TPR (株) 2013年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2013年
3月期
2012年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 133,605 62,023 115.4 1)
営業利益 10,085 7,909 27.5 -
経常利益 11,833 9,129 29.6 -
当期純利益 5,569 5,591 (0.4) -

要因
1) 売上高
<日本>
-国内自動車生産の回復による増収要因があった一方、上半期の円高および下半期の日中問題に伴う受注の減少もあり、減収となった。

<アジア>
-中国系自動車メーカーの販売は低迷したものの、新規受注の効果もあり増収となった。

<北米>
-日系自動車の回復および米系自動車販売の増加に伴い、増収となった。

企業買収

-ファルテックの発行済み株式170万株を2012年4月5日付で取得、子会社化したと発表した。これにより、ファルテックの総株主などの議決権に対する割合65.0%となった。同時に、ファルテックの英国と中国の完全子会社も特定子会社化した。(2012年4月7日付日刊自動車新聞より)

合弁事業

<米国>
-フェデラル・モーグルと合弁で、シリンダーライナーを生産する新会社「TPRフェデラル・モーグルテネシー」を設立すると発表した。資本金は2千万ドル (約16億円) で、出資比率はTPRアメリカが53.9%、フェデラル・モーグルパワートレーンが46.1%とした。2013年5月に生産を開始、年間の生産規模は14年に1,200万本を予定する。(2012年4月25日付日刊自動車新聞より)

事業計画

-アジア地域での売上高拡大や樹脂部品など事業の多角化を柱とする2012~14年度の中期経営計画を発表した。(2012年6月18日付日刊自動車新聞より)
  • コア事業のエンジン関連部品では、米国テネシー州に第2のシリンダーライナー生産拠点を新設、13年5月に稼働する。
  • インドネシアでは、日本ピストンリングと発展的に解消した合弁会社の受け皿としてピストンリングを生産する新工場を建設、13年3月に稼働を予定する。
  • 子会社のTPRエンプラが手がける自動車用樹脂部品やTPRサンライトが手がける工業用ゴムシール製品といったエンジン部品以外の事業多角化を推進する。
  • 12年4月に子会社化したファルテックとは、技術革新や部品の開発を一体で行うほか、管理部門などの合理化を検討している。外装部品と樹脂部品、エンジン部品を2本の柱として、車体の軽量化や環境対応ニーズに対応した技術開発をグローバルで展開することで、新規受注の獲得に結びつける。

受注

-日産自動車と三菱自動車が共同開発して2013年5月に発売予定の新型軽自動車のピストンリングを受注した。これまで両社とは取引関係があり、共同出資会社「NMKV」が開発し、新型軽に搭載する新開発エンジンへの採用に結び付いた。13年度中には、共同開発する軽の第二弾モデルの市場投入が予定されており、納入量の拡大が期待できそうだ。新型軽には、燃費性能を向上した新開発エンジンを搭載する予定で、新タイプのエンジンにピストンリングが採用された。TPRは、ピストンリング生産拠点の長野工場 (長野県岡谷市) から、新型軽の生産拠点である三菱自の水島製作所 (岡山県倉敷市) へ納入する。(2013年2月26日付日刊自動車新聞より)

2014年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2014年3月期
(予測)
2013年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 140,000 133,605 4.8
営業利益 11,900 10,085 18.0
経常利益 12,600 11,833 6.5
当期純利益 5,600 5,569 0.6

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
全社 4,034 1,892 1,869
-TPRグループ 1,921 1,892  1,869
-ファルテックグループ 2,060 - -

研究開発拠点

-研究開発は、技術センター (長野工場内) で実施。

研究開発活動

-低フリクション化、熱制御、軽量化への取り組みに加え、排気ガスクリーン化、代替燃料 (バイオ、CNG) 使用に対応した新製品の開発に取り組んだ。
-製品の高精度化に対応したインラインでの計測自動化、革新的コストダウン、生産エネルギーの極小化へ対応した新工法の開発を実施。
-急速なEV化に対応し、非パワートレイン部品への取り組みを強化。アルミ、樹脂を中心とした軽量化複合製品とゴムを中心としたシール製品への新技術導入を積極的に実施。先行他社と製品機能、価格で競争できる開発体制作りと、新事業分野の模索を推進。

開発の主な成果
<パワートレイン部品>
1) ピストンリング
-超低フリクション & 低LOCリングの開発 (低燃費対応)
-高機能オイルリングの製品化 (信頼性向上)
-ピストンリング革新的コストダウン製造ラインの構築 (低価格対応)

2) シリンダーライナー
-小型エンジン用小径超薄肉、高熱伝導ライナーの製品化 (低燃費対応、信頼性向上)
-高耐腐食摩耗ライナー材料の製品化 (代替燃料対応)
-低フリクションボアライナーの製品化 (低燃費対応)

3) バルブシート
-高耐摩耗バルブシート材料の製品化 (代替燃料対応)
-バルブシート革新的コストダウン製造ラインの構築 (低価格対応)

<非パワートレイン部品>
1) アルミ製品
-新鋳造方案構築および設備導入実施による、EVモーター用モーターフレームの製品化
-遠心鋳造スパイニ形状FC材の応用による、アルミブレーキドラムおよびベアリングキャップの製品化

2) 焼結機械部品
-ターボチャージャー用小径シールリングの製品化
-ショックアブソーバー、カップリング部品の精度改善および高強度化工法の開発

3) 樹脂、ゴム製品
-変速機用樹脂シールリングの製品化
-電磁弁スプールゴムシール部品の高精度化

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
日本 2,514 3,066 1,482
アジア 2,767 1,097 1,501
北米 973 319 139
その他 47 0 13
ファルテックグループ 3,666 - -
合計 9,968 4,483 3,136

-海外生産拠点の拡充整備を引き続き実施し、増産投資を中心に設備投資を実施。

海外投資

-米国と中国で自動車エンジン用シリンダーライナーの生産能力を増強する。2015年に米では現在の生産規模を倍増させるとともに、中国は現在の規模から5割引き上げる。同社では、エンジンの軽量化に伴い採用が進むアルミ合金製エンジンブロックとの密着性を高めるために、ライナーの外側に特殊加工を施した「アズロックシリンダーライナー」を開発、生産している。(2013年1月11日付日刊自動車新聞より)
  • 米国:フェデラル・モーグルとの合弁で第2の生産拠点をテネシー州に設立。アズロックシリンダーライナーの専用工場として5月に稼働する。既存のミネソタ州の生産拠点と合わせて、生産規模を現在の月産110万本を15年に220万本へ引き上げる。米メーカーへ新たに供給を開始するほか、日系メーカーへの供給量を拡大する。
  • 中国:安徽省の拠点に生産ラインを増設し、現在の月産120万本から15年に180万本へと5割増やす。これにより、欧米メーカーや現地メーカー、日系メーカーの需要増に対応していく。

設備の新設および改修計画 (自動車関連製品事業)

(2013年3月31日現在)
会社名
事業所名
所在地 設備の内容・
目的
投資予定
金額
(百万円)
着手予定
年月
完了予定
年月
完成後の
増加能力
同社
長野工場
長野県
岡谷市
研究開発、ピストンリング生産設備等 1,000 2013年
4月
2014年
3月
生産能力に影響を及ぼさない
TPR工業 (株) 山形県
寒河江市
研究開発、シリンダーライナー生産設備等 1,200 2013年
4月
2014年
3月
生産能力に影響を及ぼさない
PT. TPR Indonesia インドネシア
西ジャワ州
ピストンリング生産設備 1,600 2013年
1月
2013年
12月
100%増加
安慶帝伯格茨缸套有限公司
[Anqing TP Goetze Liner Co.,Ltd.]
中国
安徽省
シリンダーライナー生産設備 1,000 2013年
1月
2013年
12月
15%増加