3月期 |
2013年 3月期 |
増減率 | 備考 | |
全社 | ||||
売上高 | 93,632 | 86,102 | 8.7 | - |
営業利益 | 4,162 | 3,219 | 29.3 | - |
経常利益 | 4,449 | 3,461 | 28.5 | - |
当期純利益 | 2,796 | 3,297 | (15.2) | - |
自動車部品関連事業 | ||||
売上高 | 79,944 | 72,365 | 10.5 | - |
営業利益 | 8,291 | 6,699 | 23.8 | - |
主な受注
-クランクシャフト用樹脂コーティング (RB) ワッシャを新規開発し、量産を開始。-欧州自動車メーカーから、樹脂コーティングフランジ付エンジンベアリングを新規受注、量産開始。
部品共通化
-2014年1月、同社はトヨタ自動車の部品共通化構想「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー (TNGA)」に対応し、エンジン軸受の共通化を推進すると発表した。トヨタはTNGAの一環として2015年度以降に新型エンジンを導入する方針。同ユニットに照準を合わせて、設計、仕様を絞り込んだ軸受を開発する。エンジン軸受は、ベースとなる裏金の表面に加工を施して耐熱性や耐摩耗性などの性能要件を引き出していく。裏金に使用するアルミ合金には黄銅系とリン青銅系の30~40種類があり、エンジンごとに複数の種類を使用していた。これに対し、新型は素材を1種類のみに限定し、寸法のバリエーションも絞り込む。素材の集中購買や量産効果の向上を実現し、コスト競争力を高める。
2015年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2015年3月期 (予想) |
2014年3月期 (実績) |
増減 (%) |
|
売上高 | 98,000 | 93,632 | 4.7 |
営業利益 | 5,200 | 4,162 | 24.9 |
経常利益 | 5,100 | 4,449 | 14.6 |
当期純利益 | 3,100 | 2,796 | 10.9 |
>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)
中期経営計画
-2013~2015年度 (2014年3月期~2016年3月期) を対象期間とする中期経営計画「VISION2015」を策定。以下3つの方針のもと、2015年度 (2016年3月期) の売上高1,100億円、営業利益率6.5%を目指す。- 製品・製造領域のグローバルな拡大:軸受のグローバル市場を的確に把握し、適時・適地に適切な製品を供給
- 製品技術・生産技術の革新:トライボロジーを軸に軸受から潤滑システムへ技術領域を拡大
- 人財力の強化
-非軸受事業の拡大
- 軸受から潤滑システムへの領域拡大
- EGRバルブ:2013年3月期のEGRバルブの売上高は1,600百万円。現在は大型車を中心に供給しているが、今後はディーゼル乗用車への製品領域を拡大し、2016年3月期の売上高2,300百万円を目指す。
- バキュームポンプ:2013年3月期のバキュームポンプの売上高は650百万円。低燃費車、ディーゼル向けに機種を拡大していく。2015年3月期には大型乗用車向けに新機種の供給する計画。2016年3月期には新興国向け低価格車用のバキュームポンプをタイで現地生産するなどし、売上高3,000百万円を目指す。
受賞
-バキュームポンプが、トヨタ自動車より2013年度TNGA推進優秀賞を受賞した。-2013年、電子制御式EGRバルブが、日野自動車より3度目の技術開発賞を受賞した。
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2014年3月期 | 2013年3月期 | 2012年3月期 | |
全社 | 3,268 | 3,202 | 3,020 |
自動車部品関連事業 | 3,064 | 2,910 | 2,810 |
研究開発体制
-トライボロジー (摩擦/磨耗/潤滑技術) をはじめとする基礎研究部門、製品開発部門、生産技術開発部門を愛知県豊田市の「技術開発センター」に集約し、さまざまな課題に対応できる体制を確立。-その他に、摩擦技術研究センター、エンジン試験センター、生技開発センターを有している。
研究開発活動
自動車部品関連事業<軸受事業>
-エンジン用軸受けでは、次世代樹脂コーティング技術を開発中。また、樹脂コーティング付きスラストワッシャーを開発・量産化し、さらなる低燃費化への貢献を進める。
-カーエアコン用コンプレッサー向けの特殊軸受では、低コスト新シュー・新斜板を開発・量産化し、コスト競争力を強化。
<ダイカスト事業>
-ダイカスト製品では、軽量化に有効な薄肉鍛造技術、およびCAE (流動解析) から冷却・湯流れを最適化し、機械加工レスによる原価低減を行ない量産化。
-回転鋳抜き製法を開発。従来、重力鋳造でしか対応できなかった曲率形状をダイカスト製法で生産可能とした。
<システム製品>
-電子制御式EGRバルブは、国内の「ポスト新長期排気ガス規制」、および米国排ガス規制「US13」に対応した第二世代EGRバルブを開発・量産化した。
-高温対応排気制御バルブ: 冷却水通路追加によりアクチュエーターを熱保護。ガス通路/しゅう動部品を耐熱材料へ変更。これらの対策により許容ガス温度を摂氏200度から700度にまで拡大。商用車のEGRバルブ、排気絞りバルブ、多段過給切り替えバルブ等への適用が可能。開発中。
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2014年3月期 | 2013年3月期 | 2012年3月期 | |
全社 | 7,591 | 4,763 | 6,123 |
自動車部品関連事業 | 6,439 | 4,397 | 4,789 |
自動車部品関連事業
-同社では新製品切替や、生産設備の能力増強を目的とした設備投資を実施。国内、海外の投資は以下の通り:
- 国内の連結子会社:新製品切替や生産設備の能力増強を主体とした設備投資を実施。主な子会社として、大豊岐阜 (株) で軸受製品製造設備への新製品切替や生産能力増強を目的とした投資を中心に実施。
- 海外:新工場建設のための基礎投資を実施。主な子会社として、Taiho Corporation of Thailand (TCT) による工場拡張のための基礎投資。
海外投資
<ハンガリー>-2014年2月、2015年度までにハンガリー工場を拡張すると発表。新たな建屋を設置し、生産スペースを現状の約2倍となる1万6千平方メートル規模に広げる。ディーゼルエンジン (DE) 用燃料噴射システム向けのリングカムアウターや、エンジン軸受の増産に活用する。投資額は15億~20億円を見込んでいる。ハンガリー工場はエンジン軸受の欧州各国に供給する生産基地に位置づけている。新たに拡張するスペースは、16年度以降の生産基盤の拡充に向けて手当てする。
<タイ>
-タイ子会社Taiho Corporation of Thailand (TCT) にエンジン用バキュームポンプを生産する新工場を建設。目的は、タイを中心としたASEAN市場において、安価で高品質・高機能な製品を供給することと、海外生産における製品領域を軸受からシステム部品に拡大すること。2014年2月に稼働開始、2015年1月より量産開始予定。
設備の新設
-2015年3月期、同社グループの設備投資予定額は11,500百万円。主な内訳は以下の通り。事業所名 | 主要設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
目的 |
本社および本社工場 (愛知県豊田市) |
ダイカスト製品製造設備等 | 746 | 新製品切替・維持更新 |
細谷工場 (愛知県豊田市) |
軸受製品製造設備等 | 1,164 | 新製品切替・維持更新 |
篠原工場 (愛知県豊田市) |
システム製品製造設備等 | 1,435 | 新製品切替・維持更新 |
九州工場 (鹿児島県出水市) |
軸受製品製造設備等 | 216 | 新製品切替・維持更新 |
幸海工場 (愛知県豊田市) |
軸受製品製造設備等 | 205 | 新製品切替・維持更新 |
大豊精機 (株) 本社および本社工場 (愛知県豊田市) |
軸受製品製造設備等 | 230 | 拡張・能力増強 |
(株) ティーイーティー 春日井工場 (愛知県春日井市) |
加工設備 | 406 | 拡張・能力増強 |
大豊岐阜(株) 本社および本社工場 (岐阜県可児郡) |
軸受製品製造設備等 | 628 | 新製品切替 |
日本ガスケット (株) 滋賀工場 (滋賀県米原市) |
ガスケット製品製造設備 | 367 | 新製品切替 |
Taiho Corporation of America 本社および本社工場 (米国 オハイオ州) |
軸受製品製造設備等 | 553 | 拡張・能力増強 |
PT. Taiho Nusantara 本社および本社工場 (インドネシア 西ジャワ州) |
軸受製品製造設備等 | 306 | 新製品切替 |
Taiho Corporation of Europe 本社および本社工場 (ハンガリー Ujhartyan) |
軸受製品製造設備等 | 679 | 基礎投資 |
韓国大豊 (株) [Taiho Corporation of Korea] 本社および本社工場 (韓国 Daegu) |
軸受製品製造設備等 | 358 | 基礎投資 |
大豊工業 (煙台) 有限公司 [Taiho Kogyo Corporation of Yantai] 本社および本社工場 (中国 煙台市) |
軸受製品製造設備等 | 75 | 維持更新 |
常州恒業軸瓦材料有限公司 [Hengye Bearing Materials Co.,Ltd (Changzhou)] 本社および本社工場 (中国 常州市) |
軸受製品製造設備等 | 135 | 拡張・能力増強 |