愛知製鋼 (株) 2015年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2015年
3月期
2014年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 240,647 237,420 1.4 -
営業利益 10,616 9,627 10.3 -
経常利益 11,141 9,810 13.6 -
当期純利益 6,023 5,503 9.4 -
部門別売上高
鋼材事業 114,808 114,669 0.1 -特殊鋼の販売が減少したものの、ステンレス鋼の販売数量の増加に加えて、特殊鋼・ステンレス鋼の販売価格の改善効果も寄与。
鍛造品事業 108,976 106,140 2.7 -海外子会社の販売数量が減少したものの、売上高が為替換算の影響で増加したことに加えて、販売価格の改善効果も寄与。
電磁品事業 12,665 12,644 0.2 -マグファイン磁石の販売数量増加。

受注

<トヨタ>
-従来より強度を5割高めたコンロッド用鋼を開発し、トヨタ自動車が一部改良した「Auris」に搭載している新型ターボエンジン向けに供給を開始したと発表した。トヨタと共同開発したもので、コンロッド鋼の大幅な技術革新は約20年ぶりという。同等の排気量クラスでコンロッドを平均15%程度軽量化でき、環境性能の向上にも貢献する。今後1年間で5億円の販売を見込んでおり、長期ビジョンの最終となる2020年には30億円に引き上げる計画だ。(2015年4月8日付日刊自動車新聞より)

-トヨタが販売する燃料電池車「MIRAI」の高圧水素系部品向けに、高圧水素用ステンレス鋼「AUS316L-H2」の供給を開始したと発表した。この製品は、2013年11月に発表した「AUS316L-H2」に冷間加工を加えて高強度化を図った鋼材。(2014年12月16日付プレスリリースより)

事業譲受

-ユニチカから金属繊維事業を譲り受けることで基本合意書を締結したと発表した。成長領域にある「MI (小型高性能磁気) センサー」を素材から一貫生産できる体制を整え、継続的な安定供給やコスト競争力の強化を図る。愛知製鋼はMIセンサー用材料のアモルファスワイヤーをユニチカなどの他のサプライヤーから購入している。外部供給の環境下では、製造工程の上流から生産技術を革新したり、コスト削減を追求することが難しかった。3月末までに事業譲渡契約を結ぶ予定としている。(2015年2月7日付日刊自動車新聞より)

生産動向

-2015年春をめどにタイでエンジン、トランスミッション向け鍛造部品の大幅増産に乗り出す。3月以降、過去最大規模となる60品番を同時立ち上げし、トヨタ自動車の新型「IMV」向けに供給する。1600トン (2号機)、3千トン、4500トンのプレスマシン、スクリュープレスと、四つの新設備を一気に稼働させて、増産を行う。16年をめどにタイ工場の鍛造量を14年に対して約9倍の年1万8千トン規模まで拡大する計画だ。部品の現地化をさらに加速し、次期IMVの競争力向上に貢献しながら、愛知製鋼の海外事業の拡充に結びつける。(2015年1月29日付日刊自動車新聞より)

-本社・鍛造工場 (愛知県東海市) の再構築を加速する。手動の老朽設備を高効率の自動化設備に更新しながら、生産ラインの寄せ止めを実施する。2014年度は4,500トンプレス機やスクリュープレスなどの最新鋭機を導入、工場内の鍛造ラインを85本から80本に集約した。今後は無段変速機 (CVT) 向けのシャフトを手がける生産ラインに自動化設備を導入しつつ、6ラインを4ラインに集約することなどを検討する。(2014年12月26日付日刊自動車新聞より)

-本社・鍛造工場とタイの生産子会社で建設を進めてきた4500トンプレス機を本格稼働すると発表した。従来、国内のクランクシャフト用プレス機はV型8気筒、直列6気筒向けの大型製品に対応するために6000~6500トンクラスを使用してきた。国内は老朽更新に合わせ、直列4気筒向けなど軽量、小型のクランクシャフトに適した4500トンプレスに切り替える。日本は15年3月に生産を開始する。タイにも同型機を導入し、15年1月から生産を始める。トヨタ自動車の次期「IMV」用ディーゼルエンジン向けに製品を供給する。(2014年12月11日付日刊自動車新聞より)

事業計画

-国内でめっき品の生産を拡大する。知多工場 (愛知県東海市) の生産能力を増強するほか、岐阜工場 (岐阜県各務原市) にもラインを設置し、それぞれ2016年に稼働させる。投資額は総額で数十億円を予定しており、生産能力を現状に比べ倍増させる。生産を増やすのはインバーターの冷却部品に使われる金めっき品。グループのトヨタ自動車がハイブリッド車 (HV) の設定車種を拡大していくことに伴い、HV用部品に使われるめっき品の需要が増える。能力拡大に合わせて生産拠点を分散し、災害時にも供給できる体制にする。(2015年6月4日付日刊自動車新聞より)

<2015年度中期経営計画の方針>
全事業の収益力を徹底的に強化
-ZZ100 (平成26年度末までに年間100億円の利益を上げられる体質にする活動) など全社一丸での原価低減
-電磁品事業の新ビジネスモデル確立による安定黒字化で収益へ貢献

鋼材・鍛造品事業ともに国内マザー機能を強化し、グローバルに展開
-国内リエンジ (ものづくり改革) による「ものづくり力」の強化
-海外拠点の自律化の推進
-海外メーカーへの積極的な技術支援・業務提携などによるグローバル化

全社営業、マーケティング力強化による新市場開拓
-営業から技術まで、全社一丸となった拡販強化
-輸出戦略、ブランド戦略の検討を促進
-鋼材・鍛造品一貫生産の強みで高採算性商品の開発・拡販の促進

連結経営の強化⇒アイチグループの価値創出

目標とする経営指標
-創立80周年の節目の年となる2020年に連結売上高3,000億円以上、連結営業利益200億円以上達成を目指す。

2016年3月期の見通し

(単位:百万円)
2016年3月期
(予測)
2015年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 243,700 240,647 1.3
営業利益 11,000 10,616 3.6
経常利益 10,400 11,141 (6.7)
当期純利益 6,600 6,023 9.6


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
鋼材事業 2,204 2,049 2,416
鍛造品事業 116 177 167
電磁品事業 1,216 1,244 1,013
合計 3,538 3,471 3,597

研究開発体制

-2015年3月31日現在、研究開発人員は約230名。

研究開発活動

鋼材事業
-主な開発の成果は以下の通り:

  • エンジンの軽量化や燃費向上に貢献するクランクシャフトやコンロッド用鋼の研究開発
  • 駆動伝達ユニットの軽量化や高出力化に貢献する高強度歯車用鋼および低コスト化に貢献する省合金歯車用鋼 (モリブデン含有量を低減) の研究開発

鍛造品事業
-主な開発の成果は以下の通り:
1) 熱間鍛造プロセスの高効率製造・低コスト化

  • CVTシャフトの高速自動鍛造化に合わせた、加工ロスの低減と更なる製造サイクル短縮化
  • 小型クランクシャフト専用4500Tプレスの建設と高速自動多数個取り化
  • グローバル展開を見据えた、アップセッタ代替工法であるスクリュー成形によるリアアクスルシャフト生産体制構築
  • 省エネルギー・低CO2排出熱処理炉の安定操業化

2) 冷間鍛造の高精度・低コスト化

  • 高精度インナースプライン成形、パーキングロックギヤ成形のラインナップ拡大
  • 高精度・低コスト化を目的とした金型加工用5軸加工機の適用範囲拡大
  • 鍛造金型の長寿命化を目的とした表面処理技術開発と適用範囲拡大

電磁品事業
-主な開発の成果は以下の通り:

  • MIセンサー、モーター用磁石、車載電子機器用放熱部品の開発
  • 経済産業省からの補助金を受け、「希土類元素の資源生産性に係る先端生産設備導入事業」を完了
  • 次世代自動車向け高効率モーター用磁性材料技術 (NEDO委託業務組合) に参画し、次世代の磁石開発に取り組んでいる
  • MIセンサーの開発ではローム株式会社との技術連携は計画通り進んでおり、両社のシナジーを発揮したMI素子の販売拡大やMIセンサーの特長である高精度・省電力を活かした次世代に向けた商品開発に取り組んでいる

設備投資額

(単位:百万円)
2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
鋼材事業 4,721 3,199 3,952
鍛造品事業 5,967 7,730 5,995
電磁品事業 2,003 1,960 227
その他 61 41 98
合計 12,752 12,930 10,272


鋼材
-製造設備の合理化および維持更新・環境対応等に投資。

鍛造品
-生産能力増強および製造設備の合理化および維持更新等に投資。

電磁品
-生産能力増強等に投資。

設備の新設計画

(2015年3月31日現在)
事業所名
(所在地)
事業の
種類
設備内容 投資予定
総額
(百万円)
着工 完了 完成後の
増加能力
知多工場
(愛知県東海市)
鋼材ほか 製鋼設備、圧延設備ほか 14,891 2013年
9月
2018年
12月
*
刈谷工場
(愛知県刈谷市)
鋼材 圧延設備ほか 180 2015年
3月
2016年
10月
*
鍛造工場
(愛知県東海市)
鍛造品 鍛造品生産設備 7,456 2013年
10月
2019年
3月
*
東浦工場
(愛知県知多郡東浦町)
電磁品ほか 磁石応用製品製造設備ほか 93 2014年
8月
2015年
7月
*
関工場
(岐阜県関市)
電磁品 磁石応用製品製造設備 230 2014年
10月
2016年
10月
*
電子部品工場
(愛知県東海市)
電磁品 電子機能材料・部品製造設備 230 2013年
12月
2016年
3月
*

*設備完成後の生産能力は、2015年3月末とほぼ同程度または若干増加となる見込み。