日信工業 (株) 2016年3月期の動向

業績

(IFRS、単位:百万円)
2016年
3月期
2015年
3月期
増減率 (%) 要因
売上高 167,709 162,784 3.0 -
営業利益 7,490 12,090 (38.0) -分社化関連費用として約33億円を出費
税引前利益 7,406 13,856 (46.6) -
親会社の所有者に帰属する当期利益 33,654 10,917 208.3 -譲渡益約408億円を含む
部門別売上
-日本 24,684 24,837 (0.6) -四輪車用製品および二輪車用製品の販売の減少はあったものの、パーツ部品等の増加により、ほぼ前期並み。
-北米 43,841 36,366 20.6 -四輪車市場の好調および為替換算による影響などにより、増収。
-アジア 86,452 86,389 0.1 -タイおよびインドネシアにおける販売減少による影響はあったものの、中国の新型車効果および為替換算による影響などにより、ほぼ前期並み。
-南米・欧州 12,732 15,192 (16.2) -ブラジル四輪車新型車効果および欧州向け二輪車用製品の増加はあったものの、ブラジル二輪車市場の悪化および為替換算による影響などにより、減収。

-四輪車用ブレーキ・コントロールおよびブレーキ・アプライアンス事業を非継続事業に分類し、2016年3月期および2015年3月期の売上高、税引前利益については継続事業からのものを記載しています。

合弁事業

-2016年3月31日をもって、四輪車用ブレーキ・コントロールおよびブレーキ・アプライアンス事業を分社し、Autoliv社 (本社スウェーデン) との合弁会社 Autoliv-Nissin Brake Systems (ANBS) (同社49%出資) の設立手続きを完了した。統合ブレーキシステム分野での成長を続け、グローバルメーカーへの販売を拡大していくことを狙いとする。

-Autoliv-Nissin Brake Systems (ANBS) は、Autoliv社のブレーキ制御システム事業と日信工業から分割された自動車用ブレーキ事業を統合して設立された。日本、中国、米国に生産拠点を持つ。今後は、パッシブセーフティエレクトロニクス、ADAS製品、ブレーキ制御システムを扱うAutoliv社のエレクトロニクス (Electronics) 部門に属することになる。本事業の事業価値は総額約582億円 (約524.4百万ドル)。Autolivは、297億円 (約264百万ドル) で同合弁会社の株式51%を取得した。(2016年4月1日付プレスリリースより)

-Autoliv-Nissin Brake Systems (ANBS) は、日本、中国、米国に生産拠点を置き、技術、販売、生産、管理などの部門に約2,000名を雇用する計画。ライトビークル向けに、ブレーキコントロールおよびブレーキアプライシステム関連部品の設計・開発・生産をグローバルで行う。また、3カ所のエンジニアリング拠点と2カ所のテストコースを保有し、1,200を超える特許やその他の知的財産を利用できる。(2015年9月9日付プレスリリースより)

-2015年11月、タイ バンコクに開発拠点 Autoliv Nissin Brake Research Asia Co., Ltd.を設立。

受注

-2015年4月、マツダの新型スポーツカー「Roadster」でアルミ製リアブレーキキャリパーを受注し、供給を開始したことを明らかにした。マツダとの取引は今回が初めて。ロードスターの受注を足がかりに、好調に販売を伸ばすマツダへの採用提案を積極化し、新規受注の獲得につなげていく。長野で全数生産し、広島へ供給する。数量は非公開とする。(2015年4月30日付日刊自動車新聞より)

-2016年3月期の主な受注

自動車メーカー モデル 製品 販売開始時期
マツダ 「Roadster」 アルミ製リアブレーキキャリパー、アルミ製フロントアッパーアーム 日本、2015年05月
ホンダ

「Shuttle」 回生協調ブレーキ (HV)
マスターシリンダー&マスターパワー (ガソリン車)
VSA
フロントキャリパー
トルクロッドブラケット
ディファレンシャルブラケット (4WD)
日本、2015年05月
「Accord」 北米モデル アルミ製フロントディスクブレーキキャリパー -
「Fit」 北米モデル ディスクブレーキキャリパー (銅規制対応パッド採用) -
広汽ホンダ 「Vezel」 VSA
マスターシリンダー&マスターパワー
フロントキャリパー
プリフィルドクラッチシステム
アルミブラケット

両モデルとも、2015年販売は11万台以上
東風ホンダ 「XR-V」

同社単独で取り組む四輪事業

アルミ技術を活かし、燃費改善ニーズに対応する高付加価値製品を積極的に投入する

  • アルミ製強度骨格部品の提案拡販 (車体の軽量化に貢献)
  • アルミ製キャリパーの拡販促進

自動ブレーキの付加価値を高める先進製品を開発・拡販する

  • 電動パーキングブレーキ (EPB) の市場投入
  • EPBの品揃え拡大 (ドラムブレーキタイプ)

キャリパー事業のスクラップ&ビルドにより、収益構造を再構築

2017年3月期の見通し

(IFRS、単位:百万円)
2017年3月期
(予想)
2016年3月期
(実績)
増減率 (%)
売上高 160,000 167,709 (4.6)
営業利益 9,000 7,490 20.2
税引前利益 11,000 7,406 48.5
親会社の所有者に帰属する当期利益 5,600 33,654 (83.4)

第13次中期売上計画

(IFRS、単位:億円)
2017年3月期
(予想)
2018年3月期
(計画)
2019年3月期
(計画)
2020年3月期
(計画)
売上高 1,600 1,742 1,793 1,883
営業利益率 (%) 5.6 - - 10.0


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
全社 4,634 8,605 8,041

-2017年3月期の研究開発費は、5,000百万円を予定。

研究開発拠点

拠点名 所在地
日本 長野開発センター 長野県東御市
栃木開発センター 栃木県那須烏山市
スペイン Nissin R&D Europe, S.L.U.

カタルーニャ州 バルセロナ

タイ Nissin R&D Asia Co., Ltd. バンコク
中国 Nissin R&D China - Zhongshan 広東省中山
Nissin R&D China - Chongqing 重慶市
米国 Nissin R&D USA - East Liberty オハイオ州
Nissin R&D USA - Milwaukee ウィスコンシン州

研究開発活動

<日本>
-二輪・四輪車を主に、基本ブレーキシステム、二輪メカトロ系自動制御システムおよびアルミ製品を軸として、軽量化、燃費向上、安全・快適性向上に貢献する商品開発、材料開発、製造工法開発等をグローバル視野で推進。

-CO2排出量低減に貢献できる商品開発、材料開発、製造工法開発等も推進。

<北米>
-主に北米地域のニーズに合わせた基本ブレーキシステムおよびアルミ製品の開発を実施。

主な研究開発成果 (四輪車用部品)

基本ブレーキシステム開発
-低燃費化の要望に応えるため、ブレーキシステムの引き摺りトルク低減、アルミ技術の活用による軽量化製品を開発。並びに各製品のコスト低減、現地生産化を推進。
-新設計低引き摺りディスクブレーキキャリパーは、15インチサイズへ適用。今後シリーズ展開を行い、フルモデルチェンジの機種や、新車種に採用予定。

軽量化技術開発
-軽量化に寄与するため、鉄製のサスペンション部品やブラケットをアルミ材に代替し約40%の軽量化を実現。さらに高強度と伸びの特性を生かした薄肉化の開発を行っている。アルミ鋳造製エンジンマウントブラケット類が4機種、アルミ鋳造製リアナックルが3機種、アルミ鋳造製フロントアッパーアームが1機種に採用された。

製品開発

電動パーキングブレーキ (EPB)
-新型電動パーキングブレーキ (EPB) を開発した。ドラム式とディスク式の2種類で、ともに2017年の生産開始を予定する。ドラム式EPBの製品化は同社では初めて。四輪車事業では、ブレーキ制御部品をスウェーデンのAutoliv社と合弁化するのに伴い、ブレーキキャリパーなどの足回り関連製品に注力している。今後需要拡大が見込まれるEPBビジネスを本格展開することで、ブレーキ市場での競争力を高めていく。(2015年12月10日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
日本 1,538 2,384 2,185
北米 5,027 2,801 3,149
アジア 5,149 5,954 6,548
南米・欧州 222 837 1,346
調整額 (200) (319) (268)
合計 11,737 11,658 12,961


-2017年3月期の設備投資額は、11,000百万円を予定。


設備の新設

(2016年3月31日現在)
会社名
事業所名
(所在地)
設備の内容 投資予定額
(百万円)
着手 完了予定
東部工場
(長野県東御市)
生産設備 600 2015年
6月
2017年
3月
直江津工場
(新潟県上越市)
生産設備 592 2015年
8月
2018年
1月
開発センター
(長野県東御市)
開発用設備 803 2014年
12月
2017年
1月

(株) NISSIN APS
(長野県上田市)

生産設備 380 2016年
1月
2017年
3月
Nissin Brake Ohio Inc.
(米国オハイオ州)
生産設備 3,134 2015年
10月
2017年
3月
Nissin Brake Georgia Inc.
(米国ジョージア州)
生産設備 3,130 2015年
10月
2017年
3月
Nissin Brake de Mexico, S.A. de C.V.
(メキシコ グアナファト州)
生産設備 667 2016年
1月
2017年
3月
Nissin Brake (Thailand) Co., Ltd.
(タイ ナコンラチャシマ県)
生産設備 2,844 2016年
1月
2017年
3月
P.T. Chemco Harapan Nusantara
(インドネシア チカラン郡)
生産設備 561 2015年
4月
2017年
3月
中山日信工業有限公司
[Zhongshan Nissin Industry Co., Ltd.]
(中国広東省)
生産設備 3,305 2016年
1月
2017年
3月
Nissin Brake Vietnam Co., Ltd.
(ベトナム ビンフック省)
生産設備 414 2015年
7月
2017年
3月
Nissin Brake India Pvt. Ltd.
(インド ラジャスタン州)
生産設備 341 2015年
10月
2017年
3月
Nissin Brake Do Brasil Ltda.
(ブラジル アマゾナス州)
生産設備 273 2015年
4月
2017年
3月