東海ゴム工業 (株) 2013年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2013年
3月期
2012年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 263,725 252,008 4.6 -
営業利益 9,204 12,815 (28.2) -
経常利益 9,226 13,041 (29.3) -
当期純利益 3,003 6,089 (50.7) -
自動車用品
売上高 210,267 193,728 8.5 -国内市場では、震災からの生産回復とエコカー補助金効果で、自動車生産台数が前期実績を上回った。海外市場では、アジアの新興国や米国での販売が順調に推移。
営業利益 7,080 9,056 (21.8) -

買収

<ブラジル>
-ブラジルの防振ゴムメーカー、プロデュフレックス社を買収すると発表した。2013年4月をめどに現地子会社TRIブラジルを設置し、プロデュフレックスを孫会社として傘下に組み入れる。プロデュフレックスはブラジル国内に生産拠点を設置し、伊フィアットなどに製品を納入している。東海ゴムは同社の生産拠点と販路を取得し、防振ゴム事業で初めて南米進出する。15年度をめどにトヨタ自動車など日系各社への供給も本格的に開始する。(2013年3月14日付日刊自動車新聞より)

<イタリア>
-自動車用ホースメーカーDytech Dynamic Fluid Technologiesの買収手続きを完了したと発表した。今回の買収により、同社グループの自動車用ホース事業の生産拠点は、従来の8カ国から15カ国に増加する。日系メーカーの主要拠点である欧州と自動車生産が拡大する南米で自動車用ホースの現地供給体制を整えるとともに、ダイテック社の開発力や販売網を活用し、非日系メーカーからの新規受注獲得を目指す。

<ドイツ>
-自動車用防振ゴムメーカーAnvis Group GmbHを買収し、完全子会社化すると発表した。株式売買契約は2013年1月28日に締結する予定。Anvis Groupは9カ国に13の生産拠点を保有しており、2011年の売上高は約305百万ユーロ (約360億円)。(2013年1月25日付プレスリリースより)

合弁会社

<中国>
-中国・上海の上海天普汽車零部件有限公司 (上海TIP) と共同出資で設立した自動車用ホース製造・販売合弁会社「東海天普汽車零部件 (上海) 有限公司:TTAS」の開所式を行ったと発表した。TTASは、上海TIPの工場を利用して、自動車用のエアコンホースをはじめとする各種ホースを生産する。投資額は33百万元 (約410百万円) で、工場の建屋面積は延べ約19,000平方メートル。2016年度には、売上高約3億元 (約37億円) を見込んでいる。(2013年1月8日付プレスリリースより)

<ドイツ>
-防振ゴムメーカー「Anvis Group GmbH」とメキシコに合弁会社を設立し、現地に防振ゴムの生産体制を構築すると発表した。新合弁会社の出資比率は東海ゴムグループが51%、Anvisグループが49%。Anvisの現地生産子会社の敷地内に、防振ゴムを手がける新工場を建設する。13年10月に生産を開始し、ホンダ、日産自動車、マツダなどに製品を供給する。(2012年12月22日付日刊自動車新聞より)

事業提携

-同社とトヨタ紡織は、内装部品の開発・生産に関する協業関係を構築すると発表した。東海ゴムグループの内装部品メーカー東海化成工業 (岐阜県御嵩町) にトヨタ紡織が資本参加し、協業の基盤を整える。トヨタ紡織と東海ゴムグループの関係は、トヨタ紡織が東海化成からヘッドレストを調達する形で、30年以上にわたって続いている。トヨタ紡織は「東海化成にはウレタン発泡成形で高い技術力がある」と評価しており、既存取引関係に内装システムの商品力向上に向けた取り組みを加速しようというトヨタ紡織の狙いが加わり、今回の協力が実現した。今後は東海ゴムの防振技術、トヨタ紡織が持つ内装システムのノウハウ、東海化成のウレタン発泡成形技術を持ち寄り、内装部品を共同開発する。また、東海ゴムとトヨタ紡織が世界各地に持つ事業基盤を相互活用し、生産の効率化を図ることも検討する。(2012年8月30日付日刊自動車新聞より)

新会社

-インドネシアの自動車用防振ゴム製造・販売子会社PT. Tokai Rubber Indonesia (TRID) の開所式を行ったと発表。インドネシアでの自動車用防振ゴム事業は、2004年よりフコクとの合弁会社PT. Fukoku Tokai Rubber (Indonesia) (FTR) が製品を供給してきたが、市場拡大に対応するため2011年8月にTRIDを設立。資本金は18.5百万米ドル (約14億40百万円) で、東海ゴムが100%出資している。2012年10月中に本格生産に入り、同年12月に納入を開始する予定。敷地面積は約5万平方メートルで、建屋面積は約7,680平方メートル。2015年度には従業員約300名を雇用し、売上高は約3,100億ルピア (約26億円) を見込んでいる。(2012年10月12日付プレスリリースより)

主な受注

-独フォルクスワーゲン (VW)、アウディ、BMWから防振ゴムを初受注した。2013年度後半にも供給を開始する。これに合わせ、ポーランドに第2工場と開発拠点を新設し、欧州メーカー向けの開発、生産体制を構築する。(2012年9月26日付日刊自動車新聞より)

海外事業

<ドイツ>
-自動車用品の欧州での拡販活動を強化するため、現在のドイツ駐在事務所を現地法人とすると発表。同社は、欧州顧客のニーズや開発動向の把握など各種調査活動および窓口対応を目的として、2011年5月にドイツに駐在事務所を設立した。このたび、欧州自動車メーカーから受注を獲得し、さらに多くのメーカーへの参入を図るため駐在事務所を現地法人化。開発・拡販拠点としての機能を強化する計画。新会社の名称は「TRI Europe GmbH」。資本金は120,000ユーロ (約12百万円) となる。(2012年7月3日付プレスリリースより)

事業再編

<タイ>
-2013年度中にタイの関連会社イノアック・トウカイ・タイランド (ITTC) を連結子会社化すると発表した。ITTCはイノアックコーポレーションとの合弁会社で自動車用ゴムホースを手がけている。連結子会社化を機に営業体制の強化や環境規制対応を強化した高品質品の立ち上げを推進し、競争力を高める。(2013年3月25日付日刊自動車新聞より)

2014年3月期の見通し

(単位:百万円)
2014年3月期
(予測)
2013年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 360,000 263,725 36.5
営業利益 12,000 9,204 30.4
経常利益 11,000 9,226 19.2
当期純利益 5,000 3,003 66.5

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

中期経営計画

-2011年11月に、中期経営計画「2015年TRI GROUP VISION」を策定。計画最終年度となる2015年度の経営目標数値は以下の通り:
  • 売上高:4,200億円
  • 営業利益:340億円
  • 営業利益率:8%
  • ROE:10%
  • ROA:8%
-2013年3月期の主な活動:
  • グローバルでの開発・製造・販売網を拡充するとともに、原材料調達の見直しなどコスト削減活動を推進し、収益力の高い経営体質の構築に注力した。
  • グローバル事業運営については、2013年2月にイタリアの自動車用ホースメーカーDytech-Dynamic Fluid Technologies S.p.A.を買収したほか、自動車用防振ゴム事業でもドイツのAnvis Group GmbH、ブラジルのProduflex Minas Industria de Borrachas Ltda.の買収を決定しており、自動車用品の全世界への供給体制が整うことになる。
  • タイでは2012年11月、中国をはじめとするアジア諸国の同社グループ拠点向けに、廉価で高品質な練りゴムを供給する拠点Tokai Rubber Compounding (Thailand) Ltd.を稼働し、安定的な原材料調達とコスト面での効率化を目指す。

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
全社 9,698 8,660 8,182
-自動車用品 7,442 6,770 6,596

研究開発体制

-技術研究所「テクノピア」において、材料技術研究所・新事業開発研究所の連携により必要な技術開発を進めている。2011年3月には「新作業連携センター室」および「自動車連携センター室」を設け、事業化・商品開発の促進を図っている。

-中国浙江省の嘉興 (Jiaxing) 市に設立した自動車用ゴム・樹脂製品の開発子会社である東海橡塑技術中心 (中国) 有限公司 [Tokai Rubber Technical Center (China) Co., Ltd.:TRTC] の開所式を行ったと発表。総投資額は72百万元 (約940百万円) で、延床面積は6,200平方メートル。TRTCは、日本、米国、タイに続く4カ所目の開発拠点となる。さらに東海ゴムは今後、ポーランドの欧州子会社にも開発機能を置く予定。(2013年1月11日付プレスリリースより)

製造技術

材料の歩留まりを引き上げる新工法確立
-自動車向け防振ゴムの生産に関して、材料の歩留まりを100%近くに引き上げる新工法を確立した。2012年度後半にも小牧製作所 (愛知県小牧市) に導入し、量産を始める。金具に接着剤を塗布する接着処理工程、ゴムを射出成型する加硫工程に関して、加工方法や金型形状を見直した。これにより、従来9割以下だった歩留まり率を95~96%まで引き上げる目途をつけた。今年度以降、日本国内の生産拠点に導入してコスト低減を図る。中期的には海外にも新工法を展開、手直しや材料の再利用などに設置している工程を効率化し、競争力を高める。(2012年9月4日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
全社 25,295 20,191  14,938
-自動車用品 19,240 17,237 12,530

-自動車用品事業では、同社および海外子会社の自動車用防振ゴム、ホースの生産設備を中心に投資。

海外投資

<ポーランド>
-2013年をめどにポーランド・サグジュ市に新工場を建設すると発表した。生産子会社TRIポーランドの第2拠点として建設する。従来、第1工場では日系メーカー向けの防振ゴムや制遮音材を手がけていたが、欧州メーカー向けの供給体制を確立する。同時に現地に開発機能も置き、納入先とのコミュニケーションの円滑化につなげる。新工場の投資額は約10億5千万円。13年5月に建屋を完成し、8月に防振ゴムと制遮音材の生産を始める。事業体制の拡充により、15年度までに生産子会社の売り上げ規模を現状に比べ76.7%増の約76億円に引き上げる計画だ。(2012年10月11日付日刊自動車新聞より)

<インドネシア>
-2013年秋をめどにインドネシアに新工場を設置し、四輪車用ホースの生産を開始すると発表した。自動車用ホースの生産子会社東海ゴム・オート・ホース・インドネシア (TRHI) は西ジャワ州ブカシ県内でリース工場を借りて、二輪車用ホースを生産していた。これに対し、同県内に自前の工場を設置し、生産品目を四輪用ホースに拡大する。TRHIは13年秋以降、新工場に移転、リース工場は返却する。新工場の設置に伴う投資額は約19億円。新工場の敷地面積は約3万8千平方メートル、建屋面積は約1万1千平方メートル。(2012年9月20日付日刊自動車新聞より)

<インド>
-2013年秋をめどにインドに防振ゴムの新工場を設置すると発表した。約14億円を投資し、北部のデリー近郊に新工場を建設。13年11月から生産開始する計画だ。ホンダやスズキなど日系自動車メーカー向けに製品を供給する。東海ゴムは1月に南部のカルナタカ州で防振ゴムの生産拠点を稼働させたばかり。これに続き、北部にも生産拠点を設置して供給基盤を拡充する。これにより、インドの防振ゴム事業の売上高を15年度までに年20億円、20年度までに年60億円に拡大する。 (2012年4月5日付日刊自動車新聞より)